知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

プラットフォームを築いた者が勝つ。

2016年09月29日 | スキルアップ
結局、人、モノ、金、情報を集めたものが勝つ。

そのために、
 魅力的なプラットフォームをいかに築くか
が勝負です。

中国が急激に成長できたのも、
 お金を垂れ流して、資金を呼び込み、
 規制を緩和して、事業をしやすくし、人(事業)を呼び込んだ
ため。

 低い人件費、たくさんの労働人口、大きな市場
で、
 儲かると企業が信頼した
ため、
 進出する企業が多かった。

それが、
 国債が膨れ上がり、爆発のリスクが高まり、
 シャドーバンキングの存在が明らかになった
ことから、
 お金が底をつくのではないか
という不安が生まれる。

そして、
 人件費の高騰、
 南シナ海をめぐる政情不安
など、
 プラットフォームの魅力が薄れ、撤退企業が増えている。


いかにしてみんながやってくるようにするか。
この点が、非常に重要な視点となります。


資格の受験も同じで、
 持っていても仕方がない資格
については、
 ビジネスの規模は大きくならない。

司法試験の資格は、
 独占
として、
 国が保護している
ので、
 資格としての価値は大きい。

しかし、この独占権限を
 簡易裁判所の訴訟代理権を司法書士に与えたり、
 税理士、社労士などについても、権限を与えている
ので、
 士業に対する希少性
が薄れつつある。

さらに、急激に合格者を増やしたことにより、
 需要と供給のバランスが崩れ、
 格差が生まれている。

質の悪い弁護士の数が増える。
 それにより、相対的にも不祥事の数が増えていく。
 その結果、信頼についても失われていく。

資格の価値が、
 いろいろな原因で低下している
ということで、
 プラットフォームの魅力が失われている
ということです。


将来的には、経営が成り立たなくなるような事務所が増えてくる。
薄利多売型が適さない業務に、過当競争が起こることになるので、質の担保はされなくなる。

薄利多売が適さない業務は、医療、福祉など。

大変で儲からない仕事は、引き受けてもらえなくなる。

現に、過払い、債務整理をCMで謳っている司法書士の事務所は、
 過払いなど利益につながる部分だけ受任し、残りは地元の弁護士にお願いしなさい
などと倫理的に問題である対応をしているところもあります。

弁護士の実力は、第三者からはわからないので、
 当たりはずれが激しくなる
というわけです。

そのため、
 PRする能力が重視される
ことになります。

過払いバブルの時に、このことを実感した人もいるはず。

弁護士のCMと消費者金融のCMが同じような感じになった。
一方は、
 貸しますよ。
他方は、
 取り戻しますよ。
というベクトルが逆ということだけで、
 手法は大して変わらない。

ただ、プラットフォームを築いた法律事務所や司法書士事務所は、
 大金を得た一方で、
昔ながらの事務所は
 窮地に追い込まれている。

こういう時代をどのように生き抜いていくのか。
 利潤を追求するだけでよいのか。

これからは、今まで以上に、
社会的正義の実現といったプロフェッションとしての役割と
利潤との
 絶妙なバランス感覚が求められるようになっていく
と思います。
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プラットフォーム戦略からみる司法制度改革の大失敗4 

2016年09月21日 | スキルアップ
ロースクールに行かなくても、予備試験に合格することで、
 司法試験を受験できる
という制度があります。

本当に優秀な学生は、ロースクールなど行かず、
 大学在学中に、予備試験を受け、合格しています。
http://www.moj.go.jp/content/001166781.pdf

これにより、ロースクールに通う2~3年と
学費の300万円を節約できる。

予備試験は、H27のデータで1万人が受験し、394人ほどが合格しているので、
 3~4%の狭き門。
さらに、大学在学中は74名。

ちなみに、
 予備試験合格者の司法試験合格率は61%で、
 ロースクールの21%の3倍。

 ロースクールいらないじゃん
ということに。
H26年データでは、司法試験合格を理由としたロースクール中退が52名。

つまり、ロースクールは、
 司法試験の受験資格を得るため
だけのものであり、
 予備試験、司法試験に合格すれば、ロースクールで学ぶ意味は無い
ということ。

ロースクールを修了すれば、法務博士(専門職)という
 専門職博士号
がもらえるが、
 別にほしくはない
ので、
 さっさと中退して、1年でも早く実務に出て、
 ローファームのパートナー目指したサバイバルゲームに参加したい
というわけです。

