湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

疲れる読書、疲れる映画

2006年11月28日 | 日常生活
 『K2 非情の頂 ~5人の女性サミッターの生と死~』、ようやく読了。

 8611mとエベレストに次ぐ標高を誇るこのK2という山に登頂した女性は、2004年の7月までわずか5名に過ぎなかったらしい。そしてそのうちの3名は頂を踏んだあとの下降中に亡くなり、残りの2名もその後のヒマラヤでの登攀中に命を落としている。この本は、今は亡きその5人のK2女性サミッターの登攀の記録、人生の記録をえがいたものなのだけれども、まったくこれが大変疲れる読み物だった。8000mを越える場所での生死を賭けた自然とのやりとりは、ただ文字を追っているだけのこちらさえも充分過ぎるほど疲労消耗させてくれた。

 ただ今回ここまでぐったりと疲れてしまったのは、多分自然との闘いがあまりに過酷だったからだけではないような気がする。この本では女性こその野心や嫉妬、むこうみずさ、家族や友人、恋人などとの関係や問題などもかなり描かれていた。そういったあれこれがあった上で、それでも高みを目指す彼女たち。あるいは高みを目指さざる得なかった彼女たち。その良し悪しは別にして、そういった部分に関してもこの本はかなり読みごたえがあったように思う。

 図書館でこの本を借りたときは、返却期限までに読み終えるのは厳しそうだなと正直思った。まぁそういうことも結構あるから、それならそれでいいやとは思っていたのだけれども、結局4日くらいで読み切ってしまった。最後のほうは読み終えるのが惜しくて何度も本を閉じて、間を置いたにもかかわらず。まぁとにかく厚さとずっしりとした重量感に負けないで良かった。

 この本を読み終えたあとはもう少し山岳モノに浸ろうと、アンデスの雪の壁での遭難、そして劇的な帰還を題材にした『運命を分けたザイル』というDVDを観た。新宿のアイマックスシアターでこの映画を観たときは、最後乾きに耐えながら折れた足を引きずってベースキャンプまで下山するシーンにこちらまで喉がからからになって仕方がなかった(かなり単純な人間なのです)。何度もペットボトルに手を伸ばしたことをよく覚えている。

 でもK2の本を読んだすぐあとに観る映画としては、これはちょっと度が過ぎていたのかもしれない。20分くらい観たところで異常に疲れが出て、そこでDVDをとめてそのまま寝てしまった。で、起きたらまぁ翌朝の4時だったと・・・。寒冷地などでは疲労した状態で眠るとそのまま死んでしまったりすることがあるけれども、とりあえず僕は生きていた。良かった。って、どんなに厳しい山岳モノに浸ったところで、ここは湘南。そうそう死ぬわけはないのである。