愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

テーマ探し

2015年05月08日 | 卒論
今ゼミ生たちは,研究テーマ設定に頭を悩ませています。特に,4年生は卒論テーマが決まらずに,「どうしよう,どうしよう」とうめいています。そこで,卒論テーマ探しに参考になりそうな本を紹介しましす。

サンキュータツオ『へンな論文』(角川学芸出版)がその紹介本です。「珍論文ハンターのサンキュータツオが,人生の貴重な時間の多くを一見無駄な研究に費やしている研究者たちの大まじめな珍論文を,芸人の嗅覚で突っ込みながら解説する,知的エンターテインメント本! 」という推薦文がインターネット上に載っています。

それでは,サンキューさんが面白いと感じた,つぎのような論文を紹介・解説しています。
「奇人論序説――あのころは『河原町のジュリー』がいた」
「行動伝染の研究動向――あくびはなぜうつるのか」
「傾斜面に着座するカップルに求められる他者との距離」
「走行中のブラジャー着用時の乳房振動とずれの特性」
「男子生徒の出現で女子高生の外見はどう変わったか」
「コーヒーカップとスプーンの接触音の音程変化」
「オリックス・バファローズのスタジアム観戦者の特性に関する研究」

題名からして何これ?という印象を与えてしまうものもありますが,基本的には,身近に起きた現象に関する疑問に対して,答えを見つけ出そうとする論文ばかりです。

例えば,「傾斜面に着座するカップルに求められる他者との距離」という論文は,公園の斜面にカップルが座っているのを身近に見るが,他のカップルが存在する場合,当該カップルはそれとどれくらい距離をとって座るのか,どんな姿勢でいるのか,密着度はどれくらいか,それらを調査してみようという研究です。

この調査のため,研究者は,何日もかけて,港の桟橋に通い,カップルを装いながら,352ものカップルたちの座っている位置や行動を観察し,記録しています。

そんな調査にどんな意味があるのかと思いますが,以上の調査によって,心地良いカップルの空間のあり方を考察することができるというのです。それは,商業施設や公共施設の設計に参考になる可能性があります。人にはパーソナルスペース(不快に感じる人と人との間合い)というものがあります。私たちに身近な公園のカップル。その生態をパーソナルスペースから読み解こうとしているとも言えます。

文中,「美しい夕景を見たとき,それを絵に描く人もいれば,文章に書く人もいるし,歌で感動を表現する人がいる。しかし,そういう人たちのなかに,その景色の美しさの理由を知りたくて,色素を解析したり構図の配置を計算したり,空気と気温を計る人がいる。それが研究する,ということである」という表現が出てきます。まさに,研究者の心性を言い当てています。何か身近に不思議に感じたことを見つけ,それに対して,なぜそんなことが起きるのかという疑問が生じたならば研究は始まります。その疑問に未だ十分な答えがないときに,答えを自分なり見つけ出そうと考え,調査や思索にとりかかったならば,研究活動に従事していることになります。

役に立つとか,高く評価されるという考えはひとまず置いておいて,疑問と情熱に引っ張られて調査をする,これが大事です。上記の紹介論文はおそらく学会の主流からは外れているでしょう(門外漢なのであくまで想像)。それでも,純度の高い情熱が詰まっていると評されています。

なお,著者のサンキュータツオさんは,早稲田大学大学院博士後期課程で日本語学を専攻した経歴を持ちながら,芸人をしている方です。研究とお笑いを理解するサンキューさんが,研究とは,研究している本人が一番ノリノリで興奮している,エンターテイメントだと評しています。まずは,ゼミ生には,『へンな論文』を読んで,学問を面白がって欲しいと思います。


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