大学在学中で予備試験に合格した12名の司法試験合格率は、
 なんと100%。
全員受かっている。

こういった学生は、他の合格者より若いので(20~22歳)、
 大手渉外事務所や裁判所がほっとかない
わけです。

就職難と言われているものの、
大学在学中の合格者は就職に困ることもありません。


おそらく、ロースクール受験生が激減し、
 新司法試験の合格者の質が低下
した場合には、
 法務省は予備試験を重視していく
ことになると思います。

事実上の旧司法試験の復活として、
 優秀な学生が予備試験に集まるようにし、
 新たなプラットフォームを築く
というわけです。

そして、
 予備校も予備試験をビジネスチャンスとして考え、
 予備試験対策講座に力を入れていく。

http://www.itojuku.co.jp/topics/shihou_nyumon/route/index.html



結局、もとに戻るというわけです。

プラットフォームを棄損した場合には、
 プラットフォームの立て直しには、時間とお金がかかるので、
 新たなプラットフォームを利用したほうがよい。


ロースクールを前提とした司法試験合格者のブランドは崩壊したものの、
 新たに、予備試験を突破したエリート司法試験合格者のブランドが生まれている。

そして、予備試験が旧司法試験と同様、新たなプラットフォームになる。

予備試験をビジネスチャンスととらえ、
 予備校は全エネルギーを投入する。

 新たな受験生もお金と時間も節約でき、かつ、ブランドイメージが強く就職に有利な予備試験
に集まる。

 予備試験の受験者数は今後どんどん増え、それに伴い、ロースクール受験生は減る。
 ロースクールは、経営が成り立たなくなって、どんどん閉鎖に追い込まれる。
 弁護士会は合格者をどんどん減らせと圧力をかける。
 難関試験に戻る。



*****
結論的には、ロースクールなど作らずに、合格者を段階的に増やしていけばよかった。
失敗の原因は、ロースクールに期待しすぎたこと。
ロースクールで実務的なことを教えようとしたものの、
時間が足りないので中途半端な知識となり、実務では使えないものだった。

また、基礎である民法などの知識を十分に教え込む場がなくなってしまった。
実務的なものは、法律事務所に就職した後に努力して身に着けても遅くはないが、
基礎が身についていないと、応用力が身につかない。

 結局、知ったかぶりになってしまうということ。

予備試験組は、予備校で徹底的に基礎をたたき込まれるので、
(自習室にこもって、一日中勉強している)
中途半端に大量の科目を勉強して、消化不良になっているロースクール生よりも
司法試験の合格には有利となる。

これからの弁護士業界は数が増えた結果、競争が激化する。
ただ、実力を身に着けていけば、生き残ることは難しくないと思います。

どんな業種でも競争があるからです。

ただ、法曹は、社会的正義の実現を目的としているので、
 お金にならなくても、やらなければならない仕事がある。

過度な市場原理により、こういう活動が廃れていくことになるはず。

そういう分野を法テラスが拾っていくというスタイルになるのでしょうが、
 弁護士がお金を目的とせざるを得ない世の中にはなってほしくない
と思います。

過払い金のCMを見ると、そんな気持ちになります。 
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プラットフォーム戦略から考える司法制度改革の大失敗3 ロースクールの崩壊

2016年09月20日 | スキルアップ
司法試験改革の失敗は、
 司法試験合格というブランドを棄損した
こと。

ブランドイメージとは、
 司法試験に合格すれば、
 弁護士や検察官、裁判官になれて、初任給500万円以上、
 その後も活躍次第では1000万円から2000万円の報酬が確保できる。
 場合によっては、さらに稼げる。

