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YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

民主党大会、クリントン元大統領のスピーチ

2012-09-05 23:05:56 | アメリカ政治
この人は死ぬまでしゃべりたい人なのだ。

ちょっと長すぎたが、クリントンより上手にオバマの業績を宣伝できる人は絶対にいない。オバマ本人より絶対に上だ。内容的には、目新しい事を言っているわけではないが、不思議と説得力がある。オバマが応援演説を懇願するのかが理解出来る。

最大の疑問は、なぜそこまでやるのかである。

ヒラリーが2016年に出馬しないとすれば、民主党の元大統領として協力するのは当然である。

もし、ヒラリーが2016年に大統領選に出馬を前提で考えると不可解な気がするが、自分のスピーチはオバマ再選に影響がないと達観している可能性がある。もし再選すれば、大きな影響があったと宣伝できるし、落選してもクリントンのせいだという人はいないとの計算があるのだろう。そう考えると、出来るだけオバマ陣営に恩を売っておけば、2016年にその借りを返してもらう密約でもあるのだろう。

大胆な推測であるが、ビルもヒラリーと同じでオバマの再選がないと確信しているのだ。

どちらにしろ、2014年頃には、この民主党大会でビルがオバマを積極的に支援した意味が分かるだろう。

クリントンが大統領の時のスキャンダルでは、大統領職を罷免はされなかったが、偽証罪で弁護士資格の停止処分になっており、政治家の矜持、男としての威厳のかけらもない最低男である。

でも、オバマよりも複雑な事を数字等を上手に使い説明出来るし、エリート臭もなく、ジョークの質も高い。絶対に信用出来ないが、不思議と一緒にいたい気にさせる魅力的な人である。過去のエントリーでも書いたのだが、ヒラリーが別れない気持ちが良くわかる気がする。


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2012 Democratic National Convention のロゴ

2012-09-05 20:03:53 | アメリカ政治


このロゴを見ると、民主党大会もオバマ陣営に乗っ取られている事がよく分かる。下のオバマのオリジナルロゴの情け無い派生版である。



それにしても、虫酸の走るロゴだ。旧共産圏の雰囲気がプンプンしている。いくらアメリカンドリームとか受けが良く口当たりの良い言葉を並べても、体質が滲み出してくる。頭隠して尻隠さずとはこの事だ。

民主党は、オバマと心中するつもりの様だ。オバマが再選されなければ、瓦解してしばらくは混迷が続くであろう。だから必死なのである。下院に続いて上院の過半数を失っても、ホワイトハウスを牛耳っている限り、共和党を批判しながら行政権で出来る範囲でやりたい放題をして放り投げる算段のようだ。

民主党大会初日のスピーチをいくつか見たが、盛り上がりに欠けている。今日は党綱領の決定に際し、伝統的に記載されていた "God" と「エルサレムがイスラエルの首都」が抜けていとの批判を受けて修正案が可決されたが、完全に2分されていた。(映像はこちら)誰の小細工か分からないが、"God" と「エルサレムがイスラエルの首都」を意識的に抜いたのだが元に戻さざるを得ず、図らずも民主党内が割れている事を露呈した形になった。


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David Axelrod: この程度でオバマキャンペーンを取り仕切っているのか?

2012-09-02 21:15:38 | アメリカ政治
このインタビューは、共和党大会閉会後に、オバマの信用が厚い取り巻きの一人である David Axelrod が、保守系で知られる Fox News に出演した映像である。

オバマ陣営は保守系の Fox News を毛嫌いしており、就任当初はホワイトハウスへの出入りを禁止しようとしたりして犬猿の仲である。でも、ニュース番組では視聴率が一番高いという事もあり、無視する事も出来ず David Axelrod が度々登場している。

彼が出る度に、何を言うのか知りたくてチェックしているのだが、段々、支離滅裂になって来ている。インタビューをしている Chris Wallace は、Fox News では穏健な方で、エキセントリックな追求はしないのであるが、David Axelrod が勝手に興奮して、言わなくても良い様な事をいったり、質問をはぐらかそうと早口になったりしている。

