OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

愛しておくれと言われても……

2009-10-10 12:02:22 | Rock

愛しておくれ / The Spencer Davis Group (Fontana / 日本ビクター)

スペンサー・デイビス・グループの代表的なヒット曲♪♪~♪ そしてロック史にも屹立する名演ですが、イギリスの白人バンドでありながら、ここまで真っ黒なボーカルを聞かせているのが、当時弱冠18歳のスティーヴ・ウィンウッドだったという事実に驚愕!

今回、ここに至る経緯については端折りますが、私がスティーヴ・ウィンウッドという天才を強く意識したのはエリック・クラプトンにジンジャー・ベイカーというクリームの残党と結成したブラインド・フェイスを聴いた昭和45(1970)年で、そこから逆走してトラフィック、そしてスペンサー・デイビス・グループへと辿りついたのが真相です。

ということは、私の目当てが完全にスティーヴ・ウィンウッドに偏向していたわけですが、その天才性を楽しむうえでは、このスペンサー・デイビス・グループが究極じゃないか!?! と今は思っています。

で、このシングル曲はイギリスでは1966年11月に発売された、歴史的にはスペンサー・デイビス・グループ第一期の最後に近いものですが、それだけに密度の濃さは大ヒットも当然の素晴らしさ♪♪~♪

ドドドドドッド、ドドドドドッド、と繰り返される低音リフに熱いオルガンがキメを入れるイントロから、ヘイッと掛け声があって歌い出される狂おしい節回しは、スティーヴ・ウィンウッドの持ち味というよりも、本物の黒人シンガーに憧れて辿りついた刹那の境地としか思えません。

しかも繰り返しますが、これで弱冠18歳!

ちなみに当時のスペンサー・デイビス・グループは、当然ながらスペンサー・デイビス(g,vo,hmc) をリーダーにスティーヴ・ウィンウッド(vo,g,key,per)、その兄のマフ・ウインウッドウィンウッド(b)、そしてピート・ヨーク(ds) からなる4人組でしたが、レコーディングではスティーヴ・ウィンウッドがマルチプレイヤーの本領を発揮し、それがライプの現場にも及んでいたようです。

もちろんそれは彼等のブロデューサーだったクリス・ブラックウェルやジミー・ミラーの導きもあったのでしょうが、何よりもバンマスのスペンサー・デイビスが自分の力量を自覚していたというか、ある意味での度量の大きさだったのかもしれません。

またスペンサー・デイビス・グループは、黒人ブルースやR&Bに深く根ざした音楽性ゆえに、残された音源にはカパーの楽曲が多いのですが、この「愛しておくれ / Gimme Some Lovin'」はスペンサー・デイビスとウィンウッド兄弟の共作オリジナル♪♪~♪

ここにようやくバンドの方向性が決まったという記念すべきシングル曲で、さらに翌年には進化形とも言える「I'm A Man」を発表しています。

しかし、そのレコーディングに助っ人参加したのがジム・キャバルディとクリス・ウッド、つまり後のトラフィック組だったことから、恐らくはここでスティーヴ・ウィンウッドと息投合したのでしょう。新しい道を進み始めた天才は、スペンサー・デイビス・グループから独立するのです。

ということで、繰り返しますが、私の場合は後追いでスティーヴ・ウィンウッドとスペンサー・デイビス・グループを聴いたので、そんな冷静な判断も可能なのでしょう。このシングル盤にしても、昭和46(1971)年に中古で入手したものです。

しかしLPは当時の日本では、なかなか入手しずらい環境でした。もちろんシングルとして発表された楽曲はオリジナルアルバムには再収録しないという、イギリス特有の不文律もあり、それゆえにスペンサー・デイビス・グループやスティーヴ・ウィンウッドの音楽性を鑑みれば、不完全燃焼気味のベスト盤では満足出来るはずもありません。

そんなこんなから、私がイギリスプレスのオリジナル盤という世界に、バンドやグループを問わずに足を踏み入れたのも、このシングル盤が、ひとつの契機だったようです。

また、この「愛しておくれ」のアメリカ盤シングルのバージョンは、バーカっションを加え、さらにエグミの強いミックスに変えられたという、極めて特殊な味わいがヤミツキになりますよ。

このあたりのCD復刻は最近になって纏められたようですから、ぜひとも皆様にはお楽しみいただきたいところです。

最後になりましたが、このイケてないルックスのジャケ写は、当時としてはアイドル性とは無縁の実力派バンドの証でもありますが、それゆえにイマイチ、我国でブレイク出来なかったのかもしれません。

その意味では邦題も凄すぎます。

あぁ、リアルタイムで聴きたかったですねぇ~。

コメント
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