悲惨な事故で、何とも言いようがありませんが、いくつか気になる記事が。
韓国旅客船沈没 26歳の3等航海士が操縦…事故数分前に右急旋回 「船長は休憩」情報も
海洋警察は、業務上過失致死傷容疑で船長への事情聴取を続けており、事故当時の操舵状況や乗客の避難誘導などについて聴いている。船長は事故発生当時、経験1年半の3等航海士に船の操縦を任せ、休憩中だったとの情報もある。
船長が休んでいたことがどうこうじゃなくて,船長と、この若い航海士との間の関係についてです。
事故と、上下関係のヒエラルキー、つまり上下が権威主義で、目上の人との間に距離がある場合に事故が起きやすいという指摘が、かつて航空事故について指摘されたことがあって、それを思い出しました。
ここでも何度かご紹介したマルコム・グラッドウェルの本に書いてあったことなんですが、ネットで探すと、最近の事故の際にも引き合いに出されてるようで。
アシアナ機事故、背景に韓国文化?
これはグラッドウェル氏へのインタビューに関するWSJにでてたブログです。
Malcolm Gladwell on Culture, Cockpit Communication and Plane Crashes
大韓航空の事故率が90年代に非常に高いことが問題になって、権威主義的な人間関係が事故原因と関連があるとされて、徹底的に改善に取り組んだという経緯についてグラッドウェルは紹介しています。それで何かと引き合いに出されるんですが、個別のケースや、最近もそうなのか、という点では議論があるんですな。
若い航海士と船員を代表するようなベテラン船長。このフェリー事故についても、そういう指摘を誰かがするかもですね。
もう一点、そのベテラン船長の事故発生時の指示について、問題点を指摘する記事です。
Delay in ferry evacuation puzzles maritime experts
It is a decision that has maritime experts stumped and is at odds with standard procedure: Why were the passengers of the doomed South Korean ferry told to stay in their rooms rather than climb on deck?
事故が発生したときに、部屋でじっとしているよう指示を出したのは間違いで、デッキに集合させるべきだったという指摘です。
このフェリーは規制が厳しくなる前の建造で、作りが脆弱で転覆しやすく、問題があったら退去の準備をすぐにさせるべきだし、もし、避難が不要になったとしても別に大きな損失が出るわけではないので、船長がそうしなかったのは問題だ、という感じです。部屋でじっとしていろ、という指示がなかった方が被害が少なかったんじゃないか、とまで言われてます。
船長は船が転覆し始めてから30分も経った後に乗客を退去させたそうで。
Though experienced, the captain of the Sewol, Lee Joon-seok, delayed evacuation for at least half an hour after the ship began tipping. Passengers, most of them teenagers on holiday, were initially told to stay below deck.
退去準備をさせる、ということにはかなりの決断が必要なはずで。権威があって自分のミスを認めにくくなると、判断を先のばしにしやすくなる、という側面もあるかも知れませんね。
何でもカルチャー問題に還元してしまうのは、返って本当の問題を隠してしまうこともあるんですが、ちょいと気になったもんで。
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