 社会的意義のある仕事ができて、ステータスも高い。
 
 だから、今、がんばって、いろいろなものを犠牲にして、
 予備校に通ってお金を使っても十分元が取れる
という「信頼」のこと。

それが、合格しても、
 就職先がなく、携帯弁護士とか、年収200万円などという低所得者がいる
という報道がされることで、
 一気にぶち壊された。

その結果、
 高いお金をかけて、
 若い貴重な時間を使って、
 ロースクールに行く意味がない
ということになり、
 結果、ロースクールの受験者数が大幅に減った。


合格者が数パーセントでも、
 合格すれば、輝かしい未来が保障されている
というブランド(信頼)があれば、
 受験者数は減らない。


そして、
 このブランド(信頼)の崩壊が、法曹界全体の停滞につながる
おそれがあるわけです。

優秀な学生が、
 司法試験に見切りをつけ、
 国家一種や大企業への就職に走る
ことで、
 ロースクールの学生の質がさらに悪くなる。

ロースクールで切磋琢磨する環境が生まれなくなると、
 成長できない。

アメリカでハーバードロースクールの人気が高いのは、
 周りの学生の質が高いこと。

その結果、レベルの高い卒業生、教授、一流のローファームの就職など、
 ハーバードブランド
が生まれ、さらに、ブランド価値は高くなる。


しかも、今後、日本で弁護士の数が劇的に減るということは考えられないので、
 待遇が良くなる見込みはない。
むしろ、
 これから数年でロースクール組がどんどん独立して、法律事務所が乱立し、
 弁護士報酬が下がっていく
ので、
 ロースクールに入って、法曹を目指そう
という人が増えるとも考えがたい。

結果、「法曹」というプラットフォーム自体が衰退する。


プラットフォーム戦略とは、
 場を提供することで、そこに人とお金を集め、
 顧客を囲い込む戦略
です。

サービスの例として、デパートや、ITUNEなどが例に上げられる。

プラットフォームに魅力がなくなると、
 人が去っていくので、プラットフォームが衰退する。

プラットフォームが衰退すると、
 人がさらに集まらなくなり、売り上げが減るので、衰退が止まらなくなる。

これは、
 閉店する商店街が増えていくことで、商店街が消滅する
のと仕組みは同じ。

反対に、流行っている商店が多ければ、
 商店街自体に人が来る
ので、
 別の店の売り上げも相乗効果として増える。

デパートなどもプラットフォームで、
 レストラン街に人気店が入る
ことで、
 来客が増える
ので、
 いかに人気のある店を集めるか
が重要となるわけです。

プラットフォーム(場)がいかに重要であるかは、よく分かると思います。
黒川温泉は、ある意味、ほかの温泉宿を助けることで、
 プラットフォーム全体の価値を高めることに成功し、相乗効果をもたらした例
です。

このプラットフォームは、
 司法試験などの試験も同じ。

優秀な学生を集め、プラットフォームを築くことで、
 優秀な弁護士、裁判官、検察官
が集まるようになる。

優秀な弁護士は社会的に意義のある仕事をしたり、
 稼ぐことができたり、
 イメージが良い
ので、
 あこがれの存在
として、
 受験者が増える
ことになる。

受験者が増えることで、優秀な合格者を選別できるようになる。

優秀な人財が、就職先の法律事務所や、裁判所、検察庁などで、
 次を担う人財として、組織の繁栄の礎となる。


しかし、急激に数を増やし過ぎたことで、
 供給過多

 質の低下
を招き、
 プラットフォーム自体の価値
を棄損してしまった。

法曹の質が下がると、社会的にダメージが大きいため、
 今後、おかしな判例や違法捜査、弁護士の横領などモラル事案がますます増えていく
と思います。

そうなると、さらに、法曹に対する憧れ(ブランドイメージ)がなくなる。
そこを目指して頑張ろうという優秀な若者も減っていく。

最終的には、
 魅力のない商店街と同じように、人が集まらなくなり、衰退していく
ということになるわけです。


ロースクールという細分化されたプラットフォームで見てみると、
事態はさらに、深刻です。

ロースクールの3分の1程度が廃校に追い込まれ、莫大な負債のみが残った。
そのため、
 資金難に陥っていく大学も増えていく
はず。

今は、ゼロ金利なので、あまり露呈していないですが、
 デリバティブで多額の負債を出しているところも多いので、
 金利の上昇に伴い、経営破たんする学校法人
も出てくると思います。

