知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

これから。

2013年01月29日 | 国家論
自民党政権と既得権益の結びつきが強固で、
 改革ができない。

自民党が取りうる選択肢は、一つ。
 国債発行により資金を捻出し、既得権益にばらまく
という従来どおりのシステムを維持するということ。

それを、既得権益が望んでいる。

特に、建設関連が、
 震災特需
とともに、
 道路復旧事業
などで、
 勢いづいている
わけです。

その財源は、
 重税と新たな名目の負担と国債(将来の国民の負担)
というわけです。

この場合、削減というのが難しくなるので、
 どんどん国債を発行しつづけ、インフレに持っていかざるを得ない。

自民党政権ではインフレに持っていかないと機能しなくなるシステムであるわけです。

 それでよい
という経済学者や評論家もいます。

インフレに持っていけば、相対的に国債の価格が下がるというわけです。
ただ、この方法は、
 資産価値の下落を意味する
ので、
 蓄えて生活する人
の負担になっていると考えることができます。

給料が増えれば問題ないという人がいますが、
 グローバル化によって給料は大して増えない(経団連の会長談話)でしょうし、
 そもそも、給料がもらえない人(失業者、年金生活者、生活保護世帯)
からすれば、生活が苦しくなるはずです。

こういった既得権益で硬直化した国家は、どうなるのか?

これは、歴史を学ぶとよくわかります。

こういう既得権益で身動きが取れなくなった国家は、
 たいてい、国力を落として、崩壊していく。

他国の侵略を受けたり、長期の衰退に陥っていく。
 ギリシア、ローマ、モンゴル、オランダ、スペイン、イギリス
トップに躍り出た後は、再び返り咲くのが難しい。

今は、パックスアメリカーナの時代。
そして、中国が台頭できるかの分かれ道。

これからの時代、物理的な侵略はないでしょうが、
 経済的な利得を吸い上げられるという意味での「侵略」はありえる
と思います。

中国や韓国に、技術やら利権を奪われるということ。
領土問題は海域という経済的な利得の問題。

そのほか、気が付いたら、
 うちの会社の株式のほとんどが中国系企業の持ち合いになっていた
 高給取りの上司のほとんどが中国人だ
 不動産も中国系資本がほとんど占めている
というようなことになっていたりするわけです。

ある意味、それも、グローバル化の帰結です。
お金に色はないので、どの国籍の人が負担しているのかは分からない。

もし、「日本人」というアイデンティティを守りたいのであれば、
 自分で知的に成長して、対等にやりあえるようにならないといけない
わけです。

ただ、これからは、
 知らない日本人
よりも、
 友達の外国人
の方が大切だと思う人が増えていくと思います。

同朋の精神だとか行っても、
 生活できなくては意味をなさない。

買わない日本人よりも、
 買ってくれる外国人の方が、店主にとっては重要な存在である
わけです。

自民党が既得権益の温存に向かいつつある。
そのため、劇的な社会構造の変化は当分見込めない。
そういう場合、
 若い世代は、外国に目を向けざるを得ない
と思います。

 外国人からお金を払ってもらえる存在になる
わけです。

すでに、優秀な農家は、商品開発にまで手を広げ(6次産業といわれています)
 市場を海外に求めつつある
そうです。

いずれ、日本の「世界一位の金融資産」は枯渇し、
 マーケットは縮小する。

他方で、
 東南アジアを含めたアジア諸国がお金を持ち始める。

そのため、
 日本で売るより、アジアマーケットで売った方がもうかる
時代になる。

物流コスト、法による障壁もどんどん低くなっていく。
フェイスブックでアジア中と繋がれる時代に。

アジアという大きなマーケットでお金をもらう人や企業が増えていくと、
既得権益は効果が発揮できなくなる。

アジアという権力に、
 既得権益が崩壊させられる
ことになる。

その方が、若い世代にとっては、
 チャンスが広がる
と思います。

規制、規制、規制、規制、
増税、増税、増税、増税、
年金負担額増、健康保険負担増、厚生年金負担増、
重量税、固定資産税、酒税、・・・・・・・・
介護保険料負担増、家電リサイクル税、ユニバーサル税?・・・・

がんじがらめの規制国家は、
 際限なく権限を拡大する。

その結果、腐敗していく。

小さな国家が優れているのは、
 国民、官僚、政治家が自己で責任を持たざるを得ない
という「厳しさ」があるからです。

その厳しい社会の中で、
 努力してなんとかやりくりする。

何もしなくても、お金がもらえる。
それを福祉というきれいな言葉で包み込む。
そこにたくさんの利権が介在する。

その結果、頑張るものが損をする国家システムが出来上がる。
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絶対的正義などない。

