■恋するラ・ラ・ラ c/w 涙のシルビア / ザ・フェニックス (キングレコード)
所謂カルトGSの中でも歴史的な意義も含めて人気を集めているのが、本日ご紹介のフェニックスというバンドです。
それは日本で最初にワウワウ使用のギターサウンドをレコーディグしたという事らしいんですが、残念ながらサイケおやじは、それを確定的に言える論拠を持ち合わせていません。
しかし、そうだと言われる掲載のシングル盤を実際に聴いてみれば、確かにワウワウや創意工夫が感じられるSEを巧みに導入したサウンド作りは、これが発売された昭和43(1968)年1月の我が国ロック事情に鑑みて、なかなか前向きだったように思います。
尤も結果的にフェニックスはブレイクしなかったので、実はサイケおやじもリアルタイムよりは後になって掲載盤を入手し、噂になっていたワウワウ云々を確認したにすぎないのですが……。
その背景にはフェニックスが寺内タケシの肝煎りで結成されたという経緯があり、ですからサウンド作りの要に当時の最新兵器(?)だったワウワウを繋いだギターをウリにしていたのも、あながち実験的なキワモノとばかりは言えないでしょう。
そして椿哲也(vo)、栗山正(g)、藤野寿夫(g)、山田光治(org)、宮崎重夫(b)、鈴木二郎(ds) という6人組は、寺内タケシが率いるバニーズの弟バンドとして、テリーズと共に勇躍期待され、その頃に彼等のライブステージに接したという知り合いからの話では、相当に演奏も上手かったそうですから、やはり本物志向だったんじゃ~ないでしょうか。
実際、デビュー作として発売された掲載盤A面曲「恋するラ・ラ・ラ」は作詞:鈴木二郎&作曲:栗山正による、つまりはバンドオリジナルのR&B系ガレージロックで、メンバー紹介っぽいイントロから歌われるノーテンキな独り善がりの恋模様が硬質にドライヴするベースやバシャバシャなドラムスにノセられ、しかも間奏やオカズのフレーズにはワウワウペダルを駆使したリードギターが最高にサイケおやじに好みなんですよ♪♪~♪
う~ん、昭和43(1968)年初頭の段階では、なかなかニューロックしていた日本のバンドかと思うばかりですし、ここでのリードギターをコピーしてみると、ワウワウのタイミングのリズム感は流石と脱帽です。
このあたりはあくまでも結果論ですが、ちょっとばかり進み過ぎたところが大衆的ではなかったのかもしれません。
それは寺内タケシから提供されたB面曲「 涙のシルビア」で更に深まったというか、ワウワウに加えてエコーマシン(?)のようなエフェクターまでも堂々と使ったサイケデリックな仕上がりは、当時の日本では異端に近い感じでしょうか。おまけに遊んだようなボーカルの歌いっぷりの潔さも埋もれさせるには勿体ないほどなので、機会があれば皆様にはぜひともお楽しみいただきたいわけです。
ということで、久々に聴いてみても、これはGSブーム期の秘宝の1枚である事をあらためて痛感しています。
今となってはフェニックスも、これを含めてシングル盤2枚ほどしか残せず、失礼ながら泡沫組のバンドではありますが、その密度の濃さは時が流れても、我が国のニューロックの先駆けの証として、聴き継がれるに違いありません。
あぁ~、彼等のライブ音源が聴いてみたいなぁ~~~。
そんな願いを再燃させているのでした。