会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

オリバーストン監督 過激な新作プロモーション

2010-07-30 06:13:49 | 政治
オリバーストンが今度新作が出るんで、最近あちこちに出演してて、先週のアルジャジーラのリスニングポストもスペシャルとして長いインタビューを行ってます。



確かに、ベネズエラのチャベスはディクテーターとしてメジャーなメディアでは描かれていることが多いんで。米国資本にとってそうだということかも知れないんですが、


チャベス大統領、油田開発事業国有化を正式に宣言 - ベネズエラ

ホンマかということですな。メディアの偏向報道についてしきりに批判しています。



それと、今回の監督の新作についてなんですが、インタビューの後半で南アメリカを題材にした映画の、米国での商業的な厳しさを語ってます。前作のサルバドルでも評判は良かったけど、ビデオが売れるまでペイしなかった、みたいな。

で、イロイロと発言も過激になっているようでして、

オリヴァー・ストーン監督、反ユダヤ発言を謝罪 - goo 映画


オリヴァー・ストーン監督が、インタビュー中にアメリカのユダヤ人団体について語った言葉が「反ユダヤ発言」として非難をあび、謝罪する声明を発表した。

 ストーン監督は、ベネズエラ大統領のウゴ・チャべスを取り上げたドキュメンタリー『サウス・オブ・ボーダー / SOUTH OF BORDER』(原題)についてサンデー・タイムズ紙のインタビューに答えた際、「アメリカのメディアはユダヤ教徒が支配している。最も顕著なのはワシントンの政治だ。イスラエルは長年、アメリカの外交をむちゃくちゃにしてきた」とコメント。さらに、ナチスドイツのヒトラーについて、「フランケンシュタインのような怪物だが、同時にものを生み出す実業家として、アメリカやイギリスの資本・産業主義に大きな功績があった。ユダヤ人よりもロシア人へのダメージの方が大きかった」などと語り、ユダヤ教団体などの反感を買ってしまった。また、イスラエルのザ・エルサレム・ポスト紙では、イスラエル側も「非常に不愉快」と不快感を示していると伝えている。

 これを受け、ストーン監督はすぐに声明を発表。「歴史的見解を広げようとするなかで、ホロコーストについて誤った連想をさせるような発言をした。申し訳なく思い、後悔しています」と素直に謝罪。ハリウッドでは2006年にメル・ギブソンが飲酒運転で逮捕された際に反ユダヤ発言を発し、以後、メルと言えばこの話題が取り上げられているだけに、ストーン監督としては同じ運命をたどるのは避けたいようだ。



こうした発言について、プロモーションのためにメディアをもてあそんでいる、という見方もあるようでして、



泣く子も黙る イスラエルロビー

遺伝子組み換え作物 EUが一部新規輸入を認可

2010-07-29 00:20:13 | 農業

本書によると、遺伝子組み換え作物というのは、結構米国にとって、あるいはいわゆるコーポレートクラシーにとって、キモ
になっていて、

マネーハンドラー ロックフェラーの完全支配

世界支配の手段だ、みたいなですね。

EUは結構いろいろと大変な時期にあって、だからいろんなかけひきもあるんじゃないかと思うんですが、

EU approves six GM maize varieties for import

Approvals cover imports for use in food, animal feed

遺伝子組み換え作物に厳しい態度をとっているEUが、一部輸入を認める決断をしたと言うんですね。


BRUSSELS, July 28 (Reuters) - The European Commission on Wednesday approved six genetically modified (GM) maize varieties for import to the bloc in a sign of its desire to speed up European Union decisions on the controversial technology.

トウモロコシ6品種。


One of the decisions renewed a previous EU approval for the insect-resistant Bt11 maize -- developed by Swiss-based biotech company Syngenta (SYNN.VX) -- which expired in 2007.

