今の日本の科学業界は酷い状況です。
そんな中、先週第一生命がやったというアンケートで小学生男子のなりたい職業1位が学者・博士だったという、朗報(?)が。。。
まあ、外から見た場合、学者、博士といった職業はなかなか素敵に見える、ということでしょう。そのあと野球選手、サッカー選手と続きます。
その一方で、博士課程に進む若い人の人数は激減しています。日本の若い方にとって博士号を取得することは全く魅力がないのです。
それが何故なのか。
「今の若い人はチャレンジ精神がない。」「内向き」
などと、学術界から聞こえてくるのですが、今時、大学院、ポスドクで留学して、なにかいいことありますか?
現在70代以降の方はご自身が米国留学されていた頃は1ドル=360円の時代です。向こうでドルで給料をもらうとそれはかなりの高給でした。しかも広いところに住めて、確実に暮らし向きは日本にいたときよりよかったのです。
今は、留学すると、赤字です。日本の暮らし向きもなかなか良いので、欧米の住環境がもの凄く良いわけではありません。
そして帰国しようとしても、職がない!
安定した職種は全てずっと国内にいた方達に占められていて、空きがない。新しくできた職種は全て任期付。研究内容の自由もない。他人の仕事のお手伝い。終わりですね。
恐ろしい現実です。
若い方は十分にチャレンジ精神もグローバル感覚も持っていますよ。ただ、現状の選択肢として博士課程は「なし」という冷静な判断をしているだけです。
若い人に対して無責任な「煽り」を繰り返すのはいい加減やめにして頂きたい。