この数年、観劇記録を手抜きしている。
でも、この芝居の感動だけは 少しでよいけど、書いておかなくてはと思った。
何となくキナ臭い今だから、今こそのお芝居です。
7月14日 「父と暮らせば」 こまつ座 作・井上ひさし 演出・鵜山仁 新宿サザンシアターにて
出演・ 辻 萬長、 栗田桃子
あらすじ
原爆の爪痕が残る広島。
美津江は原爆を生き延びたが、親友や周囲の人たちを数多く失った。
生き残った苦しみから、幸せになってはいけないと自分に言い聞かせ、静かに暮らしている。
そこに現れた父親。
娘の幸せを願う父は、優しくも壮絶な会話を通して、娘に幸せな日常を取り戻す大切さを説く。
井上ひさしが、残された膨大な被爆者の手記を参考に編まれた戯曲だそうだ。
この芝居を見るのは3回目。映画を含めれば4回目。 (映画は、宮沢りえと原田芳雄が主演、数々の賞を受賞している)
1回目は、名もない劇団で見て、感動の涙を流した。
そして こまつ座で一度見て、今回また見に行った。
何回見てもこんなに泣ける芝居はこれしかない。押さえないと号泣しそうになる。
火の手が迫る中、生き埋めになり、動かすことのできない父親を見捨てざるを得なかった娘。
罪の意識から抜け出せない娘を、優しく幸「せになっていいんだよ」と諄々と説く父。
そして父は言う。
「未来永劫、こんな思いを人に味あわせてはいけんのです」 と
父娘の魂のぶつかり合いを通し、平和の大切さを、幸せとは何かと訴える作品。
息を飲むセリフの応酬。
2人芝居なのに全く飽きずに引き込まれる。
父親の娘に対する愛情、父親に対する娘の愛情、お互いを思いやる気持ちの深さに感動してしまう。
日本語が、広島弁がとても綺麗。
セリフが全部聞き取れる。
演じる辻萬長、栗田桃子の名演。 (栗田桃子は個性派俳優・蟹江敬三の娘と初めて知った)
これぞ芝居の醍醐味です。
その他7月の芝居
歌舞伎鑑賞教室の演目。尾上菊之助が主役。 国立劇場が満員御礼。
若い菊之助が、平知盛をどう演じるかと思ったが、繊細で力強くて、思った以上の出来だった。
友人が招待券をゲット。若い劇団の発表会のような劇。
演劇的にはまだまだだが、いかにも若者の劇と言うエネルギーがあった。
6月の芝居
国立劇場の歌舞伎鑑賞教室の演目。
歌舞伎教室は歌舞伎初心者が対象で、前半で歌舞伎の解説、後半で歌舞伎を見せる。
解説では、舞台上で、普通の男性が化粧をし、衣装を着替え、女形に変身する様子を見せた。
みるみる様子が変わっていく役者を見て、見学の高校生たちが驚きの反応を見せていて面白かった。
ただし、演目は地味だったので、ほとんどの高校生が寝ていた。
高校生が好きそうな演目を選ぶことができなかったのか?演目は選択ミスだった。
弦楽四重奏を聞くのは初めて。友人からのお誘いだった。
一見地味な4人で、パフォーマンスもないが、陰影のある演奏が素晴しくて、感動してしまった。
弦楽四重奏の素晴しさを堪能した。
7月はもう一つ、13年間再演を待ち続けた芝居を見に行きます
こちらのブログは後日ね