このインタビューで目立って変な所を2点。

まず、共和党大会の感想を聞かれて共和党が分裂しているが民主党は一枚岩だというコメントだ。これは、そのまま裏返しで、共和党が分裂している状況は無いので、民主党をひとつにまとめられない自分の苦労を、思わずそのまま共和党に投影したものだと思われる。

2点目は、財政再建について、ロムニーが具体的な策を出さずオバマ批判しかしていないので、自分もロムニー批判しかしないという、意味不明の反論をしている。

オバマキャンペーンの中枢である David Axelrod がこの程度のコメントしか出せないのであれば、今後のオバマの選挙活動はロムニー、ライアンに対するネガティブキャンペーンくらいしか出来ないであろう。

これまでのオバマの選挙キャンペーンは、敵側のスキャンダルを暴くという手法が非常に有効的にとられてきたのだが、ロムニー、ライアンとも叩いても埃が出ないので上手くいってない様だ。共和党大会までに費やされたネガティブキャンペーンへの資金は膨大であったが、効果は上がっていない。

ホワイトハウスでオバマへのアドバイザーをしていた時も、政策経験が無い事を批判されていたし、ラッキーを期待出来ない今回の大統領選挙ではネガティブキャンペーン以外の術を知らない様だ。

本人は、この選挙戦で政治の世界から足を洗うと宣言しているが、オバマが敗戦すれば誰も声を掛けなくなるので、そんな心配をしなくても良さそうだ。


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Down in flames

2012-09-02 05:23:47 | アメリカ政治
民主党の人材不足は著しい。大統領であるオバマに続く大物はヒラリーしかいないお寒い状況である。現時点で、州知事、連邦議員を見渡しても、目立った若手がいない。

で、ヒラリーであるが、オバマに予備選で破れ、国務長官職を受け入れた時から大統領の夢は捨てたと思っていたのだが、どうも望みを捨てていないようだ。

オバマ陣営はヒラリーに対して非公式に副大統領候補になるよう要請が、ヒラリーはあっさり断ったらしい。

理由は、2016年の自ら出馬する大統領選の時に、もしオバマが再選されれば、副大統領としてオバマの実績を弁護しなくてはならない。(その実績は酷い物だという確信があるらしい)自分が副大統領候補になって落選した場合は、敗者のレッテルが貼られるという計算が働いているらしい。

そして、ヒラリーは密かに、オバマは再選しないと思っているらしい。それもオバマキャンペーンは " go down in flames" つまり、火達磨で撃墜すると考えているようだ。

このヒラリーの読みが正しいとしても、ロムニーが大統領としてそれなりの活躍をすれば、現職大統領を引きずり落とせ無いと思われる。

どっちに転んでもヒラリーが大統領になる可能性は非常に低そうだ。

オバマ大統領 再選の行方(16):共和党副大統領決定

2012-08-12 05:19:17 | アメリカ政治
共和党の副大統領候補が、ウインスコンシン州連邦下院議員の Paul Ryan に決定した。Paul Ryan は下院予算委員会長で、上下院の連邦議員の中でも財政のプロ中のプロと考えられている。

副大統領候補を選びには、大統領選を意識した選択と当選後の政権運営を考えた人選の二通りが考えられる。

大統領選挙選を考慮すると、約40州は基本的にどちらの党になるかが決定しているので、Swing States と呼ばれる過去に共和党にも民主党にもなった州での激しい戦いとなる。そのなかでも選挙人数の多い州、オハイオとか、フロリダとかを意識した人選と言う事が考えられる。(Marco Rubio, Rob Portman)

安定した政権運営をするには、連邦議会での経験が豊富な連邦上院議員もしくは、州知事経験者が良いと思っていた。(Rob Portman, Tim Pawlenty, Jon Huntsman)

