YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

金:Thomas Kaplan

2010-09-02 11:49:38 | 金(GOLD)の話題
お金も無いのに「金(GOLD)の話題」をカテゴリーに追加。キッカケは今週号 (8/30-9/5/2010) の Business Week。

昨年、Bloomberg に買われてから、紙面が微妙に変わり、内容がつまらなくなってきている様な気がする Business Week だが、表紙に Thomas Kaplan が載っているではないか。これは金の話題だと興奮して記事を読んだのだが、内容が薄くてがっかり、まだ来年の7月まで購読が残っているのだが、今度こそ本当に止めるかもしれない。(詰まらない記事は、こちら)WSJ 5月22日のこっちの記事の方が、内容的にも遜色無く、短い分だけスッキリして無駄が無い。

Business Week の記事で役に立ったのは、Gold 101 と称して添付してあったグラフのみであった。(ウェブ記事にこれらのグラフは出てこないので、ヘタッピな写真貼付けておく。読めなかったらごめんなさい)



先ず、実用性が一切無い知識として、金として存在している全量は、オリンピックサイズプールの3.42杯分という事であった。日本の所有量は765トン、アメリカが一番多くて8,134トン、面白いのは IMF が2,967トンも所有している。

で、肝心の Thomas Kaplan は何物か、という事になるのだが、オックスフォード大学で英国の植民地(マレーシア)の独立を研究するなかで、必然的に天然資源に詳しくなり、銀や天然ガスなどを扱うファンドを経て独立、現在は主に金を扱っているという変わり者である。

いくら金を所有しているのかは公表していないが、大手を除く金採掘業者の約30%の株式を保有している。金も一杯持っていて、金採掘もやるという事は、まだまだ金が伸びるという事を確信しているという事であろう。(考古学者から世界的な実業家になった原丈人みたいな人もいるので、歴史学、考古学にお金儲けのヒントありか!?)

一方で、8月23日の WSJ に "Rethinking Gold" という記事があり、過去30年間、金とドルの相関関係は-0.65、つまり、金相場と占う事とは、ドル相場を占う事(逆に動くという事で)になると結論している。そして、インフレ対策としての金には否定的な考えを示している。

現物で持てる資源として考えるべきか、通貨としてドルとの関係で考えるべきか、アメリカ経済が上向いた時(暫く時間が掛かりそうだが)に取り敢えずの結論が出そうだ。

8月自動車販売数、ハイブリッド、Sonata、Nissan Leaf、レクサスとタタ(追記)

2010-09-02 05:52:23 | アメリカ自動車業界
車に関する話題をランダムに。

1)8月の新車販売台数

どうも8月の自動車販売数は、100万台をを切りそうだ。昨年の8月よりも悪い数字という事が、酷さを象徴している。(但し、昨年は、Cash For Clunkers (ポンコツ買換え補助金)があった)先日の住宅販売数と言い、アメリカの消費を表す数字は厳しいものばかりだ。

2)ハイブリッドの販売動向

車全体の売り上げが落ち込んでいる事もあるが、ハイブリッド車の落ち込みはもっと激しい。環境問題に敏感であるはずのサンフランシスコ地区でも落ちている。唯一、トヨタのプリウスだけが辛うじて4%売上げを伸ばしている。この2つの事実は、アメリカ人の車に対する感覚を象徴している。

先ず、ガソリンの値段が$3/ガロン(約70円/リッター)以下だと、わざわざハイブリッドを購入する気が無いという事である。そして、ハイブリッドである事が主張出来ない車は、乗りたく無いという事だ。外見でハイブリッドと認識出来るのはプリウスだけである。(ホンダのインサイトもあるが、販売数が少なすぎて認識出来る人はほとんどいないと思う)その他のハイブリッドは、全てガソリンエンジン車と同じ外観であるので、運転している方としてはハイブリッド車に乗っていると言う優越感を主張する事が出来ない。

自分の事を、アカデミー賞の会場に出かけるレオナルド・ディカプリオと同じだと回りに認識させる為には、プリウスでないとダメなのである。そのプリウスでさえも、伸び悩んでいるのである。

アメリカでは環境問題や気候変化(地球温暖化を含めて)をがなり立てた輩は、この夏の猛暑でも鳴りを潜めている。今年の夏はニューオリンズに大被害をもたらしたカタリーナ級のハリケーンが続発するとか言っていたが、そんな事もない。日本は、ハイブリッドの新車販売べースのシェアが半分を占めているそうだが、その真面目さが痛々しいくらいである。(ガソリンが高い切実性の現れか?)

