鹿島様に、逢いたくて。

　鹿島様に会うために、県南の湯沢まで行く。鹿島様は藁人形で、ここ岩崎地区のものは身長が４ｍある。

　集落の外から、邪悪なものや疫病が入るのを防いでくれる。秋田は民俗行事の宝庫で、各地にこういった人形はあるが、多分県内最大、東北で最大、日本最大だろう。しかもバランスの取れた芸術性を感じる。

　何をしているのかって？　鹿島様と握手をしているんです。といっても手というより、指です。指比べの図。

　ここは千年（ちとせ）公園にある二体のひとつで、誰も居ないし、静かなことこの上なし。４月に衣替えしたばっかりで、すぐにも会いたかったが、雪が消えるまで待った。

　ここまで立派だと、それぞれ専門分野を担当し合体する。コロナで集まることが出来ないと、そのワザは継承出来ない恐れがある。確か２年ぶりと聞いた気がする。

　国道１３号に面した１体は、ワラが新しくなかった。　一番気になるタマタマとアレを持ってみるの図。

　立派だ。オレの頭ぐらいある。こういうパーツは、お約束みたいに「立派」に作る。他の行事も共通している。何しろ多産と豊穣を込めているから。この場合は雄姿を強調したか。

　今日は鳥海山が見えない。残念だ。でも行きかう車を悠然と見守って微動だにしない。

　しかしオレも見逃すところだったが、長年にわたって日に焼けた鹿島様は、意外とこの大きさで目立たない。

　それは、色が地味だからだべな。もったいないなあ。