知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

日本の問題点⑥ 脆弱な外交力

2021年05月19日 | 国家論
外交は外務省。
その縦割り行政の弊害が、
 中国のような全体主義国家にしてやられる
理由となっています。

中国は、自国の利益になると思った政策は、
 トップダウンで決定し、強引な手を使ってでも実現する。

縦割りなど関係なく、
 一致団結して取り組みます。

しかも、企業も中共組織の一環であるため、
 やり方が徹底しています。
仮に、少しでも歯向かう意思を表示した企業は、アリババ、美団など容赦しない。
*****
CNN 5月13日配信より引用 
「焚書」扱った漢詩投稿で物議、美団の株価急落 中国IT企業の苦境浮き彫り
中国デリバリー大手「美団」の経営者が焚書(ふんしょ)に関する1000年以上前の漢詩をSNSに投稿して物議を醸し、
米ドル換算で数百億ドルの時価総額を失う結果となった。
*****

例えば、ある国の港が、一帯一路の海運事業にとって必要だと考えたとします。
そうすると、
 港の整備事業を中国企業が資金を提供して行う合意をします。

その国は、港の整備ができれば、雇用も増え、町が発展し、税収も増えるだろうと期待します。
資金提供の条件として、
 中国企業に建設工事を請け負わせます。
 中国企業は、中国から労働者を連れてきます。
 港の建設のための多数の労働者が生活するため、チャイナタウンのようになります。
 地元の雇用はさほど潤わない。

また、
 中国企業が、港湾整備のための会社を設立し、土地を購入し、建物や工場を建てます。
工場や会社の敷地内は「私有地につき立入り禁止」とすることで、
 事実上の中国領ができあがる
ことになります。
新たな植民地政策です。
ポイントは中国企業は中国共産党員が幹部に入っているので、企業と国とが実質上同一であるということです。

港の整備に関連し、造船業の支援も口では約束します。
ただ、
 実際は、資金を提供せず、造船業者が経営難になるのを待ちます。

港の整備によって、必ずしも、造船の仕事が増えるわけではない。
その後、経営難により、倒産の間際、株価がタダ同然となったところで、中国の造船会社に買収させる。
これにより、
 その国の造船業も吸収する
ことができます。

その上、整備資金が貸付の場合、利息の支払いができなくなれば、
 港の利用権限を取得できるようにすることで、事実上の租借地とする
ことができます(いわゆる「債務の罠」)。

こういった港の整備をイタリアなど一帯一路沿いの複数の港で推し進めています。
非常に狡猾で、隙がない戦略です。

仮に、国民の批判が出て、
 利用権限を与えないようにしたり、中国企業に不利益となるような法案を制定した場合
には、
 経済制裁、レアメタルの禁輸、武力による威嚇
など、
 多数の選択肢で脅し、決定を覆させるという「戦狼外交」が用意されています。

本当に狡猾で、恐ろしい。

ただ、
 中国国民や企業からすれば、頼もしく見えるはずです。

企業は国家の後ろ盾があるように見えるし、
 買収しやすいように、外交を巧みに使ってライバル企業の力を削いでくれる
からです。


これが、外交力です。

あまりに狡猾でやりすぎると、警戒感を抱かれ、
 戦前の日本のように包囲網が築かれる
ことになります。

ただ、
 あまりに「いい人」で、金だけ出す
という方法では、
 自国の利益につながらない
わけです。

中には勘違いして、
 あの国は言いがかりをつければ、お金を払ってもらえる、技術をタダでもらえる
など、
 不当な要求を繰り返す国が出てくる
ことになります。

対韓国については、外交戦略のミスでした。
日韓基本条約後、技術移転や様々な支援が、かえってマイナスに働いたケースです。


日本はバブルで資金力があった場合、
 海外の不動産や絵画を購入しまくったり、ブランド品を買いあさったりしていました。

他国に日本企業の助けとなる港湾などの戦略拠点を作ろうなどとは考えたことはなかったはずです。
地方に保養所をたくさん建設し、浪費した。
 ロボットやITに投資をし、30年後の発展につなげようとはしなかった。

その結果、バブル崩壊後、
 地方に保養所の廃墟がたくさん立ち並び、財務状況が悪化したつけは、
 従業員(リストラ、減給)や株主(無配、株価低迷)に押し付け、
なんとか生き延びたものの、
 長期の投資が少なっくなったため、ITの導入の遅れや生産性の低下で、
 現在、その代償を払っている
というわけです。

ありあまるお金を、次の成長につながる教育、大学などの研究費に回したり、
 工場やインフラ整備
 親日国家との提携強化
にあてていたら、
 長期停滞は免れていた
はずです。
(タイなどの人材を意味不明な研修制度よりも、より充実したシステムを構築していれば双方の国益につながったはず。
今は、期間が決まっているため研修生からの評判は悪く、企業も使い勝手が悪い制度となっている。)

投資や研究開発費の削減は、コロナのワクチン開発の遅れにもつながり、
 その代償を企業や国民が払っています。

予算削減が、研究開発に支障が生じたことは明白です。
東大新聞オンライン 4月13日
なぜ日本はワクチン開発に出遅れたのか? 連載・東大のワクチン開発の現状を追う①mRNAワクチン開発と研究環境https://www.todaishimbun.org/covid_19_vaccine_20210414/

これは、
 研究開発をないがしろにしている国会、政府の責任
です。

中国が膨大な研究開発で世界を圧倒しているのは、
 10年後、20年後に、覇権を奪うという明確な外交戦略
に基づいています。

日本には、
 10年後、20年後、50年後、100年後の外交戦略があるか
どうか微妙です。

人口増加エリアの東南アジアと提携しながら、中国を封じ込めつつ、韓国を黙らせ、
 国内の経済成長を続けるためには、どのようなことを、どの順番でしていくべきか。
おそらく、国会議員には、
 次の選挙で当選することの方が重要である
ため、
 本気で考えている人はあまりいない
と思います。
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