OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

8マイルの衝撃

2009-10-02 11:39:01 | Byrds

霧の8マイルc/w禁じられた願い / The Birds (Columbia / 日本コロムビア)

少年時代のサイケおやじがビートルズよりも好きだったのが、ザ・バーズという告白は「Mr. Tambourine Man」の項でも書きましたが、本日ご紹介の「霧の3マイル / Eight Miles High」にも、まさに8マイル先の霧の彼方へブッ飛ばされたような衝撃を受けました。

いきなりドンドロドロドロド~ン、という、恐らくはエレキベースとエレキギターの低音弦奏法をメインに作られたオドロの雰囲気からビョ~~ン、ギンギラギ~ンという摩訶不思議な音色のエレキギターが鳴り響く、実に強烈なサイケデリックイントロからして強い印象!

さらに倦怠して幻想的な「エ~ィ、マイ~ル、ハ~イ」という曲メロのキメコーラスが、いきなりのクライマックスという凄まじい歌と演奏でしたから、これをラジオで最初に聴いた瞬間、私は金縛り寸前でしたねぇ~~♪

それは昭和41(1966)年の事で、当時はベンチャーズやビートルズが我国でも圧倒的な人気を集めていたわけですが、少なくとも「霧の3マイル」に関しては、バーズのやっていたことが、そのどちらとも異なる、本当に異様なムードに感じられました。

このあたりは今日、スペースロックとかラーガロックとか称され、きちんと評価されていると思います。しかしリアルタイムの私には、理解の範疇を超えていたのは確かですし、それでいて非常に魅惑的な「何か」がありました。

う~ん、なんというか、分からないけど、凄~い!

で、当時のバーズはフォークロックで人気絶頂ながら、次なる展開を模索していた過渡期でしたから、バンド内部の人間関係や権力のバランスが微妙な状況だったのは、今日の歴史に記されているとおりです。

一応は中心人物とされるロジャー・マッギンにしても、エレキの12弦ギターを使った独得のサウンド作りの要だったかもしれませんが、グループの中では一番キャッチーな曲を書いていたジーン・クラークとの確執は深刻でしたし、加えて歌も演奏も自己主張が強いディヴィッド・クロスビーがバンドのフロントマンとあっては、ゴタゴタが避けられないのは……。

しかし、それゆえにと言っては語弊がありますが、この「霧の8マイル」で聞かれるサウンドの怖いほどの充実ぶりは圧巻!

またB面に収録された「禁じられた願い / Why」は、そのディヴィッド・クロスビーがメインで書いただけあって、十八番のモヤモヤした曲メロとサイケデリックなラーガ系エレキギターが冴えまくった、アップテンポの激烈ロック!

個人的にはA面よりも気に入ったほどです♪♪~♪

そのキモはジャズっぽさ! というのは後に知ったことですが、例えば「霧の8マイル」におけるモード風な曲展開は、ライプの現場では長時間のアドリブ演奏も含んだニューロックの醍醐味へと繋がり、実際、1970年に発売された2枚組の意欲作「タイトルのないアルバム」ではLP片面を使ったギター合戦の演奏が聞かれるほどです。

ただし、この蜜月的な充実期のバーズは長続きせず、「霧の8マイル」を出した直後にはジーン・クラークが脱退! そしてディヴィッド・クロスビーとクリス・ヒルマンがグッと存在感を強め、ロジャー・マッギンの個性が薄れていったのは、以降のシングル&アルバムで聞かれるとおりです。

その意味で、ザ・バーズの最高の瞬間のひとつが、この「霧の8マイル」であることは疑う余地もないでしょう。またロック史においても、最強シングル曲のひとつとして屹立していると、私は強く思います。

ただし、そんなことを独善的に自己満足しているのは、今となっての感慨です。リアルタイムでの「霧の8マイル」、そして「禁じられた願い」は、様々な雑念が入り込む余裕を与えないほどの衝撃度がありました。

それだから、若い頃に聴いた音楽って、尚更に素晴らしい♪♪~♪

コメント (2)
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