山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

とてもわかりやすい教育基本条例

2011年10月14日 02時08分12秒 | Weblog
 教育基本条例のとてもわかりやすい解説が、立案にたずさわった人からなされた。『朝日』2011・10・10付けの「教育基本条例を問う」という3回シリーズの最初だ。解説した人は維新の会の坂井良和氏。
 本心をあからさまに語っている。教育に新自由主義を徹底するという宣言だ。「エリート育成のために格差は辞さず」というのが見出しになっている。「私は格差を生んでよいと思っている。税制や社会保障など、是正の制度は別にある。まずは格差を受け入れてでも、秀でた者を育てる必要がある」という。
 驚くべき発言だ。教育ではなく反教育の宣言だ。彼が格差を生んでよいといっているのは、社会や経済のことではない。教育に格差を生んでよいと言っているのだ。社会に格差があるのは日本の歴史始まって以来ずっとだ。戦後教育は社会に格差・不平等があっても、教育・学校には、格差・不平等を持ち込まないよう努力し、さらに教育に社会の格差・不平等を正す力を期待した。社会の格差は小泉改革以来ひどくなっている。その格差を教育の制度に持ち込もうというのだ。すでに教育制度の複線化が高校ではすすんでいる。それを極限まで、小中学校から徹底しようというのだ。格差教育すなわち差別教育をするというのはもはや教育の議論ではない。橋下知事に協力してきた教育委員会が公然と批判に転じたのは、これはもはや教育ではないからだ。学校現場の教員は、校長も含めて(橋下氏の友達で民間人校長にしてもらった人をのぞいて)猛烈に反発している。それは教員が一番大事にしてきたことを根こそぎひっくり返そうとしているからだ。
 坂井氏は、「日本のような資源のない国は人材活用しかないのに『国内で仲良く』という育て方で競争力を失った」ともいう。日本経済の不振は90年代のバブル崩壊からだ。その責任を教育に負わせるのはあまりに荒唐無稽だ。坂井氏はゆとり教育も攻撃する。80年代に小学校から始まり一定期間続いたのがゆとり教育だ。その教育を受けた子どもたちが90年代以降の日本経済を取り仕切ったのか。いい加減な話はやめてほしい。
 維新の会は、人の能力差を認め義務教育を7年にすることも考えている。学校を自由に選ぶ、高校の学区を撤廃する、小中学校の校区もなくし学校選択制を取り入れる、学力テストの成績を学校別に公表する。これらの「改革」で自分の子どもの夢を実現できると勘違いする親が一定数いるだろう。なにしろ新自由主義・格差社会に賛成して小泉改革を後押しした国民が多くいたのだから。でもこれで得をする、すくい上げられるのは、ごくごく一部だけなのだ。ほとんどは切り捨てられる。勘違いしてはいけない。やろうというのは格差教育=差別教育だ。すべての生徒にしっかりした学力を、人格の完成をという普遍的原理を投げ捨てるのだ。











コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 教育基本条例を問う―内田樹さん | トップ | 大阪・池田市の小中一貫校の... »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事