会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

施政方針演説

2009-01-30 07:08:37 | 政治
オバマ就任演説のすぐ後なんで、当然、麻生演説も注目されるわけですな。変な話ですが。

麻生演説

『政府は何をなさねばならないか。私たちは、この点についても既に多くのことを学んでいます。それは、「官から民へ」といったスローガンや、「大きな政府か小さな政府か」といった発想だけでは、あるべき姿は見えないということです』

大きな政府か小さな政府か、賞味切れの議論はやめよう、政府がどう機能するかが問題だ、というオバマ演説のパクリですね。

『政府が大きくなり過ぎると、社会に活力がなくなりました。そこで多くの先進諸国は、小さな政府を目指し、個人や企業が自由に活動することで活力を生み出しました。しかし、市場に委ねればすべてが良くなる、というものではありません。サブプライムローン問題と世界不況が、その例です。今、政府に求められる役割の一つは、公平で透明なルールを創ること、そして経済発展を誘導することです』

政府がどう機能するべきか、という問題を噛み砕いているわけですな。市場にゆだねて失敗した例は日本じゃなくて他国のハナシですね。公平で透明なルールを創ること、これには日本は課題があるでしょうし、経済発展を誘導することは昔の通産省のイメージですかな。

『もう一つの政府の役割は、皆が参加できる社会を創ること、そして安心な社会を実現することです』

皆が参加できる社会を創ること、じゃあ、省庁代表制で既存の業界とべったりしている状態をやめて、誰でも自由に競争する社会にしてね、という感じですが。


省庁代表制


『日本は、勤勉を価値とする国です。この美徳が、今日の繁栄を築きました。それを続けるためにも、高齢者、障害者や女性も働きやすい社会、努力が報われる社会を創ることが重要です。また、競争に取り残された人を支えること、再び挑戦できるようにすることが重要です』

アベちゃんの再チャレンジですな。

『この点において、わが国はなお不十分であることを認めざるを得ません。日本の行政は、産業の育成には成功しました。これからは、政府の重点を生活者の支援へと移す必要があります。国民の安心を考えた場合、政府は小さければよい、というわけではありません。社会の安全網を、信頼に足る、安定したものにしなければなりません。中福祉を目指すならば、中負担が必要です。私は、景気回復と政府の改革を進めた上で、国民に必要な負担を求めます』

重点を生活者の支援に移すことと、国民に必要な負担を求めます、ということ、これ直接つながりません。重点を移すんだったら、これまで重点を置いていた分野から資源を移すということも前提にないとおかしいですな。


『現在の豊かで安全な日本は、私たちが創ったものです。未来の日本もまた、私たちが創りあげていくものです。過去2回がそうであったように、変革には痛みが伴います。しかし、それを恐れてはなりません』

生活者支援に重点を移すと、なんで痛みが必要なんですかな。消費税で社会保障負担増をまかなう、ということなんだったら、ここまででっかい議論を持ってくる必要はないですね。すでに大きな政府なわけで、行政側はこれまでどおりで変化させず、足りない分を出せよといってるわけで。

なんかわけわからんですな。



米国一流病院の成績

2009-01-28 23:13:35 | 生活
最近、新聞でも生存率の高い病院、低い病院、心臓に強い病院、弱い病院なんて記事が出てたりしますな。医学が科学の一分野で、確立されて標準化された技術を維持しているとしても、やっているのは人間なわけで、うまい、下手、真面目不真面目は当然あるわけですな。

当然経験が長くなればうまくなる。クオリティを高める努力を続ける病院の成績は当然よくなる。

America's Top Hospitals Cut Patient Death Rate 27%

The top-rated U.S. hospitals have a 27 percent lower death rate than other hospitals, according to a study released Tuesday by HealthGrades, an independent health care ratings organization.

全米でトップレベルの病院の死亡率は一般の病院より3割近く死亡率が低かったというんですが、

Researchers analyzed the records of about 41 million Medicare patients treated at the nation's almost 5,000 non-federal hospitals. The study of data from fiscal years 2005, 2006 and 2007 focused on 26 common diagnoses and procedures, including heart failure, heart attack, stroke, pneumonia, angioplasty, gastrointestinal surgeries and sepsis.

心不全、心臓発作、脳卒中、肺炎、血管形成術、消化管の手術や敗血症など26種類の診断、治療について41百万人の患者について調べたんだそうですな。


The study also found that patients at the highest-performing hospitals had an 8 percent lower risk of complications for diagnoses and procedures that include orthopedic and neurosurgery, vascular surgery, prostate surgery and gall bladder surgery.

