知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

社会について考える9 分裂

2014年03月18日 | 国家論
社会としてのアイデンティティと相互理解がないと、
 社会は分裂の道をたどる
ことになります。

今のウクライナ情勢はまさにこんな感じです。

親欧州のキエフを中心とする西側。
親ロシアのクリミア半島。

民族、言語、宗教、経済圏が異なる場合、
 人を結びつけるものは実利。

一緒にいたほうが得だから。

夫婦や家族も、離婚するより一緒にいたほうが得だからという理由で、
 一緒の家族もいるはず。

それと同じ。

アイデンティティが愛と同じく
 精神的な結びつき
だとすると、
 アイデンティティがない場合、実利
で結び付いているということ。


また、結びつけるもののもう一つは…


そう、恐怖。

ウイグル自治区やチベット自治区などがこの例。

飴と鞭で異なる民族を
 同じ社会に取り組んでいる
わけです。


ウクライナの場合は、
 ヤヌコビッチ大統領が欧州との関係を強化する連合協定
に消極的であったことから、親欧派による暴動が起き、
 政権が倒れた。

これを正義とし、
 アメリカ、欧州は新政権を支援。

これに対し、ロシア系が多いクリミア半島では危機感を抱く。
そのため、
 クリミアが住民の意思でロシア側につくことを決めた
という「正当性」を作るために、
 住民投票を行った
わけです。

この流れは、すべて、社会としての正当性を築くためのもの。

かつて、冷戦の時は、こういった衝突が多くありました。

 東西で国家が分かれた
のは、それぞれにソ連、アメリカの支援が入って、
 その国の国民が分かれた
ためです。

冷戦の終結により、
 世界がグローバル化すると、
 民族よりも実利を重視した国家の分化
が起きるようになります。

分化するための正当性は、
 国民投票。

そして、それにより、実利を得る国が応援する。

世界的には、
 ロシアに正義はない
ようなスタンスですが、
 これはアメリカの理論であって、クリミアの住民の主張とは異なる
わけです。

ここから、
 正義は相対的なもの
だということが分かります。

アメリカの正義は、
 アメリカを中心に構成される。

ロシアの正義は、
 ロシアを中心に構成される。



これで、困ったことになったのは、日本です。
ロシアとの関係をこれから深めて行き、
樺太の開発とエネルギー輸入を推し進めようとしていただけに、
 アメリカの顔色を伺うとロシアと親しくできない
ようになってきました。

小さなウクライナという国家から
 世界を巻き込んだ紛争に発展しつつある
のが現状です。
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社会について考える8 個と理解

2014年03月05日 | 国家論
「大統領の執事の涙」は、
 歴代大統領に仕えた黒人の執事の話。

人種差別がなされ、隔離政策が採られていたころのアメリカ。

飲食店の席もバスも別とされていた。
その際の正義は、
 白人は白人の学校へ、黒人は黒人の学校へ
というもの。

そのため、黒人が白人の席に座れば、
 法を犯したことになり処罰された。

社会はそれが当然であると考え、受け入れていた。

しかし、
 黒人にも平等な権利
 人権があるのではないか?

公民権運動がおこり、確かにそうだなという見解が人々の意識を変え始める。

様々な大統領の意識も、
 誇り高き黒人執事と関係を築き、信頼し合うようになり変わっていく。


白人の席に座った黒人を暴行したり、
公民権運動を暴力で取り締まる白人の方が、
 人として醜く映るようになっていく。

最終的には、
 選挙権が認められるなど平等な権利が認められるようになっていく。


確かに、差別意識を有する者は残っているものの、
 法は差別を禁止し、社会は平等に扱うことを正義とみなした。


これが、アメリカの暗部と言われる黒人の迫害と、
 その問題を人権という観点から乗り越えた誇り高き歴史
です。


そして、
 これが、社会を崩壊から救う唯一の方法。


すなわち、
 人はそれぞれ異なる存在である
ことを認め、
 みんなが幸せに暮らせるようにするということを目的
として、
 ルールを決め、ルールを守り、
問題が起きたら、
 話合いをし、様々な意見を聞き、必要があれば、
 ルールを変え、新たなルールを守る。

これが、社会が存続するための方法。

つまり、
 社会が自らを変革する仕組をもつようにする。

これがないと、
 社会は倒され、新しい社会が誕生する
という
 暴力と多くの血(犠牲)という方法を採らざるを得なくなる。


そして、自らを変革するという方法を持つためには、
 知的な構成員が必要となる。

その構成員は、
 様々な意見を聞き、きちんと異なる意見を理解し、
 自らの考え方を検証し、
 自らの考え方が誤っていると気が付いたら勇気を以って誤りだった
と認めることができる知性を有していなければならない。

これが、なぜ、議会で話合いの時間を採らなければならないのかという理由です。

今の日本のように、予め党議拘束をかけ、
 議論の場をセレモニーとしか考えていない
ような議会はなくてもよいわけです。

すでに、賛成するか反対するかは決まっているからです。
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社会について考える7 武力による解決

2014年03月03日 | 国家論
話し合いで解決できなくなると、
 武力により、相手を制圧しようという流れ
になります。

これが、今のウクライナ。
クリミアにロシア軍が入り、制圧しました。

暫定政権はこれに対し、批判をしていますが、
クリミアでロシア支持の人もかなりいるので、
 国際社会も評価が難しい
わけです。
ロシア支持者からすれば、
 味方が来てくれた
というわけです。

