湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

声をからして夜の林道を走る

2007年05月18日 | 自転車生活
 先ほどまで丹沢の林道を走っていた。暗くなりはじめてから出かけるのはどうかとも思ったのだけれども、ここ最近のもやもやしたものをすっきりさせたいという衝動が結局勝った。

 勾配のきついゲートまでのアプローチを少し気合を入れて上り、ゲートのすぐ手前にある湧水の汲み場についたときはあたりはほとんど暗闇に包まれていた。自転車で静かに水汲み場に近づいていったら、水を汲んでいたおじさんが「うわぁ!」と声をあげた。「熊かと思ったよぉ」とのこと。林道のゲートには確かに“熊出没注意”の看板がかかっていて、そのおじさん曰くなんでも先週にも熊が出たらしい。「これから走るのかい?」と言うおじさんに、「すぐに抜けるんで大丈夫です」と言いながらボトル1本分の水を入れさせてもらってゲートをくぐった。

 この林道は、ゲートまでは16%の勾配の坂があったりしてかなりきついのだけれども、ゲートをくぐってしまえばそんなにきつい勾配の坂はない。そんな坂を、人が入り込んでいることを熊に知らせるために「お~い、お~い」と声をあげながら上る。熊は臆病な動物だから滅多なことでは出くわしたりはしないだろうと思いつつ、でもやっぱり若干の恐怖心を感じながらペダルを漕いでカーブを曲がったらいきなりでかい動物が2~3頭、林道から山の斜面を駆け上っていった。一瞬心臓が止まりそうになったが、よく見たら鹿だった。あぁ、焦った。熊はともかくとしても、いまくらいの時間は森の動物の動きが活発なのだろう。

 その鹿との出会いを境に、おおげさでなく次々と動物たちがあらわれた。暗くてよく見えないけれども、たぬき(アライグマっぽかった)のような小動物から、鹿のような中型の動物まで。鹿はところによっては、山の斜面に目をこらすとうようよいた。これだけ動物の密度が濃ければ熊だっていてもおかしくないと思った僕は、やたら声をはりあげて歌を歌いながらペダルを漕いだ。そんなわけで林道を抜けたときはすっかり声がかれてしまっていた。



 本当はその林道を走ったあとは浅間山林道経由でヤビツを目指すつもりだったのだけれども、最初の林道を走った時点ですっかりやる気を失くしてしまった。夜の林道だからちょっと不気味であろうことは覚悟していたのだけれども、動物たちのことまではまったく考えていなかったのだ。そんなわけで、その林道からは結局まっすぐ帰宅することにした。

 毎度ヤビツばかりじゃつまらないと思って、今日は普段走らない林道を走ってみたのだけれども、夜走るのであれば車がしっかり通る場所じゃないとちょっと怖そうだ。そんなことを実感した今夜の林道ランだった。


林道途中から街の灯かりを見下ろす