会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

JCペニー 急落

2008-03-30 13:01:37 | 英語情報
 米国小売と言えばまず思い出すのはウォルマートですが、JCペニーはデパートです。小売はこのところの原油高や,失業不安、で伸びが止まってきていてどこも厳しそうです。住宅部門が落ちると、家具やその他リビングなんかも売れなくなってデパートは特に厳しいみたいで。

日本がアメリカの後追いをするという法則があるんなら、ちょっと怖いですな。株価は日本が先行してますがね。業績はどうですかな。日本の場合は景気が悪いのに輪をかけて官の規制で住宅は弱っている状況ですよね。ロンドンエコノミスト誌にバカにされても仕方ありません。

で、先週金曜日にJCペニーの株価が急落しています。

こういう橋げたが落ちたようなチャートって怖いですね。しかし、上がったり下がったり、あるいはその前に変な動きがないというのは市場が健全な証拠でしょうか。

去年の5月くらいからの下落トレンドなんですが。


911のあった01年をボトムに、この5年、あるいはそれ以前も含めて長期間ずっと上げトレンド何ですな。

ウォルマートは強い会社だけれども,もうでかくなりすぎて株価はそんなに伸びていないことを考えると、投資家にとってはJCは優等生だったということがいえるんじゃないでしょうか。

ウォルマート VS JC 5y

赤がウォルマートですが、笑っちゃうくらいまっ平です。

ウォルマート VS JC 1y

1年で見ても、ウォルマートは笑っちゃうくらいまっ平なんですな。

小売全体が落ち込んでいるときに、ウォルマートだけちょっとあげてるんですな。これスゴイです。ひたすら安売りしてどこよりも安いんだから、景気不景気カンケーネーッ。頑固一徹さが株価に現れているようで愉快です。

4半期ベースの業績ですが、左から08年2月,07年11月・・・単位億ドルです。
Total Revenue      64    47   44    44    67
Operating Income -- 6.9-3.7-- 2.8- 3.9-- 7,3
Total Inventory ----- 3.7-- 4.7-- 3.6 -- 3.5 -- 3.4
Total Debt --- 3.7 --- 3.8 --- 3.8 --- 4.1 --- 3.4

冬のクリスマスシーズンで売り上げが倍近く行ってますな。それにここ注意ですが、利益も増えるにせよ、利益率も高くなってます。営業利益率が2月期だけは1割を超えるんですね。小売でっせ。多分高額の利益率の高い商品が、家具やら宝石やらブランド品が売れるんでしょう。

で、どこが調子悪いのか、ですが売り上げが前年比で落ちてますな。一番右の数字が前年同期の数字です。67が64におちてますよね。これ単に落ちたんじゃなくて、この間、新店も出しているはずなので、絶対額が落ちていると結構深刻なんじゃないか、と想像してしまいますな。既存店売り上げはもっと落ちてるんじゃないかってことです。で、売上が落ちたにもかかわらず在庫は増えてますよね。11月期が増えているのはクリスマス商戦に備えてのことで問題ないんでしょうが2月末で増えてるとちょっと・・・。たまたま、かどうか借り入れも同額増えてます。

というわけで、この冬は大事な数字が曲がっているわけでして、結構アカン状況じゃないかと、簡単な数字でもわかります。

J.C. Penney's First-Quarter Plight

For a second time this year, J.C. Penney (JCP) will miss its sales numbers. The department store chain warned on Mar. 28 that its sales at stores open a year or more will drop more than 10% in the month of March, which will also pull down sales and earnings in the quarter. That comes after a 6.7% sales drop in February.

どうもダウントレンドは続いているらしく、それに深刻ですな、3月の既存売上は10%も落ちそうなんだそうです。この発表で株価が落ちた橋げたになった。

記事では、新しい高級ブランド立ち上げに動いていること、アメリカンリビングというやつのようですが、やり方が最悪だと批判されていること・・・いちどきにこのブランドで一斉売り出しをすることがブランド価値を高めない・・・、その動きのせいか在庫管理がうまくいってなくてブランド立ち上げの日に、他の定番商品が欠品になったりしていること、を取り上げてます。

