YS Journal アメリカからの雑感

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Washinton DC 市長選 民主党予備選の結果

2010-09-18 20:00:02 | 教育
以前、ワシントンDC市教育監として活躍している Michelle Rhee の事は、紹介した。(Michelle RheeMichelle Rhee 教員組合との雇用契約を合意

生徒の成績向上等具体的な成果もでてきているのだが、将来に暗雲が立ちこめてきた。彼女を支えてきた現職の市長 (Adrian Fenty) が市長選の民主党の予備選で敗れたのだ。市長候補になったのは、市の議会議長の Vincent Gray だ。Washinton DC は、共和党は非常にマイナーなので、このまま Vincent Gray が市長になる事が確実だ。

首都としての Washinton DC は、アメリカ政治の中心地として有名であるが、都市としての Washinton DC は、黒人が多くて貧困層の東地区と、比較的白人が多い西地区に分かれている。長年、市行政が上手くいっておらず荒廃が進んでいた。象徴的な出来事として、何年か前に、当時現職の市長が覚醒剤仕様の現行犯で逮捕された事がある。

アメリカの貧困層が多い都市の殆どは、黒人の割合が高く、圧倒的に民主党が強い傾向に有る。貧しいから福祉政策に積極的な民主党の支援をするのだが、その為に福祉政策に頼った生活から抜け出せなくなる悪循環にもなっている。

現職の市長 (Adrian Fenty)と予備選を勝った Vincent Gray 候補とも黒人であるが、Fenty 市長は豊かな白人よりの政策を取っているとの批判がある。また、Michelle Rhee が協力に進めている教員組合との戦いを全面的に支援した事で、教員組合ばかりでなく、その他の公務員組合の票も Gray 候補に流れた。

Michelle Rhee は、Gray 候補の元では働かないという趣旨の発言をしており、Gray 候補も慰留をする気もがないと言われている。

生徒の成績が改善しているし、教員組合との契約で教員の質を維持出来る体制が出来てきたのに、彼女が辞めてしまうと元の木阿弥になる可能性が高い。教員組合の力が強く、にっちもさっちも行かなくなった特に大都市での公立学校の問題解決のモデルケースとして順調だっただけに、長期間での成果が注目されていた。これで教育改善にやる気のある市長達も、組合の反対を恐れて大胆な手を打つ事に躊躇する可能性もある。

Gray 候補は、教育問題だけでなく、行政全般で逆戻りはしないと公約しているらしいが、もし、Michelle Rhee を慰留する気がないのであれば、古き悪き Washinton DC に逆戻りする可能性が高い。