結局、司法制度改革は、
 だれにも恩恵を与えなかった
をいうことになりそうです。


本来なら合格できなかった人にとっては、合格できたので、よかったのかもしれませんが、
 資格の魅力自体はさらに低下していく
ので、
 さほど、恩恵はない
のではないかと思います。


ただ、すでに新たな動きが出ています。
旧司法試験の事実上の復活です。

この点は次回。


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プラットフォーム戦略から考える司法制度改革の大失敗2

2016年09月19日 | スキルアップ
数々の失敗のうち、最大の失敗は、
 ロースクールを認可しすぎたこと。


一定の要件を満たせば、ロースクールを認可せざるを得ない。
始めは、そんな多くの大学が名乗りを上げるとは考えていなかったはず。

ただ、大学側はビジネスチャンスととらえた。
 弁護士を排出できれば、うちの大学を救うことができる。

今まで司法試験の合格者がいなかった私立大学でさえ、
 ロースクール構想をチャンスととらえた。

当然、あの自分より偏差値の低い大学ですら、ロースクールを作るのだから、
 うちも作らなくては
と意地になって作り始める。

お金を使い、新校舎を立て、有名な元裁判官や検察官や弁護士を呼び、
 認可に向けてアピール。

その結果、ロースクールが乱立した。

確かに、
 お宅の大学は、頭が悪いから、いままで司法試験合格者がいないでしょ。
 だから認可できませんよ。
とはいえない。

ただ、予備校の関与があったロースクールは、
 なんやかんや言って、認可を認めなかった。
ここにロースクール構想の意図が見える。


ロースクールの乱立により受験者も増えた。
このロースクール受験者は、
 司法試験に何度も落ちてあきらめていた人や、
 今までの司法試験なら、自分には絶対無理だから受けるつもりはなかったけど、今度は7割儲かるんだから自分でもなれるかも
という人も含まれていた。

しかし、
 ロースクールが増えすぎた関係で、合格者をそれほど増やせなかった。

当然、受からない人は、話が違うと文句を言いだす。
 受験者数の7割が受かる試験だと言っていたのに・・・
 だまされた・・・


当初のプランは、
 ロースクールに入る人は、そこそこ優秀な人のみ。
 優秀な人が、2~3年間法律の勉強をたたき込まれる。
 ロースクールの卒業試験は、司法試験に近いレベルの問題。
 だから、ロースクール卒業生は、従来の司法試験合格者レベルに近いはず。
そうであれば、
 司法試験は、従来の合格者レベルに達する人だけが受験するので、
 7割が合格しても問題はないはず。

ところが、
 ロースクールの卒業試験は、学部の試験と変わらず、
 到底司法試験レベルではない。

ここで、
 全国統一ロースクール卒業者認定試験
というようなものを設け、
 第一次のスクーリングを実施し、
 ロースクールの卒業者の絞り込んで、
 司法試験受験者のレベルを上げていれば、少しは違った結果になっていたはず。

ロースクールとしては、だれが受かるか分からないので、
 卒業生を絞り込むことはしたくない。
とりあえず、卒業をさせたい。

あのロースクールなかなか卒業させてもらえないらしいとなれば、
 来年のロースクールの入学者も減ってしまう。

あいつもまぐれで受かるかもしれないという期待もある。

とりあえず、みんな試験を受けて来いということになってしまう。
こうなると、
 法務省も、文化省さん話が違うじゃん
となる。

大変だったのは、
 司法研修所の教官。

合格者の中には、圧倒的に知識不足のものもいる。


こいつらを、実務に出しても大丈夫なのか?

ここが最後の砦にならないと、法曹会がまずいことになるのでは?