業績は悪化しているは、やり方はちぐはぐだわ、とやられているわけですが、さて、どこで悪化がとまるのやら。新ブランドは懸念払拭してうまく行くのか、今後に注目。



FRB 未踏の旅

2008-03-29 03:12:02 | 英語情報
Where No Fed Has Gone Before

これ見ると,ふふっとトレッキーの血が騒ぎます。

『宇宙、それは人類に残された最後のフロンティア』。このナレーションで始まるテレビ番組が昔ありました。スタートレック。邦題は宇宙大作戦。スパイ大作戦からとってきたんでしょうな。

そのナレーションの最後『驚異にみちたストーリーである』の英語版の部分が
To boldly go Where No Man Has Gone Before なんですね。この記事の見出しはそれにひっかけているんでしょうな。

前人未踏の地をFRBが突き進んでいる。航宙艦エンタープライズ号のように、大胆なチャレンジを実行中で、キャプテンカークのように、規則をものともせず・・・、って感じでしょうか。

大胆に利下げに動いたFRB。スティグリッツは著書でインフレのリスクを恐れるあまりに利上げで景気を冷やしすぎて・・・みたいな中央銀行批判を書いていますが、バーナンキさんはスティグリッツさん的なお考えなんですかな。

この記事は金利政策について踏み込んだといっているのではなく、例のベアスタンズ救済についてです。

ベアスタンズをJPモルガンに買わせるにあたり、FRBが290億ドルだした。ローンだといっているが、これFRBが投資したことになってるんじゃないか、これデットじゃなくてエクイティだろう、と指摘されてるんですね。このことは上院でヒアリングが行われるみたいだし、ポールソンさんもチクッと発言したり。

ヤリ過ぎかも、というリアクション。

いやあ物議をかもすくらい大胆な中央銀行。良いですね。混乱を避けるためなら何でもやる。スゴイっす。

Here's how it works: A Delaware-based limited liability company will be set up to receive, upon completion of the merger, $30 billion in various Bear holdings, such as mortgage-backed securities. The Fed will lend $29 billion to that company, which will pass all the money along to JPMorgan, Bear's new owner.

①limited liability company を設立してベアスタンズの300億ドル相当の資産を受け取らせる。②FRBはそのlimited liability company に290億ドルを貸付る。③290億ドルはJPモルガンにPassされる。

Passされるってどういうことですかな。まあ気にせず進みますかね。

JPMorgan itself will lend $1 billion to the Delaware company. The company, managed by BlackRock ­Financial Management, will pay back the loans by gradually liquidating the assets. As a protection for the Fed, it gets paid back fully before JPMorgan gets back anything on its loan.

④JP自身は10億ドルをlimited liability company に貸し付ける。⑤limited liability company はベアスタンズからもらった資産を少しずつ売って行く。⑥FRBは売った代金で返済を受ける。⑦FRBの返済はJPの返済に優先。

JPのローンよりはリスクが小さいわけですな。ただしベアスタンズの資産を売って290億ドルに満たない場合はFRBはロスをこきます。

The other sweetener for the Fed is that if there's money left over even after ­JPMorgan gets repaid, the Fed gets it all.

⑧もしも、limited liability company の資産が高く売れて、290億ドルを超えて全額FRBからの借り入れを返済し、さらにJPの10億ドルも返済できて、なお余剰が出た場合、その残り部分、つまりベアスタンズからもらった資産が300億ドルより高く売れたらその分、FRBが総取りとなる。

ウーン。考えましたな。下がったらロス、上がったら益の出るやり方なわけで、これってホンマに貸付か。資本的投資にあたらないのか、と指摘されてるんですね。290億ドルでベアの資産を買ったのとどこが違うのかってことで。

JPはベアの時価がいくらかわからん資産部分は切り離すことができるんでしょう。limited liability companyの組成がどうなっているのかわかりませんけどね。JPがそこから借りた290億ドルを返済しなければならない、となってはいないんでしょう。Passという動詞の意味がやはり気になるところです。

Fed法に抵触するんじゃないか、ってことなんですが、もちろんFedは貸付だという立場です。

キャプテンバーナンキはTo boldly go と果敢にリスクに挑んでいるわけですが、後年、金融界のヒーローとして評価されることになるんでしょうか、あるいは・・・。



モトローラ 分社化

2008-03-27 01:10:47 | 英語情報
昨日に引き続きモトローラです。

尋常でない不調振りで、ここでも注目のモトローラですが、携帯電話メーカーと、それ以外に分社化すると、以前から伝えられていたし、リーダーを探しているとかいうニュースもありましたな。

その件について続報です。

Motorola to Split Into Two After Phone Sales Slide

March 26 (Bloomberg) -- Motorola Inc. plans to split into two companies next year amid pressure from billionaire investor Carl Icahn to break off the money-losing mobile-phone business that it pioneered 25 years ago.

出ましたアイカン。昨日ご紹介したトンデモ系の投資家、株主に最も多くの富をもたらした男、アクティビストアイカン。彼の強いプレッシャーの中、分割せざるを得なかったんですかな。

まあ、二つに割るだけで、売却するのではないんですね。2社とも上場を維持する。分けることで,経営の集中が可能になる。社員だってこの事業しかないと思えば必死になりますな。

こうした効果については、ヒューレットパッカードの元CEOのフィオリーナ氏が自著で強調しておられます。

私はこうして受付からCEOになった

彼女はAT&Tにいて、ルーセントが分社された時にルーセントに移籍した組なのですが、その時の高揚感、業務への集中など、体験をもとに分社の効用を説いています。その後彼女はHPのCEOになって大活躍するわけですが、若いころからセクハラに悩まされたり、女だからというわけでマスコミからいじわるされ、取締役会からはしごを外されたりと苦労するんですな。挙句の果てに追い出される。

彼女も美人でカッコ良過ぎるから苦労したんでしょうな。
名前もフィオリーナだし。これが、スージーオーマンとかで、ガッツリした顔で、ニヤッと笑った時に見える前歯が人を食いちぎりそうな容貌だったら,カンケーネーッ、で済んだんでしょうがね。

いろいろ彼女が悪く書かれていた時代を、私も覚えていますが、彼女の在籍期間中、HPの業績はずっと右肩上がりだったそうです。未確認ですが。まあ、退職金をたくさんもらったから良いじゃないですかって、それこそカンケーネーでございました。

何の話でしたっけ。ハイ、モトローラでした。記事はモトローラの携帯ビジネスの歴史を要約してまして、

世界で最初に携帯電話を開発した会社であって、
その後、ノキアに抜かれ,
サムスンに抜かれ、
ソニーエリクソンに抜かれようとしている。

そういや日米貿易摩擦がうるさかったころ、モトローラも日本に市場開放をせまった一社だったんじゃなかったですかな。

87年の映画『ウォール街』でマイケルダグラスがゲッコー役で持っていたのがモトローラの携帯電話なんですね。当時は携帯電話がかっちょよかったんですナ。

98年にノキアに抜かれてNo1の座を明け渡すわけですが、2004年に薄型携帯、レイザーが大ヒットしてモトローラの携帯事業は復活します。前CEOの功績ですな。1億1千万台以上売れたんだそうです。後継機種はさっぱりのようですがね。

``The Razr was so successful as a unique product that it masked a lot of the underlying problems,'' said Michael Walkley, an analyst at Piper Jaffray & Co. in Minneapolis. ``Once Razr sales started to fade, their cost structure wasn't competitive, especially now that they don't have the right products for the market.''

レイザーが成功し過ぎて問題を隠してしまった。

さて、モトローラの携帯事業のトップにはどんな人がなるんでしょうな。








モトローラ 対 アクティビスト

2008-03-26 07:26:19 | 英語情報
不調のモトローラですが、最近のニュースでは大株主のなんとかさんから厳しい圧力が云々・・・、と付け加わることが多いんですが、それって誰?

アクティビスト、と呼ばれているようですが,

Icahn vs. Motorola: The Rematch

Icahnさんなんですが、これ読み方、アイコーンのようですな。アイのところにアクセント。ビジネスウィークでこんなに扱われて、時の人です。

CBSニュースの60ミニッツでもインタビューを受けてます

イメージとしては、村上ファンドの大リーグ版,といった感じですが、大金持ちで、業績が悪化して割安になった会社の株をがばっと買って,株主として経営に関与してゆく。無能な経営者はクビにして、そうモトローラは去年クビになりました。経営者のサラリーが高いだの、なんの、と文句をつけてゆく。そして、株価アップさせて稼ぐ。

会社にとってはとんでもな感じですが、一般の株主にとっては、経営を揺さぶってくれるわけで、そして株価も上がれば実に良いひと、になるわけですな。

そのIcahnさんですが、

The investor's Icahn Partners sued Motorola (MOT) in Delaware Chancery Court on Mar. 24, demanding documents related to the company's efforts to resuscitate its troubled mobile-phone business. Icahn, who holds 6.4% of the stock, also wants access to hiring records and such matters as corporate jet use.

モトローラに訴訟を起こしてます。内部資料を見せろ、ジェット機の使用状況を教えろ・・・。

エグ目です。


商船三井 コンテナ物語その2

2008-03-25 07:30:28 | 英語情報
昨日の続きなんですが、
株価がスゴイ下げだ,と書いたんですな。

で、商船三井と,トヨタ自動車の株価比較です

青が商船三井で、赤がトヨタ。

どうです,商船三井の落ちが激しいでしょう、と言うつもりだったんですが、オイオイ。トヨタの株価はなんでっかこれ。去年の春先にピークをつけた後、この1年下げ続けですね。うーん、トヨタは今日のテーマじゃないんですがね。気になりますな、この株価。

気にせずいきましょう、というかトヨタは指標になりませんな。

じゃあ、日経平均と比較するか,と見てみると

緑が日経平均です。ハテ、日経平均そのものが、この1年ずっと下げ続けているんですな。トヨタとはかなりパラレルで、トヨタは指標性があったわけですね。こらあ失礼しました。調べながら書いているもので・・・、。

しかし、こんなに一貫して落ち続けているとは思いませんでした。

そうすると、商船三井の強さが逆に際立ちますね。この秋までずっと上げトレンドを続けてきて、そうですね、毎日のように激騰したころがありましたね。

さて、何が言いたいのか

日経平均を無視するかのように上がり続け、無敵に見えた商船三井が、落っこちたのがいつかといいますと、秋口,ちょうどサブプライム問題でリセッションが心配され始めたころですね。

昨日ご紹介した『コンテナ物語』によると、

60年代後半にコンテナが普及し始めると,輸送コストが安くなったことから業界は値下げ競争に入ります。それまで人為的に決められていた価格を保てなくなりました。業界では,これでは持たんと、料金プール制を作って利益をなんとか確保。

ところが72年あたりから、景気が急上昇。工業生産が増えて貿易も増加。コンテナ輸送料金も高騰。船会社は儲かります。

好調は続かず,74年から再び料金が値下がり。石油ショックで各国中央銀行が金利を上げて不況入り。工業生産、貿易が落ち込む。船会社の業績も急降下して赤字続出。新造船も次々に就航,コンテナがだぶついてますます値段が下がります。

シーランドを買収して傘下におさめていたタバコのレイノルズも、この頃シーランドを見限ってスピンオフ。

アナリストに対し『当社の株式に興味をお持ちの投資家の皆さんは資本集約型で景気循環の影響を受けやすい輸送業には関心がないので』と説明したそうです。

再び何が言いたいのか、ですが、

資本集約型で景気循環の影響を受けやすい、といことですな。

需給や、上海ショックにもびくともせず、上がり続けた株価も、リセッションの香りがした瞬間に落ち始める。外国人がどうした、ニューヨークがどう、バルチック指数が云々はあるかも知れませんが、トヨタや日経平均とは明らかに大きく下げ始めたタイミングが異なり、サブプライム問題が顕在化したあたりからなんですね。

バルチック指数も関係あるかも?

ただ、最近になって指数は上向いていますが、株価は戻ってませんな。

やはり景気に反応したということで、ここは一つ・・・。


マースクライン 世界コンテナー状況

2008-03-23 13:00:39 | 英語情報
海運関係の株価は一時ブームになっていましたが、今は一服って感じでしょうか。

商船三井 2y

それにしてもスゴイ上げに続いて,これまたスゴイ下げですな。チャート上はダブルボトム形成中,ってとこですか。まあ、ウォール街のランダムウォークによればチャーチストは勝てないんだそうですが。

『コンテナ物語』 マルクレビンソン 日経BP

コンテナーがいかに世界の物流を変えたか,という本です。
一個一個運ぶのではなく,箱に詰めてまとめて送れば効率的だというのは当たり前だし、アイディアは随分昔からあったわけですが、実現したのは50年代に入ってからです。スタートしてからも苦労が絶えず・・・。

本書の主張のひとつは、技術が世界を変えるのではなく,それを支えるシステムであり組織であるということですね。政策についても当然含まれているんでしょう、コンテナ輸送を始めるあたって、補助金、規制の果たした役割,プラスにせよマイナスにせよですが,についてもみっちり描写しています。人夫仕事だったものが機械化するわけで、組合の抵抗もものすごくて荷揚げがストップ,スト頻発で、普通の人はあきらめる。それをやり遂げる物語でもあります。

鉄道業界との争い、トラック業界との協働。判断の違いが両者の興亡を分けます。

ニューヨーク港の西側の興隆と東岸の没落についてもコンテナとのかかわりで描かれていて、面白い。ついこないだまで、といっても今世紀という意味ですがニューヨークは工業地域だったということもおどろきです。物流の効率化が工場立地を海岸線から内陸に移動させたんですね。

マルコムマクリーンの物語です。陸送をやっていたのを、コンテナーなら行けると直感して商売変え。後のシーランドを創業します。

いやまあスゴイお話でございます。

それに当時のノリもわかるんですね。世界のモノ生産が急拡大している様と同時進行しています。経営もいかに資金を確保するか、リスクが取れるとわかればみんな一斉にドンとやる。政府と一体。当局は保守的で既存業界秩序が最優先事項で・・・。

アメリカも50年代や60年代は規制が厳しくて、基本的に既得権よりです。そういうやり方を半世紀前まではやっていたわけですな。

日本が方向転換できていない、というのがウォルフレンをはじめとする、往年のジャパンバッシャーの主張だったわけで,そして今もその主張は変わっていないわけですが、どういう意味か本書を読むとわかるんですね。当時のアメリカの状況と今の日本がダブったりして。既得権者がやたらと強い。

しかしマクリーンの中央突破によって始まった世の中の流れには逆らえなくて結局コンテナが物流を席捲することになります。

さて,そのシーランドはマースクラインに買収されてますな。ちょっと前までは海運業界は???だったわけで再編が進んだんですかね。それがこの、アジアの勃興でブームになっているわけですな。

その世界最大のマースクの業績ですが、

AP Moller Maersk FY net profit beats consensus, sees profit up in 2008 UPDATE

COPENHAGEN (Thomson Financial) - Denmark's AP Moller Maersk AS posted a full year net profit of 17.8 bln dkr, up 15 pct from a year earlier, helped by an improved result at dominant container unit Maersk Line, and slightly above consensus estimates of 17.36 bln dkr, according to RB Boersen.

増収増益で好調ですが、

'Due to the unpredictability surrounding global economic development, the continuation of historically high oil prices and the ongoing reorganisation of Maersk Line, the outlook at the beginning of 2008 is subject to significant uncertainty,' it added.

見通しは慎重ってとこでしょうか。

During 2007, Maersk Line decreased volumes on unprofitable routes between Asia and North America by 17 pct, but increased capacity on other trade routes, AP Moller Maersk said.

ここ大事です。

アジアと北米ルートはもうからないからキャパを減らした。で、他のルートを増やした。他のルートはどこかってことですが、アジア→ヨーロッパルートです。ユーロ高だし、輸入は当然増えるでしょうね。


ヨーロッパルートであることはAnnual Reportに書いてます。

4ページしかないのですぐですよ。

'Global growth in the container shipping market is expected to decrease compared to 2007, influenced by an expected modest growth in trades to the United States,' it added.

米国の不調で世界コンテナ輸送市場の成長は弱くなると予想しています。

今後、欧州が世界の経済を支えるのか、ってことなんですが、どうなんでしょうな。それに、アジア北米ルート,つまり太平洋ルートかが儲からないというのも気になります。荷動きが悪いだけじゃなくて、競争も激しくなっていたりして。

で、日本の海運会社への影響はどうよ、という風に気になってくるわけですな。

吸入型インシュリン 断念 Alkermes to Cut Jobs

2008-03-21 01:19:50 | 英語情報
先日、主力薬の使用制限勧告でアムジェンの株価が落っこちていることをご紹介したところですが、

アムジェンはバイオベンチャーの数少ない成功例で、大多数は水面下で苦しんでいるのが実態ですね。

Alkermes to Cut Jobs, Close Plant
After Cancellation of Insulin Trials


Alkermes Inc. will cut 150 jobs, or 18% of its work force, and will shutter a Massachusetts factory in the wake of Eli Lilly & Co.'s cancellation earlier this month of trials of Alkermes's inhalable insulin for diabetic patients.

