■ライク・ア・ヴァージンc/w さよならの内側 / 水谷圭 (Fun House)
女の子アイドルが歌う楽曲のひとつの条件が海外ネタのカバー物、特に日本語の歌詞を附したものは、業界内が飽和点に達していた昭和60年代にも立派に通用していました。
それは所謂「80年代アイドル」と称された彼女達が残したレコードを丹念に洗い出すまでもなく、例えば本日掲載のシングル盤A面曲「ライク・ア・ヴァージン」は説明不要、今やアメリカンポップスの大御所となっているマドンナが1984年に放ったブレイク曲「Like a Virgin」の日本語バージョンとして、当時のアイドル戦線で頑張っていた水谷圭が翌年に出したわけですが……。
本家マドンナのメガヒットバージョンは、当時としては新しかったデジタルサウンド処理の冴えと楽曲そのものの親しみ易さ、つまりはモータウン系ソウルミュージックとT.レックスを混ぜ合わせ、リアルタイムのダンス物に改変したキャッチーな快楽作だったんですが、その成功にはマドンナ自身のキャラの強さとリズム感の明快さがありました。
しかし失礼ながら、水谷圭は基本的に歌唱力が秀でているとは言い難く、麻生圭子が上手い具合にオリジナルを和訳した歌詞も、やはりアイドル歌謡という事で抑え気味ですから、本気でヒットを狙っていたのか、制作側の意図するところは当時も今もサイケおやじには測り兼ねるんですよ……。
実はこの私有シングル、その頃に業界の知り合いから頂戴したサンプル盤なので、あまり辛辣な事も露わに出来ない事情もありまして、しかも水谷圭だって、一生懸命にやっていたと思うんですよ。
まあ、それでもサイケおやじは彼女について知っている事はほとんどありませんが、何かのグラビアに登場していた水谷圭のスタイルの良さは印象に残っていますから、この「ライク・ア・ヴァージン」をガッツ~~~ンッとぶっ飛んだカバーで演じてくれたらなぁ~~~、という希望がある事は確かです。
ちなみにダイナマイトバディのグラビアモデルにして、タレント活動や女優としても人気を集めた水谷ケイは水谷圭とは全くの別人とはいえ、サイケおやじとしては、水谷ケイが激しくストレッチアウトした衣装やアクションで、日本語版「Like a Virgin」を歌って欲しかったという本音があるんですよ。
閑話休題。
それでも、この水谷圭のシングル盤が実は近年、なかなかの人気を呼んでいるという真相は、なんとっ!
B面に収録された「さよならの内側」が作詞:麻生圭子&作曲:筒美京平から提供された、今や「京平マニア」の必需品だからだとか!?
う~ん、個人的には普通の歌謡ポップスという印象なんですが、きっとマニアからすれば、コレクターズアイテムになりうる要素があるんでしょうねぇ~~。
ということで、水谷圭には厳しいことを書いてしまいましたが、もちろん彼女に対しては何の恨みもありません。
むしろアイドルとして芸能界が一番良かった時代に活動出来たのは、決して穏やかな思い出ばかりでは無かったという推察が易くとも、人生の中では濃密な時間だったんじゃ~ないでしょうか。
そういうものを彼女が得られたとすれば、残されたレコードが今もなお、ファンやマニアから大切にされ、さらに新しい魅力が発見され続けている現実は素晴らしい宝物!
羨ましくなるばかりです。