2013年01月27日 | 国家論
ロールズの「正義論」がマイケル・サンデル教授のおかげで、
 売れる本になった。

政治学といったマイナーな学問が着目されるようになった。

とてもよいことだと思います。

政治学(政治思想史)のよいところは、
 いろいろな考え
を学べることです。

日本人が苦手とする
 自分で考えて選択する
ということが学べます。

正義とは?というレポートの課題を与えられたとすると、
今の学生は、ネットなどで検索して、
 答えを出そう
とします。

しかし、
 絶対的正義などない
わけです。

物事は、
 見方を変えると正しいことが正しくなくなったり、
 事実が事実でなかったり
します。

日本人は、時代劇の影響から、
 正しいものが勝つ
と思っている人が多い。

しかし、正しくても、お金がないため、
 権利を実現できず泣き寝入りをしなければならない
ということも結構あります。


正義とは?のレポートでは、
 いろいろな正義の考え方を紹介し、
 自分の考える正義論の筋道を論理的に述べれば十分
だと思います。


ポイントは、
 「自分の考える」
というところです。

考えは人それぞれ。
正義も人それぞれ。

育ってきた環境などにより、
 正義論が異なる。

貧しい生活をしてきた人からすれば、
 今の世の中の不平等に対し、厳しい見方をする
ことになるはずです。

結果的に、配分的正義(福祉主義の根拠)に傾く。
サンデル教授の共同体主義も同じ。
富を築き上げることができたのは、社会的資源を利用できたからで、
 その人の努力のみではない
ということを強調するのは、
 社会的資源=共同体のおかげ=共同体維持のための財源負担の正当化
という論理を導くためです。

これに対し、
自分で努力して、人が遊んでいる時に働いて、富を築き上げてきた人からすれば、
 ノージックやハイエクのように、高い税負担は国家による収奪だ
となるわけです。

親が自営業者で、大変な思いをしているのを見て育ってきている人も同じ。
補助金の恩恵が受けられない小さな事業主であれば、その思いは強くなる。
 共同体が自分たちのために、何をしてくれたんだ
ってことになる。


つまり、
 正義というものが何色であるかを見てみよう
と思っても、
 色の違うメガネで見ているので、一致することは難しい。

ロールズは、
 無知のベールという概念を用いて、自分がどんな立場にいるか分からない状態で判断する
という「条件」をつけ、
 そこでの選択に正義を見出す
そうとしたものの、
 そもそも、そのような条件づけは無理であるし、
 そういった条件の合理性が保障されても、内容的には合理性を欠いた結果になる
おそれがあるわけです。
(一般的には、弱者に配慮することになるので、過剰な福祉に向う。)

そうなると、
 正義って?

それを、自分で考えてみるとよいと思います。


そして、
 福祉予算が激増し、おそらく、消費増税でも間に合わなくなる日本においては、
 こうした議論が今後活発になってくる
と思います。

今は、まだ、過剰福祉主義の犠牲者が少なく、
 自分に関係ない
と思っている人が多いので、
 深刻な問題になっていない
わけです。

あと、10年か20年して、
 消費税が20%、所得税が300万円世帯でも40%、社会保障費や介護保険料などが引かれ、
 がんばって働いても、手取りがわずかで生活できない上に、
 老後の保証もないじゃないか!
となった時に、
 その原因は、働かないでお金をもらっている人たちのためだ
と税制に不満を持つ国民の割合が多くなる。

そうなると、
 小さな国家的な政策が大衆に受けるようになる。

今の所得税は、高所得者からすると、負担が大きいものの、
 マジョリティはそこまでの負担感がない
ようにできているわけです。

これが、そうは言っていられなくなり、
 一律増税するようになったときに、大きく考え方が変わる
と思います。

課税額を引き下げたり、一律で10%引き上げたり、基礎控除を削減する等といった場合は、
 関係者が多くなります。

それが怖いので、
 関係者が少ない超高所得者の所得税と、相続税の増税
を検討しているわけです。

ただ、それだけでは、
 モラルハザードを起こしている社会保障費の激増
に対応できるはずはありません。
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自民党のビジネスモデル。

2013年01月26日 | 国家論
電力の発電と送電を分離し、
 送電について規制を緩め、
 発電事業の競争を起こそう
というプランが、
 白紙になりそう
です。

