山上俊夫・日本と世界あちこち

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大阪府警、犯罪8万件ごまかし その原因は橋下氏

2014年08月02日 20時42分47秒 | Weblog
 7月30日(2014)大阪府警は、警察庁に報告した刑法犯の件数を、2008~12年の5年間で計8万1307件少なくしていたと発表した。ひったくりや自転車泥棒などの街頭犯罪で全国ワースト1がつづいていた大阪府が2010~⒓年は東京都を下回ったことになっていたが、実際はトップのままだった。08年のごまかしは件数は8810件だったが11、12年には2万件を越えていた。この不正行為で処分されたのは、退職者124人をのぞく現職280人。異例の大量処分だ(『毎日』31日付)。
 ではなぜ、このような大量の不正行為が発生したのか。それははっきりしている。ひとすじなわでいかないものを、むりやり減らせと政治的圧力がかかったからだ。
 08年橋下徹氏が大阪府知事に当選し、街頭犯罪ワースト1を問題にし、府議会で「ワースト1を返上する」と宣言。府警本部はプロジェクトチームを発足させた。警察署長は府警本部の、現場の警官は署長の顔色をうかがって報告の改ざんをするようになる。橋下氏はつねに、部下はトップの顔色をうかがえといっている。
 橋下氏は、31日、「府警には僕自身かなりプレッシャーをかけた」「現場がプレッシャーを感じて虚偽の報告をした事実はあると思う」「当時の大阪府のトップとして府民におわびしないといけない」とのべた。
 犯罪が知事のかけ声でいっきに減少することはありえない。大阪の社会状況の反映であって、警察官のやる気や努力に正比例はしない。ところが橋下知事は1位を返上せよと厳命した。得意の数値目標だ。少しがんばった程度では2位の県を抜くことはできないのに、到達点だけは決まっているとなれば、改ざん、過少報告という悪い考えが頭をもたげる。橋下氏は謝罪じみたことをいったが、府民におわびしたのは府警の不祥事についてだ。できもしない数値目標を押し付けて不正行為に追いこんだ責任についてはとろうとしていない。
 橋下氏は、全国学力調査で大阪が低位であること(これと犯罪件数とは同じ社会的土壌の反映であるという意味である程度の共通性がある)をとりあげて、「クソ教育委員会」などと現場を励ますのではなく、罵倒し、府民に学校現場に対する不信をあおるようなことを、ことあるたびにくりかえした。橋下氏は、教育委員会や学校に対しては悪罵を投げつけ不信をあおったが、警察に対しては控えめだった。自衛隊は天まで持ち上げた。府の幹部職員を自衛隊に送り込もうとさえした。彼は、府警に対しても、クソ府警本部といいたかったのかもしれない。しかし「橋下改革」での人員削減をまぬがれた警察は、その分余計に圧力を感じ取っていただろう。くわえて橋下氏は各警察署を回るなどの圧力をかけた。
 橋下氏は少しは反省したかのようなことをいう一方で、「引き続き数値の管理は徹底してやっていく。あれくらい言わないとダメ」と語った(『赤旗』8月1日付)。こんどの不正行為で明らかになったのは、非常識な数値管理、成績主義が、いともかんたんに不正をうみだすのだという事実だ。これだけは原因と結果がはっきりした。原因をとりのぞかなければならない。警察官はみな努力している。不正の分をつみあげた実際の数で見ても街頭犯罪件数は減っている。だがよその県(東京)もがんばってすこし減らしている。だから順位はかわらない。橋下氏は順位を問題にする。大事なのは実際の犯罪件数をへらすことだ。この点では大阪府警は成果をあげた。これを評価し励ますのが上に立つ者のすべきことだ。しかし橋下という人物は、順位がよくならなければ評価しない。学力テストでも点数はよくなっているはずだ。でも順位となると他の県も尻をたたいているから思うような成果は出ない。
 街頭犯罪抑制のためには現場警官をふやして街に警官がもっと出られるようにすることだ。確実に犯罪は減る。数値管理で圧力をかける方法は、逆の不正をうむだけだとわかった。にもかかわらず、橋下氏は数値管理を徹底するという。相当、根性が悪いのか、頭が悪いのかのどちらかだ。
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1 コメント

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Unknown (ソフィー)
2014-08-03 11:27:45
「相当、根性が悪いのか、頭が悪いのかのどちらかだ。」
両方、それもかなり・・・

「異例の大量処分だ」しかし、公文書偽造?に近いのに羽毛よりも軽い処分、こんな事でいいのだろうか?

一般論として、役人はほどほどに働いて、しっかり対価と年金をしっかりといただく・・・周りを見てもそういう役人は少なからずいる。
上が上だからか・・・しっかりしてくれ!役人様。

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