OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

永遠のマイケル・ブルームフィールド

2009-12-10 11:13:15 | Rock

Live At Bill Graham's Fillmore West (Columbia)

自分にとってのギターヒーローは大勢いるんですが、中でもマイケル・ブルームフィールドは特別の存在で、このアルバムは、それこそ死ぬほど聴いてもシビレが止まらないブルースロックの私的名盤!

マイケル・ブルームフィールドの最高傑作!

本当にそう思っています。

と、言っても、中身は決してマイケル・ブルームフィールドのリーダー盤ではなく、サンフランシスコにあったロックの聖地のひとつ、フィルモア・ウエストでのブルースロック大会を記録したライプ作品で、それゆえに参加メンバーの自然体の熱気がムンムンと漂う、今の若い皆様には、もしかしたら鬱陶しいアルバムかもしれません。

参加メンバーはマイケル・ブルームフィールド(g,vo)、ニック・グレイヴナイツ(vo)、マーク・ナフタリン(p)、タジ・マハール(vo,hmc)、ジェシ・エド・デイビス(g)、ジョン・カーン(b)、ボブ・ジョーンズ(ds) が中心となり、曲によってはホーンセクションやキーボード&打楽器奏者も加わった密度の高い演奏を楽しめますが、やはりマイケル・ブルームフィールドのギターが全篇で冴えまくりですよっ!

 A-1 It's Takes Time
 A-2 Oh Mama
 A-3 Love Got Me
 A-4 Blues On A Westside
 B-1 One More Mile To go
 B-2 It's About Time
 B-3 Carmelita Skiffle

う~ん、しつっこく繰り返しますが、何度聴いても、マイケル・ブルームフィールドのギターが絶品の極致ですねぇ~~♪

あぁ、ブル~ス! ブルースロックの神髄!

まず冒頭からシカゴブルースのロック的展開という、シャッフルのノリが実に痛快な「It's Takes Time」に血沸き肉踊りますが、最初の失敗スタートをそのまんま残した編集がニクイばかりで、それがアルバム全体のリラックスしたムードを高めます。そして鋭く、毒っ気のあるフレーズを連発するマイケル・ブルームフィールドのギターをさらに煽るホーン隊の楽しさも、素晴らしく良いですねぇ~♪ もちろん必要以上に熱くならないボーカルや冷静沈着なリズム隊の存在があってこそ、エキセントリック寸前にまで心情吐露していくギターソロが印象的なのは言わずもがな、独得のタメとツッコミのブルースギターが堪能出来る至福の瞬間には、グッと惹きつけられます。

ご存じのようにマイケル・ブルームフィールドは白人ブルースというか、ブルースロックの代表選手として歴史に名を残したポール・バターフィールドのブルースバンドに参加し、1965年頃から一躍有名になるのですが、その後もボブ・ディランとのセッション、あるいは自身が結成に大きく関与した新バンドのエレクトリック・フラッグ、そしてアル・クーパーとの一連のスーパーセッション等々で凄いギターを聞かせながらも、実は精神的に脆弱だったのでしょうか、病的な障害や悪いクスリによる諸々があって、その活動は散発的……。

ですから、誰もが認める凄いギターを徹頭徹尾に記録したレコードは、後の発掘音源を除けば、リアルタイムでは必ずしも多くありませんでしたから、1969年に発売されたこのアルバムは忽ち人気盤になったのです。

もちろん我国でも「永遠のフィルモア・ウェスト」なる邦題で昭和45(1970)年に発売され、これはちょうどその頃に営業休止となった同劇場に因んだものでしょうが、同時に幻の彼方へ行ってしまいそうな天才ギタリストの存在をもイメージさせられる部分が私には強くあって、尚更に印象的でした。

ただし、例によって小遣いの乏しかったサイケおやじは、その日本盤LPを買うことが出来ず、友人から借りた後のテープコピーで楽しんでいました。そして後に輸入盤が安くなった頃、迷わずにゲットしたのが、本日掲載のアメリカ盤というわけです。

ついでに告白しておくと、私がマイケル・ブルームフィールドという名前に敏感になったのは、ゴールデン・カップスのエディ藩が好きなギタリストに挙げていたからですし、前述したアル・クーパーのスーパー・セッションに深く感動させらたからです。

そして、このアルバムで完全に虜にさせられ、なによりもマイケル・ブルームフィールドというギタリストが聞かせてくれる、そのエレキギターの神秘的な音色に魅了されました。

これはジャケ写からも一目瞭然、レスポールを使っているわけですが、それまでの私の拙い知識では、例えばエリック・クラプトンで有名なように、レスポールにはマーシャルのアンプというのが、ブルースロックの定番だと思い込んでいたのに、全然、音色が異なり、同時にフレーズの味わいまでも違って感じられたのは、とても不思議な、そして素敵な世界でした。

後に判明したところによれば、マイケル・ブルームフィールドはフェンダーのアンプを使っていたらしく、当然ながら真空管でしょうから、音色の違いもムペなるかな! しかし、それにしても、ディープなフィーリングは圧巻としか言えません。

このアルバムの中では、スローな「Blues On A Westside」や「One More Mile To go」になると、それが一段と鮮明になり、音量までも自在にコントロールしていく神業のピッキングには震えがくるほどです。もちろんエロいブルース魂とか、涙が滲む忍び泣きのフレーズ、また鬼気迫るグイノリ感も満点♪♪~♪

このあたりは同様にブルースへと深く帰依しているエリック・クラプトンとは似て非なる個性だと思いますし、同系には初期のフリートウッド・マックで活躍したピーター・グリーンという私の大好きなギタリストもいるんですが、どちらかと言えばロマンチックなフィーリングを秘めたピーター・グリーンに対し、マイケル・ブルームフィールドは良い意味での思いつめた情感が強く表出されているのかもしれません。

ちなみにピーター・グリーンもマイケル・ブルームフィールドも、その全盛期に活動を休止したりの過去は似ていますが、残念ながらマイケル・ブルームフィールドは悪いクスリで早世したのが、哀しいところ……。

それゆえに、このアルバムで聞かれる溌剌とした部分、例えば前述した「It's Takes Time」と同じ味わいのインスト演奏「Carmelita Skiffle」での、しぶとい熱気♪♪~♪ あるいは自らが歌った歌謡ブルース「Oh Mama」におけるイナタイ雰囲気♪♪~♪

その全てが、せつなくなるほどに眩しいです。

また参加した他のメンバーも、当然ながら素晴らしい熱演で、特にホーンセクションは本格的なジャズフィーリングとテクニックを兼ね備えた名手揃いですから、アンサンブルだけでなく、アドリブソロも十分にジャズ者を満足させるでしょう。

それとゴスペルソウルな「Love Got Me」とか、ファンキーな「It's About Time」で楽しめるR&Bとロックの融合は、如何にも当時という懐かしで、今は素直に楽しむことが出来ると思います。

最後になりましたが、私がレスポールというエレキギターに強く惹かれたのは、このアルバムの存在がひとつの要因です。しかし当時は本物のレスポールが、日本国内では高嶺の花どころから、ほとんど幻の逸品でした。そして国産のコピー物が、例えばトーカイとかグレコとか、いろいろと出回っていたという事情を、あらためて書いておきます。

あぁ、それにしても、これを書きながら聴いていても、やっぱりゾクゾクするアルバムですねっ! 皆様も、ぜひっ、お楽しみ下さいませ。

コメント
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