電気事業連合会が民主党政権時に、
 協力を余儀なくされていた
ものの、
 お仲間が多い自民党になった以上、妥協はいらない
と態度を翻したためです。

自民党において、
 旧来の既得権益は、よいお客さん
なので、
 おそらく電力事業における規制緩和
は難しくなると思います。


自民党のビジネスモデルは、分かりやすい。

自民党は、戦後、ほとんどの時代に政権を取っていました。
そうなると、
 あらゆる既得権益が、手を結ぼうとする
わけです。

これは、歴史的に見て、世界中のどんな時代も同じです。

欧州では、
 カトリックが権力(王権)と結びつく。
 貴族が王権と結びつく。
 商人が王権と結びつく。

それで、既得権を活かして、お金を稼ぐ。
そのお金の一部で、権力に擦り寄り、自分に有利な既得権益の強化を求める。

そうなると、
 既得権益の外にいる者
が不利な状況に追い込まれる。

そこで、
 別の王を立てて、支援
したり、
 他国の王を応援
したりして、
 王のみならず、既存の既得権益の排除
を策略するようになるわけです。
ヨーロッパの歴史を学ぶと、
 何でこんなに王が変わるんだ
とか、
 戦争がなんでこんなに多いんだ
とか思うかもしれないですが、
 その背後には、既得権益の争奪戦
が隠れていたりします。


自民党政権時の既得権益は、
 道路族
 建設業界
 医師会
 JA
などが有名です。

電気事業連合会もこの中に入ってきます。

そのため、
 自民党が民主党に政権を取られた際には、医師会が大変なことになっていた
わけです。

 自民党の応援をやめ、民主党を応援するか。

歯科医師会は、早急に民主党支持に変わった。

政権を追われた3年の間に、
 自民党は破産寸前までに追い込まれていく。


今回の選挙で、
 多額の政党交付金
と、
 寄付金を得ることができる
ようになったので、
 復活
というわけです。


自民党のビジネスモデルは、
 全国の業界とのパイプ

 利権と票
という
 有償の双務契約
を行い、
 政権を維持する
ということ。

そう考えると、
 既得権益を排除していくなんてことはできない
ことは明らかです。

一時期、死にそうになっていた既得権益が復活することは容易に想像できると思います。


ちなみに、
 規制強化
の流れは、
 既得権益の強化
と結びつくことを知っておくとよいと思います。


えっ、どういうこと?

例えば、
 国民の生命、身体を守るために、新たに食品衛生の検査を強化する規制を作る
とします。 

それにより、
 財団法人なんとか協会の検査を受けないといけない
というルールができるわけです。

そして、
 財団法人なんとか協会は、検査料を徴収する。

その検査料は、
 業界の関係者や天下り公務員がたくさんいる職員の人件費
にあてられる。

さらに、
 国民の衛生ということで、厚生省から予算がつけられる
ことになったりするわけです。


このビジネスモデルのイメージが付きにくい人は、
 自動車の名義書き換えを自分でやってみる
とよいと思います。

自動車関連の規制は、なんとか協会の弊害が分かりやすい。

海外では車検制度すらなかったりします。
この国がいかに、規制が多く、
 いろいろな団体が国家権力と結びついて甘い汁を吸っている
かよく分かると思います。

電気料金に競争が起きないのも同じ理由。
既得権益を守れば守るほど、
 競争が起きず自助努力をしなくなり、高負担低サービスを甘受しなければならなくなる
わけです。

自民党のビジネスモデルは、
 既得権益を守る
ということにある。

 票とお金(パーティー券の客)をいっぱいくれる団体を切り捨てる
ことが難しいのは、イメージできると思います。


ちょっと待てよ。
民主党だって、規制緩和できなかったじゃないか?

確かに。
民主党は、比較的、既得権益との結びつきは強くなかったわけです。
そのため、仕分け作業で、自民党の支持母体を一掃しようとした。
ところが、それをやり遂げるだけの「スキル」がなかった。
結局、
 既得権益ではなく、優秀な官僚にやられてしまった。

官僚は、既得権益と密接に結びついているヘッドみたいなもの。
結果として、既得権益に切り込めなかったというわけです。


つまり、現状打破のためには、2つの要素が必要。
一つが、既得権益との結びつきが強くないこと。
もう一つが、国益を考え、既得権益を打ち破るスキルを備えていること。

そんな政党が出てこれば、この国が新しいモデルに切り替わるかもしれません。

ところが、
 現状で、それは無理
です。

理由は、
 国民の質がそこまでいっていない
からです。

既得権益に属していない多くの国民が選挙に行き、
 きちんとスキルを備えた議員を判断し投票する
必要があるわけですが、
 現状をみると難しい
ということは分かると思います。

投票率がそもそも低い=そもそも既得権益に有利
かつ
 投票に行くのは、既得権益の関係者

自民党議員が、地元企業を回ったり、宗教団体を回ったりする理由は、
 まさにここ。

そして、最大の既得権益である「高齢者」よりも、
 若い人が積極的に選挙に行く
などということは考えにくい。

残念ながら、今の選挙システムでは、
 既得権益の妥当などできない。
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自転車の信号無視の厳罰化。

2013年01月22日 | 国家論
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130122-OYT1T00198.htm?from=ylist
YOMIURI ONLINEより
東京地検が自転車の信号無視の常習犯に対して、略式起訴する方向。

自転車は、今までは、
 どちらかというと、被害者になる
という前提だったわけですが、
 歩行者との関係で加害者となったり、
 交通ルールの維持という社会秩序の維持
の観点から、厳罰化が進んでいるのだと思います。

当たり前のモラルがなくなってきているということ。

赤信号でも、車が全く来ていなければ、
 安全を確認して自己責任で渡る。

それで事故に遭った場合は、過失相殺で損害賠償額が減らされる。

外国人からすると、車が全く来ていないのに、
 律儀に赤信号で待っている歩行者は奇妙に見える
そうです。


自転車の信号無視も、そんな感じだったわけですが、
 人に迷惑をかける自転車運転者が増えてきている
ので、
 ルールを厳格化
し、
 ルールを厳格にしても、強制力がないと意味がないので、罰則規定も設ける
というようになっていくわけです。

このままの調子でいくと、
 歩行者ですら、赤信号無視で切符を切られる
時代になるのかもしれません。


なんとなく、ルールでがちがちに固められた社会は、
 窮屈な感じ
がします。

自転車の傘差し運転の禁止等も同じ。

危ないのは確かですが、
 運転者が歩行者に気を配ったり、迷惑がかからない
のであれば、
 法で規定する
必要はないわけです。

それが、最近、法で禁止するようになった。

このままでは、何でもかんでも、法で決められる。
生レバーはだめだとかも同じ。

こういう手厚い国家は、
 逆に、国民の自律性を奪ってしまう
のではないかと思います。

レベルの高い高校は、私服でよかったりします。
うちの学生は節度を守ると分かっているからです。

信頼とルールは、比例します。
信頼がない場合、ルールで縛らないといけない。

国民も国家を信頼していない。
国家も国民を信頼していない。

ルールで縛るようになっていく。
消費者契約法など、法がどんどんできて複雑化しています。

法よりも「道徳・マナーの教育」の方が効果的なこともあります。

かつては、儒教の精神の下、親のしつけが機能していたわけですが、
 これからは、ますます難しくなっていく
と思います。

そうなると、一部のひどい人のおかげで、
 ルールはますます厳格化されていく。

法が複雑になればなるほど、行政機能は肥大化するので、
 大きな官僚国家がずっと維持されていく
というわけです。

儒教の精神やマナーを学ぶ必要があるのは、
 小さな国家へ移行するために重要
だからです。

自立した人々が多いことが、
 小さな国家の前提条件となる。

自立した人々と言うのは、
 自分で学ぶ。
 自分で働き、自分の老後資金を貯める。
 自分で生活し、子や親の面倒をみる。
 他人に迷惑をかけるようなことはしない。

当たり前のことだと思われる人もいるかもしれないですが、
 ほとんどの人が、これが可能になる
と、
 国家の仕事が大幅に減る
ことになります。

小さな国家は、税金も安くてすみます。
不慮の事故や病気等、生まれながらの障害、
 そういったやむにやまれぬ事情
に対しては、
 自分や自分の家族もそうなるおそれがある
ということで、
 助け合いの精神から協力する。

これだったら、
 納得できるので、税金を支払おう
という意欲が高まる。

ところが、
 徴収したものの、本当に国民の役に立っているかどうかわからないところ
にお金が流れている。

その流れも把握できないようになっていたり、
無駄なものも多い。

 公務員の仕事を増やすため
に、ルールを作る。

これでは、国家はどんどん大きくなっていくことになります。
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国家像を描く。

2013年01月20日 | 国家論
最近読んでいる本。

クオリティ国家という戦略 これが日本の生きる道

 これからの日本がどういう国家を目指すべきか
について書かれています。

参考として取り上げられているのが、
 スイスとシンガポール。

基本は、
 小さな国家。

海外から、人・モノ・カネ・情報を呼び込み、
 海外で稼ぐモデル。

税金等が安いから、海外から企業や富裕層が集まってくる。
しかも、ビジネスもしやすいので、雇用が生まれる。
ビジネスがしやすいと言えるためには、
 ビジネスに役立つように教育された国民が必要。

グローバル企業をいくつか作って、
 海外で稼ぐというモデル。

資源がない国家は、
 低コストで大量に生産する(製造)
か、
 付加価値を付けて利益を得る(職人)
かしなければ、富を作ることはできない。



*****

これからの日本は、
 一時的に大きな国家
として、
 旧来の制度に戻る
わけですが、
 最終的には、小さな国家に移行せざるを得なくなる
と思います。

財政が限界に達する⇒増税⇒富裕層と産業が海外に移転⇒空洞化

こうなると、
 増税しても効果がなくなり、通常の行政サービスさえ賄えなくなる。
(増税は、経済規模が小さくなると、効果が少なくなる。)

そうなると、
 行政サービスの削減が始まる。
 これは、夕張の破たんなども同じ。

結局、小さな国家に移行せざるを得なくなる。
その際には、
 自己責任論が展開される。

 貧乏なのはお前が悪い。
これが、一番恐ろしい現象です。

紛争地帯でカメラマンが射殺された事件で、
 紛争地帯に行ったのだから自己責任だ
という論理がメディアで巻き起こったことがありました。

生活保護、年金の削減、福祉の削減が始まり、
 本当の弱者が虐げられるおそれがある
ということ。

最悪なのは、教育を受けられない人が増え、
 貧困の連鎖が起き、貧困層が固定化する
おそれが高いということ。

そうなると、
 賃料が安い町がスラム化
するおそれがあり、
 治安も悪化する。


今、そうなっていないのは、
 国債という将来の国民のつけで生活している
からです。


そうならないためには、
 少しずつ、未来を健全化していく必要がある
わけですが、
 増え続ける社会保障費をどうするか
といった抜本的な議論がなされていない。
そのため、
 結局、消費税の増税、相続税の増税などの増税政策で先送りしていき、
 いずれは、コントロールできなくなる
と思います。

これは、
 日本には既得権益が多すぎる
ということが原因だと思います。

予算分捕り合戦。


縦割り行政の弊害と言うのは、
 いいかえると、既得権益の弊害
ということです。

農水省、農水族議員、JA。それを支える農家。
経産省、族議員、経団連。それを支える企業。

利害関係が全く異なるので、まとまらない。

そうなると、
 前述の本にもあったように、地方分権を推し進めていき、
 各自治体が主体的に政策を練って実現していく
ことが重要となってくるわけです。

例えば、
 北海道の発展のための戦略

 都市部である大阪の発展のための戦略
は異なるわけです。

北海道はデンマークなど酪農で成果を出している農業国を参考に、
 税制や成長戦略を考えたほうがよい
わけです。

大阪は、商業を中心に、シンガポール等のモデルを中心にする。

名古屋はトヨタを中心とした機械産業が
 グローバルで戦いやすいような戦略
を中心として、練っていった方が、住民の利益に適う。

それぞれ、勝つためのパターンが異なるわけです。

例えば、
 全国一律で助成制度を作っても、全く申請していない地方
があったりします。

そもそも、助成制度を申請する基盤がないからです。

農業一つとっても、
 北海道は大型化
が可能であるのに対し、
 島根などは平地をうまく使った小規模なもの
が中心。


国家で成長戦略を練っても効果が出にくくなっているのは、
 他の競争相手が強くなってきている
からです。

今までは、
 冷戦などが原因で経済どころではなかった国
が、
 政情不安がなくなったため、
 経済というグローバルな戦いに参加するようになった。

中国や東南アジアがよい例。

こういった国々は、
 安い人件費を武器に参入してくるので、価格競争で勝てなくなる。

しかし、日本の農業のやり方は10年前、20年前と大して変わらない。
農業がIT化したり、生産性を高めているかといったら、
 一部の農家を除いては従来通りと言うところが多い。

そのため、
 国家に助けてもらう必要がある。

それが、関税。
TPP反対の大きな理由。

ただ、これにより、消費者は安い商品を選択できない。
また、農家自身も、創意工夫で戦おうという意欲が持てないまま、
 後継者不足など、産業としての魅力を失いつつある。


国民も、
 社会保障、生活保護が充実する
ことで、
 働かないと大変なことになるという危機感がなくなる。

それにより、創意工夫や嫌なことでも耐えて頑張ろうという意欲が持てないまま、
 人としての魅力を失いつつある。


スイスは、
 社会保障が十分ではない
そうです。
 補助金等国家が民間に関与することもない。

年金もない。
自分で、民間の年金をかけておかなかったのが悪い。

 だから、年金をかけていない人をどうしたらよいの?
という発想がない。

そのため、
 みんなが自分で年金をかけ、将来の準備をしている。

国民の「自律」。

日本は、「平等」「社会権」が、
 憲法の理念からは歪められてしまっている。

機会の平等ではなく、
 結果の平等を重視し、ばらまく。

働けるのに働かない人は、
 生存権の対象とならない
のに、
 審査がずさんで不正受給を許している。

そして、
 票集めと密接に結びつき、議員に頼むと県営住宅などに入りやすい
という、訳の分からない状況にまで陥っている。

中国の汚職に対し、厳しいメディアも、
 談合、随意契約、道路公団のファミリー企業、宗教団体の利権、生活保護の不正受給
といったテーマになると、及び腰になる。

おそらく、
 経済対策の名に大型の補正予算を組んだ
ので、
 利権にお金が回り出すようになる
と思います。

スイスでは、そういうおそれがないのは、
 そもそも、そういったお金の配分権限が国家にない
からです。

これが、小さな国家の最大の利点です。

国家や権力を信頼できない場合、
 小さな国家 
がベストです。

浪費をする配偶者に大金を持たせると、
 すぐになくなってしまう。
渡すお金は、生活費程度の必要最小限にしておき、
 将来の予測をしながら、自分で計画した加えておく。

賢い家計。

お小遣い制は、いわば、小さな国家。
その範囲でやりくりして下さい。

その代り、たいした見返りは期待しない。
最小限度のことしかしなくても、文句は言わない。
そんなにお金を渡していないため。

それを、
 お金も渡さず、過度に期待をして、口ばかり出す
と、
 離婚の危機
に陥るわけです。

 
これは、国家も同じ。

大した税金も払わずに、あれもこれもと、行政サービスを要求してはいけない。

行政サービスを維持して、負担を最小限になどできるわけがない。
民主党は、これで崩壊したわけです。
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計画が立てにくい時代へ

2013年01月11日 | 国家論
理想的な国家は、
 国家が介入しなくてもおかねが回る
という国家です。

今の日本は、
 国民が将来不安からお金が使えない
状態に陥っているため、
 企業の売上げが上がらない。

特に、マンションや戸建てなどの買い物がしにくいため、
 経済への波及効果
が生じにくい。

消費税が大幅に上がるから、
 マンションを買いたい
という人が増える(駆け込み需要)と見込み、
 住宅着工件数は飛躍的に伸びました
が、
 住宅ローンが通らない人
も増えている。

これは、銀行の審査基準が厳しくなっているからです。

また、金利が急上昇するリスクが増えているため、
 住宅ローンなどの大きな借入がしにくい。

さらに、自分の会社が今後どうなるか不安。

そうなると、
 買い主は躊躇するようになる。

そこで、
 住宅ローン減税の継続などを求めて関連団体が動いている
とのこと。


売れ残ると値引きをしなければならなくなり、
 ディベロッパーの経営を圧迫しかねない。


同じようなことは、
 もう一人子供を作ると生活できなくなるかもしれない
という夫婦や、
 大学に通っても、就職できないもしれない
という学生にもいえます。


先が読みにくい時代は、
 計画が立てられず、お金がかかる行動を抑制する
ことになります。

経済と消費者の心理は、深い関連性があるということです。

これと反対に、バブルは、
 絶対、株や土地が上がるから
という心理(土地神話)によって引き起こるわけです。


そうなると、
 国家の役割は、国民の心理が過度にマイナス方向に向かっていれば、
 安定を与え、お金を使っても大丈夫だと信頼させ、
 過度にプラスの方向に向かっていれば、
 抑制を行い、過剰なお金の使い方を思いとどまらせる
ということになります。

マクロ経済では、
 おカネの供給量を調整する
ことで、
 この役割を果たそうとしている。

今回の20兆円もそうです。

ただ、
 いくらおカネの供給量が増えても、将来不安という心理に変化がなければ、
 預貯金に回る
ことになってしまいます。

銀行は、その預貯金で、国債を買っている。

市場におカネが回らず、国債残高ばかり増えるため、国家は、
 増税を行って、預貯金に回ったおカネを回収する。

増税は、国民の愛国心を奪い、
 働く意欲も削ぐ
ことになる。

その結果、
 働く意欲を持ち、成り上がってやろうと必死な人達とのグローバル競争に勝てなくなってしまう。
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増税の時代へ。

2013年01月10日 | 国家論
このブログの国家論のスタートは自民党政権下だったので、
そのころから、コンセプトは変わっていません。

国家に任せておくと大変なことになるから、
 知的に成長して、どんな状態になっても、クールに生きられるスキルを身につける。

コントロールできないことはそのまま受け入れ、
 コントロールできることに集中する。



自民党政権も、民主党政権も、
 大きな国家
というビジョンに変わりはありません。

ただ、
 支持母体との関連
で、
 ばらまき先が異なる
だけのこと。


民主党政権の支持母体は、
 労働組合と公務員、官僚組織。
 プラス「一般大衆」。

自民党の支持母体は、
 建築業者(地方の工務店など建築関連の中小企業)
 農家
が多い。

そのため、
 ばらまく先は、公共事業と補助金を通じて行う
ことになります。

ちなみに、自由貿易の阻止は、
 消費者の負担の下で農家の所得を保障しているのと同じこと
です。


小泉改革以前の景気対策は、
 国債を発行して、大型公共事業を行う
というものでした。

これにより、
 大手ゼネコンにお金が回り、地方の下請け、孫請け、一人親方、日雇い労働者
と、
 川の流れのように流れていくシステム
です。

それが、小泉改革で、財政の健全化のために、
 公共事業の支出を抑えた。

それにより、
 地方の工務店が倒産に追い込まれる
ことになった。

自民党の支持は、
 公共事業という見返り
があってこそだったため、
 3年前の衆議院選挙では、民主党に政権を奪われることに。


そこで、3年の間、
 自民党の議員は、肩身の狭い思いをする
ことになります。

地元有力者の葬儀にいっても、
 新人民主党議員の陰に隠れ、元衆議院議員として紹介される程度。

陳情など誰も来てくれなくなる。
お金も尽きていく。


そこで、
 今回返り咲いた。


もし、あなたが、この議員の立場だったら…

そうですね。

地元有力者、票をたくさん持っている建築業者のためのために
 たくさん公共事業を持ってくるようにエネルギーを注ぐ
はず。

 公共事業=次回の選挙の際の議席

 もうみじめな思いはしたくない。


この建築業者というところが、
 場所によっては、農家に代わる
だけのこと。

一票の格差が解消しないのも、
 議席を失うことになると、地方の地元の影響力が下がったり、当選しにくくなったりする
ことになるので、
 こういった議員が猛烈に反対している
ため。


これが、自民党の政治システム。


*****
これを変えるには、
 地方自治体が変わる
必要があります。

これが、地方分権。

どういうこと?

 地方に産業がない
のが、
 このシステムが存続している原因
なわけです。

地方では、
 建築と農業
くらいしか、
 産業がない。

地方に行けば分かると思いますが、
 農業・漁業
 製造業・建築業
 サービス業
と割合をみてみると、
 都市部では、圧倒的にサービス業の割合が大きい
のに対し、
 地方では、農業・建築業の割合が大きい。

つまり、食べていくためには、
 農業・建築業。
ちょっと、頭がいいと、
 公務員
というように、なってしまうわけです。
全体的に、
 仕事がない
わけです。

そうなると、
 頼みは、公共事業や補助金。

農業の発展を阻害してきたのが、この補助金や関税などの規制です。


競争がないと、
 人は創意工夫をして、顧客のために、よりよいものを作ろうとはしない
ので、
 進化しない
わけです。

反対に、競争が激しい業界では、
 すごいスピードで進化している。

これが、PCやスマホの業界。
ハードの戦いから、ソフト(アプリ)や総合的なソリューションの戦いにシフトしてきている。
価格も安くなっているし、通信速度もアップ、無線LANの技術もアップ。

