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国際経済秩序の発展 アーサー・ルイス

2012-08-05 00:40:25 | マクロ経済
経済学を勉強していて悩まされるのは,数学と,英語。
数学はここでも書いてきましたが,実は英語も大変。

論文も有名なヤツ以外は翻訳が無いんで,原典にあたろうとすると英語になってしまう。

と,言いながら,翻訳があっても,問題があって,

翻訳の質ってやつですね。

こないだは,ケインズの一般理論の山形訳がいかに読みやすいか,旧訳がいかに問題が多いか,についてここでも比べてみたわけですが,

それどこじゃねえってヤツを発見。

国際経済秩序の発展

アーサー・ルイスの講義録。

開発経済学の巨匠,って感じの人で,ノーベル賞ももらっているんですが,本書を読んでいると,第二章冒頭で、こんな風に書かれてて,

国際経済秩序の発展
クリエーター情報なし
文化書房博文社


『世界はどのようにして,工業国家群と農業国家群に分かれるようになったのであろうか。これは、地理的資源,経済力,軍事力,ある国際的陰謀,その他に起因している』

ナヌッ? 国際的陰謀?

三流評論家ならいざしらず,一流経済学者がんなこと言うかな?

というわけで,原文をあたってみると,

How did the world come to be divided into industrial countries and agricultural countries? Did this result from geographical resources,economic forces,military forces,some international conspiracy ,or what?

ギョヘーッ。

一文目は,良いとして,二文目は疑問文やがな。
しかも,『ある』国際的陰謀,では無くて,someがついているんで,なんらかの,的な訳が妥当なとこじゃないでしょうか。

国際的陰謀,は一番最後にジョークとして持ってきてるんで,多分ここ,笑うトコなんじゃないですかね。この後に,一連の説明が続いて,人口移動なんかの,有名な二重経済論の主題に移っていくわけで,国際的陰謀は文脈的にも関係なし。そもそも,ここでは,俗説として例をあげているだけで,ルイス自身が無限定に肯定しているわけじゃない。

実は、第一章からしてメタメタで,

『元来,国際経済秩序という概念は,漠然としている。従って,ここではそれをできるだけ正確に定義してみたい』

とあるんですが,その後,一切定義が出てこず,変だな,と思って原文をあたってみると,

The phrase "international economic order" is vague,but nothing would be gained by trying to define it precisely. What I am trying to do is to talk about certain element of the relationship between the developing and developed countries which・・・.

ってなってて,

国際経済秩序という概念は漠然としているが,正確に定義しようとしても得られるものはなかろう。

くらいに訳すのが多分正しいはず。

ウーン・・・。

これは誤訳とかいう段階を超えているような・・・。

後半に入ると,日本語として意味も取れない箇所が増えて,もう読み物とも言えず・・・。

これだと,翻訳版を読んでも,読んだことにならないんで,
つらいけど,あきらめて原文で読むしかないですね。


それにしても,こんなん商品として売ってて良いんかな。




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