会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

地獄の門-ロンドンエコノミスト誌

2007-11-29 06:55:40 | 英語情報
この記事の見出し、怖いですねえ。

At the gates of hell

Wikipediaによると
・・・
地獄の門(じごくのもん)は、13-14世紀イタリアの詩人、ダンテ・アリギエーリの叙事詩『神曲』地獄篇第3歌に登場する地獄への入口の門である。
「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」の銘文でよく知られており、深い絶望をあらわす表現としても用いられる。
・・・
ということです。

Economist 11月22日

見出しからして当然ながら、超悲観的な記事ですね。

冒頭ペライベイトエクイティのサーベラス-地獄の門の三つ頭の犬の門番にちなんだ名前のようですな-の苦境を伝えておりまして、ファイナンスの世界のクレジットクランチが他の経済活動にまで広がっているさまの具体例としてあげているんですね。

Only months ago Cerberus was praised as the saviour of the American car industry when it bought Chrysler from its German owner and struck a remarkable deal with the unions to cut jobs and benefits. But on November 20th it emerged that Cerberus's bankers had abandoned efforts to sell $4 billion of the debt it took on when it bought Chrysler. Investors turned up their noses even when offered a 3% discount


プライベイトエクイティはデットでレバレッジを効かせて儲けるわけですが、肝心の銀行団がそのデットを転売できなくなっています。クイスラーをサーベラスが買って喝采を浴びたわけですが、プライベイトエクイティの買収は銀行団の協力あってのことで、それが今後は期待できなくなった、ということでもありますな。

実際に買収すると決めてできなくなったディールも出てきていて、ファイナンス部門のクレジットクランチが企業買収にまで影響する-まあ当たり前ですが-ということです。

まあ、プライベイトエクイティは行過ぎていて、その原因は貸し手の緩さにある、とちょっと前まで指摘されていたわけで、変われば変わるもんですな。

今の所、データ上はクレジットクランチが広範囲に影響しているということはない-たとえばGMACの問題<赤字のことですね>はサブプライムローンからきていて自動車ローンではない-かも知れないが、

米国での自動車販売は激落ちしつつあり、ホームデポは配当が計画どおりにできなくなり、銀行の中小企業への貸し出し基準が日をおうごとに厳しくなりつつある,-米国流貸し渋りですな-ハイリスクボンドの金利が急上昇している-かつてジャンクボンドが高すぎる=金利が安すぎると指摘されてたんですけどね。

Mr Altman is especially worried by the large amount of low-quality debt issued in recent years, much of it to finance private-equity deals. Some 42% of high-yield corporate bonds issued since 2003 were rated B- or lower, rising to nearly 50% in the first six months of this year. Moreover, some $160 billion of leveraged loans are coming due next year. Refinancing them may be a struggle in today's financial markets.

16百億ドルのレバレッジドローンが来年期日を迎えるそうです。リファイナンスできるかどうか・・・。

Martin Fridson of FridsonVision, a research firm, has calculated that a severe recession (which, he stresses, he is not predicting) could result in a peak rate of between 16% and 20% of annual defaults on corporate bonds, far higher than in 1991. If so, lenders will retreat further and distressed-debt investors like Cerberus will be baying for blood. Businesses need lenders to finance their operations: they must be quaking at the prospect.

げげっ!  ・・・。



最近は,悪材料も出尽くしてそろそろマーケットもそこを打つだろう、というような楽観論も出始めてはいるわけですが、ここは地獄の一丁目なんだ、というこわーいお話でした。






韓国Samsung スキャンダルどこまで?