新司法試験が始まり、合格者が2,000人を超えた平成19年から、
二回試験(司法修習の卒業試験)で不合格者が増えている。
http://media.toriaez.jp/m0530/280631547609.pdf


それでも、一部のレベルの低い合格者が法曹会に入っていくことは
どうしようもなかった。

さらに、質よりも数の方が問題となった。

当初は、企業が企業内弁護士としてかなりの数を採用するという話だった。

しかし、
 新人に、裁判官や検察官や多くの法律事務所レベルの500万円も払う企業は、それほど多くない。

法律事務所の経営も厳しくなっているので、採用は難しくなる。

法律事務所も、
 優秀な人は採用したい

 レベルの低い人はいらない
と考えているので、
 就職条件を厳しく設定した。

その結果、
 知名度がないロースクール出身の弁護士
 司法試験に何度か不合格となった経験がある弁護士
 司法研修所の成績やロースクールの成績が悪い弁護士
 コミュニケーション能力に問題がある弁護士
 年齢が高い弁護士
は、法律事務所に採用されにくくなってしまった。

急激な人数の増加をもたらしたものは、
 新人弁護士の就職難。

ただ、ここでの新人弁護士の就職難を分析的に見ていくと、
 若くて有名なロースクール出身で、
 ロースクールや司法試験の結果がそこそこ良い人は
 結構早く内定を得ている。

何らかの事情で、能力に疑問符をつけられた弁護士は、
 能力に問題があるのではないかと、警戒されて決まらない。 


 高いお金をかけてロースクールに行って、
 無給の司法修習で1年間を犠牲にしても、
 弁護士が稼げないので、投資した資金を回収できない。


20年という流れを得て、新司法試験改革がもたらしたものは、
 結局は、ロースクール受験生が8,000人代に落ち込み、
 何年も合格者を出せないロースクールがいっぱい出て、
 当初のロースクールの3分の1近くが廃校に追い込まれている
という現状です。

今後、さらに廃校に追い込まれるはず。

ロースクール関係者の中では、
 合格者が当初の予定よりも低かったことが失敗の原因だ
と言っている人もいるそうですが、
 事実関係を見誤っています。

仮に、7割に設定していたら、
 あと5年は早く、ロースクール受験生が激減し、廃校に追い込まれていたはずです。


では、何が問題だったのか?

続きは次回。
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プラットフォーム戦略から考える司法制度改革の大失敗1 改革の経緯(独断と偏見含む)

2016年09月18日 | スキルアップ
司法試験改革の大失敗ぶりが明白なものとなっています。

「創立当初の人気から一転」
http://benesse.jp/kyouiku/201606/20160620-1.html
出典:ベネッセ

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/05/20/1370787_03.pdf
中教審・法科大学院特別委員会


2006年の司法試験から、従来の司法試験とロースクール出身者による新司法試験との併用がスタートしたので、
 10年近く経って、この制度の問題点が破たん寸前まで大きくなってきている
ということです。

かわいそうなのは、
 制度に翻弄された受験生
と、
 能力が低い弁護士を受け入れさせられ、競争激化に巻き込まれた弁護士
と、
 能力が低いことが分からず依頼し、普通の弁護士だったらもっと良い解決ができたのに、
 そのことすら気が付かない依頼人
だと思います。

2005年から数年間は、旧司法試験と新司法試験が併用されていたので、
 合格者が1500人から一気に2200人へ1.5倍
となり、さまざまな弊害が出てきているわけです。


※ここからは憶測も交えたものなので、個人的なつぶやき(推理もの)として読んでもらえばよいと思います。


2000年ころの司法試験では、平均合格者の高齢化が問題となっていました。

裁判官や検察官は、他の省庁と同じように、できれば大卒の若手を採用して、
 自分で育てていきたい
という思惑がありました。

ただ、司法試験は合格率2~3%の難しい試験で、
 受験する人たちもそれなりの大学で、優秀な人が多い。

そうなってくると、
 平均年齢はどんどん上がっていく。
 苦節10年は当たり前。

司法試験は、特別な試験として、そもそも受験しないという人が増えてしまい、
 人気がなくなった。

受からないリスクが高い司法試験よりも、
 国家一種や、大企業の方が魅力的。
そうなると、司法試験受験生がどんどん高齢化していってしまう。

そこで、
 当初は、単に知識を問う問題ではなく、
 パズル的な要素を加えたり(知識だけでは解けない)、
 知識の多い人が引っ掛かるようなトラップを問題に用意したり、
 心理学を駆使して、難しい問題を始めにおいて、時間不足に陥らせて、
 ベテラン受験生を落とすような工夫をした。

