経済学を勉強していて悩まされるのは,数学と,英語。
数学はここでも書いてきましたが,実は英語も大変。
論文も有名なヤツ以外は翻訳が無いんで,原典にあたろうとすると英語になってしまう。
と,言いながら,翻訳があっても,問題があって,
翻訳の質ってやつですね。
こないだは,ケインズの一般理論の山形訳がいかに読みやすいか,旧訳がいかに問題が多いか,についてここでも比べてみたわけですが,
それどこじゃねえってヤツを発見。
国際経済秩序の発展
アーサー・ルイスの講義録。
開発経済学の巨匠,って感じの人で,ノーベル賞ももらっているんですが,本書を読んでいると,第二章冒頭で、こんな風に書かれてて,
『世界はどのようにして,工業国家群と農業国家群に分かれるようになったのであろうか。これは、地理的資源,経済力,軍事力,ある国際的陰謀,その他に起因している』
ナヌッ? 国際的陰謀?
三流評論家ならいざしらず,一流経済学者がんなこと言うかな?
というわけで,原文をあたってみると,
How did the world come to be divided into industrial countries and agricultural countries? Did this result from geographical resources,economic forces,military forces,some international conspiracy ,or what?
ギョヘーッ。
一文目は,良いとして,二文目は疑問文やがな。
しかも,『ある』国際的陰謀,では無くて,someがついているんで,なんらかの,的な訳が妥当なとこじゃないでしょうか。
国際的陰謀,は一番最後にジョークとして持ってきてるんで,多分ここ,笑うトコなんじゃないですかね。この後に,一連の説明が続いて,人口移動なんかの,有名な二重経済論の主題に移っていくわけで,国際的陰謀は文脈的にも関係なし。そもそも,ここでは,俗説として例をあげているだけで,ルイス自身が無限定に肯定しているわけじゃない。
実は、第一章からしてメタメタで,
『元来,国際経済秩序という概念は,漠然としている。従って,ここではそれをできるだけ正確に定義してみたい』
とあるんですが,その後,一切定義が出てこず,変だな,と思って原文をあたってみると,
The phrase "international economic order" is vague,but nothing would be gained by trying to define it precisely. What I am trying to do is to talk about certain element of the relationship between the developing and developed countries which・・・.
ってなってて,
国際経済秩序という概念は漠然としているが,正確に定義しようとしても得られるものはなかろう。
くらいに訳すのが多分正しいはず。
ウーン・・・。
これは誤訳とかいう段階を超えているような・・・。
後半に入ると,日本語として意味も取れない箇所が増えて,もう読み物とも言えず・・・。
これだと,翻訳版を読んでも,読んだことにならないんで,
つらいけど,あきらめて原文で読むしかないですね。
それにしても,こんなん商品として売ってて良いんかな。
数学はここでも書いてきましたが,実は英語も大変。
論文も有名なヤツ以外は翻訳が無いんで,原典にあたろうとすると英語になってしまう。
と,言いながら,翻訳があっても,問題があって,
翻訳の質ってやつですね。
こないだは,ケインズの一般理論の山形訳がいかに読みやすいか,旧訳がいかに問題が多いか,についてここでも比べてみたわけですが,
それどこじゃねえってヤツを発見。
国際経済秩序の発展
アーサー・ルイスの講義録。
開発経済学の巨匠,って感じの人で,ノーベル賞ももらっているんですが,本書を読んでいると,第二章冒頭で、こんな風に書かれてて,
国際経済秩序の発展 | |
クリエーター情報なし | |
文化書房博文社 |
『世界はどのようにして,工業国家群と農業国家群に分かれるようになったのであろうか。これは、地理的資源,経済力,軍事力,ある国際的陰謀,その他に起因している』
ナヌッ? 国際的陰謀?
三流評論家ならいざしらず,一流経済学者がんなこと言うかな?
というわけで,原文をあたってみると,
How did the world come to be divided into industrial countries and agricultural countries? Did this result from geographical resources,economic forces,military forces,some international conspiracy ,or what?
ギョヘーッ。
一文目は,良いとして,二文目は疑問文やがな。
しかも,『ある』国際的陰謀,では無くて,someがついているんで,なんらかの,的な訳が妥当なとこじゃないでしょうか。
国際的陰謀,は一番最後にジョークとして持ってきてるんで,多分ここ,笑うトコなんじゃないですかね。この後に,一連の説明が続いて,人口移動なんかの,有名な二重経済論の主題に移っていくわけで,国際的陰謀は文脈的にも関係なし。そもそも,ここでは,俗説として例をあげているだけで,ルイス自身が無限定に肯定しているわけじゃない。
実は、第一章からしてメタメタで,
『元来,国際経済秩序という概念は,漠然としている。従って,ここではそれをできるだけ正確に定義してみたい』
とあるんですが,その後,一切定義が出てこず,変だな,と思って原文をあたってみると,
The phrase "international economic order" is vague,but nothing would be gained by trying to define it precisely. What I am trying to do is to talk about certain element of the relationship between the developing and developed countries which・・・.
ってなってて,
国際経済秩序という概念は漠然としているが,正確に定義しようとしても得られるものはなかろう。
くらいに訳すのが多分正しいはず。
ウーン・・・。
これは誤訳とかいう段階を超えているような・・・。
後半に入ると,日本語として意味も取れない箇所が増えて,もう読み物とも言えず・・・。
これだと,翻訳版を読んでも,読んだことにならないんで,
つらいけど,あきらめて原文で読むしかないですね。
それにしても,こんなん商品として売ってて良いんかな。
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