山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

萩生田文科大臣の差別的試験制度礼賛の「身の丈」発言

2019年10月27日 22時04分28秒 | Weblog

 大学入学共通テストで民間業者に丸投げの英語試験が、11月1日に共通ID申し込みが始まり、来年4月から試験が始まろうとしているもとで、その試験制度のあまりの不公正・不公平ぶりに怒りが高まり、延期・見直し・中止の声が沸騰している。そんな中、文科大臣の萩生田光一氏が、教育の機会均等くそくらえ、受験の公正公平など関心ないという発言をした。BSフジの10月24日の番組でのことだ。

 司会:英語については民間の試験を年2回まで受けていいと。英検やトーフルの民間の試験を使うと、お金や地理的な条件で恵まれている人が受ける回数が増えるのか、、それによる不公平、公正性はどうなのかと、これはどうなのか。 萩生田:そういう議論も正直あります。ありますけど、それを言ったら、「あいつ、予備校通っていてずるいよな」というのと同じだと思うんですよね。だから裕福な家庭の子が回数を受けてウオーミングアップできるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけど、そこは自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで、勝負してがんばってもらえれば。

 萩生田氏は28日、「身の丈」発言について、説明不足だったと弁明したが、じつに正直に彼の立場、政府の立場を説明している。司会が、不公平、不公正はないのかと問うたのに対し、そこは一切認めず、身の丈に合わせて規定通り2回勝負すればいいと答えた。筋違いにも予備校を持ち出したが、予備校・塾にも通ってべんきょうするか、通信教育を取り入れるか、自宅で自力で勉強するかは入学試験以前のやり方だ。今問題にしているのは試験制度だ。民間業者がくりかえしやる試験を特定の地域の裕福な家庭の子は、入試として各自が共通IDで指定した2回以外の試験も受け放題なのだ。同じテスト業者の同じ傾向の問題で何度も受験の練習ができる。貧しい家庭の子は「身の丈に合わせて」入試センターに報告すべき2回だけ受ければいいというのだ。会話のテストなど、何度も本番練習した生徒と初めて本番に臨んだ生徒とではその緊張度や試験準備の程度は雲泥の開きがあるだろう。そこを多くの教育関係者が心配し、テレビの司会者もふれたのだが、上から目線の強いもの・大手業者寄りの萩生田氏は、まったく心を寄せない。受験料はベネッセGTECの6820円からIELTSの25380円、TOEFLの235米ドルまで。地方や山村・離島の生徒は、それこそ萩生田のいう「身の丈」の2回だけ受けるのにも旅費宿泊費をふくめ大金になる。都会の金持ちの子はどれだけ有利か。これでは試験の公平・公正など保てない。萩生田は「あいつ、何度も受験できてずるいよな」というべきだ。そんなずるい制度を何の問題もないかのようにごまかしてごり押ししようとするのは許せない。

 このブログでは、本来入試センターが責任をもって一つの試験をすべての受験生に受けさせるべきなのに、教育の市場開放だけでなく、公平公正であるべき入学試験まで市場開放、金もうけ業者のために好き放題にさせることを厳しく批判してきた。7つの業者の試験をどう一つの物差しに統一するのか。これを正しいというならば、それは正しさに目をつぶっただけだ。

 

 

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