愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

忘年会

2016年12月30日 | 運営
毎年恒例になりつつある我が家での年末年始のゼミ懇親会。今回は忘年会として開きました。

2年生から4年生まで現役のゼミ生が集まっただけでなく,卒業生2名も参加してくれました。ゼミ生たちは卒業後社会人になると忙しくなるため,私にとって,彼らと会える機会はなかなかありません。会えればうれしいものです。今回,参加予定の卒業生1名が仕事の都合で結局来れず,後輩たちが「あの先輩,また『来る来る詐欺』をやりましたね」と苦笑い。やむをえないことです。

今年度の4年生は卒業後都合をつけてゼミの集まりに参加して欲しいと思います。

なお,会の様子を写した写真は昨年度ゼミ生たちからプレゼントされたポラロイドカメラで撮りました。今回ゼミ生たちから3Dペンをプレゼントしてもらいましたが,近いうちにそれで何かを描いてアップできればいいと思っています。
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読解力

2016年12月21日 | Weblog
東京大学合格を目指す人工知能東ロボくんはコンピューターだから計算ミスはしないし、暗記力は完璧だ。今年のセンター模試も、ほとんどの科目で現役高校生の全国平均を上回っている。なるほど、特別な苦手科目はないように見える。

「苦手なのは特定の『科目』でなく、特定の『問題』です。意味を深く考えなければいけない問題が苦手なのです」。国立情報学研究所(NII)新井教授は、東ロボくんの学力について、そう分析している。東ロボくんは、「問題文の意味」を理解して解いているのではない。問題文中の言葉のパターンを見て、統計学的に妥当であると推定される答えを返しているだけである。したがって、文章や会話全体の意味を理解しないと解けない問題には答えられない。

人工知能に見いだされた弱点――それは、生身の人間には関係のない話と言えるのだろうか? 新井教授は、プロジェクトを進めるうちに気になり始めたことがあった。たとえば、国語の文章題だ。東ロボくんは、選択肢にある単語が本文とどのくらい一致するかどうかなどを見るが、本文の意味は全く理解していない。ところが、東ロボくんの模試の成績は、現役の受験生を押しのけて上位に入っている。意味を理解しているはずの人間が、意味を理解していない人工知能に負けるのは変ではないだろうか?

「センター模試では、受験者の8割が東ロボくんより点が悪かった。それは、計算力や暗記力の差のせいではなく、高校生も問題文が読めていないからではないか。問題の意味を正しくつかんでいないのではないか」。試験会場で問題文を読み、その意味をきちんと正確に把握する力は、人工知能だけでなく、現役の受験生にも欠けているおそれがある――新井教授はそんな懸念を抱くようになったのだ。

新井教授の懸念は、ある調査の実施につながる。NIIは昨年と今年全国の中高生を対象に、教科書や試験に出る問題文の日本語を理解しているかを確かめるテストを行った。対象は、教科書に掲載されている文章だ。新井教授自身は「ほとんどミスはないだろう」と予想していたが、結果は正反対だった。中学生の2割は、文章の主語と目的語が何かという読解ができておらず、5割は内容を読み取れていなかった。多くの中学生が、どの言葉がどの言葉にかかるのかが理解できていなかったのだ。高校生も、設問によっては、4割が意味を理解できていなかった。中高生の読解力不足は予想以上に著しかった。事態の深刻さにがくぜんとしたという。

「正直言って、東ロボくんの学力を上げることよりも、中学生の読解力を上げることが、喫緊の課題ではないかという気持ちに至りました」

新井教授の嘆きの裏には、現役の受験生にとって重要なアドバイスが隠されている。すなわち、「教科書を正確に読む」「問題文を的確に読み込む」――そうした地道な努力と訓練を積み重ねることで、現実に数多くの中高生が苦手とする弱点を克服し、成績をアップさせることが可能になるというヒントである。

(Yomiuri Online 2016年12月19日)

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上記の記事は中高生の日本語読解力のなさを問題視していますが,当然これは大学生にも当てはまります。入学者のほとんどが東ロボ君の成績以下である中堅以下の私立大学の教員は同意せざるを得ないでしょう。私も,「教科書を正確に読む」「問題文を的確に読み込む」ことのできない学生の多さに毎日苦しんでいます。間違いだらけの答案や論理性のない研究報告を提出する学生に,「そのことは教科書に書いてある。以前読んでもらった箇所を再度読むように」「こちらが問いかけていることを確認するように」と繰り返し諭しています。しかし,諭したところで改善が見られないのが現実です。

なぜ日本語文章をきちんと読解することができないのか常々考察してきましたが,私なりに(素人の独断)導き出した原因は2つあります。

第1に文法を理解していない。文章は主語,述語,接続語,指示語などに分解することができます。主語に対応する述語は何か,指示語が指している事柄は何か,接続語が何を意味しているのかをつかめば,大まかに論旨を理解することができます。しかし,読解力のない学生たちは文法に注意を払っていません。そういう学生が文章を書くと,主語が推察できない,接続語が正しく使われていないなど,文法を体得していない文章を呈示します。

第2にボキャブラリーが貧困。専門用語も含め,そもそも知識として蓄えている単語が少ないので,文章の読解に及ばないことが指摘できます。分からない単語は辞書(専門用語ならば用語辞典)を引いてその意味を把握する必要があるのですが,読解力のない学生は辞書を引く習慣がないように見受けられます。また読書もあまりしないので,ボキャブラリーが増えていかない。

会話においては,文法が崩れていても,単語の誤用が見られても,何とか意思疎通が図れます。それは言葉と共に,身振り手振り,表情などの非言語的コミュニケーション手段を駆使しているからです。しかも,日常生活の会話のほとんどは,お互いに事情の分かっている顔見知り同士(文脈を共有している者同士)で行われます。したがって,話し手に説明不足があっても,聞き手はそれを推察することができます。しかし,文章はそうはいきません。非言語コミュニケーションは伴っていないし,文脈を共有しない者同士のコミュニケーションが通常です。話し言葉と書き言葉の違いを理解して,文章の読解を訓練しなければならないのですが,多く学生たちはその訓練を欠いてきたようです。小中高段階で散々訓練されたはずだと私は思っていましたが,どうもそうではないようです。この事情は私にはよく分かりません。

AIが普及する未来,人の仕事はどんどんAIに奪われていくと予測されています。門外漢の私にはどのような未来が我々を待ち受けているのか,想像できません。ただ,日本語の読解力すらもない人は,この先,今まで以上に職務上不利な立場に立たされると予想することはできます。私自身,この当たり前のことを肝に銘じ,せめてゼミ生には読解力が少しでも向上するように配慮していこうと考えています。

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