フィヨルドの変人 ~Odd person in fjord~

ぇいらっしゃ~い!!!

カメラに歴史あり

2016年10月24日 21時58分30秒 | 日記
ヘンテコなものが好きなぬたりの自室の机の上には、2台の銀塩一眼レフカメラが鎮座ましましている。デジタル一眼レフカメラを導入した今となっては、銀塩カメラはなかなか出番がないのだけど、気に入って買ったものだから捨てるに捨てられず、自室で作業する時の目の保養になってくれている。ペンタックスのMZ-SキャノンのEOS-3の2台である。
ぬたりがこの2台を気に入っているのは、MZ-Sはデザインであるし、EOS3はやたらに五月蠅いシャッター音なのだが、実はこれ、発売当初はそれぞれのメーカーのファンからは酷評された部分だったのよね。その部分が気に入るあたり、ぬたりはカメラや写真を真面目に語っちゃいけないよね、と言うことの証拠でもあるんだけどね。
特にMZ-Sの評価は当時最悪。当時高級機がなかったペンタックスで、待ち望まれていた高級機がついに出た! と思ったら、スペックは中途半端。デザインは珍妙で、価格だけは高級機に近い、とそら酷評されるわ、という感じ。ぬたりは叩き売り(どころか「置いてあっても邪魔だからお願いだから持って帰って」扱い。値段的にも交換レンズ買ったらカメラがついてきた感覚)だったけど、定価近くで売ってたら、そらぬたりとて手は出さないよ、これ。
ただ、評価は芳しくなかったとは言え、MZ-Sは使ってみるととてもよく考えられたカメラでね。珍妙なデザインだけども撮影者に向かって傾斜した操作部は視認性や操作性に優れていたし、デジタル機への移行期を意識した、撮影数値(絞りとシャッター速度)を現像したフィルムに印字する機能も便利。そして地味に売りにしていた「ハイパーオペレーティングシステム」は一度知ると病みつきになる機能だった。
多くの一眼レフカメラのモードは、オート(カメラ任せ)、絞り優先(絞りだけ自分で決める)、シャッター速度優先(シャッター速度だけ自分で決める)、マニュアル(絞りもシャ速も自分で決める)、の4種類。多くのカメラはモード選択スイッチでモードを選んで、カメラ本体のダイヤルを回して数値を変更する。しかしMZ-Sはそんなまどろっこしいことはしない。レンズの絞りリングをいじれば、即、絞り優先に。本体のダイヤルをいじれば、即、シャッター速度優先に。両方いじればマニュアルに。本体のボタンを押せば、即、オートに。斯様に直感的にモード切替が出来るので、かなり使いやすかったんである。
しかしながら、このシリーズはその後継続されることはなく、ぬたりが最近になって購入したK-5IIにも、このハイパーオペレーティングシステムは採用されていない。それどころか、ペンタックスのデジタルカメラ用レンズのDAシリーズは、マウントこそそれまでと同じだけども、絞りリングは省略されている。このシステムを継続する気はメーカーにもなかったんだろう。
さて、今になってなぜMZ-Sの話をしたか。実はこのMZ-S、発売時期もデジタルカメラ移行時期で将来のデジタルカメラ化も視野に入れて開発されていた。しかもイメージセンサーが35mmフィルムと同じ、いわゆるフルサイズデジカメとして。そして、試作機も完成していた。その名を「K-1」という。
そう、先日発売されたペンタックスフルサイズデジカメ「K-1」の名前のルーツとなるモデルでなんある。10年程度を経過して、日の目を見なかった「K-1」の名前を冠したフルサイズ一眼デジタルカメラはなんとか発売されたわけで、そのルーツを辿ると、まあ名前だけだけれどもぬたりの手元にある、この珍妙ながらも愛すべきカメラにも行き着く訳なのさ。
残念ながらこのMZ-Sを元にしたK-1は、発売するとなると高価になりすぎる、と言う判断から、比較的廉価な「*ist D」に取って代わられ、発売されることはなかったけどね。その判断には余りに酷評されたこのMZ-Sのイメージも影響したんだろうなあ。酷評されたデザインに近い形で、社運をかけたカメラ売り出すわけにはいかないもんなあ。ただまあ、当時あんまり存在感を示したわけでもないけれども、個人的には気に入ってた製品も、ちゃんとメーカーの歴史の中に息づいているんだなあ、って思うと、なんだかほんわかしますよねえ。

・・・まあ、会社の名前は当時からえらい変わっちゃいましたけども。今やペンタックスはリコーのカメラだもんなあ。
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2 コメント

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PENTAX (Sin)
2016-10-26 02:43:13
うちは親父殿がアサヒペンタックス時代から何かとPENTAXユーザー(現在も継続中)なので、SPとかES2からMZ-3、K–50なんかも見ましたね。
私個人はニコンに走ってしまったので縁は殆どありませんが、好きなメーカーではあります。先日、リコーになってるのに気づいて愕然とはしましたが^^;
リコーは古いユーザーも見捨てないメーカーなので、今後も頑張っていただきたいところです。

え?キヤノンですか?
アレは仕事で使ってますが、使えば使うほどオートの使えなさにブチ切れそうになるメーカーに感じます。7Dに至っても露出制御(特にストロボ系)が全然分かっていないようで、オート使用は失敗覚悟で、余裕のある撮影は全部マニュアル調光・マニュアル露出で使ってます。
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>Sinさん (ぬたり)
2016-10-26 19:41:28
うちの親父も初めて買ったのがSPで以降もペンタ使ってたんですけどね。
ただ、理由がF欲しかったけど金がなかった、だったので、お金がたまったらとっととニコンに乗り換えましたわ。ぬたりは、まあブランドがなくならない限りはペンタ一本で行きますわ。
キャノンさんは技術におぼれますからねえ。文中のEOS3にしても、45点エリアとか、ホント評判悪いですからねえ。
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