2007-11-26 23:46:22 | 英語情報
停電でラインが止まったり、ウォン高だったり、DRAMの価格が低迷したり、と最近のサムスンはかつての勢いが云々、と伝えられたりしておりましたが、

巨額の設備投資を行うようですね。

テキサスで50ナノのフラッシュメモリー

テキサスオースチンに35億ドルですか。

液晶生産ラインの拡大投資


液晶の新ラインに22億ドル。ソニーは追加投資をしない,その理由は明らかにされていないとか。



液晶、Dellを抜いて世界一に

LCDでは世界一になったんですな。どうも最近の液晶需要の伸びは新規のPCの伸びによるのではなく、既存の液晶モニターを大きなものに付け替える入れ替え需要によるもののようでして、サムスンをはじめ他の大手はうまくその流れに乗れているのですが、これまでNO1だったDELLは逆に唯一シェアを落としてしまっんですね。
DELLは大手企業に強くて、大手は画面を大きくすることへの動きがまだまだ鈍いんですね。

というわけで、ここ数日サムスンの調子良い話が目立つんですが・・・、これスキャンダル隠しじゃないですよね。

先日、プサンに渡ったときは新聞の一面はサムスンのスキャンダルがどどーんと出ておりまして、韓国ではかなり大きな問題になっているようなんですな。まあ、当然と言えば当然ですが。サムスンが大規模なワイロ攻勢を行っていた、との告発です。

Other accusations include claims that the conglomerate manipulated evidence and witnesses in a court case over a purported deal that critics say was aimed at transferring corporate control of Samsung from the group's chairman, Lee Kun-hee, to his only son, Lee Jae-yong.

オーナーが息子に会社を引き継ぐ際の疑惑についても裁判で証拠や証人について操作を行ったとも告発されているんですね。

現オーナーは創業2代目ですが、ここまでサムスンを国際企業に成長させたのは2代目の功績とも言われているわけでして、ことがオーナーに及べばグループには結構な痛手になるのかも知れませんな。

ノムヒョンにまで疑惑が

ノムヒョン大統領が、わざわざ『自分はもらっていない』と言っているわけでして、これもどんなもんだろう・・・。

His remarks came a day after the National Assembly approved a bill demanding an independent investigation of the bribery scandal involving the Samsung Group.

独立捜査官とでも呼ぶんでしょうか、ノムヒョンが拒否権を発動するかどうかが注目されているようですね。クリントン大統領の下半身スキャンダルの時にもそういうのが登場しましたなあ。

米GAP復活?

2007-11-25 22:57:40 | 英語情報
今年の初めに、米GAPの不振とCEOの更迭についてご紹介しましたが、今年に入りこんな記事が出るようになりました。第3Qの数字がよかったんですね。

Businessweek11月23日

Greenberger, who has a "Buy" rating on the stock, remained upbeat on lean inventory, cost reductions, and changes rolled out by Chief Executive Glenn Murphy, who was named CEO this summer.

CEOを更迭して創業家が暫定CEOになっていたはずですが、夏に新しいCEOを雇ったんですね。アナリストが買い推奨。確かに売り上げは増えているが在庫は減っています。販管費も減っていますな。

ここで確認 8kです。

なるほど。利益成長は達成したと。

しかしですな、既存店の売り上げは一向に改善していませんな。


既存店売り上げ推移


全体での売り上げは新規出店があるので減ってはいませんが、既存店の落ちはずっと続いています。とりあえず無駄を省いて、オペレーションを改善したってとこですかね。時間があまりたっていないので、前任のCEOの成果も入っているかも入れませんな。

売り上げのてこ入れ、本当の手腕が問われるのはこれからですね。

米イートレード続報

2007-11-24 10:26:27 | 英語情報
サブプライムのロスで大幅に株価が下がっているE-Trade Financial Corpです。先日ご紹介したわけですが、具体的な動きがあるようですな。

businessweek 11月23日

ライバルのアメリトレイドが食指を伸ばしているとか。まだ、わからないようですけどね。先日の記事にもあったとおり、損失がどの程度膨らむかわからないので動けないということかもしれませんね。

E-Trade Chief Operating Officer Jarett Lilien said recently that the broker was "still interested in consolidation" but that its subprime mortgage exposure might prove a stumbling block for an outright acquisition of the company.