イライリリーが吸入型インシュリンのトライアルをキャンセルした関係で、百五十人の人員カットと工場閉鎖をすることになった、とか。

製品化への壁は、普通の製造業よりはるかに高くて、技術が進んだからといって新薬がバンバン生まれるわけではないんですな。いろいろ可能性は拡がるが、失敗率もたかくなる。

ベンチャーと大手製薬会社との提携については、良く指摘されているんですが、大手が手を引くとあっという間にベンチヤーはやばくなるんですな。提携によって製品化前の収入源がベンチャーに生じるわけで、それは良いんですが、手を引かれるリスクは残ります。

"Lilly's termination of the program forced us to make difficult choices about the optimal size of the organization," Chief Executive David Broecker said. "We acknowledge the outstanding contributions that these employees have made, and I wish to express my sincere thanks for their hard work."

日本だと、首切りに対して『責任を痛感する』とか、『申し訳ない』とか、経営者なら言うわけですが、これまでどうもありがとう、のみ。苦しい選択、とは言ってますがね。最適化するには仕方ないじゃんってとこですな。

株価も落ちまくりって感じですね。

こういうベンチャーの業績なんですが、

左から07年・・・。

Total Revenue   239.97    166.60    76.13    39.05

Research &
Development    117.31    89.07    91.64     90.41

Operating Income 11.04    13.66    -73.38    -99.08

ここ2年漸く黒字になってきたとこだったんですね。まあ良く見ると、3年前までは売り上げより研究費の方が大きいじゃあないですか。ヒエーって感じですね。

Issuance (Retirement) of
Debt, Net      -1.78    -1.12    153.71    117.16

借り入れでまかなっていたわけですわ。これが。黒字になって借り入れ増はとまってますが。大赤字の会社でも、貸す人がいるわけですな。

Total Debt    158.48    296.41    307.61    152.67

07年で借り入れが半減。でもキャッシュフローでは返済したことになっていないのでおかしいな、とよく見たら

Additional Paid-In
Capital       837.73    664.60    640.24    627.45   

資本のところが増えてますね。多分ですが、借り入れを資本に組み入れたんじゃないですかね。黒字になったんで、アップサイドを狙うかって感じかも知れません。

で、株価は急落。このニュースどう受け止められたんでしょうかな。離陸したと思ったら地面に激突?

最近の四半期では赤字に逆戻りのようです。

厳しい世界ですね。




お笑いブラックストン 

2008-03-19 07:33:20 | 英語情報
こんな株価みたことありますか。

ADS株価 1y

昨年の5月にドン、と上がった後、ずっと横ばってて、今年に入り急落。異様な動きです。

実はここ、ブラックストンがプレミアム付きで買収すると発表した先でして、それで株価が上がっています。で、うまくいきそうにないんで株価が下がってしまったんですな。

買収が頓挫していて、きつねとたぬきのような状態になってるようでして、ブラックストンは当局のせいにしてますが、

んなわけあるかい、

わざとだろとADSは言ってるよですな。

ADS says Blackstone in breach of contract

Alliance Data Systems Corp (ADS.N: Quote, Profile, Research) said on Monday that Blackstone Group was in breach of contract by failing to use its best efforts to resolve regulatory hurdles on the planned $6.76 billion buyout of the credit-card transaction processor.

ベストエフォートでやってないじゃん、ってとこですか。

"By seeking to delay favorable resolution of these regulatory approvals, Blackstone and its affiliates are attempting to 'run out the clock' on the transaction,' Alliance Data said.

これってわざとで、時間切れをねらってんだろ、て。

4月15日が期限のようですが、

A spokesman for Blackstone said the buyout firm had complied fully with all of its obligations under the merger agreement and any claims to the contrary were "absurd."

ちゃんとやってまんがな、とブラックストン側。

ブラックストンはこないだ見たように、株価も資産も半分になっちゃってましたよね。調達も難しくなってるんでしょう。全体のMA件数も減っているはずですな。

なんと言われようと,『いやあ当局が・・・』

とやらざるを得ない状況なんでしょうかね。



ベアスタンズ 株価 え?

