知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

絶対的正義などない。

2013年01月27日 | 国家論
ロールズの「正義論」がマイケル・サンデル教授のおかげで、
 売れる本になった。

政治学といったマイナーな学問が着目されるようになった。

とてもよいことだと思います。

政治学(政治思想史)のよいところは、
 いろいろな考え
を学べることです。

日本人が苦手とする
 自分で考えて選択する
ということが学べます。

正義とは?というレポートの課題を与えられたとすると、
今の学生は、ネットなどで検索して、
 答えを出そう
とします。

しかし、
 絶対的正義などない
わけです。

物事は、
 見方を変えると正しいことが正しくなくなったり、
 事実が事実でなかったり
します。

日本人は、時代劇の影響から、
 正しいものが勝つ
と思っている人が多い。

しかし、正しくても、お金がないため、
 権利を実現できず泣き寝入りをしなければならない
ということも結構あります。


正義とは?のレポートでは、
 いろいろな正義の考え方を紹介し、
 自分の考える正義論の筋道を論理的に述べれば十分
だと思います。


ポイントは、
 「自分の考える」
というところです。

考えは人それぞれ。
正義も人それぞれ。

育ってきた環境などにより、
 正義論が異なる。

貧しい生活をしてきた人からすれば、
 今の世の中の不平等に対し、厳しい見方をする
ことになるはずです。

結果的に、配分的正義(福祉主義の根拠)に傾く。
サンデル教授の共同体主義も同じ。
富を築き上げることができたのは、社会的資源を利用できたからで、
 その人の努力のみではない
ということを強調するのは、
 社会的資源=共同体のおかげ=共同体維持のための財源負担の正当化
という論理を導くためです。

これに対し、
自分で努力して、人が遊んでいる時に働いて、富を築き上げてきた人からすれば、
 ノージックやハイエクのように、高い税負担は国家による収奪だ
となるわけです。

親が自営業者で、大変な思いをしているのを見て育ってきている人も同じ。
補助金の恩恵が受けられない小さな事業主であれば、その思いは強くなる。
 共同体が自分たちのために、何をしてくれたんだ
ってことになる。


つまり、
 正義というものが何色であるかを見てみよう
と思っても、
 色の違うメガネで見ているので、一致することは難しい。

ロールズは、
 無知のベールという概念を用いて、自分がどんな立場にいるか分からない状態で判断する
という「条件」をつけ、
 そこでの選択に正義を見出す
そうとしたものの、
 そもそも、そのような条件づけは無理であるし、
 そういった条件の合理性が保障されても、内容的には合理性を欠いた結果になる
おそれがあるわけです。
(一般的には、弱者に配慮することになるので、過剰な福祉に向う。)

そうなると、
 正義って?

それを、自分で考えてみるとよいと思います。


そして、
 福祉予算が激増し、おそらく、消費増税でも間に合わなくなる日本においては、
 こうした議論が今後活発になってくる
と思います。

今は、まだ、過剰福祉主義の犠牲者が少なく、
 自分に関係ない
と思っている人が多いので、
 深刻な問題になっていない
わけです。

あと、10年か20年して、
 消費税が20%、所得税が300万円世帯でも40%、社会保障費や介護保険料などが引かれ、
 がんばって働いても、手取りがわずかで生活できない上に、
 老後の保証もないじゃないか!
となった時に、
 その原因は、働かないでお金をもらっている人たちのためだ
と税制に不満を持つ国民の割合が多くなる。

そうなると、
 小さな国家的な政策が大衆に受けるようになる。

今の所得税は、高所得者からすると、負担が大きいものの、
 マジョリティはそこまでの負担感がない
ようにできているわけです。

これが、そうは言っていられなくなり、
 一律増税するようになったときに、大きく考え方が変わる
と思います。

課税額を引き下げたり、一律で10%引き上げたり、基礎控除を削減する等といった場合は、
 関係者が多くなります。

それが怖いので、
 関係者が少ない超高所得者の所得税と、相続税の増税
を検討しているわけです。

ただ、それだけでは、
 モラルハザードを起こしている社会保障費の激増
に対応できるはずはありません。
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