愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

秋学期始まる

2011年09月23日 | 運営
今週から秋学期が始まりました。ゼミでも今秋から正規の授業が始まりました。学期1回目,3,4年生とも,夏休み中に研究発表や卒論をどれほど進展させたのか確認しました。

3年生は,名古屋マーケティング・インカレの中間発表会(10月1日)が近づく中,各チームの研究発表準備状況を確認しました。まず,iPADをプロモーション・ツールとして活用する方策を練るチームは,電子カタログ・ツールとして活用する可能性を考えてきたと説明しました。合宿中はデジタル・サイネージ(店内電子掲示板)代わりに活用する案を考えていたのですが,転換したようです。iPADの電子カタログ・ツールとしての有効性を探究すると説明していましたが,有効性という言葉の意味があいまいで,結局まだ何を目指すのかあやふやでした。

つぎに,電子マネーを扱うチームに経過説明を指示すると,メンバーがみな絶句して,固まってしまいました。発した言葉は「何をしたいのか自分たちでは分からなくなってしまった」とだけ。私も他のゼミ生も何の反応もできず,しばし沈黙。やむを得ないので,私から新聞に掲載されていた電子マネーの記事の話をして,その記事の内容を批判する,疑問に思った箇所を深く探究する,記事の内容がそのまま続くとすればどのような結果になるのか予測するというような思考を用いて,テーマを練り直して欲しいと指示しました。

暗雲垂れ込めています。研究テーマそのものについては教えてあげられません。各チームとも自分たちで苦しんでひねり出すしかありません。「何をしたいのか自分たちでは分からなくなってしまった」状態は自分たちで解消するしかありません。来週はパワーポイントによる発表練習をするので,各チームとも何が何でも発表内容を形あるものにしてくるよう厳命しました。どうなることでしょうか。こういう場合教員はそっと見守ることしかできません。

4年生では,各自卒論執筆データを持ってきてもらいました。それをパソコンで確認しました。確認を終えた感想は,「混乱していて結論が見えない」ということでした。とりあえず調べてきた跡は見えました。字数を稼いで,執筆を進めてきている様子も伺えました。しかし,全員肝心の独自の主張が見えないのです。

混乱を解消するため,全員に,A4で1~2枚程度のレジュメとして,研究目的・動機,仮説,検証方法,結論,目次などを箇条書きにした卒論の概略をまとめてくるように指示しました。簡潔に内容を整理することによって,ロジックが見えてきます。

なお,字数稼ぎのためか,web上のデータや本の内容を大幅に引用(コピペ)してきていた卒論がありました。「無意味なのでカット」と指示しました。明確な主張があり,きちんと調べて,それに向けた根拠を積み重ねていけば,自ずとそれなりの分量の卒論が書けます。学部規定2万字以上は難なくクリアするはずです。ちなみに,私たち大学教員は,学会,出版社,大学などから,しばしば論文や著書の分量を少なくするよう要請されます。通常,論文や著書に色々な内容を盛り込むので,長くなりがちだからです。ダラダラ長く書くよりも,短く表現するほうが難しいと感じています。
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合宿2011

2011年09月11日 | 運営
9月8日~10日に,恒例のゼミ合宿を行いました。うちのゼミでは,合宿には必ず商業視察を組み込むことにしています。今回は福岡の百貨店視察を組み込んで,福岡と長崎方面に旅する合宿を挙行しました。

1日目は,福岡の百貨店視察です。朝,名古屋から新幹線に乗り,昼過ぎに福岡に到着。最近開店し,地元で話題を呼んでいる博多駅上の阪急百貨店を中心に,天神地区の岩田屋,三越,大丸などを観て回りました。学生にはなじみの薄い百貨店をあえて観ることにしました。ゼミ4年生の一人が,九州経済調査協会における研修で阪急百貨店博多店を調査しているので,それならば3年生にも考察してもらおうと思ったからです。

百貨店といっても,それぞれ個性があります。そして,それは各社の戦略と歴史的経緯によって形成されています。マーケティングを学ぶゼミ生には,それらをきちんと感じ取って欲しかったのでした。ターゲットからずれているためか,男子学生の中には,店内を漫然と通過するだけで,きちんと見ていない者がいましたが,女子学生はさすがに積極的に観察していたようです。合宿の主眼は観察調査の演習ということになっているので,観察の結果をレポートにまとめてもらうことになっています。

1日目の夜は,研究発表の打ち合わせを行いました。一つの部屋に集まり,夏休み中の各チームの進捗状況を確認し,不明な点を指摘し合いました。合宿の前日に名古屋で泊まり込んで内容を練っていたチームがありました。意欲と危機感が高まり,引き締まった夜になりました。

2日目は,バスで移動して長崎県佐世保にあるハウステンボスに出向きました。ハウステンボスはHIS傘下で現在経営再建中です。すでに黒字化しているそうですか,どのような策によって再建を図ったのか興味がありました。私が観た感想は驚きの一言でした。

そもそもハウステンボスは,オランダの街を再現した,異文化体験のできる大人のためのリゾート施設でした。しかし,現在はそのコンセプトを希薄化させて,なりふり構わず集客を図っているのでした。ファミリー向けに転換を図り,ワンピースをテーマにしたアトラクション,子供向け釣り堀,世界中のビールの試飲コーナー,テレビ番組キャラクターグッズの販売,ファッションショーなどやれることは何でもやっている感じです。しかも効率追求のためかいくつかの施設を放棄しています。経営再建のプロセスを知ることができて意義深かったのでしたが,私やゼミ生たちが観光を十分楽しめたかどうかというと・・・。ただ,私はオランダの宮殿を再現したパレス・ハウステンボスには感激しました(もったいないことにゼミ生たちは見ていないらしい)。

