OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

フィンガーズ最期のニューロック歌謡

2009-10-08 12:36:15 | 日本のロック

Love Me! / ザ・フィンガーズ (キングレコード)

日本の名人ロックギタリストと言えば、その創成期から寺内タケシ、三根信宏、石間秀樹……等々、次々に名前が浮かんで尽きることはありませんが、本日ご紹介のフィンガーズに在籍していた成毛滋! この人も絶対に欠かせません。

メジャーに登場したのは昭和41(1966)年のテレビ番組「勝ち抜きエレキ合戦」だと思いますが、その驚異的な早弾き、メカニカルなマシンガンフレーズを駆使したギターテクニックには、我国ばかりか、欧米からも「東洋の奇蹟」とまで称賛されました。

そして当然ながら正式にレコードデビューした時には、輝けるエレキインストの新星だったわけですが、既に時代はGSブームが爆発し、ボーカルバートが必須の流れということで、昭和43(1968)年頃には本物指向のロックバンドに変化しています。

しかし結論からいうと、フィンガーズは失礼ながら、それほど大きな成功を手にしていないと思います。

エレキインスト期の昭和42(1967)年には、今聴いても凄すぎるシングル盤を3枚残しているのですが、いずれもヒットせず……。またアイドル風味も強めたGS期にも3枚のシングル盤を出していますが、その最初の2枚では、ウリになっていた成毛滋のギターが、意図的に引込められた感があります。なんというか、ストリングスが多様された甘々ソフト路線なんですよねぇ……。極言すればオックスか!? タイガースか!? ってなもんです。

しかし、ついに解散間際の昭和44(1969)年6月に発売された本日ご紹介のシングル盤、それもB面において、素晴らしいニューロック歌謡が完成されるのです。

当時のメンバーは成毛滋(g)、高橋信之(g,vo)、クロード芹沢(key)、シー・ユー・チェン(b,vo)、松本幸(ds) とされていますが、実際は流動的だったとか!?

で、この「Love Me!」なんですが、ズパリ! クリームスタイルの歌謡ロック!

イントロからファズが効きまくったヘヴィなエレキギターが炸裂し、エッジの鋭いドラムスのピート、グリグリに蠢くエレキベース、さらにボーカルやコーラスに顕著なエコーが、完全にクリームの素晴らしき世界スタジオ盤の趣です。

しかもR&B風味のホーン、ハナからケツまで唸っては泣きまくる成毛茂のギター! 曲メロと歌詞そのものが、刹那のムードで満たされているのも「お約束」以上です。

もう、これを聴かずして、日本語のロックなんてものは成り立ちませんよ♪♪~♪

な~んて、本日も独断と偏見に満ちているサイケおやじですが、現実的にはA面収録の「失われた世界」が甘いメロディと気恥ずかしくなるような歌詞をチェンバロで彩ったソフトロックの歌謡曲だったことを思えば、それはそれで素敵なんですが、果たしてどちらがバンドのやりたかった事なのかは、直後のフィンガーズの解散が物語っているように思います。

ご存じのように成毛滋はフィンガーズを解散した後、ヴァニラクリームやジプシーアイズといった真ニューロックの伝説的なバンドを経て、1971年にはストロベリー・パスを結成! この頃、私が体験したライプでは、右手でキーボード、左手でギターの音を出すという、当時としては全く理解不能な神秘的テクニックを披露して、観客のド肝を抜きました。

ということで、日本のロックをニューロックへと進化させたのは成毛茂が、そのひとりとして絶対です。

現在では伝説の彼方にいる偉人としてのエピソードが独り歩きしている感じですが、ファンがース時代に残されたレコードこそが、その源でしょう。特に、この「Love Me!」は、ぜひとも聴いていただきたい名曲名演だと思います。

コメント
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