OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ボルテージは最高の勢い

2009-12-02 11:49:56 | 歌謡曲

汐鳴りの幻想 / ザ・ボルテージ (ユニオン)

所謂、もののハズミってやつは勢いがつくととまりませんよねぇ。

本日ご紹介のシングル盤は、GS全盛期に本格的なR&Bフィーリングで勝負していたボルテージの最後のレコードと言われるものですが、もちろんヒットしていません。

ただし、これを始めて聴いた昭和44(1969)年のサイケおやじは、そのあまりの異様さに圧倒されたというか、当時のメモを読み返しても、その時の気持の高ぶりが今もって強烈に残っています。

なにしろ、やっていることが日本民謡と黒人R&Bをゴッタ煮として、さらに歌謡曲に仕上げた様なと書けば、まだ救いがあると思います。

実は告白すると、この「汐鳴りの幻想」を聴いた時、私はボルテージがコミックバンドだと思ったほどでしたが、当時は本物のコミックパンドが、それなりの歌のレコードを出していた時代だったことを御承知願いたいところです。

とにかく強いインパクトを残した歌だったんですが、もちろん当時の乏しい小遣いでは、このシングル盤を買うことは出来ず、時が流れました。そして昭和50(1975)年になってようやく、馴染みの床屋のマスターが、これを所有していたことから、礼を尽くして譲っていただいたのです。

主役のボルテージは昭和42(1967)年頃に結成されたらしく、当時から相当に黒っぽいフィーリングを強調した歌と演奏は知る人ぞ知る存在だったようです。

で、このシングル盤を出した時のメンバーは橋洋介(vo)、富永ジロー(vo)、柴田こうじ(g)、曽根譲二(org)、鳥海敏雄(b)、金剛文裕(ds) と言われていますが、結成当初には後にアニメソング等々で痛烈にソウルフルな歌唱を披露して、今やカルト的な人気がある串田アキラも在籍していたと、ネットで調べたら記録に残っていました。

また山下達郎が後年、ボルテージの大ファンだったことを公言するようになったこともあり、唯一残されたアルバム「R&Bビッグヒッツ」が復刻再発されたり、音源のCD化も進んでいるようです。

ちなみに前述の床屋のマスターは自身が「踊りの会」に入っている所為で、このレコードをバックにステージで踊ったこともあるそうですが、もちろんそれは日本舞踊系の発表会だったそうです。

う~ん、わかりますねぇ~♪

この一件から、「汐鳴りの幻想」とポルテージの音楽性を皆様もご想像願えれば幸いですが、それにしても、こうした感性のレコードが作られてしまうあたりに、昭和元禄の爛熟があったように思います。

不景気ど真ん中の現状を鑑み、本当に当時は素敵な時代でした。まさに「勢い」があったんですねぇ~♪ 今、最も求められているのは、そうした「勢い」が極北までいくエネルギーかもしれません。

コメント
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