 暫定政権はロシアが西側にも侵行してこないか
 侵行してきた場合にはEUから軍を派遣してもらえるか
という点が重要な関心事になっています。


これが、一つの社会において、
 正義が分かれる場合
の問題点です。

仮に、武力で制圧しても、
 不満の原因が取り除かれない限り、新たな武力の力を借りて、その権力を倒そうという動きが高まる。

この繰り返しにより、国家は疲弊し、国民の暮らしはますます悪化していく。

中国の新疆ウイグル自治区も、チベットも同じ。

ただ、民族=社会と必ずしもリンクするのが望ましいというわけではないことが、
 さらに問題を複雑にしていきます。

例えば、
 同じ民族でも、宗教が異なれば、より立つ正義が異なる
ことになります。
また、
 民族も宗教も同じでも、経済的な階層が異なれば、より立つ正義が異なる
ことになります。

細分化していけば、
 ひとそれぞれ異なる
ので、
 最悪、社会は崩壊する
ことになってしまうわけです。


では、どうしたらよいのか?

これは、人類が長年にわたって挑んできたテーマです。

戦争や紛争がない平和な時代は、いかにして生まれるのか?



この答えは、
 人が知的に成長し、みんなが幸せに暮らせるような社会を築く
ということになります。

国家や社会は、ツールにすぎないので、
 最終的には帰属する人がそこそこ幸せに暮らせれば、みんなにとってよいツールである
ということになるので、
 だれもそのツールを壊そうなどとは思わない。

あるいは、一部の者が壊そうと思っても、
 その思いは伝わらず、支持されない。

壊そうという思いが伝わる理由は、
 同じように不満に思っている人がたくさんいる
ためだからです。


実は、過去にこの問題を乗り越えた国があります。
それは、アメリカ。

アメリカが人種のるつぼといわれ、世界中から多くの人がハーバード、MIT等に学びに行くようになったは、
 強大な国家だからという理由だけではなく、
 この国が乗り越えてきた歴史と関係がある
と思います。

それが「大統領の執事の涙」で描かれています。
http://butler-tears.asmik-ace.co.jp
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社会について考える6 社会の分断

2014年03月02日 | 国家論
正義が相対的であるならば、
 その正義を語るものにおいて、対立が生まれる。

これをイメージしやすいのは、キリスト教の対立。
カトリックとプロテスタントの対立が、
 欧州における戦争を生んだ。

どちらにつくか、どの国の味方になるか、どの国と同盟を組むか。
背後には、
 宗教的な思想観=正義
があるわけです。

この正義は、宗教以外にも、民族、文化、経済など、
 いろいろなものが影響してきます。


対立が生まれたときに、
 話合いで解決
が可能であれば、一番よいわけです。

民主主義は、話合いで解決するための制度。

民主主義のルールは、
 多数決で決める。
 決められた案には、不服であっても必ず従う。

このルールが守られないと、
 民主主義が機能しなくなる
わけです。


そうなると、権力を倒すという動きにつながり、
 この時点で、民主主義に反する行動をとることが「正義」となる。

この段階で、正義が覆るわけです。

従前の正義と新たな正義の対立が生まれると、
 国が転覆するか、国が分断する
ことになる。

これが、
 ウクライナ。

大統領が不在。
欧州側の西部と新ロシア側の東部・南部の対立。


また、タイなどでも暴動がおこっていたり、
エジプトも政権が安定していない。


なぜ、こういう現象が生まれてきたのか?
なぜ、国民は、国家の繁栄という一つの目標のために、一致団結できないのか?

エジプトやタイのような環境資源が豊かな国であれば、
 思想や正義論が異なるものとも、共通の豊かな国をつくるために手を結んで、
 治安を安定させ、観光客を増やす政策を協力していった方がみんなのためになることは明らか
であるにもかかわらず、
 なぜ、そうしようとしないのか?

この問題は、タイやエジプトのみではなく、
世界規模でも同じことが言えます。

「協調による方が利益を生む」ことを理解しながらも、
強調ではなく、対立を選択する。

日中関係も、日韓関係も同じ。
韓国からすれば、日本との関係を良好にしておいた方が、利益が大きいにもかかわらず、
その選択はできない。
経済が悪化しているため、企業を中心に日本との関係を改善するように求める論調も大きくなっているが、
政権が倒れかねないため反日政策はやめられない。

中国も同じで、仮想敵国がいないと、経済が悪化し農村部の生活が追い込まれたときに、
国家がまとまらなくなるおそれがある。


そのため、強調ではなく、対立を選択する。

相手と手を組むことによる利益よりも、
 敵に対する憎悪と恐怖により、社会(同じ正義をもつまとまり)をまとめようとする。

戦争の原因は、
 この憎悪と恐怖。

憎悪と恐怖を権力を有する者が利用している。

なぜ、そうしなければならないのか?

ここで、初めに戻るわけです。

すなわち、
 経済が安定しており、国民が幸せに暮らしている
のであれば、
 社会をまとめることは難しくない
が、
 経済が悪化し、国民に不満が高まると、
 社会をまとめる
ことが難しくなる。

その際に、
 この憎悪と恐怖を利用し、国家をまとめようとする。


タイもエジプトも、
 対立が深刻化したきっかけは、経済の悪化による。


そのため、
 国家がすべきは、国民を幸せにする
ということ。

結局は、社会契約論に行きつくことになります。
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