これで、頭の柔らかい若手が受かりやすくなったものの、
 試験問題によって変動するため、もっと確実な方法を取りたい
というわけで、
 受験3年目までの受験生の合格枠(丙案)
を用意することにした。


これで、若手(受験3年目まで)が確実に一定数合格するようになった。

(こういう特別枠は、アファーマティブアクションといって、
被差別者に対する差別是正措置のために設けられることがあります。
逆差別という問題を抱えている。
アメリカのアフリカ系アメリカ人の特別枠が問題となった事例 バッキ―訴訟。

ただ、受験回数で合格者制限する合理的な理由は見出しにくいので、
丙案が原因で不合格となった受験生が裁判をしていたら、
14条違反を理由に違憲無効となった可能性もないとはいえない。)


その他、破産法、労働法、少年法、国際私法といった試験科目を選択科目を廃止して、
 憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法
に統一したりと、いろいろな手を打った。
これにより、破産法などで選択科目で高得点をマークしていたベテラン受験生は
民事訴訟法や刑事訴訟法を一から学びなおすことになった。

ここまで露骨に優秀な若手合格者を確保したかった理由は、
 M&A案件などがさかんになり、
 大手渉外事務所が数十人規模で採用を拡大するようになっていたこと。
 優秀な若手合格者を年収1500万円以上の好条件で持って行かれると、
 裁判所や検察官の初任給では太刀打ちできないという危機感があった。

 ちなみに、現在でも、優秀な若手合格者を巡っては、裁判官、検察官、大手ローファームで
 壮絶なリクルート合戦が繰り広げられている。


さらに、
 優秀な大学生に、丙案枠があるから、合格しやすくなったよ
とアピールして、
 受験生を増やそうと考えたこと。

現に、平成5年には2万人に受験者数が落ち込んでいたものの、
 平成8年に導入された結果、平成8年に25000人、
 平成10年に30000人、平成15年に50000人と
 ぐんぐん受験者数が増えていった。

この受験者数の増加分は、ほぼ大学3年生、4年生、卒業数年の20代前半。


そのため、平成11年に合格者を800人から1000人に増やしても、
 合格率は2から3%を保つことができ、質を保ちつつ、若手も合格者も確保できた
わけです。


しかし、丙案導入により、別も問題が浮かび上がってきた。
それが、司法試験予備校の存在。

大学生が、司法試験に合格するため、司法試験予備校を利用し、
 受験対策を徹底的に行い、効率よく勉強するようになった。

皮肉なことに、受験回数が少なくても合格しやすいように、試験の傾向を変えたため、
 予備校の対策が効果的にヒットする
ことになったため。

ラーメン学校がスープを数値化して教えるのと同じように、
 職人の世界を、スクールで効果的に教えるのと同じ。

司法試験も、若手を受からせやすくするように変えたことで、
 予備校で対応できるような試験に代わっていた
ということ。

現に、若手合格者は、ほとんど、
どこかの予備校(LEC、伊藤塾、早稲田セミナー、辰巳)の
授業やテキストを利用していた。

大学は、司法試験の合格のために授業をするわけではないので、
 合格からすると無駄なこと(実務や視野を広げるという意味では有用であることも多い)
を教えているので、
 司法試験受験生は、大学に行かず予備校の自習室に通い、猛勉強をするようになる。

ちなみに、この猛勉強というのは、
 大学3年で一発で受かる人は、
 大学1年からほとんど休むことなく、朝10時から夜9時まで
 2年間徹底的に理解し、覚えまくるというレベル。
 どの自習室にも、こういう猛者がかなりいた。 

