山の記憶 (百名山・二百名山・三百名山)

山スキー、その他の山行もあります。

大山の沢を滑降する(その3 別山沢) 

2009年03月29日 | 大山を滑る
 

09年3月29日(日)、大山へ。 先週、振子沢を滑り、今年のスキーはこれで終わりかなと思っていた。その後天気は崩れどうも大山は雪の気配。山の様子見を兼ねて大山へ向かう。できれば8合沢を滑りたいが・・・。

 大山寺駐車場は積雪。思いの外積もったようだ。駐車場は無料となっていた。 



 日曜日のせいか登山者も多い。雪はしっかりあり何とか滑れそう。夏道から素晴らしい雪面が見える。スノボーの若者も見える。倉敷からとのこと。



 頂上小屋は姿を現していたが雪はまだまだ多い。新潟から来たという男性に会う。鳥海山の話を聞く。鳥海山では、4時間ぐらい歩いて、30分くらいで滑り降りるとのこと。日本海も見えるから、さぞ爽快なことだろう。



 頂上で一滑りして雪質を確かめる。雪は少々引っかかる感じだが悪くはない。滑りながら8合沢へ向かうと・・・。
 なんと別山沢にシュプールが・・・。頂上で一緒になった岡山のスキーヤーがここを滑るというので、8合沢はやめて私も滑ることにする。こんなチャンスはそう無いだろう。初めて滑る沢だが今日は下まで雪がつながっているとのこと。







 出だしは斜度も適当にあり、まずまずといったところ。雪にもうまく乗れターンも快調。写真は岡山のスキーヤー(テレマーカーではない)。


 別山沢は、下部がロート状に狭まるのでここの通過が要注意。上部が狭い8合沢とは逆だ。両沢とも下部で合流する。
 気をつけなければいけないのは、雪崩と落石、それに雪の量。雪が少ないと、下部の雪切れることがある。今日はしっかり雪に埋まっていて安心だ。一休みしていたら、ボーダーの若者が滑り降りてきた。 





 別山沢全景。期待の薄かった今年の大山だが、思わぬ収穫があった。一体、いつまで滑れるのだろうか?




 北壁のど真ん中、大屏風と子屏風の間にトレース。2名のスキーヤーが挑戦中とのこと。さぞいい気分だろうがいくまでがきつそうだ。一度は滑ってみたい斜面なのだが、落石と雪崩が怖い。いい条件の日に挑戦しよう。今年はどうかなあ?


大山の沢を滑降する(その2 振子沢)

2009年03月22日 | 大山を滑る
 3月20日、大山寺とやま旅館泊。翌朝、元谷から上宝珠を越え、小すべりを詰め11時過ぎに尾根に立つ。天気は上々、雪はザラメ。滑るには申し分なく、きつかった登りの苦労も汗とともに消える。

 元谷出合いにて 北壁にはまだまだ雪。




 上宝珠取り付き辺りより 



 春の北壁 別山が美しい



 鈴木さん



 三島さん





 小すべりの登り 



上宝珠への取り付き辺りでアイゼンを着ける。その年の雪の状態にもよるが、上宝珠尾根へは幾筋かの雪の斜面がある。どの斜面を登るかは、その時々の様子を見て決めることにしている。今日は、ローソク岩(昔ローソクのような形をした岩峰があったが今は無くなってしまった)の横辺りから雪壁に取り付く。暖かいと落石の心配があるのでいつも気を遣うところだ。かすかに落石の音を聞く。北壁のどこかからだろう。
 急斜面を登るには、ピック付きのストックがあると心強い。本来なら、ピッケルを使用する場面だろうが・・・。尾根筋には灌木があるのでスキー板がからまり、最後の最後がいやらしい。何とか尾根にはい上がる。Sさんも、Mさんも真剣そのもの。
 尾根伝いに2名の登山者がやってきた。聞くと中宝珠からとのこと。我々のことを何と思っただろうか。
 上宝珠からは、小すべりを登る。落石が頻繁にあるので右寄りに登る。今日は滑るに良さそうな雪面となっていている。アイゼンもよく効く。先週はバリバリの状態で滑るには少々怖かった。
 何度も息を継ぎ、やっと登り切る。ここまでくるといつもホッとする。一息入れているとユートピア小屋方面から縦走者が数名やってきた。大荷物の縦走は苦労するだろう。
 



 いよいよ振子沢へ



 油断大敵



烏も見えてきた



 テレマークターン




 地獄谷にて ここからキリン峠へのきつい登り返しが始まる




 キリン峠にて もう登りはない。後は楽しい滑降が待っている



 キリン峠からの滑降点(その1)どちらに滑り込んだらいいのかな ?