株価が上昇した、という記事だったわけですね。依然低迷しているには違いありませんが、その分上昇率は高いですね。あの時買っておけば、なんちゃって。

米HP 絶好調

2007-11-21 01:48:55 | 英語情報
HPが絶好調のようです。

Businessweek11月20日

あまりよろしくないニュースが多い中、一人気を吐いていますな。米国マーケットへの依存度がライバルより低いのと、金融関係への売り上げ比率がさほど大きくなかったことが幸いしたみたいですね。

マークハードCEOは05年に有名人フィオリーナ氏を引き継いだわけですが、見事再建を果たしたというわけですな。コンパックとの統合もうまく行ったんでしょう。

ここへ来る前にNCRを経営していて株価を3倍にしたそうですな。

HPの株価です。どうですか、すごいですよね。経営者が代わって、この株価、この右肩上がり。

お見事。


スティグリッツ教授の経済教室 ダーウィンの悪夢

2007-11-19 20:55:24 | 読書
 ダーウィンの悪夢というドキュメンタリー映画があって、少し前に話題になったのですが、タンザニアのビクトリア湖に外来魚のナイルパーチが放流されて、そのナイルパーチは繁殖力が強くて輸出すると金になる。水産業が発展し豊かになったのは間違いないが、その陰で悲惨な状況が産まれ・・・。

 どう悲惨か、というと、在来魚で生活していた漁民はナイルパーチ以外採れなくなって失業。もともと貧しく自給自足に近い生活をしていた地域にいきなりドル経済圏が生じて、ナイルパーチ全面依存経済となった。

ナイルパーチ経済にアクセスできたものは裕福になり、何でも買うことができる。何せドルには非常に大きな価値がある。しかし、そこに入れなかったもの(在来魚の漁民達のような)は超貧乏。なんせ、いきなりの貨幣経済で、売れるものといえばナイルパーチしかなく、ドルを得る手段のない農民や漁民は生活ができない。つまり、みんなドルのために働くようになるのでドルがないと何も買えないんですね。貧富の差が強烈で日雇いにでもありつければよいほう。売春婦になったり、子供は食べ物を奪い合って暴力の日々。

『スティグリッツ教授の経済教室』
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まあ、映画は解説抜きのインタビュー中心で、ドル云々、貨幣経済云々は私の解釈に過ぎません。この映画は生態系の破壊といった環境問題関連で取り上げられることが多いんですが、テーマはグローバル経済ですな。ネットで探してもそれをまともに論じている評論が見当たらないのですが、変ですな。地域通貨の論者など絶好のテーマだと思うんですがね。以前ご紹介した『使い方は皆さんが考えてください』とぶん投げたずっこけ教授はどうしてるんでしょうな。

本書を読むと実にすっきりします。自由貿易によって格差が拡がったとしてもやがて富めるものから貧しきものにおこぼれが行く、いわゆるトリクルダウン説をきっぱり否定します。確かに長期的にはそういうことがあるかも知れないが、長期的にはわれわれは皆死んでしまう、というケインズの言葉を引いて。

いわゆる市場原理主義者、米国流グローバリズムを徹底的に批判しています。IMF、ボロボロです。彼らの指導に従ったらとんでもないことになる(従った国は不況になり無視した国は栄えた)そうです。

グリーンスパンさえ批判の俎上に乗せられています。ブッシュの減税を支持したことをこき下ろしているんですね。最近グリーンスパンが著書を出していて、ブッシュ減税を批判しているのだとか、テレビ番組で紹介されていましたが、この辺の指摘を意識しているのかも知れませんね。今度翻訳が出るそうなので読んでみますかね。

スティグリッツは中央銀行がインフレに過度に警戒することを批判しています。金利を上げすぎて経済を失速させるんですな。少しインフレがあっても問題ないし、もしインフレが亢進しかけてもそれを抑えるコストなど、予防的に金利を上げて失業を増やすコストより高くはつかないそうです。

