会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

日本マクドナルド2

2007-02-27 01:05:30 | 飲食
最近、日本マクドナルドが復活しているというのは、売上、利益とも伸びているということなのですが、いつもニュースになるのは、既存店の売上と客単価ですね。

これです。

2006年の売上は2月以降、客単価は4月以降一貫して前年を上回っていることがわかります。他の外食チェーンや食品スーパーは軒並み前年比マイナスが続いているわけでして、これはスゴイことですよね。

当然ながら、当社全体の売上も利益も伸びているはずですね。

ハイ。伸びてます。

06年の決算が出ているわけですが、売上、営業利益、経常利益もと前年を上回ってます。特に利益は大きく伸びてますな。まあ、GAPを見た後ですが、随分違うものですねえ。

 さて、もう少し過去にさかのぼります。日本マクドナルドがジャスダックに上場したのは2001年の7月です。911の少し前ですが、このタイミングが問題です。業績推移を見てみます。

これを見てどう思いますか。

売上のピークはいつでしょう。ハイ、2001年の12月期ですね。そこまでずっと伸び続けてきてますよね。利益のピークはもう少し早く99年に来てますね。そして、そして,です。02年から急降下してますよね。

これを見てどう思いますか。

急成長中のマクドナルドに夢を託して株を買った人はどうなったんでしょう。ヤフーの掲示板にまだ残っていると思いますが、オーナーに対する怨嗟の声、声、声。投資家が怒るのは無理ないですよね。私としてはホリ○モンや○○ファンドと同列であるような気がします。

本書ではマクドナルドが上場に至る経緯が詳しく書かれています。マクドナルド側は上場を急いでいて、主幹事証券に再三上場時期を早めるよう要望したそうです。そして1年ほど予定より前倒しになったのだとか。まあ、このタイミングを見れば改めて説明してもらわなくても、って感じです。

ちなみにですが本書はその後株価がどうなって、誰が損したというようなことは(本書のテーマでも無いので)一切触れていません。

むしろ、上場に至る経緯の中で、米国マクドVS藤田田氏の構図を持ってきているのですが、藤田氏が上場に動いた背景に、米国へのロイヤリティ料率問題があったのだそうです。

これがまた面白いのですが、次回にて。








日本マクドナルドに見るサラリーマン社会の崩壊

2007-02-26 02:22:22 | 飲食
『本日より退職金無し』光文社 田中幾太郎著

もう少しGAPを追いかけたい所です。気になる記事が沢山出ていて米国での関心の高さも伺わせます。とは言え、あまりしつこいのも何ですし、少し気になる本がでましたので、そっちをご紹介したいと思います。GAPはまた少し間をおいてにします。

『本日より退職金無し』、ドラマの題名のようですが副題が『日本マクドナルドに見るサラリーマン社会の崩壊』となっています。

前々回、GAPの落ち方は日本マクドナルドのようだ、と書きました。そして最近復活しているとも。この会社はいろいろと気にかかっておりまして、どう言いますか、応援したいのか、そうでないのか、うまい運営をされているのか、そうでないと考えるべきなのか、ビミョーに気持ちが揺れるのですね。

そもそも日本マクドナルドに何故関心を抱き始めたかいいますと、バフェットを調べていて,彼が銘柄選択において重要なポイントとして、確立された強いブランドと、再投資の必要性=償却負担が少ないことが上げていて、自分なりにそれならマクドナルドだな、と思いついたのがきっかけです。丁度業績も良くないし、今買っておけばいずれ間違いなく復活するだろう・・・、とか甘い夢をいだきつつ。

さて、この本は、藤田オーナーから米マクドナルドに経営権が移るに従って、社内がどうなって行ったか、特に中堅、店長クラスの労働条件がどうなったかをレポートしています。業績は上向き始めたのですが、社員にとってはかなりつらい変化だったようでして・・・。

その前に当社の業績をたどって見ようとおもいます。以下次回。

GAP CEO更迭その2

2007-02-19 01:13:47 | アパレル
もう少しだけ、GAPについてみておきましょう。

前回のサンケイ記事はこれを読んで書いたんじゃないですかね。

after poor shopping seasonと見出しがありますが、サンケイで、書き入れ時の不振といっていたのはこの見出しのパクリかも知れませんね。でも、書き入れ時が不振だから深刻だったわけではないし(もともと深刻だった)、責任を取って辞めるのに取締役にも残らないのは当然で、わざわざ記事で断るようなことなんでしょうか。短い記事だったのですがどうも気になりますな。

さてBusinessweek誌の記事ですが、

After Gap's latest letdown during the holidays, more investors began to bet that the company would be sold to a deep-pocketed buyout firm interested in engineering a turnaround.

企業が不振に陥ると、buyout firmに売られる、というのが一つの流れになってるんでしょうね。日本でも徐々ににプレーヤーとして登場してますが、GAPみたいなでかい会社でも当然のこととして捉えられているところが違うところですかね。

The speculation intensified earlier this month amid reports that Gap had hired investment firm Goldman Sachs to explore "strategic alternatives" -- financial jargon often used when companies are about to throw out a "for sale" sign.

ゴールドマンサックスを雇って『戦略上の選択肢を探す』というのは、会社売りますと看板をだそうとしていると言っているのと同じ。なるほど,それはそうでしょう。ゴールドマンを雇った話しは日経にも出てたような気がします。

The shake-up could signal Gap's intention to remain independent. Given Gap's problems and an estimated $20 billion sale price, several analysts doubted the company's ability to attract a buyer.

ふむふむ、トップをクビにしたのは、売らずに生き残ろうとしている可能性もある、ですか。そもそもこの状態では買い手がつかないかも、という意見もあるとか。売値は200億円と見積もられている,ふーむ。この200億ドルの見積もりですが、06年の当社のEBITDAは20億ドルなので10倍で試算してるんですね。

いやはや、不振とは言えEBITDA20億ドルです。売上が160億ドルですからね。 1割以上あるわけです。結構な数字じゃないですか。粗利が60億ドル近く、売上がずっと下がっていることを知らなければ優良企業だと誰でも思いますな。ROEは17%もありまっせ。

バランスもいいですね。 借入が5億ドルしかありません。現金は20億ドルもあるんですな。

って言うか、超優良企業なわけですね。さて、クビになったCEOですが・・・

Pressler never demonstrated a great deal of fashion sense or the ability to hire people who did -- a shortcoming that damaged Gap's brand as more shoppers defected to merchants that offered more hip choices or lower prices.

"The back end of the house was something that Paul did a phenomenal job," said Bobbie Lenga, managing director of the retail practice at executive recruiter Russell Reynolds Associates. "But he is not a strong product person. Product is what drives the business."

クソミソですね。家の隅っこ仕事は得意だが本業のファッションのことが分かってなかったし、分かる人を連れてこなかった。HPの女社長がクビになったときもそんなことをかかれてましたよね。プレゼンはうまいけど,て感じでした。ソニーの出井さんも、辞めた時はさんざんにかかれてましたね。

記事では、会社全体ではなく、一部、バナナリパブリック部門の売却がありうること、後任人事についても書かれています。何れにせよ、GAPの名前は全世界の人が知っているブランドなわけだし、未だ高収益率を維持していて、(大変だとしても)十分復活する可能性はありそうですよね。誰が引き継いで、どう立て直して行くのか、興味津々です。







GAP CEO更迭

2007-02-16 01:54:06 | アパレル
GAPのCEOがクビになってます。


米GAPのCEOが辞任 販売不振で引責

 米アパレル大手のギャップは22日、ポール・プレスラー社長兼最高経営責任者(CEO)が同日付で辞任したと発表した。同氏は取締役にも残らず、経営から完全に退く。同社は、書き入れ時の昨年末商戦の既存店売上高が前年実績を下回るなど深刻な販売不振に陥っており、経営トップが引責辞任する事態に追い込まれた。   (ニューヨーク 時事)

(2007/01/23 19:01)

記事

何故、GAPが気にかかるかというと、アパレルを調べてゆけばSPAにぶつからざるを得ず、SPAを調べてゆけば、GAPに行き着くからです。

SPAについて説明されたサイトを見つけました。

Speciality store retailer of private label appare=「製造小売業」、小売店自らが商品の開発・生産を手がけること。  アメリカのカジュアル衣料GAPのドナルド・フィッシャー会長が1986年に発表した造語で、商品の企画・開発から素材調達、製造、流通、販促、販売、在庫管理などすべての工程を1つの流れとしてとらえ中間マージンを省くマーケティング手法。ユニクロや良品計画などはこれらの行動を一貫して行なっている企業の例。


簡潔で良い解説ですね(でも、SPAってマーケティング手法なんですかね)。最近は猫も杓子もSPAって感じですが、GAPの会長が造った言葉なんですね。ユニクロは(否定的に捉えているわけではありませんが)はるか後からやってきた追随者の一社というわけです。

さて最近のGAPの業績ですが、これがよろしくない。

既存店売上前年同月対比推移

これではやはりクビになっちゃいますか。この前年比マイナスの数字が並んでいるサマは、かつての日本マクドナルドを彷彿とさせますな。株式を公開して以来,ずっと業績急降下し続けておられました。上向いてきたのは社長が交代してからで最近のことです。

表には2000年以降の数字が出ています。03年あたり一旦回復していますが、04年6月以降ずっとマイナス続きですね。01年の不振は911の影響かとも思いましたが8月から既に悪いですし、00年の同月も落ち込みが激しくて,不振が続いているに過ぎませんね。01年の11月が異様に落ち込んでますが一斉改装でもしたんでしょうか。

これだけ不振が続くと何か抜本的な手を打たねば、従来と同じことをやっていては回復はおぼつかないって感じですね。

日本マクドナルドはメニューを刷新してよみがえりつつあるようですが、果たしてGAPはどうなんでしょう。


構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌

2007-02-12 01:11:37 | マクロ経済
今年最初の更新です。
あけましておめでとうございますというには、遅すぎですね。
仕事の担当が変わったりして忙しくなったもので。ちょっと落ち着きました。

さて、大臣日誌です。

一言、スゴイ。

 竹中さんは『日本の政策決定プロセスを変えた人』と後世では評価されるのではないですかね。日本の政治システムは責任主体がはっきりせず、エニグマだと評したのはウォルフレンですが、彼は小泉政権で経済財政諮問会議を軸にした経済政策決定過程をどう評価するんでしょうね。

 ただ、竹中さんが総務大臣に横滑りして諮問会議の所管を外れてからは、従来の官僚主導に戻ったそうなので、結局誰がハンドリングするかによって変わってくるということですね。仕組みだけの問題ではないのです。

 で、この本、アウトサイダーが旧い組織に飛び込んで改革をするときのケーススタディーとして読めますな。日産のゴーンさんのような。魑魅魍魎の世界を小泉内閣最初から最後まで生き延びて、まだ、ああだこうだと新鮮な提言を発しておられます。普通の改革本の大リーグ版というところですかね。学者なのに政治家や官僚の生態をよく洞察し先手、先手を打ってゆく。総理を出すタイミングを見ながら根回しを行う、政治日程から逆算したプロジェクト管理。この辺、スーパー管理職、スーパーサラリーマン、て感じです。

もし大学をご卒業なら、恩師と比べられるとよろしいでしょう。どんなに学殖が豊でもこうは行きやせんぜ。

 すこし驚いたのは、この本で政策上の議論になったことがいくつも紹介されていますが、どうにもシンプルで、ええっ、というような基本的なことにが大問題にされていること。成長率より金利の方が高い、ということを前提に成長率を低く見積もって増税論を展開しようとする財務省官僚サイドと、そんな前提は事実に反すると増税論に慎重な竹中さん。政策の専門家の間で、こんなことさえ議論が尽くされていない中でテキトーな前提を置いて、増税だ、減税だ、とやられているわけですな。役所が縦割りで、自分の立場に都合の良い理屈だけを取って来てテキトーな議論をでっちあげるのだ、とまでは竹中さんはおっしゃっておられませんが、そう読めます。議論の公正さを確保するためにも、特定の行政的立場でないトータルな国民の利益,という観点で政策は議論していただきたいものです。

竹中さんの悲痛な叫び。批判するのは簡単ですが『政策ってそんなに簡単なもんじゃないんですよ』。

 竹中さんのこの関西ノリも政治家竹中を助けたんでしょうね。

 竹中さんの政治センスを示す文章。
 郵政民営化論議で『民主党が民営化に賛成するばかりでなく,我々が作った法案よりもっとラディカルな民営化プランを示したら政府はいわば挟み撃ちにあう。私が一番懸念していたのはこうしたシナリオだった』。

 民主党は民営化に対してうまいポジション取りができず、結局衆院戦では大敗。民主党はプロ政治家なのに、竹中さんに政治センスで負けてたんでしょうかね。

 民主党に当初同情的だった竹中さんもその後の根も葉もないスキャンダル攻勢に『絶望した』と書かれています。

 一方的に竹中さんを賛美するつもりはありません。それなりにエグい面も無いとここまで生き残れなかったでしょう。随所に小泉さんを持上げるところも、『私はNo2男です』といっているようで竹中さんを小さく見せますな。No1の大変さを良く踏まえたうえで、とはいえ実質的な実務は担うぞと、なんかこすっからい感じもしますな。まあ鋭い政治感覚をお持ちの竹中さんですから、今後のことを考えた上でのご発言かも知れませんがね。小さくかわいく見せた方がお声がかりが良いですからな。学者も政策論という芸で生きてるわけで、買ってくれるだんなに売れてなんぼです。

 調子に乗って竹中さんに無礼なことを書いてしまいました。

 今は学者仲間からの嫉妬が強すぎて正当な評価を得られないのかも知れません。自分の研究を実政策に生かしてみたいというのは、政策学者の(普通は)果たせぬ夢でしょう。私の想像ですがね。もう、何年かしたらきちんとした評価・研究が一般読者向けにも出てくるんじゃないでしょうか。

 
まあ、私はもともとノンポリで支持政党無しなのですが、(経済政策本にしては、また内幕ものにしては)あまりに面白かったので、ここでご紹介させていただきました。