愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

本を読め

2015年10月05日 | 名古屋マーケティング・インカレ
先日,名古屋マーケティング・インカレ第2回中間発表会に参加しました。そこで,学生の研究発表をいくつか聴きました。その際,インカレに関わっている数人の先生と,今までの指導状況や今回の印象などについて意見交換しました。

何人かの先生が指摘したのが,「学生が本を読まない」ということです。文献を調査せよと指示すると,学生は,インターネット上,主にグーグルのような検索エンジンを用いて記事検索をする。そして,そこにアップロードされているものを拾ってくる。図書館に所蔵されている専門書や論文集をきちんと読まず,文献調査を終わらせてしまう。という状況を指しています。

うちのゼミでも同様で,インターネット検索でひっからない文献をきちんと読みません。大学教育の一環で行っている研究発表大会で,専門書や論文に触れないことはあり得ないのですが。専門書や論文を読み,研究発表にそれを生かそうとするのならば,理論を正面から学ぶことが求められます。ほとんどの専門書や論文は理論の開発やその応用を試みています。

研究発表は,基本的に,「なぜこのようなことが起きたのか?」という疑問を基に構成されるはずです。その疑問に対して,自分なりの答えを導くためには,まず理論を紐解く必要があります。なぜならば,理論は,現実社会における特定の現象が起きる原因やメカニズムを,単純に示すために開発されたものだからです。自分なりの答えを出す前に,先人が苦労してひねり出した理論が考察対象に応用可能かどうか考えてみると,答えの手がかりが得られます。学生が一から答えを導き出すなど至難の業なのです。

ゼミ生はじめ学生が理論的な文献を読まないのは,理論は難しく役に立たないものだと思い込んでいるからでしょう。理論は確かに一般的には使わないような表現が盛り込まれていて(しかも漢字や英語,場合によって数式だらけ),一見訳が分からないでしょう。

しかし,理論は,現実社会の特定現象を説明するために開発されたものなので,現実と無関係な言葉遊びではありません。しかも,本当に現象を説明するための道具として役立つのかどうかテストされ続けています。特定現象以外の他の現象に応用可能かどうかも試され続けています。「どのようにすれば戦略が成功するのか」という問いには理論は直接対応していないかもしれません。いわゆる実務的な解は提供していません。しかし,現象の原因やメカニズム追究には役立つことがあるのではないでしょうか。

なお,学生が理論中心の専門書を難しくて理解できない時には,教員に質問して教えを請えばいいだけの話です。高い学費を支払う学生には,教員を利用する権利があります。そのために教員は大学に雇用されているのですから。

「学生が本を読まない」という嘆きが出ていましたが,実際には,今回の中間発表会で,例年より,文献をきちんと読み,理論の応用を考えた発表が多かったといえます。反省すべきはうちのゼミだけなのかもしれません。ゼミ生には,本を読めと諭します。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする