知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

誤振込問題は、さっさと逮捕すればよい。

2022年05月16日 | 国家論
【速報】男性が“警察の任意聴取” 山口・阿武町“4630万円誤送付” 
テレビ西日本 2022年5月16日より引用

山口・阿武町が町民の男性にコロナ関連の給付金4,600万円余りを誤って振り込んだ問題で、
男性が、警察の任意の聴取を受けていたことが関係者の話でわかった。

この問題は、山口・阿武町が4月8日、職員の手続きミスで、
町民1世帯あたり10万円のコロナ関連の給付金を、
1人暮らしの20代の男性に4,630万円振り込んでいたもの。

町議会は5月12日、給付金の全額と弁護士費用などをあわせた5,100万円余りの支払いを求めて男性を提訴していた。

町は男性と連絡が取れなくなっているとしているが、関係者によると、
男性は警察の任意の聴取に応じ、状況を説明しているという。

***********
誤まって振り込まれた金員を、引き出して返還しない場合には、犯罪になります。

 自分は何も悪いことはしていない
と言っているようですが、
 振り込まれた時点では、そうかもしれない。

ただ、
 振り込まれた後、誤って振り込まれたものだと認識し、自分の物にしてやろうと考えて、引き出した段階
で、犯罪が成立します。

刑法の勉強をすると、必ず出てくる論点なので、刑法を履修した法学部なら、
 すらすら答えが出るはず・・・。

考えられる犯罪は?

 まず、人の物を盗む。
これは、窃盗罪(235条)。

占有を移転することが必要なので、
 自分の口座に振り込まれたんだから、自分の占有になるのでは?

では、自分の占有下にある他人の物を領得したということで、横領罪(252条)?

ただ、横領罪の場合は、「あずかってね」と頼まれて、占有している人が、
 領得した場合にのみ成立する身分犯。
そのため、本件は勝手に振り込まれたのであって、
 委託関係に基づいて占有
したわけではないので、成立せず。

実は、このような誤振り込みの場合には、
判例がでていて、詐欺罪としています。

えっ、誰も騙されていないじゃん?

これが、法学の面白いところで、
 レトリックを使って、騙して財産を交付させるという詐欺罪(246)を成立させます。

誰がだまされたのか?


 窓口の銀行員を騙して、銀行の現金を交付させた
と構成するわけです。

銀行は、自分の口座に入っているお金を下ろすことは認めているが、
 誤振り込みされたお金を引き出す
ことは認めていないというわけです。

それを自分のお金を引き出すかのように装って、
 窓口の銀行員を錯誤に陥れて、銀行のお金を受け取っている
ので、
 詐欺罪。

ちなみに、ATMから下ろした場合は、
 機械は騙されない
ので、
 ATM内の銀行の現金の占有を奪った
と構成し、
 窃盗罪
としています。

詐欺罪の場合は、
 10年以下の懲役に処され、
 犯罪によって得たものは没収(19条)または追徴(20条)される
ことになります。

本件の最もよい解決は、民事の裁判ではなく、
 警察がさっさと逮捕する
ことです。

できる限り早い方がよい。

詐取した現金を隠したり、使ったりする時間が少ない方が、
 没収できる金額が増える
からです。

没収した現金を町が回収する。
民事裁判の場合、時間もかかるし、印紙代や弁護士費用もかかります。

詐欺で逮捕された場合、
 国選弁護人が説得するはずです。

それでも、返さない場合や、一部しか返さない場合は、
 社会的弱者に支払われるべき現金を結果として、奪った悪質な犯罪である
として、
 金額が大きいこと、返還の機会が与えられていること、社会に与えた影響
を考慮して、
 実刑+没収にすればよい
と思います。

没収する現金は、がんばって探す。
見つからない場合でも、本人が10年も刑務所が嫌だと思い至れば、
 控訴して、その間に返還し、情状酌量を狙う
ことになります。

良識ある国選弁護人も、さらに説得することになります。

隠した現金が見つからず、本人が返さないのであれば、刑務所に入ってもらう。
このときには、民事裁判の効力が出てきます。

月平均4000円程度の作業奨励金を、差し押さえる。
出所したら、給与を差し押さえる。
20代なので、出所後の残りの人生の給与をすべて差し押さえても、
 給与の4分の1が上限なので、4630万円を回収するには結構な時間がかかりますが、
 強制執行している場合は、時効にかかりません。
一生、差し押さえてやりましょう。
財産開示請求も充実したので、差し押さえる側に有利となっています。

こういう人生が待っていることを、弁護人が伝えて、
 返した方が、残りの人生は、ましになるよ
と説得する必要があります。

そのためにも、さっさと逮捕すべきだと思います。
こういう輩をたくさん輩出しないためには、正しいメッセージを警察、司法が発信する必要があります。
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ロシアのウクライナ侵略があぶりだしたもの

2022年05月02日 | 国家論
 現在の国際システムがおかしい
ということが明らかになりました。

 世界は、みんな平等。
 人種に優劣はない。
 人権を尊重しなければならない。

ロシアや中国でさえ、これらのことを口にします。

ただ、ここ数年で、
 実際は、自国優先、自国民族の優越、人権より国体重視で動いている
ということが明らかになりました。

ロシアは、今回のウクライナで、
中国は、香港の言論弾圧と武力での制圧で、
 多くの人の生命、身体、自由(言論を含む)といった人権を侵害しています。

これに対し、
 国連は機能しない。

ロシアも中国も常任理事国で、拒否権を持つからです。

では、これらの国に対し、
 強硬路線で対応できるか
というと難しい。

理由は、
 核保有国であり、その数は、地球を滅ぼすことができるほどの数だからです。

武力で制圧しようとして、
 共倒れの覚悟で核を打ち込んできたら、制圧しようとした国家は無事ではいられない。

第二次世界大戦で、
 日本に核兵器が2発も撃ち込まれたのをニュースで見ていた海外の要人は何と思ったか?

 我が国も、核を持たねばならない。

その後、
 核開発が進み、ソ連、イギリス、フランス、中国などが、研究開発を進め、核保有国となります。

その結果、アメリカなどの核保有国は、どう思ったか?

 このまま、核保有国を増やしてはならない。

1963年、国連で、核拡散防止条約が採択されます。
68年に調印、70年に発効。

つまり、すでに核保有国である国連の常任理事国のみが核保有を許され、
 他の国を核によって、制圧できる特権を手に入れた
ということです。


これが、現在の国際社会を構成しているというのが、現実です。

俺は、持つけど、お前は持つな。
 お前のものは、俺のもの。俺のものは、俺のもの。
という、ジャイアン並みの理論なわけです。

普通に考えて、
 おかしい
と思うはず。

平和主義者は、
 核拡散防止条約は、核兵器を廃絶するためのものだから、いいことだ
と勘違いしています。

そうであれば、1970年から50年以上たっているのに、
 米・ソ(現ロシア)の核兵器の数は対して減っておらず、中国はむしろ数を増やしている
ということの説明はできません。

核保有国=常任理事国は、
 権力の象徴である核を手放すことなどできない。

弱肉強食の国際社会では、それがルールです。

このあたりのことを理解していた
インド、パキスタンは、調印せず、その後、核保有国となります。

唯一、この5か国のみが核保有国かつ常任理事国であることを正当化する根拠は、
 この5か国が、世界の警察官として、世界の国々の正義のために活動する
という信頼が根底にある場合です。

日本人がよく使う
 アメリカに、世界の警察の役割を期待する
のと同じです。

ただ、アメリカでさえ、金がかかるのに、見返りがない世界の警察の役割には消極的になってきています。
かつては、
 共産主義を拡大しない
という反共産主義思想のもと、警察として、共産主義化しそうなエリアに介入していっていたわけですが、
 もはや、米ソ冷戦には勝利したため、警察機能を果たす必要がなくなっている
からです。

 日本人は、アメリカに過度に期待しすぎており、一種のアメリカ信仰が根付いています。
日本に何かあれば、
 アメリカがすぐに助けてくれる!
 そのために、アメリカの国債を買ったり、アメリカのいうとおりに国連で決議したり、お金を出したりしなければならない。

国家として、あまりかっこいいとはいえません。

 自分の国は、自分で守る。
そのために、
 必要なことをしていく。

ウクライナの必死の戦いはこのことを物語っています。
これが、国家というものです。


国連の仕組みや核拡散防止条約がおかしいのであれば、
 他国と協力し、変革していく必要がある
わけです。

もはや、
 ロシアと中国を見てみれば、核保有国・国連の常任理事国が一番危険な存在である
ということは証明済みだからです。

国連の改革は、常任理事国をなくし、理事国による多数決とし、拒否権も撤廃する。
重要事項は、株式会社の議決のシステムのように、特別決議は3分の2など決議のレベルをあげればよい。

核拡散防止条約は、
 核兵器の廃絶に向けたプランニングを義務化し、
 核兵器の開発、化学兵器の開発、クラスター爆弾など人道的に許されない兵器の開発は、すべての国家で行わないようにする。

これに反する国家に対しては、
 全世界で経済制裁を徹底し、
 その国内部の反乱勢力を手助けし、国家体制の変革を誘導する。

第二次世界大戦での戦勝国による世界統治の仕組みを
 多くの国家が平等に、自国の安全を担保できる仕組みに変えていく。

そのためには、
 自らの権益を手放すことはできないので、常任理事国以外の国々が一致団結して変革していかざるを得ない
わけです。

ただ、
 今の日本では無理です。

日本は、安全保障条約の下、事実上、アメリカの指揮監督下にあるからです。

憲法9条を変えなければならない理由は、
 日本は、自分の国さえ守れない
からです。

そんな国が、国連の変革を提案しても、だれも聞いてはくれません。
親に小遣いをもらって、養ってもらっている人が、
 弱者救済、格差是正の政策のために、活動しましょう
といっても、
 まずは、自分の生計を立てろよ
と言われるのと同じ。

憲法では、自衛のための「戦力」も認められていない。
「自衛力」と「戦力」は異なると、解釈し、強引に、正当化していますが、かなり苦しい。
これで納得するのは、
 実務を知らず、机上の空論で喜んでいる学者ぐらい
です。

自分のことは自分できるような
 自律的な国家になって初めて、他国から信頼もされるし、尊敬もされるようになる。

今の日本は、アメリカの核の傘下に入り、
 アメリカの言いなりになっている
ため、
 国際社会からは、信頼もされない
わけです。

このあたりは、イラク戦争で自衛隊を派遣できなかったことで明らかになっています。
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