両方の条件を満たすオハイオ州連邦上院議員 Rob Portman が最有力であり、ベストの選択であると思っていた。

ロムニーはライアンを選ぶ事で、財政再建がロムニー政権の最大の柱である事を打ち出した。ロムニーがアメリカの抱えている問題を正しく理解しており、最善の選択を行ったと思う。肥大した福祉政策にメスを入れ、景気回復を図らなければ、アメリカの存在感が薄れてしまう。

副大統領候補として一番考慮されなければならないのは、大統領にないかあった時に取って代われる資質、つまり大統領が勤まるかという事である。42歳と言う若さもあり、未知数であるが、現副大統領よりは格段に上であり、経歴といういみではオバマよりもずっとましだ。


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オバマ大統領 再選の行方(14):共和党の副大統領選び (4-25-12)
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アメリカ大統領選まであと105日

2012-07-24 20:10:45 | アメリカ政治
アメリカ大統領選の事を継続的に書いていこうと心に決めているのだが、ここ2、3ヶ月さっぱり意欲が湧いて来ない。

アメリカは、内政、外交ともに問題が山積みなのに、ここまでオバマ、ロムニーとも内容のない選挙キャンペーンを繰り返すだけなのが、主な要因だと思う。

それにしても、オバマのからっぽには驚くばかりだ。選挙活動は資金集めとロムニーを攻撃するだけだ。、現職大統領としてのメッセージが皆無だ。

子供騙しのようなコメントしか出ないのは、アメリカ市民を馬鹿にしているとしか思えない。ロムニーもその術中にはまっているのも情けない。 複雑な問題を正面から捉えキチンと説明しないマスコミ、特にテレビも情けない。

オバマ、ロムニーによる討論会が始まり、まともな司会者が、まともな質問をしてくれるのを待つしかなさそうだ。

オバマは基本的に大統領としてやってきた3年半の実績を元に討論に臨むしかない以上、ロムニーは圧倒的に有利であろう。討論会で、ロムニーがオバマをコテンパンに出来ないのであれば、大統領になってもあまり期待出来ない気になってきた。

アメリカ国民は、根が深い問題に対して果敢に戦いを挑む大統領を渇望しているのだと思う。大統領選でも、ロムニーの毅然と戦う姿を見たいものだ。

"If you’ve got a business, you didn’t build that."

2012-07-16 05:52:09 | アメリカ政治
オバマは共産主義者だ。

There are a lot of wealthy, successful Americans who agree with me -- because they want to give something back. They know they didn’t -- look, if you’ve been successful, you didn’t get there on your own. You didn’t get there on your own. I’m always struck by people who think, well, it must be because I was just so smart. There are a lot of smart people out there. It must be because I worked harder than everybody else. Let me tell you something -- there are a whole bunch of hardworking people out there. (Applause.)

If you were successful, somebody along the line gave you some help. There was a great teacher somewhere in your life. Somebody helped to create this unbelievable American system that we have that allowed you to thrive. Somebody invested in roads and bridges. If you’ve got a business -- you didn’t build that. Somebody else made that happen. The Internet didn’t get invented on its own. Government research created the Internet so that all the companies could make money off the Internet.

演説の全文はこちら

贔屓目に見ても、人生訓と税金問題をごちゃ混ぜにしたら、普通はバカと呼ばれる。

オバマは社会主義者だという批判はずっとあるが、共産主義者に格上げだ。

ただの候補者に成り下がっているオバマ

2012-07-15 21:20:25 | アメリカ政治
正式に大統領候補者が指名される全国党大会までこれと言った大きなイベントがないので、ダレ気味の大統領選挙である。

連日話題には事欠かないが、内容的にはどうでも良い事ばかりである。そんな事にまでいちいち大統領がインタビューに答えたり、毎週土曜日恒例のラジオ演説で取り上げてみたり、みっともないったらありゃしない。

