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実験経済学への招待

2012-07-10 00:24:35 | マクロ経済

いや,随分と更新をお休みをしておりました。
ちょいと忙しかったもんで。

院に通いだすと,なんやかんやレポートや課題が出たり,プレゼンが必須だったり,予習復習なんかもやらないといけなくなって,ブログ更新がおろそかに。

意外にブログ更新にも時間がかかるんで。簡単に書くつもりが,書いてるうちに長くなったりして。

読みたい本も読めず,観たい動画も後回し。院で刺激を受けて満足する部分もあるんですが,我慢することも結構多いです。


とまあ,そんな具合ですが,今日は,本のご紹介。
ちょいと息抜きにと思って買って読んでみたんですが,

こいつは掘り出しモンでっせ。

実験経済学への招待
クリエーター情報なし
エヌティティ出版


初心者向けの入門書と銘打って,くだらないたとえ話に続いて,突然意味不明の説明がつながって,全く付いていけなくなる本が結構あったりするんですが,本書は,かなり高い水準で,わかりやすさと,説明水準の高さを両立させています。

著者達の実力とセンスの高さが相当であることが伺えるんですね。


実験経済学,というと,こないだ『貧乏人の経済学』をご紹介したときに出てきた分野ですが,本書は,開発分野に限らず,『市場とは何か』『経済とは何なのか』について簡単な実験例で,まるで目に見えるように説明してくれます。


大学院に通って,改めて実感するんですが,経済学は大いなる,『仮定の科学』であって,その仮定が正しいかどうか,については,あんまし,ってかほとんど気にしてないんじゃないか,と思えたりして。

こう,仮定を置いて考えると,こんなことも言えまっせ,あんなことも言えまっせ,とひたすら考える。

そうした思考の有効性については疑いは全く感じないし,重要なことだと思うんですが,経済の実態,原理,本質をつかもう,という志の観点からすると,こんなことも言えるかも,あんなことも言えるかも,ということは,どっちかというと枝葉部分に感じられたりするわけで。

とまあ,偉そうに言う資格もない私が,とやかく言うもんじゃあないんですが,

で,本書。

本書は,経済とは何か,市場とは何なのか,について,真正面から説明してくれます。

取引が成立するとはどういうことなのか。

学生を使った実験例を本書では紹介していますが,
カードを使った実験で,最初は,でたらめな値段がついていたのが,

何度も繰り返しているうちに,理論値での値付けが行われるようになったりする。

『バレート優越』って,ホンマかな,絵に描いたモチやろ,とどっかで感じていた私ですが,本書を読んで,意外と伝統的なミクロも有効で,きちんと身につけなきゃいけない,と逆に思ったくらいです。

このブログの読者の方の中には,開発関係に関心をおもちの方もいらっしゃるはずですが,第7章でフィールドワークが取り上げられていてます。

貧乏人の経済学,のテーマになってた貧困国での経済実験のことですね。

例えばマイクロファイナンス。

マイクロファイナンスはここでも何度も何度も触れていますが,

債務者をグループ化して連帯責任を負わせることについて,返済率にはほとんど効果がないんじゃないか,という実験結果について、本書は紹介しています。

グループを組ませることは、マイクロファイナンスの肝だったりするんで,その効果がほとんど無い,ってことになると,じゃあマイクロファイナンスって何なの? って感じになるわけですが,返済率に影響するのはグループ化ではなくて,

むしろ,取引の継続性である,と本書は説明しています。つまり,きちんと返済すれば,次回も借りることができる,という期待ですね。それがあるから債務者は無理してでも返す。

ま,このあたりは,また改めてにしたいんですが,本書は,ポイントになる論文を参照しながら,わかりやすく説明するというスタイルで専門研究と接続していて,とっても使える形になってます。原文にあたられたらごまかしようもない,という点で,真剣勝負でもあるんですね。

しかも,二日もあれば読めてしまうくらいの読みやすさでして,



とにかく,お勧めです。




















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