愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

読書

2010年01月29日 | Weblog
定期試験が終了しました。学生たちはしばらくは勉強を理由に大学に出向く機会はほとんどありません。4月上旬まで長い休みに入ります。この間,4年生は学生生活最後の貴重な経験をして欲しいと思います。長期の旅行に行くことは社会人になるとなかなかできなくなります。財布の許す限り,長い旅行に行くことを勧めます。3年生は就職活動が本格化します。厳しい雇用情勢が身に染みると思いますが,悔いを残さないように活動してください。1,2年生は比較的余裕のあるゆったりとした時間を過ごせると思います。フットワークを軽くして,思いついたことは何でもやってみてください。

さて,全学生に休み中の活動として勧めるのは,読書です。大学の授業を離れ,余裕のある時間に,自分の行く末,社会の変遷,経済のあり方,歴史の深淵,文章の美しさを考察してください。ゆっくり読書をする機会は学生ならではの特権なのかもしれません。

以下にお勧めの本を紹介します。といっても,専門的な難しい本ではありません。経済に関連した気軽に読める面白い本です。

金子哲雄『超三流主義~年収200万円で600万円の暮らしを!~』扶桑社。題名からするとふざけた内容を想像してしまいますが,今後の生活を見直すことに役立ちそうな本です。デフレ・低収入時代の生き方を指南しています。賢い買い物術,節約生活の考え方と方法,ちょっとした見栄の張り方などが内容の中心です。

節約生活の考え方と方法が書かれた章では,惨めにならないようにいかに節約をするかということがあれこれ説明されています。これを読み終えたとき,ある本を思い出しました。ベストセラーのトマス・スタンリー=ウイリアム・ダンコ『となりの億万長者』早川書房です。アメリカの億万長者の暮らしぶりを調査して描いた本なのですが,その内容は興味深いものです。意外にも億万長者たちは贅沢な消費生活を送ることなく,質素倹約を心がけた地味な生活を営んでいることが示されているのです。けちでありながらも惨めにはならない,合理的なライフスタイルというべきものです。『超三流主義』は貧乏人の生き方を示した本のようですが,その実は金持ちのライフスタイルにも通じるデフレ時代の生き方を考えさせてくれます。

『超三流主義』にはつぎのような面白い表現が何度か出てきます。「真の国際競争力をつけるためには収入を高くする努力よりも,低収入でも生活できる力をつけていくほうが現実的」。グローバリゼーションが現実になったこの時代,多くの仕事は(全てとはいえませんが)低賃金の国の労働者に流れていきます。低収入で生活できる人は,職業や居住地の選択幅を広げて生きていけます。強い人は,どんな経済情勢になっても生きていくことができる人なのです。

『となりの億万長者』によれば,億万長者たちが地味な生活を送ってお金を貯めるのはそれが経済的自由を得ることになると考えるからだそうです。経済的自由とは,景気にも,失業にも,会社の都合にも生活が左右されないことです。庶民も同じで,けちけち生活を送ることで,「国際競争力」を獲得して経済的自由を得るのです。

なお,『超三流主義』の賢い買い物術が書かれた章では,小売マーケティングにおける価格設定の方法を踏まえて,それを顧客の立場から逆手にとって安く買う方法が述べられている箇所があります。小売マーケティングの勉強に少々役立ちます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アクセス

2010年01月16日 | 卒論
先月半ばから,このブログへのアクセス件数が伸びています。平均して1日あたりそれまでの2倍程度。なぜなのかと不思議に思い,アクセス解析してみると,卒論関連のキーワードで検索して,ここにたどり着いたというアクセスが多いことが分かりました。

なるほど,たいていの大学では12月から1月に卒論完成,提出の期限がやってきます。そして,その後口頭試問や発表会が課せられる場合もあります。そのため,この時期に卒論の提出や審査などについて情報を集めておこうという学生が多いのでしょう。なかなかいい心がけです。

ただ,ちょっと気になるのが,検索に使っているキーワードにネガティブなものが存在すること。解析で,卒論に加えて,写し,パクリ,コピペ,同じ内容などのワードがあがってきます。本の丸写しや,web情報のコピペ,他人の内容の剽窃をやってしまって,大丈夫なんだろうかと気になって情報収集しているのならば,悲しいことです。

最近は業者に書いてもらうパターンも横行しているようで,多くの大学で糾弾されています。安易なことをする大学生に問題があるのは当然ですが,指導教員側にも問題があります。卒論のテーマ選びから完成までの期間,きめこまかにその過程をチェックして指導していれば,業者制作,web情報のコピペ,剽窃などは見破って,是正することができるからです。