好成績の病院は、整形外科、脳神経外科、血管外科手術、前立腺手術や胆嚢手術をを含む診断治療の際の合併症のリスクも8%低かったんだそうで。

随分前に観たテレビで、日本で成績の悪い病院が復活した時のことをやってまして、当時悪かった時代は専門医師スタッフが不足していて、専門外の手術までムリしてやっていて、死亡率が高かったが、それでもあのスタッフで回していたことを考えればがんばっていたと思う、とかのインタビューがあったんですな。

おいおい、と。そんながんばりはいらないぞ、と思ったのは私だけだったんですかね。

In fact, if the quality of care at all hospitals matched that of the top-rated hospitals, 152,666 lives may have been saved, and 11,772 major complications may have been avoided during the three years, according to HealthGrades Seventh Annual Hospital Quality and Clinical Excellence study.

もし全部の病院がトップレベルの医療の質を確保できたとしたら、15万3千人の命が助かったかもしれない。3年で12千の合併症を防げたかも知れない。

こういうところは、日米を問わないみたいですな。

米国は個人での差が大きいような気もするし、業界での標準化はかなり進んでいるような気もするし、果たして日本と比べてどうなんでしょうね。ただ、一流病院は超一流なんでしょうな。




BBC批判される ガザアピール

2009-01-27 23:04:55 | 政治
ここのところオバマ演説を続けてご紹介していて、ちょっと政治づいたところで、もういっちょ。

イスラエルやユダヤ批判というと、ちょっとタブーな感じがするわけですが、カーターさんやこんな本が出てきたりして、勇敢な人たちが突破口を開きつつあるんだろうか、という気がしないでもないんですが、まあ、良くわかりませんがね。

米政権もオバマさんに変わって、どっち向きなのか、世界が見定めているってとこですかな。クルーグマンじゃありませんが、conventionalな判断をする大統領になってしまうと、物事は進まないんじゃないか、という心配は結構あるんでしょうな。期待が大きいだけに幻滅に向かう危険性ありますよね。

さて、ガザ関連でBBCが批判の真っ只中にあるようでして、

BBC Assailed for Refusing to Carry Gaza Appeal

BBC has rarely been buffeted as severely as it has in recent days over its decision not to broadcast a television appeal by aid agencies for victims of Israel’s recent military actions in Gaza

イスラエルのガザ攻撃の犠牲者に対する支援団体のテレビアピールを放送しない決断をしたBBCがかつてないほどの批判にさらされている。

日本でも伝えられてますな。

ガザ支援広告の放映拒否 抗議電話1万件

The decision has met with angry criticism from Church of England archbishops, editorial writers and senior British government ministers, as well as sit-ins at the BBC’s London headquarters and its broadcast center in Glasgow.

本部に座り込みをかけられたり、そうそうたる人たちからも怒りが寄せられていているってことなんですな。

A strong undercurrent in many of the protests has been that the BBC gave in to pressure from Israel or Jewish groups, which the BBC has vehemently denied.

こうした強い抗議の背景には、イスラエルやユダヤ人グループの圧力に屈したかも知れないとの思いがある。BBCは強く否定しているが。

A more common view has been that BBC executives, already wary because of a recent series of embarrassments unrelated to Middle East coverage, became so averse to controversy that they made an awkward extension of the concept of impartiality to a purely humanitarian issue.

中東に関係ない報道で何度もひどい目に合わされて神経質になっているBBCの経営陣は、物議をかもすことを恐れて、報道の公平性を純粋な人道問題にまで持ち込んだのではないかとの見方がより一般的だ。


まあ、自主規制したらかえって目立ってたたかれたってことなんですかね。だとしたらホントついてませんなあ。

それにしても、しかるべき人たちがしかるべき批判をして、きちんと怒って、きちんと公に向けて発言する。こういうの、社会の安心感というヤツですな。自分でなくても、責任ある人が責任ある発言をする。任せて安心。良いですねえ。




トニーベン吼える




アルジャズイーラ報道



オバマ就任演説評 クルーグマン2

2009-01-26 23:06:25 | 政治
さて、クルーグマンがオバマの就任演説をどう聞いたか、なんですが、

Stuck in the Muddle

ちょっとご不満なご様子でして、

it was disappointing that he spoke only of health care’s excessive cost, never once mentioning the plight of the uninsured and underinsured.

就任演説では、ヘルスケアコストが高いことについて語っただけで、無保険者や不十分な保険しか掛けられない人たちについては全く触れられなかった。

call for an “era of responsibility” — which, not to put too fine a point on it, was the same thing former President George W. Bush called for eight years ago.

責任の時代って、言っちゃ悪いが8年前にブッシュが求めたものと同じじゃないか。

Mr. Obama did what people in Washington do when they want to sound serious: he spoke, more or less in the abstract, of the need to make hard choices and stand up to special interests.

オバマはワシントンで深刻ぶって見せたい時に誰もが語るように語っただけだ。結局、厳しい選択を迫られていること、特定利権に対して立ち上がることを言ったに過ぎない。

That’s not enough. In fact, it’s not even right.

それって、不十分だし、実際のところ間違っている。

Thus, in his speech Mr. Obama attributed the economic crisis in part to “our collective failure to make hard choices and prepare the nation for a new age” — but I have no idea what he meant. This is, first and foremost, a crisis brought on by a runaway financial industry

オバマは経済危機は厳しい選択を避けることを積み重ねてきたこと、新しい時代への準備に失敗したことのせいにしているが、何を言っているんだ。危機は無茶な金融業界のせいでおきたんだ。

And if we failed to rein in that industry, it wasn’t because Americans “collectively” refused to make hard choices; the American public had no idea what was going on, and the people who did know what was going on mostly thought deregulation was a great idea.

で、もしわれわれが、この業界をうまく御することに失敗したんだとしたら、それは米国民が難しい選択を避け続けたのではない。そもそも一般市民は何が起こっていたのかわかっていなかったし、何がおきていたか分っていた人たちは、大概、規制緩和は素晴らしいことだと考えていたのだ。

オバマ演説で、

Our workers are no less productive than when this crisis began. Our minds are no less inventive, our goods and services no less needed than they were last week or last month or last year. Our capacity remains undiminished.

米国の労働者の生産性も、われわれの発明する力も、われわれの産み出す製品もサービスも危機の前と変わっていない、と言っているのは、大恐慌の時にケインズがかつて言った言葉を言いかえたものだが、

But something was lost in translation. Mr. Obama and Keynes both assert that we’re failing to make use of our economic capacity. But Keynes’s insight — that we’re in a “muddle” that needs to be fixed — somehow was replaced with standard we’re-all-at-fault, let’s-get-tough-on-ourselves boilerplate.

その言いかえの中で失われたものがある。オバマもケインズも、経済の潜在力を生かしきれていない点を述べているのは良いとして、ケインズは、われわれは混乱の中にいて、それは修理回復されるべきものだと言っている。それをオバマ演説では、ありがちな、われわれは失敗した自分にもっと厳しくなろう的な決まり文句に差し替えてしまっている。

Remember, Herbert Hoover didn’t have a problem making unpleasant decisions: he had the courage and toughness to slash spending and raise taxes in the face of the Great Depression. Unfortunately, that just made things worse.

フーバー大統領を思い出していただきたい。彼は厳しい選択をするのに躊躇が無くて、大恐慌に対処するにあたり、財政支出を減らし増税をするだけの勇気とタフさをもっていた。でも、それをやることで問題を一層悪化させるだけだったではないですか。

Still, a speech is just a speech. The members of Mr. Obama’s economic team certainly understand the extraordinary nature of the mess we’re in. So the tone of Tuesday’s address may signify nothing about the Obama administration’s future policy.

まあ、演説は演説なわけで、オバマの経済チームは問題の性質をよく理解しているので、オバマ政権の経済政策がどうなるかを説明しているものとはいえないかもしれないが。

それはそうと、近いうちにオバマ自身が、どこまで大胆にやるのか、という厳しい選択を迫られるようになる。

he’s going to have to decide how bold to be in his moves to sustain the financial system, where the outlook has deteriorated so drastically that a surprising number of economists, not all of them especially liberal, now argue that resolving the crisis will require the temporary nationalization of some major banks.

金融システムを維持するために、いくつかの主要な銀行を国有化することが必要ではないか、と少なからぬ経済学者が、特にリベラル派は議論している。


So is Mr. Obama ready for that? Or were the platitudes in his Inaugural Address a sign that he’ll wait for the conventional wisdom to catch up with events? If so, his administration will find itself dangerously behind the curve.

オバマさん覚悟はできてるの? それとも、この演説で前例にならったように、一般の理解が追いつくのを待ってからにするのか。もしそうだったら、かれの政権は危険なほど実態から遅れをとることになる。

If we don’t get drastic action soon, we may find ourselves stuck in the muddle for a very long time.

早く大胆に対応しなければ、とても長い間、混乱にあしをとられ続けることになる。


ということなんですがね。

まあ、クルーグマンさんのおっしゃることもわかりますが、金融業界だけの問題とも言い切れないかも知れなくて、米国の家計部門は借金超過だったわけで、分不相応に消費生活を後先考えずに楽しんでしまったとも言えて、一般市民レベルでもチト反省いただくのは悪いことじゃないような気もしますがね。

クルーグマンの政治センスがいまいちかも知れない感じはべつとして、ちまちまやっていてはえらいことになりそうだ、ということが良くわかる批評ですよね。















オバマ就任演説評 クルーグマン

2009-01-25 21:37:14 | 政治
テレビを観ていると、なんとクルーグマン様がサンプロに出演されているじゃあないですか。まあ、何を言っているのか今ひとつ良くわかりませんでしたがね。せっかく出てもらったのに何かもったいない感じです。

さて、先週は米国大統領の政権交代があって、私もNHKで就任演説を生で聞いた口です。さすがに就任演説であって、少し辛気臭かったのは仕方ありませんな。ただ、深みのあるよく練られた演説という印象です。

President Barack Obama's inauguration speech

全訳版

『長い間、我々を疲れさせてきた陳腐な政治議論はもはや通用しない。我々が今日問うべきなのは、政府の大小ではなく、政府が機能するか否かだ。家族が人並みの給与の仕事を見つけたり、負担できる(医療)保険や、立派な退職資金を手に入れることの助けに、政府がなるかどうかだ。答えがイエスの場合は、その施策を前進させる。ノーならば終わりとなる。公的資金を管理する者は適切に支出し、悪弊を改め、誰からも見えるように業務を行う。それによって初めて、国民と政府の間に不可欠な信頼を回復できる』

that the stale political arguments that have consumed us for so long no longer apply. 賞味期限切れの政治議論はもはや通用しない。

ここ大事です。彼の原点とも言える部分でしょうな。

年々、党派性が高まり、議論がイデオロギ-的というか、現実離れした政治談義が横行、オバマはそれを改めたいと、ずっと考えてきたんでしょう。

以前、その著書をご紹介したことがありましたなあ。

再び引用します。これ著書からの引用で、演説ではありません。

『こういう何ヶ月かにわたる会話からわたしが強く感じたのは、人々の願いのつつましさ、彼らの信じていることに人種や地域や宗教や階級を超えた普遍性があることだった。彼らの大半は、働く意志のある人間ならば誰にでも最低限の暮らしができる仕事が見つかってしかるべきだと考えていた。病気になったために破産申請の列に並ばなければならないような状況はおかしいと考えていた。どんな子供でも純粋に良質な教育を受けられるべきで、その同じ子供たちは親が裕福でなくても大学に進学できるべきだと信じていた。彼らは犯罪者やテロリストに脅かされることの無い安全を求めていた。きれいな空気ときれいな水と子供達といられる時間を求めていた。そして年老いたときにはそこそこの威厳と尊厳を手に引退したいと願っていた。

その程度の願いだ。大きな望みではない』

今日のテレビ番組でも、クルーグマンは、米国民の大部分は大変勤勉だ、と話していました。とても勤勉だと。その言葉の裏には、それをこんなことにしてしまいやがって、という思いがあるんですな。

これに続く、もう一箇所。就任演説で、

『問うべきなのは、市場の良しあしでもない。富を作り自由を広げる市場の力に比肩するものはない。だが、今回の(経済)危機は、監視がなければ、市場は統制を失い、豊かな者ばかりを優遇する国の繁栄が長続きしないことを我々に気づかせた。我々の経済の成功はいつも、単に国内総生産(GDP)の大きさだけでなく、我々の繁栄が広がる範囲や、機会を求めるすべての人に広げる能力によるものだった。慈善としてではなく、公共の利益に通じる最も確実な道としてだ』


Nor is the question before us whether the market is a force for good or ill. Its power to generate wealth and expand freedom is unmatched,

『市場の力というものが善きものか悪しきものか、という問題でもありません。市場の力ほど富を創造し、自由を拡げるものは無いのです』。

わざわざ私が訳しなおす必要も無いんですが、このネット版の訳は堅すぎて意味が伝わってきませんな。ってか意味不明です。

この部分で大事なのは、いろいろ問題はあるにせよ、市場の力をしっかりと評価しているということですね。

『市場は富を創造し自由を拡げる』

これは保守派の常套句ではありますが、保守派だけの言葉ではなく、すべての人の知恵、先人から引き継いだ知的資産とでも言うべきものですな。


「われわれはいまやすべてケインジアンである」と保守派が言うのと同じです。

ケインズ主義が保守派も含めたすべての人にとっての知的資産であると同時に、フリードマンの市場主義もリベラル派を含めたすべての人の知的資産である、ということなんでしょう。

経済的自由と政治的自由 フリードマン


このオバマの言葉、今後経済学者が引用することになるんじゃないですかね。

こういう知的伝統を踏まえるというか、基本的な論点をしっかりとおさえた上で議論してまっせ、という周到な感じというか安心感というか、政治が本来知的な、極めて知的な仕事である、ということを思い出させてくれますなあ。

もう新自由主義の時代は終わりだ、なんて言い方をしたら、その辺のへっぽこコメンテーターと同じになってしまいますね。

まあ、これ、オバマさんに限ったことじゃないんで、米国では当たり前なのかもしれませんがね。日本の政治家の演説がフツーじゃないだけで。

名古屋で自民党総裁選演説を聴いたとき、意味不明でビックリしたことがあったんでした。

総裁選演説

さて、今日はクルーグマンの演説評についてがテーマ、のつもりでしたが、ちょっと長くなったので次回。








中国 汚染ミルクで死刑

2009-01-25 10:12:08 | 政治
メラニン入りのミルクを売ったとかで、中国は大騒ぎになっていたみたいで、日本には入って無かったのかあまり騒がれなかったような気もしますが、

A Chinese court today sentenced two men to death and jailed a dairy company boss for life, in an apparent attempt to assuage public outrage at the tainted milk scandal that killed six babies and made 300,000 ill last year.

中国裁判所は2人を死刑に、酪農業のボスを終身刑にした。6人の赤ちゃんを殺し、30万人を病気にした汚染ミルクスキャンダルに対する国民の怒りを静めるたにそうしたことは明らかだ。

うーん、これ、汚染ミルクを出した雪印の社長が死刑になったり、刑務所に入れられたりする、みたいなハナシですかな。

Tian Wenhua, the female former head of Sanlu, the first dairy company implicated in a scandal that engulfed much of the Chinese dairy industry, was sent to prison for life and fined RMB20m ($3m, €2.3m, £2m). The now collapsed Sanlu was fined RMB50m.

終身刑になった経営者は、女性ですな。3百万ドルの罰金。会社はつぶれてしまい、罰金あり。

このブログに写真が出てました。一番左に立っている方ですね。このブログ面白くて、コネがあって袖の下を渡していれば、こうやって刑務所行きですむが、そうじゃないと死刑にされると書いてありますな。

さて、この記事のポイントは判決にあるのではなく、中国の司法、法執行についてですね。

Police prevented victims’ families from attending the sentencing at the Intermediate People’s Court in Shijiazhuang, and detained others as they prepared to travel there – a common practice with Chinese authorities to prevent people from petitioning and to disrupt grassroots networks.

警察は判決を聴こうとする犠牲者の遺族にそうはさせなかった。そして遺族以外の人たちに対しても裁判所のある地域への移動を押しとどめた。苦情や草の根ネットワークを押さえ込むために、中国当局がそうすることはよくある。

“They are just trying to make Sanlu the scapegoat, but there were problems with milk powder from 22 different companies. You should let us sue the dairy company that is responsible.”

やはり空港で足止めされた被害者の親によると、

当局はSanluをスケープゴートにしようとしているだけで、本当は22の会社がやっていた、そいつらの責任を訴訟できるようにしてもらいたい、

とか。

Product liability lawsuits are difficult to bring and win. Last month, the government ordered dairy companies to pay $160m (€124m, £116m) compensation to victims, but courts have not accepted their lawsuits. “We are trying to sue for compensation and get rejected. And today, as these people are sentenced, they are closing us out,” said a mother from southern China.

中国では生産者責任を司法で問うたり、勝つことはとても難しい。先月、当局は犠牲者への補償を行うよう命令したが、犠牲者の訴訟はまだ受理されていない。その段階でこうやって判決が出てしまったのは、我々を締め出したということだ、とは被害者の母親。

Ms Tian admitted she knew as early as May last year about the contamination, but she and local officials did not disclose the problems until after the Beijing Olympics in August. Fonterra, the New Zealand dairy co-operative that holds 43 per cent of Sanlu, blew the whistle Wellington, but has been criticised for being too slow to do so.

チェン社長は5月には汚染の事実を知っていたが、彼女も地方当局も8月の北京オリンピックが終わるまで事実を公表しなかった。この会社の43%を持っているニュージーランドのFonterraはウェリントンの当局に報告したが、遅すぎたと批判されている。

まあ、中国に進出するというのは、こういうリスクもあるんですな。

それにしても、ですよ。こういう記事を読んで、中国は遅れてるようなあ、と言い切れない面もありまして、じゃあ、日本はどうなんだと言われるとどうですかな。企業に厳しい目が注がれるようになったのはつい最近のことのような気もするんですな。最近は中国が良いネタを提供してくれるんで注目されてますが、ちょっと前まではこれ、日本の役回りだったんで。

苦しい半導体 キマンダ 法的破綻

2009-01-24 01:43:37 | 半導体
エルピーダメモリーの投資家説明会なんぞを拝見していると、もうじきライバルは耐えられなくなるので、それまでじっと我慢して・・・、と説明されていたわけですな。メモリー価格が落ち続けていて、いい加減厳しかったのが、この不況でPCも携帯も売れ行きが落ちている。金融危機で調達もままならぬとなると、いよいよ厳しいわけでして、そろそろか、という感じですが、

Qimonda files for bankruptcy

ヨーロッパのメモリーメーカーのキマンダが破産法を申請したとかで。これキマンダとよむんですな。去年、キモンダと書いてしまった


The company blamed the filing on a "massive" drop in prices in the DRAM industry and "dramatically decreased" access to financing on the capital markets.

キマンダは、DRAMの価格の急落と資本市場からの調達困難をその理由としてあげた。

It added that the 325 million-euro financing package it received from the German state of lower Saxony, parent Infineon and a Portuguese bank, could not be completed in time, despite "intensive, but also very complex" negotiations.

それに加えて、325百万ユーロの資金調達パッケージも、期限には間に合わなかった。

これですな。

独Qimonda、公的資金を含む総額3億2,500万ユーロを調達

発表されたのはつい最近じゃあないですか。まさかまさかの破産法ですね。いやはや。がんばろうとしたけど、もうアカン、って感じで、本当にギリギリ感がありますなあ。

n addition, Qimonda said it recently "became apparent" it would need more money this year as a result of the collapse in prices in December.

昨年12月に、DRAM価格が暴落して、今年に入ってからもさらに資金が必要になることが明らかになったことも理由。まあ、これがホントのところですかな。もうこれ以上がんばれません。

Micron社は“特売価格”でQimonda社を買収か?

とまあ、こんな観測も出ていたわけでして、まあ、マイクロンに買われるかどうかは別として、もうもたないという見立ては正しかったわけですな。

キマンダはここしばらく赤字続きですが、資金繰りの厳しさは一目瞭然で、

     As of 2008-06-30       As of 2007-06-30

Cash & Equivalents 510.00            629.00
Total Debt      631.00            149.00

借入がボンボコ膨らんでいく一方だったんですな。さすがにこういう状態では債権者も金返せ、と迫らざるを得ず、ギブアップ、ということですかね。

さて、この我慢競争生き残るのはどこで、業界再編によってDRAM価格は戻すのか、と、今年はどうなって行くかきになりますな。競争相手が減ったとしても状況は厳しいまま、みたいな感じもするんですがね。





安売り不十分と客怒る サーキットシティ清算

2009-01-21 07:16:23 | 小売
伝説の再建人によれば、チャプター11を申請してからが勝負なんですな。その会社が本当に再生するのか破綻するかが決まる。

失敗すれば、清算されることになりますが、サーキットシティはついに再生かなわず清算されることになったわけでして、

Circuit City Starts Going-Out-of-Business Sales at U.S. Stores

“Regrettably for the more than 30,000 employees of Circuit City and our loyal customers, we were unable to reach an agreement with our creditors and lenders,” James A. Marcum, acting chief executive officer, said in the statement.

残念ながら、債権者との合意ができなかった。伝説の・・・でも、債権者といかに合意できるか、が大変だと書いてあります。サーキットシティともなれば債権者は大変な数になったでしょうし、難しかったんでしょうな。

で、清算には入札で専門の清算業者が選任されたようで、早速閉店セールがなされているんですが、

Price is not right for many shoppers at Circuit City closeout sale

セールが店頭表示の10%引き程度の割引で、買い物客を失望させているってことなんですな。もっと3割、4割の値引きを期待していた客が怒っていて、あるいは、もともとサーキットシティがつけていた値札を付け替えて高い値札から1割引いているだけじゃないかとまでクレームを受けたりしているんだそうです。

"You have to start somewhere, and we have commitments to a lot of people -- banks, creditors -- who are expecting a certain amount of return, so it's not like we can go out there and go to the deepest discounts right off the bat," said Billy Nichols, senior vice president and director of merchandising at Great American Group, one of four liquidators involved in Circuit City's closeout. "This is a big financial risk for a lot of companies. We have to be economical on our discounts."

清算会社にしてみれば、そんなに簡単には値下げできないとのことですな。彼らは債権者に対するリターンも確保せねばならず、割引も経済合理性を考えてゆかないとやってゆけない。

Circuit City estimated the value of its inventory at $1.2 billion to $1.3 billion, and creditors are guaranteed 70.5 percent. Stockholders will probably get nothing, Circuit City said in a statement.

清算では債権者は7割強の返済が保証されているんだそうで、清算業者はそれをはらってゆかねばならないわけですな。株主への返還は無い、まあ、当然ですかね。

破綻したからといって投売りにはならない。二束三文で、というわけでは無いようで。


クルーグマンコラム ブッシュ政権の罪

2009-01-19 23:06:30 | 政治
ニューヨークタイムズのクルーグマンコラムは結構人気があるようで、いつも人気順位の上の方にいるんですが、注目すべきは、人気がある=みんなが読んでいる=実際に提言が反映される、んじゃないか、ってトコでして、特に、クルーグマンは筋金入りリベラルで、支持者も多く、ノーベル賞受賞したばかりの超一流経済学者が、マジで書いているからですな。現に前回の提言は関係あったか無かったか実現しています。


政権インサイダーがちょうちんコラムを書いているわけじゃないし、学力が世界トップ。こういう人が一般向けにリアルタイムでバシバシ書いてゆく。良いですな。

Forgive and Forget?

Last Sunday President-elect Barack Obama was asked whether he would seek an investigation of possible crimes by the Bush administration. “I don’t believe that anybody is above the law,” he responded, but “we need to look forward as opposed to looking backwards.”

先週、オバマが『ブッシュ政権の犯したかも知れない罪を調査しようとするか』と問われて曰く、『誰も法を逃れることはできない』と答えたが、『われわれは後ろではなく前に向かって行かねばならない』

I’m sorry, but if we don’t have an inquest into what happened during the Bush years — and nearly everyone has taken Mr. Obama’s remarks to mean that we won’t — this means that those who hold power are indeed above the law because they don’t face any consequences if they abuse their power.

ちょっと待てってことでして、オバマが言ってるとおりなら、ブッシュ政権で何がなされたか調べないってことになるが、権力を乱用しても何のお咎めもないんなら、権力者は法を逃れることになるじゃないか、と指摘しているんですな。

で、クルーグマンの言う、ブッシュ政権とは、

It’s not just torture and illegal wiretapping, whose perpetrators claim, however implausibly, that they were patriots acting to defend the nation’s security. The fact is that the Bush administration’s abuses extended from environmental policy to voting rights. And most of the abuses involved using the power of government to reward political friends and punish political enemies.

捕虜虐待、不法盗聴のみならず(国家を守る愛国的行為だと?、アホか)、環境政策から投票権にいたるまで。ブッシュ政権で権力は、たいてい政府の権限を政治的な味方を優遇し、政敵を罰する形で乱用されている。

At the Justice Department, for example, political appointees illegally reserved nonpolitical positions for “right-thinking Americans” — their term, not mine — and there’s strong evidence that officials used their positions both to undermine the protection of minority voting rights and to persecute Democratic politicians.

たとえば法務省では、政治任用でないポストが、『正しい思想のアメリカ人』用として違法にも政治任用ポストとしてとって置かれ、そのポストは、マイノリティの投票権の保護を弱めたり、民主党政治家を告発するために使われたという強い証拠がある。

The hiring process at Justice echoed the hiring process during the occupation of Iraq — an occupation whose success was supposedly essential to national security — in which applicants were judged by their politics, their personal loyalty to President Bush and, according to some reports, by their views on Roe v. Wade, rather than by their ability to do the job.

法務省の任用のやり方は、イラク占領時の任用プロセスにも使われていて、いくつかのレポートによれば、採用はその人の能力によってではなく、ブッシュへの忠誠心や妊娠中絶への姿勢によって決められた。


Speaking of Iraq, let’s also not forget that country’s failed reconstruction: the Bush administration handed billions of dollars in no-bid contracts to politically connected companies, companies that then failed to deliver. And why should they have bothered to do their jobs? Any government official who tried to enforce accountability on, say, Halliburton quickly found his or her career derailed.

イラクでは、ブッシュ政権は、入札なしに政治的につながりのある企業に何十億ドルも支払った。その企業は、結局、役目を果たしていない。なぜ仕事をしないのかって? 政府の役人が説明を求めようとしたとたん、その役人はあっという間に左遷された。

クルーグマンははっきりハリバートンと名指ししてますな。


There’s much, much more. By my count, at least six important government agencies experienced major scandals over the past eight years — in most cases, scandals that were never properly investigated. And then there was the biggest scandal of all: Does anyone seriously doubt that the Bush administration deliberately misled the nation into invading Iraq?

まだまだあるよ。クルーグマンの試算では、6つの政府機関が8年間に大きなスキャンダルを経験していて、ほとんどのケースできちんと調査されていない。そして最大のスキャンダルがあるでしょう。必死になって国民をイラク侵略に間違って導いたことだと考えている人はいないの?

とまあ、これまでよほど腹に据えかねていたんでしょうな。

クルーグマンはオバマが自分自身で憲法を守るのは当然だが守らないやつに責任を取らせるのも大統領の仕事だといって、ブッシュ政権の違法行為を調べるよう訴えているわけですがね。

こうした気持ちでいた人は少なからずいたはずで、もし、本当に違法行為が追求されることになれば米国外からも喝采する人が結構多いかも知れませんなあ。

しかし、素人目でみても、オバマさんが実際に先任者を調べ上げるとなると結構きついかも。無理してうらみを買えば、反オバマで政敵が結集してバッシング、というのは意外と簡単に起こるような気がするんですがね。政治リスクが大きい。

まあ、ブッシュ政権のせいで、保守一般の評判ががた落ちで、身内からも落とし前をつけさせよう、という声でまとまればクルーグマンの言うとおりに動きやすいんでしょうがね。ブッシュのあの低支持率、そういうのありえるような気も。

政府高官から民間に転出して、また、何食わぬ顔でワシントンのコネをつかって高給取りに戻っていると、新しい若い組長の放った刺客がやってきて・・・。

と、素人なりにヤクザ映画をヒントにいろいろ考えてみるんですが。




インフルエンザワクチン 打つべきか打たざるべきか2

2009-01-18 22:01:07 | 政治
町田市の病院でインフルエンザの集団感染について報道されています。

この病院、患者も職員も9割がインフルエンザワクチンを打っていたそうじゃないですか。

町田の病院でインフルエンザ集団感染 3人死亡

『同院では、職員の91・6%、患者の88・7%がインフルエンザワクチンを接種していたが、接種した職員や患者の多くも感染したという』

病院側がこれを発表したのは、インフル対策はきちんと対応してきた、と説明するためで、落ち度はありませんといいたいわけですな。ワクチン接種はきちんとやっててネグっていたわけじゃない。もし、この比率が低かったら一斉バッシングを受けていたかも知れませんな。

で、私が注目したのは次の数字です。

病院でインフルエンザ集団発生 3人が死亡

『感染した患者75人のうち66人、職員24人のうち21人がインフルエンザのワクチンを接種していた』。

75×88.7%=66.5人
24×91.6%=22.0人

まあ、あまりにぴったりなのでビックリしますなあ。


もしワクチンが効いたなら、感染した人の集団のワクチン接種率はかなり低くなっていないとおかしいですな。でも、この病院で感染した人のワクチン接種率は、全体母集団の中での接種率と全く変わっていない。

つまり、インフルエンザワクチンを打ったかどうかにかかわらず、満遍なく同じ比率でインフルエンザにかかったということですね。

インフルエンザワクチンの有効性については、かつて前橋市が徹底的に調査し、否定的な結果が出ています。その結果インフルエンザの集団予防接種が中止されたという経緯があるんですな。

前橋市のレポート要点


『そして、5年に及んだ調査は、前橋市医師会の判断が正しかったことを裏付ける結果となりました。つまり、ワクチンを接種してもしなくても、インフルエンザの流行状況には何の変化も見られなかったのです。この調査をきっかけに、集団予防接種を中止する動きが全国に広がり、最終的に、インフルエンザ予防接種は1994年に任意接種に切え替わりました』

『1994年に任意接種に変わったのを境に、インフルエンザの予防接種者は激減しました。しかし、2000年ごろから、再び接種者が急激に増えていきました。インフルエンザの流行状況やワクチンの性能は、20年前から何も変わっていないはずです。また、予防接種者がゼロに近かった1994年から1998年の間も、インフルエンザ流行の様子は、他の年と大きな違いがありませんでした。それなのに、厚生労働省やマスコミは、さかんに「インフルエンザ予防接種は必要」と喧伝しています』


とのことですな。

要らないドーロを作るのをやめられないように、ワクチンを作るのもやめられない、ってトコですかね。省庁代表制になっていて、政策決定がここでもうまく行われていないんじゃないか、と疑問を感じるんですな。

病院一般は、シロートの集まりではないわけで、ひょっとしたらインフルエンザワクチンは効かないと感じているかもしれません。しかし、もしだからと言って接種を病院施策として進めなければ今回のようなことが発生すればひどく批判されることになる。だから無駄だとわかっていても打たざるを得ない。こうして無駄は継続されていゆく。

こうした事件を機にきちんと検証されれば良いのですが、そうはならないでしょうな。

ケッ!!

ちなみに肺がん検診もそうですな。

肺がん CTで異常、対応慎重に

『肺がん検診 国の指針は40歳以上の男女に、胸部エックス線検査と喀痰細胞診を年1回行うことを勧めている。2004年度の受診率(推定)は男性16.7%、女性13.5%。一方海外では、有効性を否定する研究もあり、肺がん検診を行う国はほとんどない』。

インフルエンザワクチン 打つべきか打たざるべきか1


ピンボケ政策に世界注目 鳥インフルワクチン