こうなると、大学(法学部)の意義が問われてしまう。

そこで、
 大学後に、ロースクールを2から3年行かせて、実務的な勉強をさせよう
という方向に向かう。

ロースクールでは、
 裁判官や検察官の退官者、弁護士なども講師や教授に迎えよう。
 実務的な視点を教えることができるし、再就職先の確保にもつながるぞ。

 あの忌々しい司法試験予備校を叩き潰すこともできるはず。


こうして、ロースクール計画は加速する。

しかし、大学・ロースクールは文科省の管轄。
司法試験は法務省の管轄。

縦割り行政の弊害から、思惑が外れていく。


続きは次回。
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知ったかぶりの時代

2016年09月17日 | スキルアップ
インターネットで検索できるようになったため、
 情報自体は手に入りやすい
時代になりました。

そのため、
 情報を手に入れて、分かったような気になる。

ただ、
 「知っていること」と「使いこなせること」は全く別である
ので、
 役立つレベルには到達できない。

雑学王やクイズ王が、
 必ずしも仕事で有能である
とは限らないということ。

学歴も同じ。

結局、
 使える「人財」になるためには、コツコツ修練する方がよい
と思います。


 地道に努力。

論理的な思考能力は、
 「すぐに、論理的思考能力が身につく本」的な本
を読んでも、すぐには身につきません。

読解力も何冊も丁寧に本を読まないと身につかない。

地道な努力が必要だということを正直に伝えると、
 売れない
ので、
 すぐに、簡単に、一瞬で、身につく
的なキャッチフレーズを掲げているわけです。

一瞬で身につくスキルは、
 一瞬で廃れる
ので、あまり価値はありません。

一瞬で儲かるスキルであれば、
 みんなも、一瞬で儲かるので、競合がいっぱい出てくるからです。


かつては、司法試験は、
 コツコツ何年も、人によっては10年以上も努力をして
 ようやく合格する超難関試験だったので、
 実力者が多く、競合が少ないため報酬も高く、ステータスもあった。
 

それが、
 ロースクールができて、新司法試験になって、
 1500人から3000人へ合格者が倍増し受かりやすくなった。

 そのため、旧司法試験では合格できなかった人が合格できるようになり、
 競合が一気に増え、就職できず、待遇も悪化した。
 10年程度その続いた結果、弁護士では食べていけないということで、ステータスも地に落ちた。
 その結果、ロースクールに入学しようとする人が激減し、ロースクールが廃校しているとのこと。

3000番ギリギリで合格したような人の中には、
 地道にコツコツ、難しい本や判例を何冊も読んで、
 論理的思考能力を習得していない
人もいるため、
 合格者の中で能力の格差が著しくなっている。

3000人も合格するものであれば、
 論文試験の回答もオーソドックスなもの
で大丈夫なわけです。

そうすると、
 表面的な理解でも対応できる。

例えば、
 判例を覚えておいて、答えはこうです。

これが、1000人レベルになってくると、
 判例の事案との微妙な違い
を考慮して、
 問題文の事案をよく考えて、丁寧に当てはめをする応用レベルまで要求される
ことになる。

新司法試験でも上位は、旧司法試験と変わらない優秀な人もいるものの、
 ぎりぎりで合格したレベルだと、旧司法試験ではとうてい合格できなかったレベルである
ということです。

もっとも、弁護士のスキルなど、一般市民からは分からないので、
 ロシアンルーレットのような感じになっている。

こういう弁護士だと、
 判例はこうです
と異なる事案で言ってきたり、
 判例でこうだから負けだ
とすぐに諦めたりする。

判例と異なる特殊性を検討したり、新たに裁判例を作ろうという気概は少ない。
表面的な理解だと応用ができないことが理由。

スポーツでも芸術でも、
 コツコツ努力を続け、ようやく技を習得できるようになる。

勉強や仕事も同じ。

 今やっている仕事は、自分のスキルアップにつながるのかなぁ
と不安に思ったら、
 今は修行の場だと思って、コツコツ努力した方がよい
と思います。

コネを使ったり、ずるをしたりして、短い時間で昇進しても、
 いざというときに、実力が無いことが露呈すれば、自滅する
ことになります。

コツコツ努力して実力をつけておけば、
 「知ったかぶりの時代」においては、自然と輝き出す
と思います。

コツコツ勉強して、
 使いこなせるレベルまでスキルを磨いておく。

地道なトレーニングがスキルアップの秘訣だと思います。
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時代に合わせたスキルアップ