2008-03-17 23:31:17 | 英語情報
サブプライムのニュースが出始めの時にしきりに出てきた名前がベアスタンズだったんですが、最近は他がどんどん出てきて,と思っていたら、

JPモルガンに買われる、しかも一株2ドルで。

先週末急落で30ドルまで落ちた、と思ったら2ドル。

投資家の悲鳴が聞こえてきそうです。

今日のオープンが3.17ドル。今は3.7まで回復してますが,いずれにせよものすごい下げです。当然ですがね。

半年前まで100ドル越えてたんですけど。

JPは1割近くあげてます。

2ドルは割安とマーケットは見てるんでしょうか。

いやー怖い怖い。ワイルさんも主導したと自著で書かれていますが金融界は再編を続けてきたわけですね。クロスセルやら、顧客基盤やら、強いオペレーションやら・・・、それが株主価値を高めると信じられて実効されてきたんですね。

今回のは救済で、株主に思いっきりロスが行くわけですが、突然で・・・。

日本の調子の悪い新興企業みたいなことがアメリカの一流金融機関に起こってしまっている。ものすごくトンデモな感じで、ちょっとびっくりしました。なんせもう、やっていけないところまで追い詰められたということですからねえ。

そんなにひどいの ?


JPMorgan Chase To Buy Bear Stearns For $2/Share

The companies' boards have unanimously approved the transaction, which will be a stock-for-stock exchange. JPMorgan Chase will exchange 0.05473 shares of JPMorgan Chase common stock per one share of Bear Stearns stock. Based on the closing price of March 15, 2008, the transaction would have a value of approximately $2 per share, spelling the end of independence for Bear, founded in 1923.

1923年に設立されて、これまで生き残ってきた名門ですな。ボードは全員一致で株式交換での売却を決めたんだそうです。2ドルで。

努力はしたが、信用を維持することが難しかったようですね。





アムジェン 主力薬品に制限 ?

2008-03-16 13:17:13 | 英語情報
バイオ企業の数少ない成功例、アムジェンなんですが、株価が今年に入って急落中です。

株価推移

Panel Slaps Amgen, But It Could Have Been Worse

The panel, known as the Oncology Drug Advisory Committee (ODAC), on Thursday recommended to the Food and Drug Administration that anemia drugs sold by Amgen AMGN and Johnson & Johnson (NYSE:JNJ) JNJ be used only for a limited number of chemotherapy patients.


主力薬の貧血に使う造血剤の使用に制限をかけるべきだといわれてるんですね。

The drugs in question -- Aranesp, Epogen and Procrit -- are known as erythropoiesis stimulating agents, or ESAs. A major concern is that they can increase the risk of death and tumor growth.

死亡率を高めるんだそうなんですが、このAranespという薬ですが07年の売り上げ143億ドルのうち、36億ドルを占めている結構なものなんですが、06年比12%落ち込んでいます。第4四半期だけだと25%減。大幅なマイナスで、このニュースは駄目押しってとこなんですかな。

数字は

左から07年、06年・・・ 単位億ドル

Total Revenue 148  143  124  106  84 55

売り上げは順調だったのが、07年は横ばい。勢いがとまってます。

Operating Income 40  38  48   33   31   -8

利益の方は05年でピークアウト。

Unusual Expense (Income) 13  12  1   6   0   30

なんでかというと、へんなロスが2年続けて出てますね。

会社のHPで確認すると06年は買収したR&Dをwright offしたとあります。特許の価値がなくなったということなんですかね。バイオ薬開発の失敗率は高いわけで、製品化にいたらなかったんでしょうな。07年もたぶんそれでしょうな。

と言っても、減損したあとの営業利益なのに、ですな。良い数字ですねえ。

Research & Development 33   34   23   20  17   11

売り上げがこの5年で3倍。R&Dも3倍。マイクロソフトのような規模の経済は働いていませんね。でかい売り上げにはでかい開発費。ひとつひとつの新薬開発にはそれぞれコストがかかるってことなんでしょか。一発ウインドウズを開発したらOKというやり方とは違いますからなー。今回のようなリスクも抱えていて、新薬開発って大変ですな。

Total Assets            346
Goodwill, Net           112
Cash and Short Term Investments  71

アセットは大きいです。でも3分の1がGoodwillなんですな。現金と短期投資も大きくて製造や開発設備の負担が特に大きい,というわけじゃありません。

Property/Plant/Equipment, Total - Gross 95

グロスの数字ですがね。