いずれアメリカの政権が変われば、こういう本書が指摘するような問題に対する取り組みが行われるんじゃあないでしょうか。単に自由にやっていれば繁栄する、という単純な保守主義は間違っていて、あるいはそういう主張は偽善に基づくもの(富者がもっと富むだけ。それをわかってて自分が得するので主張している)であって、しっかりとフェアな仕組みを作り上げなければいけない、という考え方ですな。

ブッシュの8年間は長かったし、問題も多かったと反動がくるかも。本書はその課題リストとして読めるような気がしますがね。


米AMD社 アブダビから出資

2007-11-19 00:44:26 | 英語情報
AMD社がアブダビから6億ドル強の出資を受けるそうです。Intelについてゆく原資にするというわけなんですな。

pc world 11月17日

それは良いんですが、ちょっとひっかかりが。

With Advanced Micro Devices on thin ice with severe pressure from chip rival Intel and With Advanced Micro Devices on thin ice with severe pressure from chip rival Intel and four consecutive quarterly net losses, the cash infusion by an Abu Dhabi government investment arm could help the struggling chip maker remain competitive

four consecutive quarterly net lossesとありますな。4連続で4半期最終赤字。

実はAMDは好調だったとおもってたんですけどね。06年の半導体世界シェアが今年の春に発表になって、それを読んでたからですな。

コンピューターワールド06年12月

ガートナージァパン4月10日

これだけ読んだら誰だってAMDが好調でIntelが追い上げられていると思うじゃあないですか。

この株価は何だ。

06年の初めからこの2年間ずっと落ち続けてますよね。追い上げてるか?

そもそもAMDって売り上げ70億ドル台に達してないし06年は05年より落ちてますよね。そもそも赤字じぁん。

多分いろんな調整があって、そう、AMDも昨年末に買収をしているし、その辺を調整して数字を出しているんだとは思いますが、この世界シェアちょっとミスリードじゃあありませんかな。


エアバス 米ドル安に悩み

2007-11-18 02:24:40 | 英語情報
 エアバスが、米ドル安、というかユーロ高に泣いているようです。

Businessweek11月16日

"The main threat we have before us is the U.S. dollar," Gallois told BusinessWeek in an interview on Nov. 16. The dollar's relative weakness against the euro is sapping EADS' financial health, he said, because nearly all its manufacturing is in the euro zone, while 60% of sales are outside of that area, he said. "When the euro rises 10 cents [against the dollar], we lose 1 billion euros" in operating profit. And that's what has happened this year, with the euro climbing from about $1.35 to more than $1.46 since last spring.

10セントあがると10億ユーロ損するわけで、実際今年はそれ以上あがってるんですね。それにしてもドルは随分と安くなりましたな。

対応として、コストカットや、米国での現地生産を増やしたり、単独の努力以外に米国企業を買収することなどに注力しているようですね。かつての日本の自動車メーカーみたいですよね。当時は買収って道はなかったかな。

ドル安、株安、国防費は増えている、とういう環境で米国防衛関連企業を買収するというのは時期的にはいいのかも知れませんね。でもエアバスが買うって問題にならんのかな。



モトローラ RAZR2

2007-11-17 03:21:33 | 英語情報
 モトローラがようやく黒字転換した、とご紹介したばかりですね。RAZR2という新機種の出荷も始まって・・・、というわけですな。

ビジネスウィークに製品のレビューが出ていますが、酷評です。

Businessweek 11月9日


The new and improved Razr is not the cell phone that's going to save Motorola's bottom (line).

この携帯がモトローラの業績を救うことはない。

一刀両断。あっちゃー。

デザインはエレガントだが機能がお粗末で使い勝手が悪く値段も高い。もともと売れた旧型も欠点が多かったが、改善されていない、ってとこですかね。

あらら、そこまで言うか、位に書かれてますが、大丈夫なんでしょうかね。