玉依姫 様 (四一九)
わたくしは海のない地方で育ちましたので、その光景がたいへん珍しくたくさん写真も撮影したのですが。みなどこかにいってしまいました…… 見た光景と実際の当時の状況はいささか不正確かもしれませんが、シオツチノオジノカミ(鹽土老翁神)が日本各地を巡って教えたという製塩法の基本は、案外近代までつづいていたのですね。昔はこうして作った塩は【かます】にいれて運搬されました。その表面からは無機物が流れ出ていたものです。いわゆる天然の【にがり】です、これをあつめて自家製の豆腐を作りましたが、その美味しさは比類のないものでした。【塩に味がある】というと、若い方たちに笑われそうですが、塩が美味しかったものです。懐かしい味ですが現代は、藻塩を焼いて塩をつくることはもう見られません。つまり、失われた味です。
わたくしは海のない地方で育ちましたので、その光景がたいへん珍しくたくさん写真も撮影したのですが。みなどこかにいってしまいました…… 見た光景と実際の当時の状況はいささか不正確かもしれませんが、シオツチノオジノカミ(鹽土老翁神)が日本各地を巡って教えたという製塩法の基本は、案外近代までつづいていたのですね。昔はこうして作った塩は【かます】にいれて運搬されました。その表面からは無機物が流れ出ていたものです。いわゆる天然の【にがり】です、これをあつめて自家製の豆腐を作りましたが、その美味しさは比類のないものでした。【塩に味がある】というと、若い方たちに笑われそうですが、塩が美味しかったものです。懐かしい味ですが現代は、藻塩を焼いて塩をつくることはもう見られません。つまり、失われた味です。
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