3)2011 Hyundai Sonata

フルモデルチェンジをしたのだが、これが結構いけている。ボディーのラインは、ホンダのアコードと同様に BMW を真似していると思うのだが、 Hyundai の方が圧倒的にカッコ良い。写真より実物のほうがよりハッキリするので、自分で見比べてみて下さい。(Hyundai Sonata 2011Honda Accord 2011)ソナタはボリューム感があってグラマラスな感じ、アコードは直線的で神経質な感じのデザイン。

今年一月からの売上げでは、アコード18万台(7月末)に対しソナタ10万台であるが、2011年モデルの登場した8月以降の販売数がどうなるか注目である。

ソナタは BMW のボディーを真似しただけで無く、内装は完全にアコードを意識している作りになっている。そして価格は安めである。真似した方がカッコ良いとはどうした事だろう。韓国の勢いを感じさせるデザインである。

もう1つ賢いのは、2011モデルはV6エンジンの設定が無い事のである。生産効率が格段にアップするだろう。その上、ジョージア州で昨年暮れから稼働を始めた Kia 工場に SUV の Santa Fe を移管するので、アラバマ工場は Sonota だけの生産となるので尚更である。(年間30万台のキャパとなるらしい)V6を載せないのがどの時点での判断か分からないが、最大ライバルのアコードのV6の売上げが昨年から落ち込んでいる事を考えると、英断としか言いようがない。

唯一の心配は、今年暮れにハイブリッドバージョンを販売する事くらいか。(上記の2)に絡んで、要らぬ余計な手間が掛かるという意味で)

4)Nissan Leaf

値段も高いし、航続距離も短いし、余り成功するとは思えないのだが、ツール・ド・フランスで7年連続総合優勝(1999年から2005年)した Lance Armstrong が出演したテレビコマーシャルは好印象が残ったので紹介しておく。小さい頃に排気ガスの匂いが好きだったと言う本田宗一郎的な資質を持った人なら、鼻の奥に独特の匂いが蘇ると思う。(特にオイル上がりの白い煙)



5)レクサスとタタ
タタのナノについては、以前に出だしから減産を余儀なくなれており、厳しいスタートになった事を考えてみたが、その後、販売数は伸びてきているものの、今年の7月の販売数が9千台という事なので、苦戦が続いている。タタモータースとしては、フォードから買収したジャガー/ローバーの技術陣の協力を得ながら改良を進めていくとしている。

日本では、トヨタが満を持して国内販売を始めたレクサスが5周年を迎えたが、当初目標の半分の販売量しか達成してない。苦戦の理由は、ターゲットとする富裕層の独BMWやベンツなど高級輸入ブランドへのこだわりが予想以上に強かった事を一番にあげている。マーケティングの観点から考えると、品質が良くてもブランドイメージで負けている限り勝負にならないという事であろう。ベンツや BMW を所有する人のどの程度の人が、昔はトヨタを所有していたかは定かでないが、トヨタからレクサスという取り込みにも失敗しているのではないだろうか。

そう考えると、初めて車を買う人達をターゲットとし、段階的に全ての購入層を取り込もうという戦略は、大いに間違っているとしか言えない。日本では車も、特にトヨタはドブ板営業で人間関係で売っていた昔もあるが、今は日本でも通じないし、尚更世界では通じないのであろう。

トヨタは、インドでナノ的な車で勝負しなかった事は正解。日本でレクサスのブランド力は読み間違いといった所か。

「コツコツやる人、ご苦労さん」という事態を避けて、トヨタが中国、インドなどで儲ける為には、総合的で且つ分裂的なマーケティング戦略が必要であろう。(とっくに考えていらっしゃると思うけど)