OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

素直に下田逸郎

2014-11-19 14:01:16 | Singer Song Writer

踊り子 / 下田逸郎 (ポリドール)

一昨日に引続き、後輩から頂戴したレコードの中に下田逸郎がどっさりあったので、とりあえず本日は昭和49(1974)年末のヒット曲「踊り子」です。

皆様ご存じのとおり、下田逸郎はシンガーソングライターとして昭和50年代にはコアな人気があり、また他の歌手への楽曲提供も多いという才人なんですが、サイケおやじ的には下田逸郎の持ちネタは、どうにもメソメソと軟弱に感じられ……。

ところが石川セリに提供した「SEXY」が、なかなか楽曲共々気に入ったところから、以降は密かに下田逸郎に注目していました。

で、この「踊り子」にしても、冒頭に述べたとおり、当時の有線やラジオで頻繁に流れていたのが師走頃だったもんですから、この季節、毎年何かのタイミングで思い出したようにメロディーが浮かんでしまうというのは、いやはやなんとも、お恥ずかしいわけで、それは拙ブログで度々告白してきたように、サイケおやじは歌謡フォークが好きなくせに、それを素直に認められないという天邪鬼であり、ましてや男が歌うのに哀愁は必要でも、軟弱はいらねぇ~!

そういう態度を公にしていましたから、とてもとてもレコードを買うなんて事は、経済的な事情を別にしても、出来ることではありませんでした。

しかしサイケおやじの学生時代には、下田逸郎の歌をアコースティックギターで弾き語るのが、女の子にモテるひとつの切り札であったという現実があり、それが出来ない自らの口惜しさは、まさに青春の懊悩と言えば大袈裟でしょうか。

そこで肝心の下田逸郎は、なんといっても繊細なメロディと言葉選び、そして抑えた中にも熱い情熱が滲み出る歌唱スタイルが独特の個性派で、この自ら作詞作曲した「踊り子」にしても、緩やかなテンポでせつない恋と人生の機微を歌い綴っているんですが、驚くなかれ、アレンジを担当したのが高中正義!?!

う~ん、無機質に重厚なストリングス(?)も女々しい楽曲を逆に引き立てる効果が満点ならば、緻密して幾分神経質なアコースティックギターは高中正義が自ら弾いているんでしょうかねぇ~~~。

なんだか高中正義の意外な一面を知ってしまったですよ。

ということで、昭和歌謡曲を云々すれば、ニューミュージックというよりも歌謡フォークが避けては語れない命題!?

悔しいけれど、それは認めざるをえません。

ただし精神的にも経済的にも、それを聴くことが苦痛になっていた時期がサイケおやじには確かにあって、それに素直になれない自己嫌悪みたいな感情が今も残っています。

ところが下田逸郎の歌には、なんだかそんなモヤモヤが霧散させられる「何か」があるような気がするという、まあ、これもサイケおやじが齢を重ねた所為なんでしょうか……。

弱気と言われれば、それはそのとおりなんですが、これを機会に下田逸郎のレコードをじっくり聴いてみる所存であります。

コメント
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