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小松基地問題研究会

民主主義という木が育つ―輪島市産業廃棄物最終処分場計画について

2017年02月21日 | 石川県内の政治と文化
民主主義という木が育つ

 2月19日、輪島市で産業廃棄物最終処分場計画の賛否を問う住民投票があった。間接民主主義を基本とする日本において、住民投票制度は直接民主主義を体現する重要な意志決定制度である。住民が賛成か反対かをめぐって、激しく議論し、秘密投票によって方針を決めるのであり、民主主義の最も本源的なあり方である。

 にもかかわらず、輪島市長は条例の濫用防止条項(投票率50%未満の場合は開票せず)を悪用して、投票ボイコットを呼びかけるという反民主主義の暴挙にでた。投票行為は秘密投票として、個人の賛否の意志は秘匿されているが、投票ボイコット運動が大規模におこなわれると、「投票所に行く(反対)か、行かない(賛成)か」が可視化され、そこには秘密投票という原則を破壊させる作用が働くのである。

 地域社会で生活していれば、有形無形の圧力にさらされており、投票行動が可視化される(今回の場合は建設反対と見なされる)ことによって、不利益が生じるのではないかという不安から、投票行動を回避する傾向を発生させる。輪島市長は市民の「内心の自由」を拘束し、投票行動を妨害し、「投票率42.02%」によって、住民投票は地に沈められたのである。

 「北陸中日新聞」の出口調査によれば、埋め立て場建設反対は91.8%だった(石川県内最大の取材網を持つ「北國新聞」は出口調査をおこなわなかった)。24602人の全有権者の42.02%の投票者(=10338人)の91.8%が反対意志を示したのであり、実体的に9490人が建設に反対している。

 1月4日には8185人の有効署名を添えて住民投票を請求したが、その後の輪島市長などによる投票ボイコット運動(投票者=反対派をあぶり出す運動)によって、投票者が10338人にとどまった。投票行動の可視化を恐れて投票所に行かなかった人のなかに、相当数の反対意志を持つ市民がいたと推測される。

 直後の記者会見で「輪島の産廃問題を考える会」のメンバーが「これがおわりではなく、始まりと思っている」と話しているように、輪島市民の民主主義という木は今回の欺瞞と難局を超えて、確実に育つだろう。
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