山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

マイケル・ムーア「キャピタリズム」とパナソニックにすりよる最高裁

2009年12月20日 11時07分24秒 | Weblog
 マイケル・ムーア監督の最新作「キャピタリズム(資本主義)」をみた。
 いきなり住宅ローンを延滞した家に、強制執行だといって保安官がドアをぶち壊して入ってくるシーンから映画は始まる。あらかじめカメラが室内で待ち構えていてその乱暴なやりくちをあばく。権力がハゲタカ資本主義の手先になっている象徴的なシーンだ。
 だが振り返れば、日本でも最高裁判所が巨大資本のつっかえ棒になっている。パナソニックプラズマディスプレイの偽装請負を告発後、不当解雇されたとして、元請負会社社員の吉岡力さんが雇用確認を求めた裁判が、09年12月18日あった。大阪高裁は吉岡さん勝利を宣告した。だが最高裁はこれをくつがえした。吉岡さんは、偽装請負に対するたたかいのシンボル的な立場にあった。偽装請負や3年の派遣期限が来ても直接雇用をしない違法企業に対するたたかいの最前線にあった。すこしずつ扉を開いてきたのだ。ところが、最高裁ははっきりと資本の横暴に加担した。実態への関心が薄く、形式論にふけり、法には精神がないかのようだ。映画「キャピタリズム」と重なる。零細企業むけの高利の商工ローンの取立て確認を裁判所につぎつぎと申立て、追い込んでいった悪徳弁護士たちと裁判官のことも頭に浮かぶ。
 ブッシュ政権の下で資産を巨大にふくらませた大資産家たちが、リーマンショック後、70兆円にも及ぶ公的資金をまたもや山分けしようとするのを告発する。一方では130万の住宅が抵当として取り立てられている。長年働いてきた労働者が工場から追い出される。パイロットさえも300万円くらいの低賃金でこきつかわれる実態。会社が社員に生命保険をかけ、社員が死ぬと会社が儲かる強欲資本主義。
 映画の終盤でたたかいにたちあがった労働者の姿を描く。会社を占拠した労働者を警察が弾圧にきたが、追い詰められた労働者のあまりの怒りにたじろいで撤退する姿が映し出される。
 アメリカ資本主義の姿は日本資本主義の姿でもある。ことしも年末派遣村が必要とされるかもしれない。映画は、革命歌「インターナショナル」で終わる。日本語のインターナショナルよりも英語のはテンポがいい。
 労働者必見!!年末おすすめの映画だ。 
コメント (2)
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