それにしても、オバマは民主党の大統領候補に名乗りを挙げて以来、約五年間もマスコミに出ずっ張りである。仮に有能だったとしても、飽きられるだろう。オバマ支持者がロムニーに投票という事は考えら得ないが、無党派層は、積極的にロムニーに投票、消極的に投票に行かなかったりという事は、考えられると思う。

アメリカでは選挙に関する世論調査の結果が、プロさえも混乱するくらい発表されるが、オバマに飽きたという数字もボチボチ出てきそうだ。

ObamaCare: 連邦最高裁合憲判決

2012-06-29 18:17:09 | アメリカ政治
発表された直後は、違憲判決の報道がされる程、精緻に練り上げられた合憲判決であった。

法案が成立した根拠となっている Commerce Clause の適用は違憲判断なのだが、健康保険を購入しなかった人に対するペナルティーを税金と規定する事で、連邦議会のみが持つ徴税の立法特権を適用して合憲判断となった。

連邦最高裁判事は、リベラル4人、保守4人、そして Swing Vote と呼ばれる中道が1人の構成なのだが、Swing Vote と目されていた Kennedy が違憲(保守側)の判断をした。しかし、保守派とされている Chief Justice(筆頭判事)の Roberts が税金の概念を持ち込む事で、結果的にはリベラル側に回っての合憲判断となった。



保守は、Chief Justice Roberts が憲法解釈を捻じ曲げて、政府とアメリカ市民の関係を永遠に変える判決を下したと憤慨している。一方、リベラルは、ObamaCare の法解釈には無頓着で、合憲と判断された事に大喜びである。

保守を裏切ったとされる Roberts であるが、ObamaCare という近年で最大の判例を通して、最高裁のあり方(と見られ方)、政治的な大紛争に巻き込まれないようにする、そして、国を二分する重大な政策は、究極的にアメリカ市民の判断に委ねるという、天才的な判決を出したのではないだろうか。

最高裁判事の構成で述べたように、どちらに転がるか分からない判例では、それぞれのイディオロギー(往々ににして、どちらの党の大統領に任命されたか)に沿った意見がだされ、リベラル、保守が均衡して、Swing Vote である Kennedy 次第という状況が続いていた。

今回も従来のような判決をだすと、連邦最高裁判所は法解釈ではなくて、イディオロギーで判決を下すと言う事が決定的になり、本来の機能を果たせなくなる恐れがある。 連邦議会で民主党と共和党がいがみ合った形がそのまま反映され、最高裁判所自体が、国民皆保険という最大の政治問題の渦中に巻き込まれる事になる。 又、他の判事、特にオバマに選出された二人に対して、イディオロギーを超越した連邦最高裁のあり方を自らが示したのではないだろうか。

合憲判決ではあるものの、連邦議会が Commerce Clause を拡大解釈、適用する事に歯止めを掛けており、ObamaCare を税金問題に矮小化させて居る所がこの判決の最大の妙味だと思う。 つまり、連邦議会で廃案を審議する時に、政府がこのような税を課税して良いのかという議論に集中出来る。

タイミングも抜群で、この秋に大統領選(上院の3分の1、下院)を控えており、ObamaCare が選挙戦の最大の焦点になるのは間違いない。結局は、アメリカ市民が自分たちで国民皆保険をどうするかを決めなさいと言っているのである。

Roberts は、リベラル判事に参加することで、ObamaCare を合憲としたものの、アメリカ市民の判断に信を委ねたのだ。それはアメリカの保守を試す事でもあるが、誰かに頼る(ここでは最高裁判所の判断)のではなく、自分たちの未来は自分で決めなさいという問題提起をしたことで、連邦最高裁筆頭判事という立場を超えた正統な保守であろう。

尚、Roberts は、Kennedy が違憲判断をした後に意見を変えている事をみても、ただ単に合憲、違憲だけを考慮した判決ではなった事を裏付けていると思う。


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ObamaCare: 連邦最高裁判決は6月末 (4-1-12)