いい加減な卒論の横行は教員と学生とのコミュニケーションや信頼関係が崩壊していることの現われなのかもしれません。自戒しなければなりません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年始2

2010年01月10日 | 卒論
先週木曜日には新年1回目の2年生のゼミも開かれました。冒頭,2年生に昨年末の卒論発表会の感想を聞いてみると,辛らつな言葉が出ました。

「3年生の発表をあれこれ聞いていたので,4年生はそれを上回るようなレベルの高い発表をすると期待していたのに,期待はずれだった」「あれでどのくらい期間を費やしたのですか?時間をかけて書いたとは思えない」など。

2年生たちの指摘はもっともです。教員の私自身が毎年感じていることです。毎度締め切りの1年前から卒論のあり方をレクチャーしていますが,期待通りのレベルに達したことは1度もありません。学生がきちんと卒論に挑まないのは就職活動の影響であることは当然指摘できるでしょう。しかし,それだけとは思えません。なぜならば,4年次には卒論以外に履修科目のない学生が多くいて,彼らは時間的に余裕があるからです。やはり,実際にモチベーションを高めて,レベルの高い卒論を書かせる仕掛けが貧弱なのでしょう。この仕掛けはゼミ内の競争だけでは不十分なようです。

全体としては今年度も卒論はあまりレベルが高くなかった訳ですが,一部学生はそれなりにがんばってくれました。例年よりもアンケートやヒヤリング調査など1次データ収集をきちんとやった学生が多かったのです。2年生もそれは評価していたようです。

そこで,レベルの高い卒論や研究発表を実現するために重要であるとして,新年1回目のゼミではアンケートやヒヤリング調査の意義をレクチャーしました。3年次になってからその演習を行うことにし,それに向けた予備知識を得てもらったのでした。

1次データを収集したからといって,レベルの高い卒論が書けるとは限らないのですが,コピペ卒論が横行するうちのような学部の学生の間では,その努力を評価することはできるでしょう。ちなみに,私は学部学生時代心理学を専攻していましたが,実験,観察,アンケート調査などの1次データ収集をしていない卒論は原則受理されませんでした。今でも心理学系ではそういうところがあるようです。うちの学部でも見習う必要があると思います。少なくともうちのゼミでは部分的に取り入れようと考えています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年始

2010年01月09日 | 運営
今週木曜日に新年1回目のゼミがありました。3年生と4年生では,両学年合同で,3年生のチームによる研究発表会を行いました。3年生の各チームは11月の名古屋マーケティング・インカレの発表内容を修正し,4年生を前に発表したのでした。

発表終了後,恒例の参加学生による採点(10点満点)を行いました。いつものように,教員も学生と同じく1票しかありません。しかし,採点を合計し,平均を算出して,各チーム順位付けしてみると,私の評価と同じになりました。学生たちは,努力,論理,独自性などをきちんと評価していました。

1位になったのは家庭用ゲーム機のマーケティングを考察するチーム。wiiに市場シェア首位を奪われたままのソニー・プレイステーション3の逆転策を考えようというものです。彼らが提案したのが,かつて首位だったプレステ2のユーザーにプレステ3を買い換えさせるというもの。その策は2本立てで,インターネットを活用したプレステ2の下取りと低価格化です。低価格化が特に重要で,プレステ3の価格を9千円台まで引き下げることを提案しています。過去の販売データを用い,回帰分析によって,9千円台に引き下げた場合の販売数量予測を導き出しています。さらに,低価格化実現の根拠として,販売数量を積み上げた際の製造コストの低下を経験効果を用いて説明し,赤字回避のためにゲーム内に広告を導入することやゲームソフトの手数料を獲得することを検討しています。過去のデータからありうる推測をしています。マーケティング関連理論をきちんと咀嚼し,論理を展開している点が評価されました。彼らは名古屋マーケティング・インカレでは決勝に残れませんでしたが,理論を駆使した論理展開を見ると,決勝に残ったとしてもおかしくなかったと思いました。ただ,ビジネスの定石にしたがった策なので,独自性不十分として評価されなかったのかもしれません。

発表会は無事終了しました。残念なのは,インカレ終了から1ヶ月という期間があったので,内容の改善が見られるかと思いきや全チームとも大きな進歩がなかったことでした。大学間競争と違い,ゼミ内(学内)競争では,学生のモチベーションが上がらず,真剣さに欠けるようです。この問題はどこをどうしても払拭できないでいます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする