会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

『起業バカ』

2005-04-24 22:35:40 | ターンアランド
『起業バカ』
渡辺 仁 光文社ペーパーバック 05/04/30 初版一刷

 最近起業ブームです。
 
 『金持ち父さん貧乏父さん』から始まり、ホリエモンあたりに続く流れの中で、やってみたら簡単なのに、恐怖感やカネに対する罪悪感から行動に移せない、という指摘が多くの人に影響しているのではないでしょうか。

 で、本当に簡単なのか、現実はどうなんだ、という観点からまとめられたのがこの本。

 これは読まずには居られないと、早速買いました。

 失敗例がドシドシ紹介されています。そしてサラリーマン上がりで何の準備もなく起業なんて、なんて甘いんだ、となります。

 特に多い失敗例として、フランチャイズ契約をあげてます。素人は悪質なFCにひっかかりやすい、よく契約書も読まずに判を押してしまい、いざ脱退しようとしても解約料やすでに払った契約料が惜しくて撤退できず、赤字垂れ流し。本部への上納金が重くのしかかる。悪質FCはろくな指導もせず、FC契約料だけが目当てで、つぶれるのは各オーナーの責任に押し付ける。

 コンビにでも新規出店と廃店でスクラプアンドビルドをやって利益を継続させなければならないわけですが、廃店の陰には失敗したオーナーがいるというわけです。

 四季報にコンビニの廃店数などがのってますが、その陰で死ぬ思いをしている人たちが居ることを知りました。

 本書には起業ブームの陰で暗躍する詐欺師や、パートナーに食い物にされる例や、甘い見積もりのまま突っ走る例、パートナーとの内輪もめなど、躓きやすいポイントが例をあげて説明されています。

 読後感じたことは、素人が起業するとマーケティングが弱いこと。これは狭い意味での市場調査だけでなく価格設定や、原価の管理、商品性の追及等、商売そのものの設計、実現性とのバランスを含みます(テキトーな議論で申し訳ありません)。
 
 随分安易に虎の子のウン千万円を失う中高年が多いことを、著者は嘆いています。


米国破産法に修正

2005-04-18 01:33:02 | 英語情報
 ロンドンエコノミスト誌に米国破産法の修正に関する記事が載ってます。エコノミスト誌記事

 America's Congress has passed a new, creditor-friendly bankruptcy bill.

 とのことで、これまでより貸し手に有利=借り手に不利に変更されるようです。

 破産申請の件数が爆発的に増えていることが原因のようで、借り手のモラルに問題があるとされています。エコノミスト誌は、それだけでなく、収入が安定しなくなっていること、合法ギャンブル、高騰する医療費、借り手にアプローチする弁護士、等についても指摘しています。

 個人は簡単にchapter7を申請することができなくなるようで、諸費用控除後で月に100$以上払える人はchapter13を申請しなければならないとのこと。chap13では、5年にわたって負債の一部を返し続けなければなりません。また、収入明細をかなり細かく明示する義務があるようです。

 法人がよく申請するchapter11も変わるようでして、従業員のためのbonusスキームが減らされるようです。また、貸し手の権限も強化されるし、マネジメントがfraud and such likeに関わっていることがわかればtrustyに権限が移るようです.

 この記事ではあまり細かく書かれていないので良くわかりませんが、試験にはあまり関係ないレベルかも知れません。chap7とchap13の違いくらいでしょうか。

 議会も共和党に握られて、破産法にも保守化の流れが来ているということでしょうが、この記事によると、本件後もヨーロッパに比べればまだ甘い、とのこと。

 とは言え、借り手に厳しく修正されることにはいくつか懸念があるそうです。

 また、記事の最後に、a new Chapter 15, which adopts the UN’s model code on cross-border bankruptcy. について書かれています。これは皆が喜ぶ良い法律とのことですが、詳しくは不明。



 
 
 

日本航空のミス続発

2005-04-18 00:30:26 | ターンアランド
 今日も、日航のミスが報じられています。
 油圧系のトラブルとか。

油圧系トラブル

14日には、
ミスの原因についての報道があったばかりです。

 この『定時出発率』は米国のコンチネンタル航空がターンアラウンドの際に、一つのメルクマールとして使った指標で、この指標に関する目標を設定して、クリアしたら、全員にボーナスを配るとCEOが約束して従業員の奮起を促しました。

 コンチのターンアラウンド

コンチ建て直しに日本人活躍

 果たして、JALに定時出発率に必死になる必要があったかどうか。

 コンチはかなりひどかったわけで、これを改善する意味があったと思われますが、JALは遅れたり事後対応がいい加減だったりする評判はむしろ少なかったはずで…。

 JALは外資と違い、安全や、サービスの質が評判なわけだから、そっちに重点をおけばよかったのに、と思うのは私だけでしょうか。

 今回の一連のトラブルでJALはかなり評判を落としました。いわばJALだから安心、という売りを失ったわけで、ちょっと心配ですね。

 

不動産価格はさらに5割下がる?

2005-04-10 12:53:09 | ターンアランド
土地の値段はこう決まる
井上明義 朝日新聞社 05/02/25第一刷

 著者は三友システムアプレイザル社長。不動産鑑定の大手。

 不動産を売るべきなのか買うべきなのか。この辺は難しいところです。

 失われた10年の後、景気復活、インフレ、と連想してやがて資産価値も上がってゆくだろう、と考える人も多いようです。株価はゆっくりですが、着実にあがってきており、それなりに説得力があります。

 それが、著者は、次の5年で不動産価格はさらに半分になる、と予言。

 土地の価格はまだまだ下がる

 あな、恐ろしや。このリンク先で書かれている、高級マンションの値崩れや、銀座、青山などの本当に値が上がっている地域(これらは最近テレビでもやっていますね)が少ないこと以外に、本書ではさらに、人口減少、郊外から都心への回帰減少による郊外価格の下落(これは都心値下がりと矛盾しますね。都心の値下がり圧力とどっちが強いかですが、著者は都心も一部を除き値が下がると見ています)、地方の土地は下げ続けていること等にも触れています。

 著者は基本的に、今の不動産バブル(とまで著者は呼んでいませんが)を不安視しています。外資系がかつての邦銀のように過大評価で金を貸し込んでいるのではないか、とも。不動産は、単純に売買実績の価格だけでは決まらない(個別事情に左右されるので)、単純な利回り計算だけで決めてもいけない、日本の不動産は他の金融資産との利回り比で値がついたりするものではない、外資はそれがわかっていない、とか。

 とはいえ、REITやら、新しい手法によって、利回り比較による資金の流入にも触れており、著者としてはこのあたり、微妙な感じです。一概に否定できるわけありませんね。

 外資系といえば、テレビでも外資系のファンドが不動産を買いあさって、価値を高めて売り抜ける手法を紹介していました。話しは違いますが。

 著者の立場は、既存の不動産鑑定業界を破壊してきたというチャレンジャーであると同時に、20年以上不動産の鑑定に、しかも大手金融機関とともに関わってきたという権威者でもあります。丁度、この微妙な立場が、本書を面白くしています。
 
 本書では、他にも不動産鑑定業界の内情や、競売市場の分析等、中々面白いです。








サムソンの携帯音楽端末戦略

2005-04-06 00:40:21 | 英語情報
韓国のサムスンがアップル追撃に出ようとしています。

 ビジネスウィークの該当記事。

 98年にアジア通貨危機でサムスンがリストラに迫られたとき、オーディオ部門はスピンオフされ中国に移された。そのころ、まだアップルのIpodがよちよち歩きのころで…、と記事は始まっています。

 最近、日本の記事がめっきり少なくなり、中国、インドの記事が多いなあと思っていると、韓国も元気が良いようで。ソニーの追撃は話題になりませんねえ。昔のソニーの革新イメージは薄れてむしろ守りの、王様イメージですかね。

 こないだテレビで、ソニーの携帯音楽プレーヤーの紹介をしてましたが、香水瓶をイメージしたとのことでそんな形をしてましたが、ちょっと違うような。ま、私はソニーの株主でもありまして、かんばってほしいのですが。

 さて、サムスンですが、中々鼻息があらいようです。まだ、韓国NO.1でも無いのですが、目標は高く。

 ここで注目すべき論点があります。韓国NO.1のReigncomのvice presidentは

 "Simple, elegant products that perform a few functions with easy-to-use interfaces have sold well, while the do-everything approach has failed."

 簡単で機能を絞ったエレガントなインターフェースが良く売れる、と主張している一方、サムスンは、

  Samsung execs don't agree. "We believe consumers will look for products meeting their other needs as long as good music quality is satisfied," says Kim Suh Kyum, Samsung chief of marketing for audio.

 『音が良い限りは他の機能も求められる』、と考えていて、FMラジオをつけたり、ビデオ、デジカメなどとの多機能路線。 

 どうも、サムスンの方が分が悪そうな感じがしますが、今後、爆発的にこうした音楽端末が普及するようなことになれば、サムスン的な『こっちのほうがお得でっせ』路線も結構いけるかも知れません。特に所得が低い地域に売り出すなら、多機能は大きなセールスポイントでしょう。

 ソニーの香水イメージは、ちょっと次元が違いますね。ソニーはエレガント派なんでしょう。ウォークマンに、ラジオやらカメラやらごてごてつけるのは、たとえ可能でもやらなさそうだったではないですか。といいつつ、昔、アメリカで、ラジオ付きソニーウォークマンを買ったことを思い出しました。

 蛇足ながら、この記事は論点をはっきりさせているよい記事だと思います。

ターン・オーバー/企業を再生させる逆転の経営システムIAC

2005-04-04 00:59:43 | ターンアランド

ターン・オーバー
フランシス河野 講談社 05/03/25第一刷

 企業再生本の一冊。

 『IAC』を著者は提唱していて、これはinternal audit and consultingの略です。

 社外にコンサルを求めるのではなく、自前の組織でやるわけですが、それを監査機能と融合させるというものです。監査で単に不備を指摘、改善するのではなく、その中で、業務の改善(そこにはオペレーション改善だけでなく、マーケティング分析や、そこから導かれる企業買収提案まで含まれる)を提言するというもの。ここまで範囲を広げると、単なる監査部門というより、経営直結のスタッフで、幹部養成部署でもある、とか。

 そういえば、citibank日本法人の建て直しに、グローバルオウディター出身者が就任したとの記事を以前紹介しましたが、オーディターが経営改善機能を持っている(そして、そこには幹部候補がいる)というのは、米国企業では一般的なのでしょうか。

 GEのウェルチもこの考え方で業務改善を進めたと本書には書かれています。

 もともと、IACは、日本企業が80年代に素晴らしいパフォーマンスをあげて、米国企業が太刀打ちできず自信をなくしていた状態から復活するために生まれた考え方とのこと。

 まあ、監査部門にその機能を持たせることが大事なのではなく、組織横断型で、かつ、徹底した分析、コミュニケーション、説明責任、を負いながら、改善そのものに責任を持つ部署を設けるという点がポイントでしょうか(実際にはCEOに報告し決断を仰ぐ)。

 本書では、日本企業の経営手法に鋭い批判が向けられています。というよりは、日本企業に無いのは経営能力だけ、と手厳しい表現。日本で出世するには、上司に脅威を与えずかわいいことが条件で、かつ、能力があることもそれとなく示すことが必要で、とか。

 ちょっと引用すると、

 日本の会社は、仕事を定義し、必要なスキルを明確にし、その値段をはっきりと示すことをしない。本来、経営者が気を入れて方針を出せば解決する問題を、現場同士が延々と議論して手間とコストをかけ、しまいには傷つけあって無気力になってゆくのを見て見ぬふり…。

 日本企業にはマネジメント力がないだけで、他はきわめて優秀とのことで、マネジメント力がつけば、また復活できるということでもあり、著者は日本でIACの普及活動をしている。最初は相手にされなかったが、徐々に支持者が増えているとか。

 著者は日本人で、渡米してMBAを取得後、TRWでIACの創設メンバーとなり、実績を上げた後、帰国した人。本書は読みものとしてもかなり面白いのでお勧めです。

 

マクドナルド/原田社長

2005-04-03 14:55:46 | 平成10年問題
 マックの原田社長が就任1年らしい。

 なんせ私は株主なのでがんばってもらわねば。

 ようやく既存店の売り上げが反転し、黒字化も達成。今後もこの良い傾向を拡大しながら続けて行けるかが問題。

 既存店の改装を200億円以上かけてやるそうだし、バリューセットは500円の統一メニューにするそうです。

 今は300円代で種類も一種類だが、あまり頼んでいる人を見かけない(私くらいか)。あの3点セットだとチャチすぎて昼飯には少なすぎる。また、おやつにしても寂しい。

 500円にして種類を増やし、もう少し充実できれば、来店客も増えるかも知れない。単品で頼んでいる人たちは、今は平均500円以上払っているような気がするが、この施策後は実質的値下げになるのではないかと思います(メニューの中身次第)。被害を蒙るのは今のバリューセットを頼んでいる私くらいか。

 さて、良い方向に進んでいるように思えますが、結果やいかに。