学生時代、付き合った彼女が、夕暮れの時間が好きと言っていた。その頃私は夕暮れは好きではなかった。だって暗くなったら、遊びも終わりだし。家に帰るしかない。
でも就職して、そうだったのかと思った。一日の終わりは、気分的に悪くない。きょうも終わった。そういう安堵感がある。
秋も若い頃、嫌いだった。これから寒くなる一方だ。日も短くなるし。大体、紅葉なるものが気に入らなかった。生命の灯が落ちるように、枯れた葉っぱが色を変えて散っていく。冬を迎える段取りの一つが、なんで楽しいの。
良く考えたらそれは春への準備だった。樹木の生命自体は消えない。それに落ち葉は土に帰り栄養となる。
沿岸地方は浜風のせいで、内陸より色付きが悪い。でも今年は、日本海を進む台風が来なかったせいで、綺麗な紅葉が楽しめるだろう。