安倍首相が首相主催の「桜を見る会」を私物化して下関市の後援者をもてなした違法行為について、何度か書いたが不手際で消えてしまった。気を取り直してもういちど。
『赤旗日曜版』2019年10月13日付けが放ったスクープは、安倍政治の本質を暴き出すものだ。2019年1月下旬、今年の総理大臣主催の「桜を見る会」の日程が発表された。すると下関の安倍事務所が後援者らに参加案内を送った。参加の意思を示すと2月下旬から3月上旬に内閣府から招待状が届いた。「桜を見る会」の前日4月12日朝、飛行機で東京へ。都内観光の後、ホテルニューオオタニで「桜を見る会前夜祭」が行われた。旅行自体は自費、この前夜祭は5000円の会費の「政治資金パーティー」だ。政治団体の収支報告書に記載しなければならないが、それがない。政治資金規正法違反だ。安倍氏の政治団体は『赤旗』の問い合わせに、「担当者がいない」と逃げを打った。翌日は集合場所のニューオオタニから、バス17台に分乗して新宿御苑に。一般招待客は並んで手荷物検査を受けるが、安倍後援者様は裏口から入って手荷物検査なし。なんという扱い。『朝日』の【首相動静】によると、首相は7時48分新宿御苑に入り49分から妻の昭恵氏とともに17台のバスの後援者と順に記念撮影。たくさんの芸能人やスポーツ選手も招かれ、下関の安倍後援者にとっては彼らと間近にふれあえる「桜を見る会」は夢見心地だろう。
「桜を見る会」は1952年から総理大臣主催で公金=税金をつぎ込んで行われている。招待者は10000人程度だったが、安倍首相になってから大幅に増えた。政権浮揚の道具と化した。2018年招待者15900人、出席者17500人、予算は1767万円のところ支出は5229万円。2019年はもっと膨れて18200人、5519万円。予算はずっと1767万円だったが、財政規律無視の支出をしたのが安倍首相だ。これではいけないと支出を減らすのかと思えば、2020年の概算要求は5700万円にふやした。「桜を見る会」では飲食し放題だ。たくさんのテントがあり、いろいろ食べて酒を飲む。安倍首相の後援者は、税金で酒食のもてなしを受け、名所新宿御苑で桜を鑑賞できるのだ。法治国家でこんなことが許されるのか。
「桜を見る会」は税金で運営する国家行事だ。招待者には基準がある。「桜を見る会」の開催要領では、「招待の範囲」は「皇族、元皇族」「各国大公使等」「衆参両院議長・副議長」「最高裁判所長官」「国務大臣」「副大臣・大臣政務官」「国会議員」「認証官」「事務次官等・局長等の一部」「都道府県のちじ・議会の議長等の一部」「その他各界の代表者等」となっているそうだ。安倍首相後援者はどこに入るのだ。すでにこれは『赤旗』スクープで大問題になっているから、首相官邸ではどうごまかすか騒いでいるだろうが、「各界の代表者等」の「等」に入るというのだろう。だがどうして安倍後援者が各界の代表者なのだ。バス17台分の下関の安倍支援者が、どうして各界の代表者なのだ。安倍事務所が案内を出し、その名簿に従って内閣府が自動的に招待状を出すというシステムは、どこから考えても行政の私物化だ。「森友学園疑惑」「加計学園疑惑」と同じく行政の私物化だ。ここに安倍政治の本質がある。
『赤旗日曜版』10月20日付けは続報で、会計検査院の複数の関係者を取材している。元調査官は、各界の代表者等の「等」を根拠に自分の後援者を招待しているようだが、この拡大解釈は不適当だと断言している。また別の関係者は、開催要領や予算にもとづかない支出をした場合、税金が無駄になった「不当事項」になりうる、招待者数を開催要領は約1万人としているのに、要領や予算を無視して大幅超過はおかしいと指摘している。
森友学園疑惑で8億円の国有地をタダ同然での払い下げに大活躍した安倍昭恵氏もこの「桜を見る会」でも大暴れだ。スキーや、農業や、酒造りの仲間をどっとご招待している。萩生田光一や世耕弘成、稲田朋美ら安倍一派もこの行政の私物化のご利益あやかっている。税金の私物化は絶対に許さない。証拠は山ほどある。証言者はたくさんいる。