アリゾナ州移民法の連邦最高裁判決

2012-06-26 18:09:58 | アメリカ政治
アリゾナ州移民法の連邦最高裁の判決が出た。4つの条項のうち、ひとつが合憲、その他3つが違憲となった。

原告の司法省、被告のアリゾナ州知事ともに勝利宣言をする不思議な事態となっている。

この法律は、不法移民を取り締まらない連邦政府に業を煮やしたアリゾナ州が、連邦移民法を踏襲する形で不法移民を摘発する意図で作られたのもである。よって、何らかの正当な理由(例えば、交通違反等)で警察が職務質問するときに合法移民である書類提示を要求できる条項が合憲となった事に大きな意味がある。

無差別に見てくれがヒスパニックというだけで職務質問をするわけではないのに、司法省、そして、オバマ大統領も、これが "Racial Profiling" (人種での決め付け)になるという理由で、大騒ぎをしたのである。

違憲となった3条項は、不法移民を定義する事、不法移民であることを犯罪と認定する事、国外退去をさせる事である。理由は、これらは連邦の権限なので無効であるとしている。

つまり、正当な捜査の一環として不法移民を摘発出来るが、その後の処理は連邦政府の責任である事を明確にしているのである。

この判決を受けて、オバマ政権は今後はアリゾナ州が不法移民を摘発しても協力をしないという、駄々っ子みたいな声明を早々と出している。判決が不服だから、アリゾナ州が摘発した不法移民の事は知らないよと、無責任な事を言っているのである。

最高裁判所の判決などクソ喰らえということだ。今週木曜日の ObamaCare の判決も同じ様に扱うのだろう。


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アリゾナ州移民法裁判の判決 (7-29-10)
司法省、アリゾナ州移民法を提訴 (7-8-10)
オバマ大統領 移民改革法案に関するスピーチ (7-2-10)
司法省、アリゾナ州移民法を提訴予定 (6-19-10)
アリゾナ州で州法として移民法成立 (4-28-10)

Obama can't win but Romney can still lose

2012-06-24 21:25:33 | アメリカ政治
最近、何をやっても上手くいかないオバマである。

G20 ではプーチンに思いっきりシカトされているし、記者会見でも何だか分けの分からない声明とコメントを発表している。

"Fast and Furious" というオトリ捜査の不手際(オトリ用にメキシコギャングへ売った銃で国境警備捜査官が撃たれて死亡)では、司法長官がどこまで知っていたかという事が問題になっており、連邦下院の委員会での偽証が取りざたされており、収監されそうな状況である。当初、この件に関係無いと言っていたホワイトハウスだが、証拠書類提出を拒否できる "Excutive Privilage" 大統領権限)をオバマが発動させており、カバーアップの気配が漂っている。

失業率は相変わらず下がらず、既に不況入りしているという観測も出てきている。

シリアは段々大変になってきているし、エジプトもイスラム系の大統領が誕生し、更に混迷しそうである。

WSJ 毎週土曜日連載の Peggy Noonan の政治コラムは欠かさず読んでいるのだが、彼女が最近一貫して主張しているのは "Obama can't win but Romney can still lose"。オバマはダメだが、それだけじゃロムニーが勝てる訳ではないという事である。

ロムニーは勝てそうな雰囲気が出てきているだけに、キャンペーンはまとまり過ぎの感がある。オバマじゃダメというだけで勝てる気もするが、政策としてきちんと打ち出す必要がある。時々、鋭いスピーチがあったりするが、基本的にはキャンペーンスローガン以上の言葉が聞けないのは事実だ。

今週は、ObamaCare の最高裁判決が出る見通しである。既にホワイトハウス、民主党は違憲判決を前提とした対応策を練っているそうだ。違憲判決になった方が共和党の反オバマの勢いが弱まり、オバマ再選の可能性が高まるという妙ちくりんな論理まで真面目に議論されている。(リベラル利口バカの典型的な逆立ち論理)