2016年09月09日 | スキルアップ
インターネットは歴史上最も大きな変化をもたらしたと、
100年後の教科書には書いてありそうです。

三大発明は、
 火薬
 羅針盤
 活版印刷
と言われています。

15世紀から16世紀の急激な変化をもたらしたものとして、
 火薬は土木技術や戦争を一変させた。
 羅針盤は大航海時代を支え、世界の一体化へと向かわせた。
 活版印刷は「本」の大量生産による「知」の伝承を可能にした。

インターネットは、
 サイバー攻撃や遠隔攻撃を可能にし、戦争のあり方を一変させる
 通信、画像、音楽、動画(情報)、金融を含め、世界の一体化を加速させる
 「知」の伝承を即時、グローバルに可能にした。

新たな技術により、産業が誕生したり、衰退したりする。
今は、流れの中にいるため、あまり実感は沸かないですが、
 急激な時代の変化に自分の会社や業界は、今後、生き残っていけるのか
と不安になります。

ただ、業界や仕事がなくなりそうになったら、
 元気がよいところに乗り換える
ことで対応できるので、スキルを磨いておけば、
 それほど、心配になる必要はない
とも思います。


現に、企業ではそうやって、生き残っているところも多い。
時代に合わせ、
 お金の稼ぎ方を変える
というわけです。

繊維の会社が、
 工場の敷地の一部を大型ショッピングモールに貸して、
 そのお金を元に、都心部にビルを買い、
 賃貸収入でかなり稼いでいる。

この場合、決算書では、
 本業である営業利益
よりも、
 副業である営業外利益
の方が大きくなっています。

これは、
 繊維業界の衰退→大型ショッピングモール全盛の時代
という時代の流れに合わせた、資産(不動産)活用というわけです。

現在は、ショッピングモールが衰退しているので、数年後には
 アマゾンの配送センター
になっているかもしれません。


これは、個人のスキルアップにも活用できると思います。
時代に合わせて、
 自分のスキルを変化させていく
ということです。

かつては、
 上司に絶対服従→引き上げられて出世→会社内での安泰
というのが、出世コースでした。

会社も右肩上がりなので、そのまま、会社の方針に従って、
 出世ラインから外れないようにしておけばよかった。

今後は、
 会社がなくなるおそれ

 会社が買収されて、上司が一変するおそれ
が高くなります。

時代に合わせて、評価基準が変わったり(成果報酬というのも一時期言われました)、
 経営者が変わったりする
ので、
 社内の権力闘争に荷担するエネルギー
を、
 自分のスキルを高めるために使っていった方
が得となります。

もちろん、上司に嫌われたり、敵を作ったりするのは、
 足かせとなる
ので、
 上司に好かれつつ、能力も高めていく
のがベストです。


「能力が高ければ、コミュニケーション能力が低くても大丈夫」というような絶対成果主義的な考え方では、
 うまくいかない
と思います。

 社内でのコミュニケーション+能力
という両輪をうまく回していく。

能力が高くて、やることをやっているからいいだろ、という態度でいると、
 社内で浮いてしまい、上司に嫌われ、会社に居づらくなり、転職か独立。

転職の際には、
 中途採用者が会社の輪を乱すことを嫌う
ので、
 感情的になりやすいなど、コミュニケーション能力に問題がある人の採用は控える傾向にある。

さらに、独立しても、
 お客に気に入られるというのは、コミュニケーション能力が不可欠である
ので、
 いくら優秀でも、お客が付かない。

こうなると、いくら優秀でも、
 能力を発揮する場所が与えられず、能力がどんどん廃れていく。


大切なのは、
 スキルのみならず、
 周りとうまくやっていくコミュニケーション能力
を日々高めていくこと。

そうすれば、
 仮に会社がだめになっても、
 別の会社から声がかかったりする。


インターネット全盛の時代には、
 対面的なコミュニケーション能力を磨く場が減っていく
ので、
 会社という場所においては、コミュニケーション能力が高い人が重要となります。


上司や同僚とのやりとりをメールですます時代でも、
 挨拶がしっかりできていたり、ちょっとした気遣いができたりする
と、
 評価が高まります。
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