農業はどうかというと、
 製造コストは30年前とたいして変っていない(むしろ、肥料や重油などの高騰で相対的に高くなっている)。
また、土地に対する規制のため、大型化やそれに伴う機械化もたいしてなされていない。
むしろ、儲からないし、体がもたないからやめてしまう。
農地に家を建てる。
息子は、魅力のない農業なんてやりたくないけど、
ここには他に仕事がないといって、都市に引っ越してしまい、盆と正月しか帰ってこない。

こうして、
 農地はどんどん耕作放棄地となっていく。


自民党は、
 相続税の増税(基礎控除額を5000万円から3000万円)と所得税率の上限を上げる
という方針を打ち出しました。
(ちなみに、農地の評価額はかなり安いため、広い農地を持っていても税金がかかることはあまりない。)

おそらく、増税の効果があまり見込めないと分かると(おそらく、もう分かっているはず)、
 控除額を3000万円から2000万円へ変更。
 すべての所得層での税率を3~5%増加
という次のステップに行くはずです。

いきなり、このステップを取ると、猛反対されるので、
 まずは、一部のかなりの金持ちを対象とした第一ステップを踏み、
 多くの国民に、「まぁ、うちは関係ないよね。金持ちは持っているから払えばいいんだよ」と思わせて、
 前例を作った上で、
 まだ足りないので、少しずつ増税をしていきましょう
という次のステップに移るわけです。


消費税も、最初の設定のときの国民の反発に比べたら、
 今回の5から10%という反発はたいしたものではなかった
わけです。

0から5%も、5%から10%も額からすれば、同じ負担のはずですが、
 制度の新設と変更では、与えるイメージが全然違う
ということです。

社会保険料も、徐々に上がっていますが、
 源泉徴収票を見て、それを実感している従業員の数はそんなに多くない
はずです。

今後は、こういった見えにくい負担が増えていくはずです。


なぜか?

自民党の政治システムを維持するには、
 多額の公共事業を捻出する必要がある
からです。

通常、
 発展途上の国家
と、
 ある程度基盤が整備された国家
とでは、
 必要となる公共事業の額が異なる
はずです。
新設とメンテナンスでは、メンテナンスの方が額が少なくて済むからです。

これは、
 大学1年で家具を買いそろえてお金がかかった学生が
 社会人一年目で引越しをしても、前の家具を持っていったので、
 あまりお金がかからなかった
というのと同じ。

ひとたび、そろえてしまえば、あとは、メンテナンス程度ですむので、
 それほどお金はかからない
わけです。

ただ、
 家具業者を儲けさせようと考えた場合、
 一年ごとに、使っていた家具を捨てて、新しい家具を買わないといけない。

家具業者の仕事がなくなるからです。

 そんなバカなことはしないよ。
 もったいない。

そう思うはず。

でも、
 公共事業を行い、地方に、お金を回すことが目的であると考えた場合、
 必要のないものを作り続けなければならない
わけです。

そのためには、国債を発行する。
ただ、国債を発行しまくると、金利が上昇しすぎるおそれがある。

そこで、
 国債発行と増税とをセットで行う。

世界一の貯蓄残高を持つ国民がこの国債の保証人になってくれているから、
 この国債の信用力は抜群だよ。

これで、金利の急上昇を防ぐことができる。

ギリシアは、国民がお金を持っていないので、
 増税しても国債の返済は難しい
と判断されて金利が上がった。

日本は、増税しまくれば、ある程度は回収できるので、
 金利の急上昇が今のところ起こっていない。
(ただ、じわじわ上がっていく可能性が高い。)


結局、
 国民のためになる公共事業のみに絞る
という、
 支出面での厳しい監視機関がないと、今後の増税も防ぐことができない
というわけです。

これが、
 会計検査院の強化。

でも、官僚も自民党も自分の首を絞める法案を通すわけがない。


抜本的な解決は、
 こういう無責任な国に公共事業の全権を委譲するのではなく、
 本当に必要なものが何かが分かっている地方自治体に公共事業の権限をゆだねる
ということ。

これが、
 地方分権。

 選挙の際、自民党も地方分権について語っていました。

しかし、
 政権を取った途端、
 増税と公共事業は、すぐに出てきたのに、
 地方分権の動きは聞きません。

一票の格差の是正や議員定数の削減・報酬のカットも、おそらく進まないと思います。

なぜなら、
 票に結び付かない
からです。

残念ながら、
 これが、投票率が低い国家の民主主義のなれの果て
です。

投票率が低ければ、
 組織票だけで当選できる。
 組織票を持つものは、見返りを求める。
 議員は、その見返りを与えるために、公共事業で恩返しをし続ける。
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