 キリン峠からの滑降点(その2) こちらは緩斜面 ?




 今日もまだ、振子沢にはしっかりと雪があった。何組かのパーティに出会う。どの組も、鍵掛峠下の駐車場からスタートしているらしい。鳥越峠を越え、地獄谷へ下り、あとは延々振子沢を登るコース。元谷からのコースとどちらがいいのかわからないがこちらからだと危険は少ない。
 来年は、このコースに挑戦してみるのもいいかもしれない。
 キリン峠からやや鳥越峠方向に滑る。出だしは急だが、この斜面が今回一番楽しかった。ザラメ雪が滑るのに理想的な状態だったからだろう。思いのままに滑り駐車場前で板をはずす。全員大満足で帰路につく。

大山の沢を滑降する(その1 大沢・おおのさわ)

2009年03月03日 | 大山を滑る

 夏道より。今日はどこでも滑れそうだ
 


  冬が終わりを告げ、春の息吹を感じる頃、大山の沢は山スキーヤに最高のゲレンデを提供してくれる。
 車の中から、或いは駐車場から、或いはゲレンデのリフトから眺める雪を頂いた大山。その頂上付近から一本の滑降ラインを引いてみる。そして、そのラインを滑り下る。
 思っただけでも胸が高鳴る。スキーを担ぎ、あえぎながら頂上を目指す人たちの思いは誰も同じだ。
 幾分危険をともなう頂上からの滑降だが、ワンターンにかける心身の緊張と充実はゲレンデでは決して味わうことができないものだ。
 幸いなことに、山陰にはこんな素晴らしい滑りをt提供してくれる山、大山がある。標高こそ1711mと富士山や槍穂などに比べると低いのだが、約1000mの高度差を一気に滑り降りる素晴らしさは少しもひけをとらない。
 大山に雪が積もると、いつもそわそわする。もう滑れるのでは、もういいのではと気になって仕方がない。今期も、早々とスキーを担いで頂上を目指したのが1月20日だった。しかし、雪の状態がよくなく、頂上付近はカリカリ、中腹はモナカと楽しむにはほど遠い状態。残念だが今の自分の技量では無理。6合までスキーを担いで降り、ややモナカ気味の斜面を元谷へ滑り込む。
 

そして28日。久しぶりの快晴に誘われ頂上を目指す。



 頂上小屋は雪の城




大沢(おおのさわ・ゼロ沢上部を見る)
 

 
 堰堤は雪の下



この日の大山はどこからでも滑れそうな様子。どこからやろうかと考えながら頂上を目指す。八合沢もしっかり雪が付きおもしろそうだ。とにかく頂上まで登り様子を見ることにする。
 雪の多い時期は、普段は滑ることができない大沢(ゼロ沢)の滑降が可能となる。この沢は日当たりがいいから雪解けも早い。また下部の堰堤が顔を出すのも早いから滑るチャンスを逃すことが多い。
 間の沢などは最高だろう。間の沢とは、大沢と一の沢との間にある沢のこと。正式な呼び名はないのでこのように呼んでいる。米子道の大山IC辺りから見ると桝水の直ぐ後ろ近くにあるのが大沢で、その右側に長く流れている沢が間の沢。
 この沢を滑り降りると大山環状道路と小鳥の散歩道がぶつかる辺りに出る。

 この日は、大沢を滑ることにする。頂上付近で2,3度スキーの感触を確かめて沢に滑り込む。弥山頂上から一気に滑り込むことのできるのがこのコースのいいところだ。すぐに狭まってくる沢を、右手にトラバースすると一気に視界が開け、その景色に圧倒される。この感触はこのコースの醍醐味の一つだが、とにかく広大な雪の斜面の中にポッンと置き忘れられたような気分にさせられう。
 斜度もあるから、技術的な問題は無くても心が圧倒されて恐怖感におそわれる。
私の場合の山スキーは、この恐怖感との戦いでもあり、このときの感覚が逆に何とも言えない。
 桝水のゲレンデをちらりと見ながらターンを繰り返す。最初の堰堤までが一つの区切りとなる。予想通り堰堤のほとんどは雪に埋まっている。雪の少ないときにはぐるりと回り込まなければいけないがこの日は真ん中を滑る。
 多少ブッシュの出た沢を下ると小鳥の散歩道に出る。後はビンンディングをフリーにして大山寺まで滑り歩く。