昨日夜の林道を走りながら歌ったのは、僕がそのとき唯一思い出すことができた民謡である『竹田の子守唄』だった。なぜそんな曲が口から出てきたかというと、「お~い、お~い」という呼びかけだと、1回「お~い」と叫んで、次にまた叫ぶまでの「・・・」という間が長く感じてしまってちょっと怖かったりしたからだ。それで途中から歌に切り換えたわけだけれども、普通の歌だとどうも声の通りがいまひとつだったり、一節一節の間が長かったりして気になってしまった。とくに昨日は風が強かったから、なるべく声が通るほうが良いと思った。そんなふうに考えて、思い出したのが『竹田の子守唄』だったのだ。
民謡については以前宮本常一の『忘れられた日本人』を読んでいて「なるほど」と思った記憶がある。そこには対馬の山仕事をする人たちが歌う民謡について書かれていたのだけれども、山のなかに分け入って山仕事をしながら歌うときの民謡というのは、そのあたりを通る人々に「自分はいまここらで仕事をしているよ」ということを知ってもらう意味があるというようなことが書かれていた。また山から家に向かって夜道を延々と歩いているときも、民謡を歌いながら歩くことによって「あぁ誰々さんがいま帰っていくな」ということをそのの人に知らしめるというような役割を果たしているということだった。小さいではたびたび歌会のようなものが開かれていたから、歌声を聞けば近隣のの人であれば「あれはどこの誰」というようなことがすぐにわかったらしかった(この歌会での歌の掛け合いが男女の交歓に一役かっていたというのも興味深い話だった。即席の歌詞でどんどん怪しい雰囲気をつくっていくというのがなんとも艶かしく感じた)。
そんなことを思い出しながら昨日『竹田の子守唄』を口ずさんでみると、こういった民謡は確かにそういう役割を担っていたのかもしれないと思った。歌の一節一節が長いし、息を吸う間は短めだし、絞り出すような通る声で歌われる。そういったことは夜や森の静寂のなかで自分の存在を絶え間なく誰かに知らせるという点においてはなかなか優れているような気がした。そしてそれは同時に動物たちに自分の存在を知らせるという意味も持っていたのではないかと僕は勝手に思ってしまった。
ところで僕が何で『竹田の子守唄』なんて知っていたかというと、以前桑田が“桑田佳祐が選ぶ20世紀ベストソング”と銘打ったライヴで歌っていたから。パシフィコ横浜の後ろのほうの席で僕は観ていたのだけれども、あれはなかなか楽しいライヴだった。それから昨日僕は『竹田の子守唄』しか思い出せなかったのだけれども、『島歌』なんかも民謡なんですよね。『島歌』でも悪くなかったなぁ。
僕なんかは民謡なんかには全然馴染みがない世代だけれども、夜の林道を走るときのために、あるいは夜に山のなかを歩くときのために、何曲か民謡のレパートリーがあってもいいのかもしれないと昨夜は少し思ったりした。昨日のように意図したとき以外でも、たとえば何かのトラブルで林道や山のなかで夜を迎えちゃうことがないとも限らないから(実際そういうこともあったし)。
民謡については以前宮本常一の『忘れられた日本人』を読んでいて「なるほど」と思った記憶がある。そこには対馬の山仕事をする人たちが歌う民謡について書かれていたのだけれども、山のなかに分け入って山仕事をしながら歌うときの民謡というのは、そのあたりを通る人々に「自分はいまここらで仕事をしているよ」ということを知ってもらう意味があるというようなことが書かれていた。また山から家に向かって夜道を延々と歩いているときも、民謡を歌いながら歩くことによって「あぁ誰々さんがいま帰っていくな」ということをそのの人に知らしめるというような役割を果たしているということだった。小さいではたびたび歌会のようなものが開かれていたから、歌声を聞けば近隣のの人であれば「あれはどこの誰」というようなことがすぐにわかったらしかった(この歌会での歌の掛け合いが男女の交歓に一役かっていたというのも興味深い話だった。即席の歌詞でどんどん怪しい雰囲気をつくっていくというのがなんとも艶かしく感じた)。
そんなことを思い出しながら昨日『竹田の子守唄』を口ずさんでみると、こういった民謡は確かにそういう役割を担っていたのかもしれないと思った。歌の一節一節が長いし、息を吸う間は短めだし、絞り出すような通る声で歌われる。そういったことは夜や森の静寂のなかで自分の存在を絶え間なく誰かに知らせるという点においてはなかなか優れているような気がした。そしてそれは同時に動物たちに自分の存在を知らせるという意味も持っていたのではないかと僕は勝手に思ってしまった。
ところで僕が何で『竹田の子守唄』なんて知っていたかというと、以前桑田が“桑田佳祐が選ぶ20世紀ベストソング”と銘打ったライヴで歌っていたから。パシフィコ横浜の後ろのほうの席で僕は観ていたのだけれども、あれはなかなか楽しいライヴだった。それから昨日僕は『竹田の子守唄』しか思い出せなかったのだけれども、『島歌』なんかも民謡なんですよね。『島歌』でも悪くなかったなぁ。
僕なんかは民謡なんかには全然馴染みがない世代だけれども、夜の林道を走るときのために、あるいは夜に山のなかを歩くときのために、何曲か民謡のレパートリーがあってもいいのかもしれないと昨夜は少し思ったりした。昨日のように意図したとき以外でも、たとえば何かのトラブルで林道や山のなかで夜を迎えちゃうことがないとも限らないから(実際そういうこともあったし)。