一方で、民主党の内部からもオバマと距離を置く有力党員が出てきている。(既に何人かの州知事は、大統領候補を正式決定する民主党大会を欠席すると表明している)今後、裏切りや、暴露等が次々出てきて、その応対に忙しくなりそうだ。"Lame Duck" な雰囲気さえ漂っている。

現職大統領なので、先週の移民法に関する "Excutive Order" (大統領命令)のような、なり振り構わないヤケクソ戦法も飛び出すだろう。暫くは、内政的で集票だけを考えた歪んだ行政が行われそうだ。

諸外国がオバマ再選の可能性をどう考えるかも需要だ。プーチンなどはどちらにしてもオバマを舐めきっているが、中東などのならず者は、アメリカが何も出来ないと踏んで増長するかもしれない。

アメリカ大統領がフラフラしていると、アメリカばかりでなく、世界中が落ち着かない。


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Peggy Noonan "The President's Island Retreat" (8-21-11)
不可解なオバマの言動に関する愚考 (5-25-11)

What would Geroge do?

2012-06-06 10:14:53 | アメリカ政治
ホワイトハウスには粋な慣習があるようだ。歴代大統領の肖像画がホールに並んでいるらしい。

一週間ほど前に、Geroge W Bush の肖像画完成式典が行われ、記者会見でブッシュ元大統領が粋なコメントをしていた。

ホワイトハウスがイギリス軍に攻め込まれて焼かれた際に、時のマジソン大統領夫人が初代ワシントン大統領の肖像画を持ち出して無事だった史実を踏まえて、ミッシェルに自分の肖像画を指しながら、"if anything happens, there's your man." (何かあったら、持ち出すのはこの絵だよ)と笑わせていた。

その後で真顔に戻り、オバマ大統領に対して、何か重大な決意をする時は私の肖像画をみて "What would Geroge do?" と自問が出来る様になったとのコメントで、大爆笑を誘っていた。

一方のオバマは、ブッシュはホワイトハウスにケーブルテレビのスポーツパッケージを残していった、私も観ていると、くだらないジョークを飛ばしていた。

政治の事などはこの際だからどうでも良いが、ジョークのセンス、アメリカ歴史の知識、機知、懐の深さ、どれをとってもオバマはブッシュの足元にも及ばない事を端的に示したパンチラインであった。


Obama: The Original Birther

2012-05-29 21:05:40 | アメリカ政治
オバマがケニア生まれなので大統領の資格が無いと騒ぐ人々は 、Birther と呼ばれており、反オバマの中でもトンでもグループと思われていた。

アメリカ政府がいくら間抜けでも、大統領に立候補した時点で確認しな訳が無く、端からそんなことは無いと思っていたが、ハワイ州政府が出生証明をホワイトハウスの許可を得て公表する事で、最終決着がついている。

なぜオバマがケニア生まれかと言う噂が立ったかというと、1991年にオバマの出版エージェントの紹介文に、ケニア生まれと言う一文があるのだ。(オバマ本人が自己紹介分を書いては居ない様だが、校正をした可能性は高い)

何のことは無い、オバマ自身がオリジナルの Birther なのである。

しかし、いつもでも出てこないのは、西海岸にあるオキシデンシャル大学からコロンビア大学に転校したときの書類である。(大学、大学院の時の成績書も)

ここからは推測の域をでないのであるが、彼はどこかでケニア生まれという事を自ら書いた書類がある可能性が高い。30年ほど前は、人種差別撤廃の行き過ぎで、マイノリティや海外生まれの学生に特別な枠があった事は広く知られている。オバマはそれを上手く利用したのではないかという疑いがある。

