愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

既存研究を活かす,再び。

2014年05月21日 | 運営
研究発表や卒論のテーマ設定に関して,いつもゼミ生に指示しているのは,「思い付きでテーマを決めてはならない」ということです。そして,思い付きにしないために,既存研究をきちんと読んで,それを踏まえてテーマを考えることを諭しています。

現在ゼミ生には,研究発表や卒論作成に向けて,テーマの設定を行ってもらっています。名古屋マーケティング・インカレのエントリーに向けた,3年生のテーマがどれもこれも思い付きのもので,早晩行き詰ることが目に見えているため,先週全面的見直しを指示しました。現在4つにチーム分けしていますが,ダメなチームは解散させて,今週中にもチーム選抜することも申し渡しました。それと同時に,既存研究をきちんと読むことを諭しました。

3年生たちは,テーマを自分たちの身近な経験から探そうとしていました。しかし,それではすぐに壁にぶち当たるのです。なぜならば,学生の経験と思考が浅いからです。たいていは思い付きにとどまり,明快な主張と根拠づけがないまま,体系立たない事例のつぎはぎを報告して終わりです。

既存の論文を読んで,その結果や主張が本当に妥当なのか,修正すべき点はないのか,他の分野・対象への応用可能性はないのかを検討すること。これを踏まえて,テーマが案出できれば,それは思い付きではないものになるでしょう。

なぜならば,専門家が手掛けた既存研究は,具体的な主張と根拠を提示しているのが普通なので,それに基づけば,学生であっても,それなりに主張と根拠を体系立たて展開することができるからです。

なお,以上に関連していつも気になるのが,ゼミ生たちは,インターネット上で情報検索を完結させようとすることです。それもグーグルのような検索エンジンで引っかかる情報だけで検討の対象とするのです。大学ネットワーク内で利用可能なデータベース,著書や論文のような紙ベースの資料については,こちらが何度も指示しても検索・閲覧しようとしません。そんな安直な検索が,思い付きのテーマに結びついています。

データベースや紙ベースの資料は,発行と利用にコストがかかる「有料」の情報です。グーグルで引っかかる「無料」情報にはない価値があることを認識して欲しいと思います。
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輪読

2014年05月14日 | 運営
うちのゼミでは,毎年,2年次,専門書の輪読を課題としています。輪読というのは,特定の書物について,ゼミ生が順番に,担当箇所を読んで,解釈をした内容を発表し,その発表を受けて,全員で問題点について論じ合うという課題です。人文・社会科学系大学のゼミでは定番の課題です。私も,学部時代と大学院時代にそれをこなしました。

現3年ゼミ生も昨年度,マーケティング論の専門教科書の輪読を経験しました。しかし,全くダメでした。解釈するということはなく,専門用語と理論を理解しないまま,ただ教科書の文章を不完全に縮約して,内容を細切れにして話をしただけでした。しかも,論じ合うということはなく,まともな質疑応答すらもできませんでした。

それでいいのかというと,そうはいきません。なぜならば,教科書に載っている基礎的な専門用語と理論の理解なしでは,3年次の研究発表と4年次の卒論を乗り切れないからです。

今年度,4月からゼミ3年生に研究テーマ設定について発表してもらっていますが,基礎的な専門用語と理論を理解していないために,現象を表面的に追いかけるだけの内容になっています。なぜそのような現象が起きるのかという理論的分析を視野においていない,あるいは視野においていても,どのように進めればよいのか不明な発表ばかりです。

基礎的な専門用語と理論を理解したうえで,研究発表に挑まないと,他大学生の前で恥をかくだけになると感じ,今月から,ゼミ3年生には週に1回昼休みに集まって,輪読をやり直してもらうことにしました。

その時にゼミ生に要求するのは単純なことです。「専門用語や理論を具体例に結び付けて説明すること」。

マーケティング論や経営学のような実学の専門用語と理論は,具体例に結び付けやすいといえるでしょう。したがって,それらを具体例と結び付けて説明できないのは,理解できていないからだといえます。使用している教科書はマーケティング論の中級レベルの教科書です。入門レベルではないので簡単には理解できないかもしれませんが,3年次の今まで,授業ですでに接したことがある内容になっているはずです。

これから毎週,「具体的にはどんな例が当てはまるのか?」と問いかけるつもりです。ゼミ生は,先回りして,「具体例ではこんなことがあります」といえるように,予習しておいて欲しいと思います。



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