一つはスイスのバイオテクノロジー会社の害虫に強いヤツ。一度承認されて期限ギレになっていた。

One of the five was also developed by Syngenta; two were developed jointly by subsidiaries of U.S. chemical companies DuPont (DD.N) and Dow Chemical (DOW.N); and a further two were developed by Monsanto (MON.N). (Reporting by Charlie Dunmore, editing by Jane Baird)

残り5つは、一つはおなじスイスの会社製で、あと2つはアメリカのデュポンとダウケミカルの子会社、最後の2つはモンサント。


出ました、つまり新規で認定された5つのうち4つまで米国製で、2つがモンサントでござんした。

あの本じゃありませんが、こうした動きの裏では、いろんな動きがあるはずですな。


電子部品業界 回復するが・・・

2010-07-28 07:25:32 | ハイテク
電子部品業界に関してちょっと気になるレポートです。


リーマンショックで大幅落ちた後、回復してきたのは良いんですが、ショック前より日本メーカーの世界シェアが落ちている。背景に、韓国、台湾の自前への切り替えが進んでいること、ソフト重視で日本製の高付加価値製品へのニーズそのものが減っていることがあることを指摘しています。


電子部品業界の現状と展望:アナリストの眼


業績が急回復し設備投資を再開させる中、
シェアに変動が生じている点は気がかりである。
電子情報技術産業協会によると電子部品の
日系企業世界生産額シェアはリーマ
ン・ショック前の07 年に43%であったも
のが、09 年見込みでは、40%まで低下して
いる(図表3)。


背景として考えられるのは、1 つに中
国・韓国・台湾の部品メーカーの台頭であ
ろう。韓国には成長著しい世界的にも大手
といえる電機メーカーがあり、そのメーカ
ーの戦略転換による影響が考えられる。従
来は日本から素材・部品・製造装置などを
輸入し、韓国内で加工・組み立てを行い世
界に対して販売するビジネスモデルであっ
た。これは、韓国の世界輸出額と日本から
の輸入額に正の相関関係があることからも
示されている(図表4)。しかし、中長期的
に内部に付加価値を蓄積していく観点から、
韓国内の部品メーカーの育成・技術水準の
向上に力点を移しつつある。足りない技術
は、日本を始め世界各国の企業から技術導
入を行いながらも、自国内での生産を重視
している。主要なエレクトロニクス製品で
世界シェア1 位をとるという国家戦略を遂
行するうえでボトルネックとなる可能性がある
部材を自国内に取り込むという動きでもある。
2 つ目に日系企業が得意とする高付加価値部品
(小型・薄型・高品質など)のデジタ
ルコンシューマ機器に搭載される比率が低下し
ていることが考えられる。

アナリストの眼
図表5 に示すように携帯電話最大手メーカーの平均販売単価は09 年までの5 年間で
年平均10%の下落を続けている。最終製品における新興国販売比率が上昇しており、比
較的安価な製品の比率が上がっているためである。
また、多機能情報端末に代表されるように、最終消費者に受け入れられる製品が、必
ずしも高付加価値部品を組み入れた製品でなく、ソフト・サービスまでを含めた総合力
の高い製品へ移行してきていることも背景にあるのではないだろうか。

中国所得倍増政策

2010-07-27 06:53:19 | 政治

中国については、沿海部と内陸部の格差のコントロールが極めて難しく、結局どっかで成長の限界がやってくるというハナシがあるんでした。

農民国家 中国の限界

で、それは良いとして、こんな記事が出てるんですな。

Govt seen moving to close yawning wage gap


Authorities appear determined to launch a milestone reform to improve income distribution later this year, amid recent intensive coverage of the theme by State media following a series of labor disputes.

今年の後半で、マイルストーンとなるような所得改善政策を立ち上げると当局が決めたようだ、ということで。

The plan proposes that workers see their wages doubled in five years, according to reports.

今後5年で労働者の所得を倍増させると報じられている、ということで、

However, Su Hainan, vice director of the China Association for Labor Studies, who was allegedly behind the proposal, denied the report.

この政策の発案者とみられるスーは、この記事を否定。

He did note, however, that the government has to carry out a series of economic plans to ensure the synchronous rise of GDP and people's incomes in an effort to contain the widening income gap.

しかし、彼は、当局は格差を埋めるための努力である、人民の所得とGDPの成長を同期させる一連の政策を実行をするべきだとも述べた。


所得倍増政策と言えば、1960年に池田内閣で計画された政策ですね。当然それを意識したものなんでしょうが、今後中国の人件費が上がって行くことは間違いなさそうですね。


ただ、所得ギャップを埋めるために人々の所得を増やすと書かれてますが、これ、沿海部と内陸部の、つまり農民と都市人民とのギャップについてまでは、云々されてませんな。

百度 シェア伸ばす

2010-07-25 21:18:19 | ハイテク
google が中国当局ともめている間に、百度がシェアを伸ばしたってハナシです。

Baidu shines at Google's expense

Baidu Inc, China's largest online search engine, has benefited from rival Google Inc's recent woes in the Chinese mainland, with its earnings and market share both rising significantly over the past three months.

この四半期のハナシなんですね。

But analysts said that Google's performance would be more stable in the future, and it was unlikely to suffer a further big slide in market share.

今後はgoogleも安定してくるんで、ずっと勝ち続けることはなさそうってことですが、

Baidu's net income more than doubled in the second quarter year-on-year, reaching 837.4 million yuan, ($123.5 million), the company said on Thursday.

百度の利益は去年の倍になった。

Meanwhile, Baidu took a 70 percent share of China's search market by revenue in the second quarter, up 6 percentage points from three months earlier, while Google's share fell from 30.9 percent to 24.2 percent over the same period, according to the latest report from domestic research firm Analysys International.

百度のシェアは70%で、6%上がった。当然ながらgoogleは30.9%から24.2%に。


Baidu won advertisers from Google after the US company started redirecting its traffic to Hong Kong in March. It added 33,000 clients in the second quarter and currently has more than 250,000 customers.

googleが香港にトラフィックを移している間に、百度が広告主を奪っていった。3万3千のクライアントを獲得して25万の顧客となった。


China's search market was worth 2.67 billon yuan in the second quarter, up 48 percent year-on-year, according to Analysys International.But she added the gap between the two companies was unlikely to grow to any great extent because Google had its Internet Content Provider license renewed this month.

中国のサーチマーケットは第2Qで26.7憶ウォン。48%の伸びた。

まだベースがそんなに大きい感じではないんですが、伸びがすごいですな。

さて、中国からライセンスの更新をうけたgoogleですが、シェアはどうなって行きますかね。

貧乏人は早死に  英国調査

2010-07-25 10:27:02 | 貧困問題
本書で、著者の一人 飯田泰行さんが、『たぶん、やると恐ろしいことになるんですけど、年収階層別の平均寿命をとってほしい』と発言されてます。対談本なんですね。

日本では貧困調査がしっかりと行われておらず、生活保護の補足率、つまり有資格なのにもらっていないという比率の調査もなくて実態が良くわからない、という文脈の中でのご発言ですな。

脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる
飯田 泰之,雨宮 処凛
自由国民社


日本じゃ無いとして、英国で面白い記事がでておりまして、


Health gap 'wider than in Great Depression'


The researchers analysed mortality data for England and Wales, obtained from the Office for National Statistics, and for Scotland, obtained from the General Register Office for Scotland.

イングランドとウェールズのデータをもとにしてて、

Between 1999 to 2007, for every 100 deaths before the age of 65 in the richest 10th of areas, there were 212 in the poorest 10th.

1999年から2007年で、金持ち地域のトップ10で、65歳までに100人亡くなるごとに、ビンボー地域トップ10では212人亡くなっていた。

つまり早死に率が、ビンポーだと倍になる、ということなんですな。


This compared with 191 deaths in the poorest areas from 1921 to 1930 and 185 deaths from 1931 to 1939.

しかも、1921年から1930年と大不況の頃の191人、それに続く1939年までの185人より悪化している。

This means that the pledge by the previous Labour government to reduce the inequality gap between 1997 and 2010 is almost certain to be missed.

1999年から2007年の調査って、ちょうどブレア政権時代にかぶってて、労働党政権の不公平是正の政策は失敗してんじゃないか、と指摘してるわけですね。

なんでビンボーだと早く死ぬのか、という点についてこの記事で説明は無いんですが、BBCのラジオで聞いたところでは、麻薬だったり、アルコールだったり、自殺だったり、暴力だったりと、将来への希望がないことから来る死、というものを調査した学者はインタビューで答えてます。

金が無くて病気になっても医者にかかれない、とかいうことが一番にくるわけじゃないようで。


ハードワーク 低賃金で働くということ 反小泉は読むべし

フォード 絶好調

2010-07-24 05:11:31 | 自動車
トヨタがリコール問題で足を取られている間にフォードは好調が続いているようで、

Ford reports 13% rise in profit in 2nd quarter

Bolstered by strong sales of new car models such as the Fusion and redesigned Taurus, Ford Motor Co. said Friday that its second-quarter profit rose 13% to $2.6 billion.

第2Qの利益が13%アップして26憶ドル。年間で100憶ドルのピッチってことは利益一兆円。かつてのトヨタって感じですかね。


The results — Ford's best in six years — beat Wall Street expectations and marked the automaker's fifth consecutive profitable quarter.

この6年でベスト。

いや、ついこないだまで、日本車におされて、にっちもさっちもって印象だったんですがね。冒頭のところで、ピックアップトラックじゃなくて、ヒュージョンやトーラスが好調だ、ってのも復活を感じさせますな。日本車に勝ってるってことなんでしょう。

Sales climbed to $31.3 billion from $27.2 billion a year earlier.

売上も伸びてて、

Buyers have been attracted to the Ford's lineup of fuel-efficient cars and new high-tech features such as Sync, an in-car communications and entertainment system developed by Ford and Microsoft Corp., analysts said.

燃費の良いラインナップとフォードシンクのようなハイテクに顧客は惹きつけられている。

このフォードシンクなんですが、





電話と同期したり、メールを読みあげてくれたり、しかも音声に反応するんで、ドライバーはハンドルから手を離す必要がない。こりゃ良いですな。これからの機能をデモしてるみたいなんで、現行機種に搭載はされてないかもしれませんがね。


With improving profits, the company said it was on track to have more cash than debt by end of next year.

来年末に借入より現金の方が多くなるという目標にむかって順調に進んでいる。


かなり調子がよさそうですね。

ハインツの秘密 ケチャップの謎

2010-07-22 07:44:14 | 食品
ちょいとケチャップネタで。


10 products to never buy generic

Many major companies -- Safeway, Trader Joe's and Target, among them -- sell generic, or what they prefer to call "private label," products that are typically cheaper than the brand name products they aim to replace. If ketchup is ketchup to you and your family, then the cheaper generic brand is a good buy. But if Heinz is your favorite and you don't mind paying for it, the generic versions aren't going to do the job at your dinner table.

プライベートブランドの製品は安くて良い。ケチャップはケチャップで皆同じ、ということならそうすれば良いが、もし、ハインツが好きで、ハインツの値段を気にしないんなら、プライベートブランドはやめといた方が良い。

ウーン、英語じゃ、こういうのもジェネリックって言うんですな。


ハインツは凡百のケチャップとはちょっと違って、他で置き換えることができない、って意味だと思うんですが、実は、ハインツのケチャッフの味の秘密についてじっくり一章を割いて楽しく書いているエッセーがあって、本になってるんですな。

What the Dog Saw
クリエーター情報なし
Hachette Book Group USA



ここで、何度かご紹介したことのあるマルコムグラッドウェルが書いてます。

あるおっさんが、一生懸命研究して、自家製のケチャップを作って、それを売るビジネスを始める。店頭でサンプルも配って反応も上々だか、ブレークしない。資本の優勢な大企業にはかなわない、それってフェアじゃない、と不満を感じたが、

実は、そうじゃない。

味に問題があって、ハインツケチャップの味を詳しく分析してみると・・・、

みたいなハナシなんですが、メッチャ面白いです。

まあ、ただのトリビアだと言っちゃえばそれまでですが、語り口、持って行き方、技量がスゴイ。ビジネスの観点から言えば、食品の新製品を開発するにあたっての切り口がこんだけあるんか、という読み方もできますな。


これ思いだしたのは、本屋にこれが並んでたからなんですが、

マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想” (マルコム・グラッドウェルTHE NEW YORKER傑作選)
マルコム・グラッドウェル
講談社


訳をだすんなら出すって前もって言ってくれませんかね。


そのハインツですが、ちょいと前に、中国のしょうゆ会社の買収の記事が出てますな。

Heinz Has a Taste for Chinese Soy Sauce

H.J. Heinz said Monday that it agreed to buy Foodstar, a private equity-backed Chinese food company that makes soy sauces and fermented bean curd, for $165 million, The Associated Press reported.

フードスター社。1憶6千5百万ドルですか。

食品業界はそんなに伸びないんで、成長するには買収戦略が欠かせない、とかどっかで読んだ気がするんですが、ハインツもこうやって中国に出ようとしているんでしょうね。

もう一つ。

Heinz Serves New Ketchup with Relish. But Will it Be the Company's New Coke?

ハインツが新しいケチャップを出すってはなしで、これはもっと前の記事ですね。ニューコークの二の舞になるんじゃないか、って見出しですが、

昔、ペプシが、めかくしテストとかいって、コカコーラと比較してどっちがおいしいか、みたいなテストをして、ペプシを選ぶ人の方が多い、みたいなキャンペーンをかけたことがあって、

あせったコカコーラが、コーラの味を、ペプシ側にちょいと寄せた、つまり少し甘くして、大々的にニューコークとして売りだしたことがあって、

結果、

大失敗、みたいなハナシを下敷きにした見出しです。

このニューコークネタも、グラッドウェルが、たしかこの本だったか、別の本で、書いてます。多分この記事を書いた記者は、グッドウェルファンなんでしょう、ってかメチャ売れしてるんで、記事を書くような人間なら誰もが読んでるんかもですがね。



日本を築いた二人  伊藤博文  マッカーサー

2010-07-20 23:41:27 | 政治

改革だとか、政治主導だとか、いろいろ議論はあるんですが、ショボさがきついです。

改革とか、国造りとかいう場合、どういう次元のことを指すんだろう、という時には、やはり偉大な先人に学ぶべきでしょう。

まずは伊藤博文。

ちょんまげ時代に生まれて、初代首相になって、憲法を制定し、議会を開き、政党政治にも足を突っ込んで、日本に欧米なみのデモクラシーを根付かせるための努力を、明治の終わりごろまでかけて、粘り強く続けています。

ってか、私にそういうことをいう能力も資格もないんですが、本書を読むと、

伊藤が物凄いインテリで、国際派で、知力と策があったか、ということが良くわかるような気がするんですな。

伊藤博文―知の政治家 (中公新書)
瀧井 一博
中央公論新社


国の方向を決めてゆくとき、、その立場にあるとき、伊藤は渡欧して調査に向かいます、成果が出ずに苦悶します。ピッタリくるような概念、学問に出あわない。これだ、と納得するまで、散々苦労します。

こういう作業って、今の日本、どこで、誰にやっていただいているんでしょうか、ってのが読んでてとっても気になりました。政治家の信念て、コクミンセーカツガーッ、みたいなハナシとはもうちょっと次元の違う問題を含んでいるはずでして。

で、まあ、それなりの理念が固まったとして、それをどうやって実行するのか。

またしてもマッカーサーなんですが、下巻では、いよいよ日本の占領統治時代にかんする記述があります。

マッカーサー大戦回顧録〈下〉 (中公文庫BIBLIO20世紀)
ダグラス マッカーサー
中央公論新社




いや、まったく、ついさっきまでフィリピン攻略に全身全霊であたっていたとおもったら、あっという間に日本の統治を任されて、あっと言う間に矢継ぎ早に改革をやってしまう。

彼は既存の日本の官僚機構を使いこなしてます。勿論、日本の政治家を通じてなんですが。

大日本帝国憲法は伊藤が作りましたが、今の憲法はマッカーサーの指導のもとに作られてて、日本側が最初に持ってきた案を不十分としてやりなおさせます。

『この改正案は基本的人権を盛り込む代わりに逆にわずかな既存の権利まで取り上げてしまうものだった。つまり、これらの既存の権利を一般法令に従属させてしまっていたのだ。たとえば、信仰の自由を認めることについても、それは法令により別に規定される場合を除きということになっていた』

ナント、マッカーサーは霞が関文学もお得意で、骨抜きは許さなかったんですな、ってかマッカーサー自身、スーパー軍官僚なわけでしょうがね。

とにかく、日本人でもなく、日本語もできず、占領者として乗り込んできておいて、彼はすばやく日本社会の問題点を把握し、矢継ぎ早に改革を進めていきます。政治のプロでもなんでもない。自分で構想を立てて、かっちょ良い演説をして・・・。スタッフも勿論スーパーだったんでしょうがね。

まあ、いろいろ批判もあるし、米国式の占領統治がそんなに良いのか、アフガン、イラクはどうよ、ってことにつながっちゃいそうですな。

ただ、マッカーサーが偉大だったことは間違いなさそうで、彼の見通しの良さ、深さについては大いに学ぶところあるんでしょうな。



マッカーサーに学ぶ マッカーサー大戦回顧録 上

2010-07-19 05:01:12 | 政治
昨日に引き続き、先の戦争関係なんですがね。

あたしゃときどき、日本の戦史ものを読んだりします。場合によっては『失敗の本質』なんて、陸海軍の戦略や戦術がまずかったみたいな本も読んだりして。ただ、どうしても日本のものを中心に読んでいるわけですね。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
戸部 良一,寺本 義也,鎌田 伸一,杉之尾 孝生,村井 友秀,野中 郁次郎
中央公論社


で、先週、たまたまブックフェアで、締め際に行ったら3割引きだというんで、本書を買ったんですな。

マッカーサーは、GHQの、つまり占領軍の親玉で、戦後統治がどうしたこうした言われるわけですが、彼は戦争がはじまる時にはフィリピンに居て、一旦日本の攻撃を受けて、撤退をさせられた敗軍の将だったんですな。

マッカーサー大戦回顧録〈上〉 (中公文庫BIBLIO20世紀)
ダグラス マッカーサー
中央公論新社





本国は欧州に体力を割かざるを得ず、中々思うように支援を受けられないまま撤退する。もう、悔しくて悔しくて、オーストラリアまで引き下がった後は、なんとか北に向かって勝ち上がって再びフィリピンに戻る決意をするわけで。

I shall return.

これですわ。

まあ、マッカーサーは優秀で、戦の天才かなんか知りませんが、それにしても日本軍の、めちゃ弱ぶりが、気にかかります。なんせ、めちゃめちゃ弱い。マッカーサーが優秀で強いから、じゃどうも無いみたいなんですな。

日本は物量に負けた、戦争戦略もはっきりしなくて、とか言うんじゃなくて、とにかく弱い。

マッカーサーは、本国から十分な戦力を与えられなかったんで、少ない手勢で効率よく攻める作戦を立てる。航空機を有効活用し、とにかく飛行場を確保する。ひたすら奇襲戦で、日本の手薄なところ、しかも、敵正面とは戦わずに前線深く回り込んで要路を押さえて敵の補給路を断ってしまう。

それでおしまい。その後の殲滅戦には移らずに放っておく。孤立させて戦線が膠着している限り、敵戦力は戦略的に無力で、使い物にならない、という理屈です。補給も断たれているので、いずれ飢えて動けなくなるしってかんじ。多分朝鮮戦争の仁川上陸作戦も同じで、マッカーサーはひたすら同じ戦術でせめてます。

この作戦、日本軍がはじめに引っ掛かるのは良いんですが、その後も、ずーっと引っ掛かり続ける。自分達が敵の攻撃地点として想定している場所だけを固めて、想定外の場所の防御は手薄で、マッカーサーは奇襲戦を行って大して抵抗も受けずに上陸してしまう、みたいな。

日本軍は個別の戦闘では勇敢だけれども、ワンパターンで、想定外の問題にはうまく対処できない。失敗しても学ぶこともできない。

かれは作戦中にワシントンへの報告にこう書いたそうです。

『日本軍の地上部隊はいまなお、おそるべき頑強さで戦っている。日本軍の兵員の素質は依然として最高水準にある。しかし日本軍の将校は上級ほど素質が落ちる。日本の将校団は基本的に階級主義と封建的な制度で成り立っており、厳密な職業的能力によって選ばれていない。ここに日本の弱点がある。日本の息子たちは心身ともにたくましいが、指導者に欠けている』

『日本の軍人階級は国家をがんじがらめにしばりつけておきながら、いまやその国家の期待を裏切っている。彼らは全面戦争のため日本の資源を組織的に活用するだけの想像力も情勢判断の能力も持っていない。』



マッカーサーは米軍の責任者として日本軍とたたかう中で、兵は強いのに作戦が拙劣、ずさんで、犠牲ばかり出している日本軍の指導者に対する怒りを覚えているわけですね。能力の無いものがいばって支配している。武人の風上にもおけぬ。

マッカーサーは不公正さを感じたんでしょうな。

彼のこの、嫌悪感が、日本の占領政策の中にも反映しているかも知れません。ってか、それが一番の思いだったりして。


それにしても、日本のメーカーが工場の生産能力や技術力が高いのに、戦略や作戦がまずくて、米や新興国にやられてしまう、という構図ととっても良く似てませんかね。緒戦は強かったのに、みたいな。

兵士が死ぬかわりに派遣が切られて・・・。

そういや、エコノミスト誌は、日本に指導者が不足していることを指摘してましたよね。


民主党惨敗 ロンドンエコノミスト