出版エージェントの紹介文も、ハワイ生まれの黒人よりケニア生まれの方が、興味を引いたり、有利に働くという下心があったのだろう。

今日のテキサス州の共和党予備選の結果が出ると、正式にロムニーが共和党の大統領候補となる。そんな状況の中で、オバマ陣営は早々とロムニーに対するネガティブキャンペーンを開始している。例えば、ロムニーが高校時代(45年まえ!)に、髪の長い同級生を押さえつけて切ったという悪戯を、この同級生がずっと後にゲイの告白をした事もあり、いじめっ子とゲイに対する偏見があるという展開を試みたりしている。

しかし、ロムニーの方は、オバマの(怪しい)過去については、話題にしないと、共和党の予備選とは打って変わって、大人の態度に出ている。

収まりがつかないのが、2008年にオバマの過去を洗いきらなかったマスメディアに不満が溜まっている保守系メディアである。ロムニーがやらなくても、自分たちがやると意欲満々である。彼等は、自分たちがもっとキチンとオバマの言動パターンや考え方を検証していれば、オバマが大統領にならなかったかもしれないという後悔がある。

オバマ本人が認めている高校時代の飲酒、ドラッグ(それもコカイン!)についても、少しも追求されていない。今になっても彼の政治信条を誰も理解していないし、大統領になってからもいっている事とやっている事がチグハグという指摘も保守系メディア以外でお目に掛かる事も無い。

これ以外でも保守メディアはオバマの調査を執拗にやっていくと思われるので、面白い事実が次々と出てくるような気がする。

オバマ陣営は大統領として正道の実績を誇ってもう4年という、選挙方針は取らない様だ。(というか出来ない)原理原則が無いので、票集めの為に細分化したグループ合わせたメッセージを発信する戦術のようだが、既に、同姓婚等ではバックファイアーしている。

リベラルの星であり現職大統領なのに、こんな間抜けな選挙活動しか出来ないのは情けない。経済的にも余裕がなくなっているということもあるが、大統領就任後の2年間は、民主党が上院、下院の過半数を持つ最高の条件でありながら碌な事が出来なかった事で、リベラルの限界とオバマの無能ぶりを、図らずも露呈した形となっている。

オバマの行政手腕は最低であるが、自分勝手な性分で、巧みなごまかし系の操縦術を操り、確固たる怪しい政治信条を持っている。それは世界にとって危険なアメリカ大統領である事を意味している。

一方で、アメリカ全体としての保守の目覚めは、目立たないが幅広く、奥深いものがある様に思う。

再び(そして何度も)言う。オバマの再選はないだろう。もし、再選されたら向こう4年とその悪影響で暫くは世界はもっと落ち着かなくなるだろう。

43のカトリック団体が ObamaCare の避妊薬の件でオバマ政権を提訴

2012-05-22 23:02:59 | アメリカ政治
今週月曜日、ノートルダム大学、ニューヨークのカトリック教会など合計43のカトリック団体が一斉に、ObamaCare の避妊薬の提供義務について、オバマ政権を全国で12の連邦地裁に訴えた。

カトリック教会の懸念に対し、オバマ大統領は、避妊薬を保険でカバーするが費用は製薬会社負担とするなどと、子供騙しのようなアイデアを出していたが、結局決裂した。

6月に最高裁判所の判決が出る予定だが、来年からはカトリックの教義に反して、自分たちの保険代が避妊薬をカバーする事(大きな丼勘定になるので)を問題としている。但し、この裁判自体に勝ち目はないという見方が大勢であるので、もし ObamaCare が合憲になった場合は、「宗教の自由」に発展さす含みもあると思われる。

議会審議中は懸念を示していた無視され、成立後も誠実な対応をしてもらえず、挙句の果てに同姓婚で止めを刺されている。この提訴は、この期に及んでもなんだか腰が引けているカソリック教会のささやかなオバマ再選阻止の意思表示であろう。

ObamaCare をめぐる論争の本質は宗教の話だ。というか、カトリックだけでなくさまざまな宗教に対する挑戦である。アメリカに於いては政府による国民皆保険(Single Payer)は、やっぱりリベラルの聖杯なのだ。


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