2日目の夜はバスで福岡に戻り,飲み会になりました。限度を超えて飲んでしまうゼミ生がいるのはいつもの通り。そして翌朝二日酔いで倒れるゼミ生が続出するのも例年通り。3日目は自由行動にしていたので,寝ているのもOKでしたが,買い物に出かけるゼミ生が多かったようです。買い物をすることで,商業をよく観てくれたならば,意義はあったでしょう。ちなみに,私はこの日大宰府に出かけました。学問の神様菅原道真ゆかりの大宰府天満宮に参って,ゼミの発展を祈願?したのでした。

合宿の始まる日を知らなかったという前代未聞の理由で1人が遅れてきた以外(しつこくスケジュールは連絡している),トラブルはなく円滑に進行しました。これもひとえにリーダーたち(ゼミ長,副ゼミ長,書記)の巧みな計画と指揮によると思います。私はほとんど傍観しているだけよかったのでした。ツアープランを利用したおかげで,料金は比較的抑えられました。視察,観光,ショッピング,研究打ち合わせなどを盛り込み,例年以上に時間の使い方が有意義でした。
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シンポジウム

2011年09月02日 | 運営
9月1日にCCC-TIES夏のシンポジウムが愛知学院大学にて開催されました。これは,帝塚山大学が開発したTIESというe-learningシステム(インターネットを使った遠隔地教育システム)に関するシンポジウムです。愛知学院大学もこのシステムを使った教育に連携しているので,開催の運びとなりました。

シンポジウムにおいては,TIESを使った教育実践事例の報告が行われました。私は本学商学部の吉田聡准教授とともに,TIESを使った単位互換制度に関する報告を行いました。今年度から,インターネット上で,学生は連携している他大学が提供した授業の録画ビデオを観て受講し,期末に試験を受験して,合格すれば単位取得できるようになりました(愛知学院大学の卒業要件単位として認められる)。それに関する報告です。

帝塚山大学が提供している日経新聞電子版を使ったキャリア教育という科目を,TIESを使って,愛知学院大学商学部の学生に履修してもらった教育経過をまとめて報告しました。日経新聞を教材として就活に必要な経済知識を身に着けてもらう科目です。うちのゼミの3年生3名(ゼミ長佐橋,副ゼミ長鈴木,書記三輪)に4月からその科目を履修してもらいました。吉田ゼミでは4名履修者がいました。それら7名の履修状況をヒヤリングした内容でした。

従来からうちのゼミでは日経ビジネスの定期購読をゼミ生に課していましたが,もう一段の習得知識レベルアップを図るには日経新聞閲覧をそこに加えなければならないと考えていました。帝塚山の科目はゼミ生が日経新聞を読むきっかけになります。また,その科目では,知識到達の計測として,日経TESTの受験を組み込んでいます。名古屋マーケティング・インカレに参加している愛知淑徳大学大塚ゼミのゼミ生がそのテストでハイスコアをたたき出してきましたが,彼女たちに追いつきたいというゼミ生の願いをかなえるきっかけも得ることができます。

帝塚山の科目担当者中嶋教授が,シンポジウムに参加するので,その時に日経新聞電子版を使ったキャリア教育を履修している学生を連れてきて欲しいと要望されました。どんな学生が遠隔で履修してくれているのか知りたいとおっしゃるのです。そこで,うちのゼミの3名をシンポジウムに運営手伝いとして参加させました。そして,私の報告の際,3名を壇上に上げて紹介しました。

報告時間が余ったので,3名に科目履修に関する発言を求めました。40名ほどのシンポジウム参加者は大学教員・職員とビジネスマンたちです。また,その模様は撮影されて,TIES上でライブ配信されていました。学生ならば緊張しない方がおかしい状況において,突然のことなので無茶かなと思ったのでしたが,三者三様に,実に理路整然と,的確に履修状況を説明し,今後の自分なりの課題も披瀝してくれました。堂々と発言してくれました。

報告後,学内外の教員から,発言に対して3名は優秀であると褒められていました。私も他大学の先生から「愛知学院さんには実に優秀な学生がいて,きちんとした教育をしていますね」と声をかけられました。愛知学院大学商学部教育の実情からすると過大としか言い様のない評価ですが,今回はゼミ生の顔を立てて,素直に受け取ることにしました。

彼らとは約1年間の付き合いです。2年次の秋にゼミに所属した時には,ゼミ内でのちょっとした発言でも,みなしどろもどろで何を話しているのか不明でした。ぼそぼそとした,論理性のない,指示語や擬態語ばかりの今どきの学生特有の話しぶりでした。あれからすると,ずいぶんと能力を向上させてくれました。私が何か特別な教育をしたということはないので,ゼミ生自身が努力して,能力開発に勤めてくれたのだと思います。ただ,振り返って思うことは,教育というのは機会の提供なんだなということです。ゼミではプレゼンや質疑応答の機会を多く設けています。特別なことをしなくても,機会を設けて,しつこいぐらいに実践していれば,能力は向上するということが分かったのでした。

ゼミ3年生残り7名もゼミ長たちと同レベルのプレゼン能力が身についているのかどうか。近いうちに確かめたいと思っています。ゼミ生全員が一定レベルに到達していれば,本当にゼミの教育効果はあったと理解することができます。


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