愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

マナーの問題は気づかいの問題

2018年02月27日 | Weblog
今年度,学生の参加するパーティーに何度か出席しました。どれも研究発表会後の大人数参加の立食パーティーでした。毎回,学生たちのマナーが気になりました。

料理が運ばれると,学生たちは一斉にその料理に群がります,そして,一人の学生が皿に同じ料理を山盛りに取っていきます。そうすると,あっという間に料理はなくなり,出遅れた多くの学生は食べることができなくなります。私の感覚では,これはあさましい行為なのですが,学生たちにはそういう意識はありません。

料理は,参加人数から,すべての参加者に定量いきわたるように計算され用意されます。したがって,皆が食べることができるように,各自が各料理を少しづつ取るのが基本マナーです。いくら自分が好きだからと言って,特定の料理を他の人が食べることができないようにするのは,下品なふるまいに思いますが,学生たちは問題があるとは思っていないようです。

少子化に伴い,共食の機会が少なくなっている様子です。本来共食というのは,ただ複数の人が集まって一緒に食事をするだけでなく,同じ食べ物を分け合って食べることを意味します。それにより集団の連帯感を強めます。

2000年代に入ってから,居酒屋における学生のコンパ(懇親会)風景が変わったことを覚えています。同じ食べ物を皆で分け合うことをせず,皆がめいめいバラバラに料理を注文し,その料理は注文者が独占して食べるようになりました。同じ場にいて,皆がばらばらの食べ物を食べ,別々の飲み物を飲んでいるのです。学生たちはおそらくこの話を変だとは考えないでしょう。最近は家族の食事でも,皆ばらばらの料理を食べることが普通になっています。

食べ物の好き嫌いや健康状態などを考えると,皆ばらばらの食べ物を食べることにそれなりの合理性があることは認めます。しかし,コンパをわざわざ開く意義を考えると。やはりそれは共食の一種(昔の直会の名残)で,食べ物や飲み物を分け合うことが基本になります(皆で割り勘で飲食するわけだし)。研究発表会後の立食パーティーも同様なのですが,共食になじむことなく料理を独占して食べることに慣れた学生は,いつものように自分の好きな料理を好きなだけ食べたということなのでしょう。

なお,立食パーティーは様々な人々同士が話をして交流するのが目的で開かれます。食事をきちんととることは二の次です。しかし,多くの学生たちは親しい少数の友人と食べ物の前に陣どって動こうとせず,色々な学生や教員と交流することをしません。あえて避けている様子の学生も少なくない数でいます。学生たちは少数の親しい友人にはそれなりに気遣いしているようですが,他の参加者やホスト,パーティーそのものに気遣いしているかというと疑問です。いやいや仕方なく参加しているので,食べたいものを食べたいだけ食べて,後は他の参加者は無視して,時間をやり過ごすということなのでしょうか。

社会人になると,パーティーに出席する機会が増えるでしょう。立食だけでなく,様々な形態のパーティーに招かれるでしょう。上司や取引先担当者と一緒に飲食をする機会が含まれるでしょう。飲食は人と人との関係の潤滑油で,密な関係の助けです。ビジネスの場面ではパーティーや宴席が利益に直結することがあり得ます。政治の場面ではそれが国家間の関係にさえ影響を与えます。したがって,そこでの各自の振る舞いはきちんと観察されます。自分が満足できればいいという気持ちがにじみ出る人は共食の場にはふさわしくないと気づいて,学生時代マナーを身につけて欲しいと思います。難しいことはありません。マナーの問題は気づかいの問題です。


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終わり

2018年02月08日 | 運営
昨日,学内研究発表会(ビジカン)が終了しました。これで,今年度のゼミの教育活動は区切りがつきました。うちのゼミでは,2年生から2チーム,3年生から2チーム,4年生から2名の発表者を出しました。2年生は観光論文コンテストの内容要約,3年生は名古屋マーケティング・インカレの発表内容の改善版,4年生は卒業論文の書き直しの要約をそれぞれ発表しました。

それらのうち,中野顕志・立岡究「プレミアム・プライベート・ブランドの陳列方法が商品選択に与える影響」が,ポスター発表を経た口頭発表において最優秀に選ばれました。プレミアム・プライベート・ブランドの隣にどの商品を陳列するかによって,消費者のプレミアム・プライベート・ブランド対する評価に違いが出るのか,実験的調査で明らかにしようと試みた研究発表です。有意差は出なかったものの,例えば,プレミアム・プライベート・ブランドの隣に野菜ジュースを陳列した場合,プレミアム・プライベート・ブランドについて健康的だという評価が高くなることや,隣に通常の低価格プライベートブランドを陳列した場合,プレミアム・プライベート・ブランドについて品質評価が高くなることを提示しました。名古屋マーケティング・インカレ本大会での発表以降,調査をやり直してまとめた発表です。とにかく,4月から10か月間ほぼ毎日,この研究発表のために努力を重ねてきた,その努力量が評価されたといえます。

4年生の卒論では,大島健太郎「テーマパークの戦略変化が消費者行動にもたらす影響」が優秀賞,志毛柚月「愛知県を修学旅行の目的地とするための考察」が入賞を獲得しました。当初,4年生の卒論発表会の代替策として,ビジカンは企図されました。それを考えると,卒論発表が,学生や教員によって高評価を得たことは有意義です。大学学業の集大成である卒論の手本を公の場で4年生が後輩に示すというのは,4年生自身にも,後輩にも能力向上の機会をもたらします。

ビジカン全体で言えば,今回は発表の平均レベルが,昨年度,一昨年度よりも向上しました。また,学生による評価では,内容をきちんと把握したうえでなされたものが多く,この点も改善しました。実は昨年度や一昨年度は,論理展開,調査状況をきちんと理解せず,見栄えが良く,自分たちに分かりやすいものを学生は高く評価する傾向にありました。正直言うと,首をかしげるようなものが上がってきたことがあります。今回はそういうものはほとんどなかったので,いい研究発表会になりました。学生の能力向上という観点で捉えれば,発表会は成功したといえると考えます。運営委員には感謝をいたします。

今回,商学部だけでなく,経済学部,経営学部の学生参加も多数ありました。今後,3学部の参加学生数を増やし,MKCの名物になればいいなと感じました。


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