■John Mayall's Blues Breakers With Eric Clapton (Decca / キング)
クリームによってエリック・クラプトンに夢中になった私が、ど~うしても聴きたくて買ったのが、この日本盤LPです。
内容はエリック・クラプトンがクリーム結成参加直前まで在籍していた白人ブルースバンド、所謂ブルースロックの元祖のひとつとも言うべきブルースブレイカーズが1966年に発表した歴史的なアルバムですが、そう評価されるのも、全てはエリック・クラプトンの存在に尽きるでしょう。
失礼ながら、リーダーのジョン・メイオールを聴きたくて、このアルバムを入手する人がいるのか? そんな疑問を呈すること自体が虚しいと思うほど、ここでのエリック・クラプトンは素晴らしいかぎりです。
A-1 All Your Love
A-2 Hideaway
A-3 Little Girl
A-4 Another Man
A-5 Double Crossing Time
A-6 What'd I Say
B-1 Key To Love / 愛の鍵
B-2 Parchman Farm
B-3 Have You Heard
B-4 Rambling On My Mide / さすらいの心
B-5 Steppin' Out
B-6 It Ain't Right
ブルースブレイカーズは既に述べたように、ジョン・メイオールが1963年頃に結成したグループで、当初はブルースばかりでなく、ジャズやR&B、さらに黒人伝承歌までも追及していたマニアックなバンドだったようですが、所謂ブリティッシュビートのブームの中でロック色を強め、ついにヤードバーズを辞めたエリック・クラプトンを招いて制作されたのが、このアルバムというわけです。
ちなみに田舎で無垢な情熱を燃やしていたジョン・メイオールがロンドンに進出するきっかけとなったのは、アレクシス・コーナーという英国の白人ブルースのパイオニアともいうべき人物の手助けによるところが大きく、この人はブライアン・ジョーンズやミック・ジャガーを育てた実績もありますから、ロック史では大きな足跡を残した偉人だと思います。
そしてヤードバーズ時代のエリック・クラプトンに本物のブルース、つまり本場アメリカのレコードを聞かせまくっていたのが、ジョン・メイオールだったと言われています。
こうして新編成となったブルースブレイカーズの当時のメンバーはジョン・メイオール(vo,key,g,hca)、エリック・クラプトン(g,vo)、ジョン・マクヴィー(b)、ヒュー・フリント(ds) の4人をレギュラーにしつつ、レコーディングやライプでは助っ人のホーン&打楽器奏者も加えた、実にロックがど真ん中のブルース、つまりブルースロックの神髄が楽しめるのです。
ただし、そこは白人バンドの宿命というか、今となっては、一途な情熱が時として気恥ずかしくなる瞬間も確かにあります。
例えばA面ド頭の「All Your Love」は有名なオーティス・ラッシュの代表曲ですが、そのコピーの忠実度、さらにエリック・クラプトンの「なりきった」姿勢が潔くも、こそばゆい感じです。
そのあたりはジョン・メイオールが黒人音楽に敬意をこめて作ったオリジナル曲の「Little Girl」や「Double Crossing Time」、そして「Have You Heard」に聴かれる、まさにエリック・クラプトンの代表的名演! そのギタープレイに集約されているのですが、ここまでやってくれれば、もう何も言えないほどに、その青春物語的な情熱が眩いほど♪♪~♪
さらにエリック・クラプトンのギタースタイルに決定的な影響を与えたと断言されるフレディ・キングの十八番「Hideaway」、また同系の「Steppin' Out」というインスト演奏が、これまた圧巻! おそらくはギプソン・レスボールとマーシャルのアンプによる組み合わせから弾き出される強靭なフレーズの洪水は、ブルースロックのお手本でもあり、また後のハードロックの源流的存在感を示していると思います。
そして今ではエリック・クラプトンの伝説の始まりのひとつとなった、初めてのリードボーカル曲が「さすらいの心 / Rambling On My Mide」です。ご存じのとおり、後々まで自身のライプステージでは定番演目となる黒人ブルースの古典ですが、一節によると、エリック・クラプトンは歌入れの時には非常に緊張していたそうで、その所為でしょうか、ビートに合わせて足で拍子をとっているような音も聞こえるあたり、初々しさと真摯な姿勢が感度良好♪♪~♪ 何時聴いても、なんか不思議な感動があるんですねぇ~。
当時のエリック・クラプトン、弱冠二十歳!
そんな天才は、この頃から「神様」扱いになっていたのもムベなるかな、あえてシンプルなバンド編成とアレンジで、その神業ギターを存分に歌わせ、録音したジョン・メイオールの度量の大きいプロデュースは流石としか、今は言えません。
なにしろリアルタイムでこれを聴いていた昭和45(1970)年の若かりしサイケおやじには、ジョン・メイオールのボーカルは迫力が無いなぁ~とか、ドラムスとベースが淡白だなぁ……、なんて不遜な事しか思えなかったのです。しかし、それゆえにエリック・クラプトンのギターばかりに耳が集中出来たという結果オーライがあったわけですねぇ。
きっと、そうだと思います。
しかし後々になって聴き直していくうちに、ジョン・メイオールの弾くオルガンから発散される不思議なクール感覚とか、もしかしたら、自ら恥ずかしがっているような一途なブルースへの憧れに、胸が熱くなる瞬間もあるほどです。
この時、ジョン・メイオールは32歳!
なんとなく、共感出来ますねぇ~♪